2015年5月22日の16時から17時30分まで行われた第55期決算説明会のメモ。動画は第55期決算説明会ビデオ映像で見ることができる。

決算説明会は機関投資家向けのもので、このあとの2015年は6月25日に株主全体に向けた株主総会が開催される。例年自分は株主総会に参加してメモを書いているが、今回の株主総会には地理的な関係で参加しない予定である。ハンブルクにあるサンリオヨーロッパの本社を株主総会のサテライト会場にしてくれたら喜んで行く。

このメモは動画を見てとったものであり、私の聞き取り違いや認識誤りがあるかもしれないので、正確な情報は元の動画を見て確認すること。

業績説明

江森進常務取締役。約7分。スライドは第55期 (2015年3月期) 業績説明 (決算説明配布資料) を相当端折ったもの。

数年前までは海外が絶好調だったのに、ここ最近厳しくなった。業績説明では映画『アナと雪の女王』について言及していなかったけれども、まだ相当な跡を引いているのではなかろうか。

執筆時点で自分はサンリオヨーロッパの本社があるドイツに住んでいて、そのおひざ元のドイツですらH&Mなどを見るとアナ雪がずらーと並んでいて、キティが隅のほうに小さく追いやられている。

主に国内だけれども、食べキャラ総選挙のころから新規開拓が意欲的になった。新規顧客もとれているみたいだし、既存キャラと新規キャラとの絡みも見られて面白い。個人的にはじゃんじゃんやってくれるとうれしい。

売上、営業利益

  • 売上は全体でマイナス3.2%、国外がマイナス7.6%、国内がプラス1.4%となった。
  • 営業利益は海外はマイナスだが、国内では全領域でプラス。ぐでたまや KIRIMI ちゃん. の新キャラクターが貢献した。
  • 海外の営業利益は欧州、北米、南米とも前年比マイナスとなったが、アジアが好調。特に中国の伸びが良い。

戦略課題

  • 新中期計画は欧米の底打ちの目途が立ってから発表する。
  • 各部門長に権限移譲を進め、新経営体制に移行している。
  • 海外担当役員
    • 米州
      • 主担当: 辻信太郎 代表取締役
      • 副担当: 辻友子 取締役
      • 米国現法会長: 鳩山玲人 常務取締役
    • アジア
      • 主担当: 辻信太郎 代表取締役
      • 副担当: 辻友子 取締役
    • 欧州
      • 鳩山玲人 常務取締役
    • 海外企画
      • 岸村治良 取締役

国内のトピック

福嶋一芳常務取締役。約17分。単体のスライドはないので、スライドを見たければ動画を見ること。

ライセンスよりも物販に重きを置いた説明だったので、昨年からの物販回帰の方向性を継続っぽい。

ずっと弱かったデジタル関係は田口歩さんが入ってから豹変したと思う。サンリオがSNSを始めたころは見てて不安だらけだったけれども、今は安心。

物販

直営店や百貨店。

  • 武蔵小杉ギフトゲートなどの新店舗。
  • 主要店舗の4-5月で昨年比130%となっている主要因は、ぐでたまや KIRIMI ちゃんや SHOW BY ROCK などの新キャラクターと、外国人客の単価が高いこと。

量販店

イオンやヨーカドーなど。

  • 売り場面積が拡大された。
  • 去年の12月からキャラクターショーを実施したり、トイレや授乳室やセルフレジをサンリオ仕様にしている。

コンビニエンスストア

  • 売上と利益がともに倍になってきている。
  • 雑貨中心からセールスプロモーションや食品に拡大してきている。
  • 他社商品の企画やものづくりも行っている。ジャニーズやエイトレンジャーなど。

ライセンス

  • ミスターメンやぐでたまが売れている。
  • デジタルライセンスが最も稼いでいる。LINEスタンプやゲームアプリなど。昨々年100億円、昨年300億円、本年600億円と伸びてきている。
  • ぐでたまのLINEスタンプが11-12月と2か月連続で1位。1社でLINEスタンプを50種も出しているところは他にない。

