パレスチナを巡り、イスラム教徒とユダヤ教徒の間で緊張が高まっています。イスラエル軍が空爆を行い、レバノンからはロケット弾攻撃があるなど、双方に被害が出ています。何故パレスチナであのような争いをしているのか、日本人の多くの人は分からないのではないでしょうか。

 

イスラエルの首都エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとって特別な土地です。ユダヤ教からキリスト教が発生し、キリスト教を改良したかたちでイスラム教が発生しました。その舞台となった場所(アラブ人はパレスチナと呼びます)は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教によって聖地なのです。

 

キリスト教では聖地にあまり固執しませんが、ユダヤ教とイスラム教ではそういうわけにはいきません。

 

ユダヤ人は、現在のエルサレムなどイスラエルがある土地を神からもらったと考えています。神からもらったというのは、言い換えると神から預かっているということになります。つまり、この土地を他民族に与えることは、神を裏切るということになってしまいます。

 

イスラエルの土地はカナンの地と呼ばれ、約束の地(プロミスランド)として神から与えられたので、それを他民族に渡すことは絶対に許されないことなのです。

 

 

イスラム教徒は、ユダヤ教やキリスト教が発展してイスラム教ができたと考えていますので、ユダヤ教やキリスト教は発展途中で完全な宗教ではないことになります。完全な宗教であるイスラム教の聖地こそが、本当の神の聖地だと考えますので、その地はイスラム教徒が支配するべきだということになります。

 

そうなると、ユダヤ教徒が聖地を支配しているということは、イスラム教徒からすると許せないことになります。聖地にユダヤ教徒がいることは、聖地を汚されていると考えます。ですから、この土地をなんとかしてユダヤ教徒から奪還してイスラム教徒が支配する土地にしたいと思っています。

 

 

ユダヤ教徒もイスラム教徒も、他の宗教を信じている人間が聖地を支配することは、神に背くことになります。一神教では神の言ったこと(命令)は絶対ですから、人間の都合で変えることはできません。ですから、お互いに妥協することができないのです。パレスチナ問題というのは簡単には解決できず、また解決策が未だに見つかっていない状況にあります。



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