巨大な小中学校棟。

雨が止む気配はない。
携帯で時間を確認した。
オヤジの船が迎えにくるまでがリミットだ。
その時間、およそ90分。
ゆっくりしてる暇はない。
ぼくは圧倒的な存在感で出迎えてくれたその建築物の中に走り込んだ。

「さっきの場所に○時前に集合という事でお願いします」とN君が言うと
皆はバラバラと動き出し、写真を撮り始めた。
ぼくは後悔した。
なんで地図を用意してこなかったんだ・・・
こんなとこに来て、みんな一緒に仲良く散策なんてあり得ない事は
わかっていただろうに。
でも、そんな事を悔やんでいてもしょうがない。
さよならの時間は刻一刻と迫っている。
とりあえず、写真を撮りながら上へあがる事にした。
教室の中にぽつんと残された机。
恐らく今までに侵入した方によるセッティングだろう。

焦っているせいなのだろうか
浮き足立ってるからなのか
どの教室からも、不思議と何も感じなかった。
無である。
パソコンの画面から受けた印象とは全く違うものだった。

廃墟の中の残骸より、窓から見る海の方が心に響いた。

荒れ放題の廊下を歩く。
バリバリ、バリバリと音がする。
あまり気持ちのいい音ではない。

夢中でウロウロしていたらひとりぼっちになってしまった。
地図もないのに。
あてもなく上に上がるとこんなところに出てしまった。

現在、軍艦島への上陸は、この当時よりもはるかに厳しく取り締まられております。
上陸が見つかった場合は不法侵入で処罰されますので、決して真似される事のないようにお願いします。
軍艦島への道 その1
軍艦島への道 その2
軍艦島への道 その3
軍艦島への道 その4
軍艦島への道 上陸前に
軍艦島への道 その5
軍艦島への道 その6
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