プロモーションライセンス

  • 免税店アイコンなど。
  • コクミンドラッグでの3万円以上の買い上げでキティのバッグがつくキャンペーンはバッグがなくなるほど。
  • キャラクターカフェが11店舗。みずほ銀行のキティカフェもある。
  • 群馬の四万グランドホテルの温泉「メルヘンの湯」は先方からのリクエスト。自分も見に行ったが、女湯なので入れてもらえなかった。ほかには京王プラザホテルやハーツデンタルクリニックなど。

サービスプロモーションビジネス

  • 金融26社。
  • 地方の新聞社はどれも厳しい状況にあり、キャラクターを使うことで5%程度の向上がある。大阪の日刊スポーツ新聞など。
  • クリーニング業界も乱立しておりキャラクターを使うことで差別化をしている。殺風景なコインランドリーにキャラクターを導入した関西のノムラクリーニングが大きく成功している。
  • 洋服の青山でキティを使うことで、妻が旦那にスーツを買えと進めるようにしている。アコーディア・ゴルフはキティを使ってゴルフ業界に女性を取り込もうとしている。

4つのエンジン

  • 売場商品を中心として、空間環境、ショー、セールスプロモーションがそれらを支える。
  • 国内でのこれらの成功例を海外にも広げていきたい。

海外事業のトピック

辻友子執行役員。約10分。単体のスライドはないので、スライドを見たければ動画を見ること。

事業例を並べた過去の話がメインだったので、今後の話をもうちょっと聞きたかった。

すごく個人的なことだけれども、キティちゃんがACミランのゲームに登場するスケジュールはどこかに載ってませんかね。適当に英語で検索しただけでは見つからなかった。ミラノは近くなので見に行きたい。

ビジネスのサイクル

  • マーケティング活動、物販事業、商品化権ビジネス、広告化権ビジネス、社会貢献化活動の順となっている。
    • マーケティングでキャラクター露出による認知を上げる。
    • 物販はキャラクター認知の黎明期で用いる。
    • 商品化権ビジネスで様々な分野でキャラクターを浸透させ利益を確保する。
    • 広告化権ビジネスはいわゆる空間ライセンスビジネス。
    • 社会貢献活動により仲良く助け合う精神を広める。

マーケティング活動

  • 北米での Hello Kitty Con 2014 で3万人を動員。
  • 北米以外では香港、ベトナム、台湾などで動員力のあるイベントを実施した。台湾の展示会は2か所で行い30万人を動員した。
  • 参加型のイベントは台湾のマラソンが人気で、ほかの国にも波及した。台湾のピクニックイベントではメロディとリトルツインスターズを用いた。
  • 話題性のあるコラボレーションとしては、イタリアのACミラン、北米のケーティペリー、ミラノ万博での日本館特別大使。北米とカナダで35都市のライブショーを実施予定で、10月からはロンドンでライブショーのツアーを行う。

物販事業

  • 各国の現地代理店によるフランチャイズ出店をしている。カンボジアのイオンモール店や韓国の第2ロッテワールドモール店など。
  • イギリスのマークス&スペンサーではキティのコーナーが拡大された。

商品化権ビジネス

  • 品質と overexposure に注意しつつ開発している。
  • 知名度の高いブランドとのダブルネーム。beats, Newera, Vans, evian など。

広告化権ビジネス

  • 台湾のエバー航空のハローキティジェットは6航路をすでに飛んでおり、6月20日からはヒューストン便が就航となる。40周年となるマイメロディとリトルツインスターズがメインのデザインとなっている。
  • カフェ・レストランは多店舗化しており効果が高い。
  • 広告化権ビジネスの新たなカテゴリとしては、バッティングセンター、ロープウェイ、イルミネーション広告、カラオケルームなど。
  • 空間ライセンスはホテルや安吉テーマパークなど。
  • ノベルティソリューションライセンス事業では、台湾ではぐでたま、香港でたあ坊など。

