ユダヤ教、キリスト教、イスラム教では、人は死んでも最後の審判で全ての魂が復活し、善行をしていた者は永遠の魂を手に入れ、悪行を重ねていた者は地獄に落ちると考えられています。一方仏教は、苦のない世界である浄土へ行くことで救われるという考えがあります。

 


【ユダヤ教】

ユダヤ教では、救われるのは神と契約したユダヤ人だけであると考えています。神と契約をしていない人は全て滅ばされるという考えや、ユダヤ人を苦しめていた圧政者の支配が終わりユダヤ人に永遠の平和が訪れるという考えがあります。

 

ユダヤ民族は、紀元以前に既に国を喪失して各国に散らばって他民族に支配されていました。そのような状態から救われるために、ユダヤ教を信仰していました。ユダヤ教では、過酷な状況にあるユダヤ人を救う神の使いであるメシア(救世主)が現れて、ユダヤ人を救うとされていました。

 

最後の審判のときに死んだ人が蘇り、現世で善行をしていた者は永遠の命を受け、悪行をしていた者は地獄に落ちると言われています。

 

 

【キリスト教】

キリスト教では、最後の審判により、優れた人間は神の国に行き、そうではない人間は地獄に落とされるという思想があります。

 

最後の審判に対する捉え方は、宗派によって異なります。カトリックは、神を信仰するとともに善行を積めば神に救われる可能性が高まるという考え方をします。

 

プロテスタントは、人間は信仰によってのみ神に救われると主張し、更に救われるかどうかは既に決まっているという考え方をしていて(これを予定説と言います)、神は救う人を既に決めているので、人間の振る舞いは関係なく、ただ神を讃えて神に対する信仰を告白するように主張しています。

 

 

【イスラム教】

人が死んで墓に入ったときに天使が舞い降りてきて、生きていた時に善行をしていたのであれば墓を広げられ快適に暮らし、信仰していなかったり人の道を外していたりした場合は墓を狭められて、その中で苦を味わうと言われています。

 

死んだ者は最後の審判の日に蘇ると信じられています。そこで天国へ行く者と地獄へ行く者に別れます。どちらに行くのかは、生きている間の生き方や信仰への忠誠と貢献により決定されます。つまり、どれだけイスラム教を信仰していたのか、慈悲深く善良に生きていたのかで、天国に行けるか地獄へ落ちるのかが決まります。

 

預言者、聖者、殉職者は、墓に入っても尋問は受けずに、そのまま天国に行くことができ、そこで生きることができるとされています。ジハード(聖戦)と呼ばれる自爆テロによって死んだ者は殉職者となります。イスラム教では、自爆テロをする見返りが十分にあるということです。

 

 

【仏教】

仏教では、この世の生き物は永遠に死なず、生前の行いによって良い世界に生まれ変わったり、悪い世界に生まれ変わったりすると言われています。これを「因果応報」と言います。世界は6つあり、天上界、人間界、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄があります。人間はこの6つの世界(六道)を輪廻するとことになっています。

 

六道を輪廻することは、実は永遠に苦しむということになっています。輪廻転生から解脱することによって、輪廻のない世界である苦のない浄土に行けると言われています。

 

解脱するには、煩悩を捨て去り悟った人間になる必要があります。悟った人間のことを仏陀(ぶっだ)と言います。つまり、人間は仏になれば救われるということになっています。

 

仏教には小乗仏教と大乗仏教があります。小乗仏教は、人が自ら出家して修行をすることによって仏になることを目指します。


大乗仏教は、世の中の全員が出家してしまったら、社会が成り立たなくなってしまうので、出家をしない人も含めて救うという考え方をします。出家せずに修行をしない人も一緒に浄土へ呼び寄せてくれるような、偉大な仏陀がいるのであれば、その仏陀を信仰してお祈りすれば輪廻転生から解脱して浄土へ行けるということです。

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