ユダヤ人は、今でこそイスラエルというユダヤ人の国がありますが、それまでは祖国がなく世界中に散らばっていました。現在でも、各国にユダヤ人は多く住んでいます。

 

一般にユダヤ人といっても、必ずしも血統(人種)を意味するものではありません。ユダヤ教を信仰する人をユダヤ人という場合もあります。両親がユダヤ教を信仰していても、ユダヤ教を信仰しないで他の宗教を信仰すれば、その人はユダヤ人ではないという考えもあります。一方で、ユダヤ人を親に持つ人はユダヤ人であるという考えもあるようです。実際に、イスラエルでは4割弱の人が無神論者とも言われており、ユダヤ教を信仰していない人も多くいます。 

 

また、イスラエルが移住の権利を与えたユダヤ人とは「ユダヤ人を母とする者またはユダヤ教徒」と定義しています。

 

ユダヤ人は紀元以前には、既に国を喪失していました。国が失われると、民族自体も消失してしまうケースがほとんどです。なぜなら、征服した民族の文化に吸収されてしまうのが普通で、結果として民族としての存在が消えてしまうからです。

 

ユダヤ人は、国を失っても他の民族の文化に吸収されることがありませんでした。これは、ユダヤ人というのは唯一神に選ばれた民族だという誇りと信仰があったからです。

 

ユダヤ教では、ユダヤ人というのは神に守られており特別な民族だということになっています。人類の中から神の忠実な僕(しもべ)として選ばれたのが、ユダヤ人だということです。

 

旧約聖書には、ユダヤ人は神と特別な契約を結び、地上の楽園化を実現する民族だとされています。ユダヤ人以外の民族は滅ぼされ、神と契約を交わしたユダヤ人だけが救われると信じています。そして、人類の歴史は全て「神の計画」通りに進行し、「神の計画」を地上で推進する役割をユダヤ人が担っているとされています。

 

 

このようなことから、他国の人から見ると、その国に住んでいながらユダヤ人は同化せず、しかも「神の計画」を実行するためにユダヤ人は企みを抱いているのではという疑念を持つようになってしまいました。ですから、ユダヤ人が住んでいる国では、ユダヤ人に違和感を持つ人が多く、それがユダヤ人の迫害につながったこともありました。



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