パートナーとのコミュニケーション活動

  • 各地域でライセンス説明会を大規模に実施している。

社会貢献活動

  • 企業理念を広めるために慰問活動などを行っている。

新展開について

鳩山玲人常務取締役。約7分。単体のスライドはないので、スライドを見たければ動画を見ること。

2015年にはキティの全米ライブツアーや全英ライブツアーがあるので、タレント事業には期待せざるを得ない。キティの名刺には職業が世界のアイドルと書かれていたりするが、本当に世界のアイドルになってもらいたい。

欧州

  • 今年の第4四半期で底打ちをする見通し。第1四半期は計画を上回っているが昨対では割れることになりそうである。
  • 主要国では厳しい状況。イスラエルや東欧やアフリカの一部地域、およびミスターメンの事業などの新しいところは順調に推移している。

競争環境の激化

  • 特に欧米において映画やアニメーションなどの大型コンテンツが出てきており競争力で負けてしまっている。大型コンテンツは3-5年先の映画の公開日を広報している。
  • 映画はライセンスも伴う。この激化は短期的なものではなく長期的なものになりうる。

映画・アニメーション事業への参入

  • 北米に仮称サンリオ・ピクチャーズ・エンターテイメント社を6月に設立予定。サンリオキャラクターの映画やアニメーション事業を集約。
  • キティのタレント事業も開始する。
  • 他社のIPも活用する。トランスフォーマーやゴジラなど。
  • 社内ベンチャーで進め、段階的に外部資本を活用し大型事業へ。
  • 第一弾の映画は20世紀フォックスとのミスターメン。

サンリオのビジネス

辻信太郎社長。約14分。

今回は「このごろ思うこと」のいつものタイトルがついていないが、例年の「このごろ思うこと」とほぼ同じ内容。今回のお話で発声的に最も強調していた語は「お助けビジネス」だろうか。

コラボレーション商品の紹介がレックのところで終わってしまっていたが、辻社長の背景に写っていたスライドではほかにも多数の商品が流れていたので、時間の関係で省略したと思われる。

