仕事をいっぱいためたので、逃避でイラストを描きなぐってる、

メルヘンのつもりで画いていたら、背後から旦那にへんたいといわれたorz

メルヘンがテーマなのに、旦那はわかってくれない、去り際に

「お前の頭がメルヘンだろう」と言われた。


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Kierkegaard


覚醒しようとするのに引き込まれる、あれからどのくらい時間がたったのか

痛みはなくなり、血の匂いの代わりに生臭い匂いがする、冷たいものが、

体を這い上がる。


怖い、身じろぎもできずなすがままに見えざるものに弄られ続ける。


長いようでいて一瞬のような時がすぎ、音楽?

北欧の古い言語で歌う歌手の歌に似た、複数の声が重なる。


「○□×△.....」


人がいる、外国語だけど聞いたこともない言語だ、複数の手が体に触れ、

私の体が清められ、更紗のような肌触りの衣装が着せられた。


香油のようなものをつけられ、メイクが施される。


私は抱きかかえられ、祭壇のような場所へ連れて行かれる。


暗闇の中に蝋燭の灯りが何本も連なる。


こういう役やっとけばよかったかな、自分の身がどうなるか不安と

恐怖に挫けそうな心の葛藤の中で、どこか冷静に状況を分析する

自分がいて、おかしくなった。


大丈夫、私は大丈夫、何度も自分に言い聞かせ、閉じていた瞼を開き

真っ直ぐに前を見る、ホラー映画のような光景が目の前に広がる。


黒いマント装束の人間達が祭壇の前に整然と並ぶ、だけど人の気配を

まったく感じない。


覚醒した意識を表面に出さず周囲の状況を目の端で確認する。


操られた人形のような動きで前に進む、大丈夫、きっと真澄さんが

助けてくれる。


Kierkegaard

「着いたぞ」


「ここですか、あれから50年以上放置されているはずなのに、

荒れていない。軽井沢の別荘と同じ建築士の設計だと聞いていたが

鏡に映したよう反転している?」


「数年がかりである財閥が改修し、当時のままに復元したと聞いている」


「ある財閥ですか、まさかあの老人が蘇ったということはないでしょうね」


「さあな、くえん爺さんで不老不死だ怪物だからな」


「俺の悪友が墓場から何度でも蘇るわけか」


俺たちは社長の会話についていけず黙っていた。俺は、キョーコをずっと

抱きかかえ社長の後をついていく。


俺たちがヘリから降りたポイントは、別荘から1km離れた場所で、

赤外線スコープと、ペンライト、人を失神させるレベルに調整したレーザガン、

インカムを持たせられた。


「音はたてるなよ、あの屋敷の設計図とセンサー等で内部調査済みで

現代的なセキュリティは一切ないだが、原始的なトラップがあるかも

しれないからな」


音を立てずに社長と速水氏、俺とキョーコ、社長の執事の総勢五人で

別荘へ向かう。


門は固く閉じられていたが、セバスさん貴方何者ですか?

彼は、特殊な工具を使い数分をかからず門を開け、俺たちは中に入る。


ずんと空気が歪む、あ、嫌だな、懐かしくもないデジャブを感じる、

重苦しくで気分がむかむかするもがあたりを包んでいる。


社長が懐から何やら紙を取り出し、何やらを唱え結界を俺たちの

周囲にはる。


玄関前に到着し、全員で中に入ると思っていたが、社長が俺たちに

別の指示をだす。


「蓮、お前はキョーコ君とで、中庭で契約の箱を探してくれ」


「別行動をする方が危険では?」


「箱の中身を処分しないと同じことが何度でも起きるんだよ。

幸いキョーコくんならそいつを探すことができる。但し、箱を

見つけても不用意に開けるなよ、見つけたらインカムで

連絡しろ」


俺は地図を受け取り敷地をまわって中庭に向かった。

社長たちは、玄関のドアを開け室内に入っていった。


中庭は、スペイン風様式でどのくらいの広さだろうか。

腕に抱きかかえられたままのキョーコは、俺の胸に

顔をうずめ身じろぎをしない。


ぴきぴきキョーコの髪の毛がセンサーのように反応する。


「敦賀さん、あっち」


キョーコが指差した方向は、何の変哲もない小さな泉があった。


泉の脇には、上半身が鳥で下半身が獅子のグリフォン像が二体

設置されていた。


ゆっくりと泉に近づくと、遠めからはよく知っているグリフォン像だが

近くに目にするとその異形さに目を奪われる。


これはグリフォンでは、では何だ。


続く その9  へ