皆さん、こんにちは。
いつもありがとう。
以前、このブログで「1994年度東大日本史本試・第1問」をとりあげ、本問の事実上の解説を5回にわたって連載しました(「東大教室(対等外交という発想①・②・③・④・⑤)」参照)。
受験生には困難なところがあり、にもかかわらずとても興味深いテーマだったからです。
「2016年度東大日本史本試・第4問」も、同類に属する問題でした。
一見するととりくみやすそうですが、実は冷静な思考力が試されています。
まず問題を2回にわけて紹介します。
一緒に考えてみましょう。
本気で向き合ってみようという受験生は、問題を少なくとも3回は熟読するといいだろうと思います。
問 題(2016東大日本史本試Ⅳ 設問A)
1880年代以降における経済発展と工業労働者の賃金について、以下の設問A・Bに答えなさい。
解答は、設問ごとに改行し、設問の記号を付して記入しなさい。
A
図1は1885~1899年における女性工業労働者の実質賃金を表している。
また、下記の文章は、横山源之助が1899年刊行の著書に記したものである。
この時期における女性工業労働者の賃金の上昇は何によってもたらされ、どのような社会的影響を及ぼしたか。
図と文章を参考に、2行以内(注:1行30字)で述べなさい。
都会はもちろん、近年、地方においても下女(げじょ)(住み込みの女性使用人)が不足していることを頻繁に聞く。(中略)この状況について、下女を雇う人々は、「近頃の下女は生意気でどうしようもない、まったく、下女のくせに」とつぶやいている。(中略)機織(はたおり)工女も、製糸工女も、下女の賃金とくらべれば非常に高い賃金を受け取っている。年配の女性は別として、以前ならば下女として雇われていた若い女性が、皆、工場に向かうのは当然である。(中略)下女の不足とは、ある意味、工業の進歩を意味するものであり、また、下女の社会的地位を高めるものであって、私は深くこれを喜びたい。
『日本之下層社会』(現代語訳)
*解答解説は、以下で確認してください。