ポケムヒの数字は驚きですね。既存デザインの商品の売り上げが落ちずに、キティデザインの分だけ純粋に増えたのだから、新たに企業と消費者を結び付けたことになる。

各部門のトップに一言ずつしゃべらせる企画はなくなってしまった。自分はこの企画をいたく気に入っていた。総会ではやるのかな。

  • サンリオは8月15日に満55年を迎える。企業は30年も続けば長いといわれる中、55年も続いてきた。
  • 世界中の人が皆仲良くなることを合言葉にして会社を続けてきた。仲良くなるために、小さな贈り物を作り、それを送りあう社会を作りたくて始めたのがサンリオのギフトビジネス。
  • ギフトはかわいいもののほうがいいだろうということで、ハローキティ、マイメロディ、リトルツインスターズ、シナモロール、ポムポムプリンといった何十ものキャラクターを作った。
  • 世界にも広げるべく、日本だけでなく130か国の拠点を作り上げていった。キャラクターに言葉を添えればもっと polite だろうとメッセージを付けていったのがサンリオのビジネス。
  • キャラクターが贈り物だけではなく、今では電車、バス、航空機、郵便切手、電報、クレジットカードにも登場してきている。サッカーで国際タイトル獲得数が世界1位のACミランとのコラボレーションもするようになった。
  • (本田圭佑選手が辻社長あてのサインをしたキティのユニフォームを持ってこさせる。)
  • 世界中でカフェを展開し、ミラノ万博で特別大使に任命されるほどにキティが浸透してきている。
  • グローバル企業は世の中にたくさんあり、それらの企業が直面する最も難しい問題は、同業者が出てきてしまうこと。サンリオはたくさんのキャラクターを抱えることで、ソーシャルコミュニケーション・グリーティングカードビジネスの類似企業が55年間1件も出てきていない。また単独企業であることを維持し続けてきた。
  • たいていの会社は利益を目的にするが、サンリオは皆が仲良くなることを目標にしている。ここにいる証言会社の人たちも、金の儲かる企業を推薦することが仕事である。サンリオはそれとは違い、金儲けよりも仲良くなることに重きを置いている。
  • 同業が出てこないことと、社会貢献を最重要視していること、それらのことにおいて他に類を見ない唯一の企業がサンリオである。
  • 事業を世界に広げていくことで、一気に儲かることはせずに少しずつ利益が出るようにしている。
  • 昔、物がなかった時代は物を作れば売れた。昔は靴を2足しか持っていなかったが、今は15足も持っている。だから靴を買う気が起きず、洋服なども同様で余り余るほど持っていて買う気が起きない。そのため物があふれている現在では、物がなかなか売れない。
  • そのように物が売れなくなってしまった商品を売っている企業とコラボレーションし、お助けビジネスをしている。
  • 例えば、これは富士フイルムのチェキ。チェキは年間3000台くらい売れていた。キティのチェキを作ったら、4か月で10万台も売れてしまった。
  • 花王はビオレのシリーズをたくさん出している。ビオレは主に30代の女性が使っている。ビオレにマイメロディのデザインを入れたら、20代の女性が一斉に買うようになった。バブのキティデザインのを10月に4月までのを生産したのに、4月までの在庫が一変に売れてしまった。
  • 池田模範堂のポケムヒにキティを付けたら80万本も売れてしまった。今まで売られてた通常デザインの80万本の売り上げが減ったことはなく、合わせて160万本売れた。
  • シック・ジャパンのカミソリにマイメロディを使い、13年から15年で150万本売れた。
  • 不二家のペコちゃんもキティを使ったら飛ぶように売れた。
  • 今日のお土産にも入っているレックのウェットティッシュケースは、かつては上蓋にキャラクターを印刷して年1万個売れていたところ、ダイカットにしたら年5万個売れるようになった。同じくレックでは、ユニ・チャーム、花王、王子製紙と競合が多い大人用紙おむつ市場で日本初のキャラクターデザインをあしらったところ、80歳以上の女性によく売れるようになった。
  • 喜んでもらえる商品を作ることで、物が売れるようにしてきている。
  • 最近の百貨店や量販店では売り上げが落ちているのに、サンリオでは予算も昨対も満たしてきているのは、中国やタイなどの東南アジアの人たちが日本に多数来て、キティ、メロディ、ぐでたまのグッズを箱で買っていってくれる。
  • このように物販はとても好調ではあるが、ここで皆さんにお願いしたいことは、皆で仲良く助け合って企業活動を支える中心になっていきたいとしているサンリオを応援してもらいたい。
  • 儲かっているお金をどうするのかと聞かれたら、配当を高くして、自社株買いに入るとは思う。ただほかの企業と違うのは、金儲けを第一にしているのではなく、もっと喜んでもらえるビジネスに徹しているつもりである。サンリオを応援するために、株主を増えるような記事を皆さんには書いてもらい、沢山の人に応援してもらいたいと思っている。

質疑応答

約19分。1回につき2質問までで、4人から計7質問。

QA1-1: キャッシュの使い道

  • Q: ネットキャッシュが290億円。ROEを20%水準にするには150-180億円の自己株取得が必要になる。ネットキャッシュの半分を使うことになる。M&Aの可能性もあるため投資のためのキャッシュを残しておくべき。ROEの20%水準は必達の事項なのか。必達であれば事業との投資のバランスはどうなっているか。
  • A: 現在の計画では17%を見積もっている。国内物販もライセンスも堅調なスタートを切っている。テーマパークも4月は予算比7ポイント増で前年比31ポイント増。海外も第1四半期は計画比で1億円上回っている。まずは当期利益を引き上げていってROEを高めていきたい。それだけでは不足すると思われるので、自社株買いも適宜検討する。

