『本だけ読んで暮らせたら 2009年のお薦め本』 | 本だけ読んで暮らせたら

『本だけ読んで暮らせたら 2009年のお薦め本』


ども。もうすぐ2009年も暮れますね。

・・・ってことで、当ブログ「本だけ読んで暮らせたら」の2009年お薦め本、年末総棚卸しです。

2009年に出版された本ではなく、2009年に私が読んだ本の中からのピックアップです・・・。

『書名』をクリックすると、その作品に関する記事にリンクします。




まずは、ミステリー・ジャンルから。


TOP3をチョイスしてみます。

TOP3のうちの2作は、ウィンズロウの『犬の力』 と、コナリーの『リンカーン弁護士』 で決まりでしょ。

前者は、メキシコを舞台とした麻薬戦争30年史を綴った大河ドラマ。物語の途中でブレや弛緩をまったく見せることなく、緊迫感を保ったままプロットの全過程を描ききったスゲー作品。前作でコケてしまったウィンズロウ復活の作品です。

後者は、円熟の技。コナリー・ミステリーとしての極致か!?


残りの1冊は、ロス・トーマス『暗殺のジャムセッション』 か、トム・ロブ・スミスの『グラーグ57』 のどちらか。

・・・って、TOP3じゃなく4冊挙げてしまいましたね。まァ、でも3位はお久しぶりのロス・トーマスかな。

 

短篇集でもイイのがありました。デニス・ルヘイン『コーパスへの道』 。特に5作目と6作目。小説技法としても、小説の内容としても、キッチリと落とし前をつける結末がイイ!

 

意表をついたところとしては、マンシェットの1972年産 『愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える』 なんてのはどうでしょう。フランス産のノワールです。光文社古典新訳文庫で読みやすくなってます。クライマックスの疾走感溢れるプロットは今年読んだ小説のスピード王です。

この作家の他の作品も読んでみたい。是非、多くの方にこの作品を購入してもらって、光文社には他のマンシェット作品も新訳出版してもらいたいナ。


さて、今年初読みの作家としては、ジョン・ハートとスティーヴ・ホッケンスミスの2人です。どちらの作家も、以前から評判にはなっていたようですが、私のアンテナには今年になってから引っ掛かりました。

ジョン・ハートの『川は静かに流れ』 は今年出版されて、各出版社のランキングでも軒並み上位に入っているけど、私としては、コレよりも前作『キングの死』 の方を推します。結末に光明が見える作品ということで、後者の方がベター。

ホッケンスミスの『荒野のホームズ』『荒野のホームズ、西へ行く』 は、西部劇+推理劇という要素に加え、兄弟の素朴で強固な絆を描いていて、それがなんとも清々しく新鮮な作品です。読後感爽快。


これで10作品ですね。 でもね、まだまだです。


マッカーシーの『越境』 と、チャンドラーの『さよなら、愛しい人』 も挙げとかなきゃいけません。

この二人が描く物については、誰がなんと云おうと文句無しでお薦め(押し付け)ちゃいます。どちらの作品も男を創るために必要な読み物です。




次は、自然科学系・ポピュラーサイエンス・ジャンルから。


今年は結構、ポピュラーサイエンスのオモシロ本に当たったように感じます。
その中でも、やはり、今年はダーウィンでしょ! 『種の起源』(上巻下巻 )はイイです! 解説本の一つでもある『ダーウィンの思想』 という新書も併せてお薦めです。21世紀の現代人として、自然淘汰説とか進化論って、なんとなく知っているような気がするけど、オリジナルの『種の起源』に立ち返ってその理屈を読んだことのある人って案外少ないんじゃないかと思います。翻訳家の方の努力なのでしょう。凄く読みやすい本になってます。


『単純な脳、複雑な「私」』 も良かったな。 池谷さんは相変わらず読みやすくって面白いものを書きます。


あと、 『地球46億年全史』 の12章と13章。1~11章までの各論ではなく、総論を述べた12、13章部分が本書の胆(キモ)です。




歴史ジャンルからは、 『百鬼夜行絵巻の謎』 。 ビジュアル本でもあり謎解き本でもあるチョット変わった毛色の新書です。 アヤカシとか妖怪とか怨霊とか陰陽師とかが絡む内容の本が好きな人なら興味を持てるかもしれません?



マンガでは、今年完結した浦沢直樹版の鉄腕アトム『PLUTO』 が良かった。

人工知能が究極に発展・進化した際には人間との境界が曖昧になるかもしれない!?という問題設定を行い、そんな世界で、ヒューマンとヒューマノイドはどの様な想いを抱き、また言動を採るのか? というコトが描かれた物語です。全8巻を通読して改めて作者達の意図するところが判るような気がしました。


それと、 『鞄図書館』 も良かったな。東京創元社の「ミステリーズ!」という隔月刊誌に6年に渡って連載された作品が単行本としてまとめられたもの。本に纏わるほのぼの系の物語です。



その他の読み物としては、 『つむじ風食堂の夜』 ですかね。一時期いろいろな本屋さんで平積みになっているのを見掛けました。

アッ!そうそう、この本についても触れておこう。実際は、作年末に読んだものなんだけど、今年になってからも何の気なしにパラパラと捲りながら部分部分を拾い読みしている 『図書館 愛書家の楽園』 というエッセイ。ビジネス書とか自己啓発本とかを読むのとは対極にある“読書”とその周辺の物事についてが綴られています。この本を読むと、著者のことがスンゲー羨ましくなります。



以上が、厳選(?)お薦め本の一覧です。

もし、興味の持てた本がありましたら手にとってみて下さい。そんでもって、何か想うところなどが御座いましたら、コメントを寄せていただければ幸いです。「あのブログの管理人のお薦め本は、ちっとも面白くなかった」とか、「あいつの感じ方は違うんじゃネーか?」とか・・・・。



今年1年、当ブログにご来場いただきました皆様、お世話になりました。 来年もよろしくお願いいたします。