ぼくらはバタバタと船に乗り込んだ。
船上はレインコートにライフジャケット姿な方が数人。
所謂アレな方だ。
その中で明らかに浮いてる僕ら。
不安定な船の上、とりあえずぼくは
ゴアテックスのレインコートを着る事にした。
波はあるが、波が来る方向にまっすぐ舟が向かってるため
不快な揺れはない。
ぼくは少しだけ気持ちを落ち着かせる事ができた。
まわりの仲間は?と思い、まわりを見渡すと
すでに髪はずぶ濡れ、隣の男は小さく震えていた。
大きな気持ちだけを持っているから、余計な物はいらないという事だろうか・・・
レインコートなし、帽子なし、手袋なしでは寒かろう。
緊張以前に震えるのも無理はない。
その彼が、カメラを取り出した。
N君が教えてくれた。
「今、船の先でちょうど見えませんけど、もう島見えますよ」
ぼくは焦って、
薄暗い海の上に現れたその島に向かってカメラを向けた。
まわりに緊張感が一気に走った。
つづく