必達かどうかは明言していなかったが、自社株買いも検討とのことなので、必達かの質問は肯定と受け取っていいのだろうか。

テーマパークの売り上げで、年パスを廃止した2014年4月と年パスを復活させた2015年4月を比べるのはいかん気がする。2014年4月は消費税8%の導入月でもあったわけだし。

QA1-2: 中国のマスターライセンス

  • Q: 中国のライセンスについて。力帆 (リーファン, LIFAN) グループがマスターライセンスを持っている。伸び方が少し前の欧州や米国と似ているので心配である。2017年2月の契約終了後の計画を聞きたい。別の会社にマスターライセンスを出すのか、意図的に横ばいにするのか。
  • A: 中国自体の景気が弱くなってきているが、世界的にはまだ高い水準で伸びていく。力帆とは来年が契約更改期限となっている。現在はまだ交渉段階で、固まったら発表する。

回答で得られた情報は契約更改が来年ということだけかな。

QA2-1: キャラクターのカニバリゼーション

  • Q: 国内でぐでたまと KIRIMI ちゃんの人気が出てきているとのことだった。定量的に説明してほしい。例えばキティ以外のキャラクターの比率など。従来であれば、キティ以外の人気が高まると、社内でのカニバリゼーションが課題となる。今回はカニバリゼーションは起きているか。
  • A: キティの割合は若干減っている。ぐでたま、KIRIMI ちゃん、ポムポムプリン、シナモロールが伸び、新しいキャラクターのハミングミントやベテランのキャラクターも増えてきている。今のバランスはいいバランスであると思っている。ハローキティはファミリーから愛顧されている。中学、高校になるとファッションに目覚めハローキティから外れる人も目立つ。大人になるとまた戻ってきてくださる。中高生にもう一遍サンリオのお客さんになってほしいという思いが強くあった。中高生には違ったテイストのキャラクターだと興味を持ってくれると思い、食べキャラ総選挙を実施し1位が KIRIMI ちゃんで2位がぐでたまとなった。これらの食べキャラが大人にも喜ばれ中高生にも喜ばれることになった。そういう意味でいいバランスになっていると思っている。

結構長めに回答しているのが驚き。相当な思いがあるのでしょう。

ここ数年はキャラクターごとの売り上げ比率を決算資料で出していない気がする。キャラクター大賞の順位よりもずっと興味がある。

QA2-2: アメリカでの映画事業

  • Q: アメリカでの映画事業について詳しく聞きたい。例えば一つの作品にかける製作費や、ビジネスモデル。ハリウッドのようにグローバルにライセンスして設けていく考え方なのか、また別なのか。
  • A: 現在企画段階であるため、公表できることとできないことがある。基本的にはグローバルにハリウッド級の規模をやっていく形となる。アメリカ映画だと平均して製作費で100億円を超え、宣伝費でも100億円を超える。そういった規模のものをどうやっていくかが課題になる。100パーセント自分たちでファイナンスするつもりはないし、キャピタルやファンドなどで実現しやすくなってきている。グローバルに配給できるハリウッドのスタジオとパートナーシップを結ぶ。

いったん打ち切った事業に再入することになるわけだけれども、かつてに比べて業界が成熟して規模が大きくなっているので大変よね。でも鳩山さんだから何とかなるだろう。

QA3-1: 映画アニメ大型コンテンツのインパクト

  • Q: 映画アニメの大型コンテンツの台頭の話があった。今年の頭はスターウォーズも仕掛けてきている。3-5年の期間で放置していたとしたら、欧米事業はどれだけのインパクトを受けるのか。他社の攻勢感の度合いのイメージを教えてほしい。チャネル政策や取引先をどうするのかを教えてほしい。
  • A: ブロックバスター的な映画の台頭が起きてきている。一方でアメリカについては辻社長を中心に物販の強化し差別化を行い、従来のサンリオを取り戻すことが第一となっている。国内の商品を海外に出していき、サンリオらしい商品や流通を自らやっていくことを欧米で強化していくことがコアな戦略となっている。そのうえで、私のほうでは短期的にはウェブコンテンツや流通にフォーカスするアニメーション、中長期的には大型のコンテンツにより別の土俵でも戦えるようにしていく。決して3-5年待たなければならないことはなく、チームで政策を進めている。

ここの回答がすごく意外であった。現地で製品を企画して現地で売るのではなく、日本の製品を現地で売るのか。言葉の選び方がすごく慎重であったし、どういうことだろう。

QA3-2: 海外の経営体制

  • Q: 海外担当が米州、アジア、欧州、海外企画となっている。それぞれがどういった役割になっているかを改めて教えてほしい。
  • A: 米州は従来に続き辻社長が所管している。鳩山は欧州のテコ入れがあるため、米州の副担当に辻友子を加えた。アジアは従来から辻社長が見ており、現地法人が4つある。現地法人を結束を強化するために辻友子を副担当にした。海外企画は東京から海外全域にサポートしたりコントロール体制を充実しようとし、岸村が担当している。

米州の現法会長をわざわざカッコ書きで書いてあった意図はいったい。

QA4-1: 投資と還元のプライオリティ

  • Q: お金の使い方のところで、他社キャラクターのコラボレーションや買収があった。一方で質疑であったようにハリウッド級映画のために自身のバランスシートを傷つけることもないとのことであった。配当も据え置きとなっている。事業の拡大に使うキャッシュアウトと株主還元とでのプライオリティを中長期で教えてほしい。
  • A: 説明では買収の言葉をあまり使わなかった通り、原則今はキャラクターのM&Aを検討していない。そのためM&Aのためのキャッシュの需要はない。映画の資金も外部調達を考えており、バランスシートから今のところは出すことを念頭に入れていない。入れたとしても低い形になる。運転資金としての出店計画などは計画値にすでに入っている。配当や自社株買いについては、公言できることはないが積極的に企業として考える。

社長の独演会やQA1-1やこのQA4-1の回答からすると自社株買いに回しそうに受け取れる。そして実際に6月11日の取締役会で光南商事から250万株の自社株買いをすることが決まった。

株主総会の議案

2015年6月25日の株主総会の議案は5件。

  1. 取締役15名選任の件
  2. 監査役4名選任の件
  3. 退任取締役に対する退職慰労金支給ならびに退職慰労金制度廃止に伴う退職慰労金打切り支給の件
  4. 退任監査役に対する退職慰労金支給ならびに退職慰労金制度廃止に伴う退職慰労金打切り支給の件
  5. 監査役報酬枠改定の件

1号議案と2号議案はいつもの。

3号議案と4号議案は通常はない議案。昨年の第54回定時株主総会の質疑で質問者429が退職慰労金の額を明記することを要求していて、その場では経営陣は具体的な数値を回答しなかった。しかし第55回定時株主総会の招集通知18ページには、取締役17名の報酬額の合計が352百万円で、その中には役員退職慰労引当金繰入額19百万円が含まれている、と具体的な数値が記載されている。平均すると一人当たりの報酬は2000万円で退職慰労引当金はその5%の100万円となる。やはり大した金額ではない。3号議案が通ると、年間1900万円の引当金が発生しなくなる。4号議案も額は違うが同様。

5号議案は1983年に決定した監査役報酬枠を年間3000万円から3500万円にするというだけのもの。

今年は総会に参加しないので、議決権の行使をインターネットでやろうかなと思ったが、国外にいるため、IDとパスワードが書かれた議決権行使書が手元になく、議決権を行使したくてもできないのであった。10口だけの弱小だから意味は薄いが。

参加する人はその場で権利行使ができるからよいけれども、参加しない人は議決権行使をちゃんとしましょう。定足数の関係もあるので。

過去のメモへのリンク