- 『ミステリアス・ショーケース』 早川書房編集部/編、 デイヴィッド・ゴードン・他/著、 ハヤカワ・ミステリ(2012)
昨年、ハヤカワ・ポケットミステリーで活躍した作家たちの短編を集めたもの。
新世代作家たちだけでなく、ベニオフやトマス・H・クックのも載っている。
日本オリジナル編集のアンソロジー。
1. 「ぼくがしようとしてきたこと」 デイヴィッド・ゴードン/著、 青木千鶴/訳
2. 「クイーンズのヴァンパイア」 デイヴィッド・ゴードン/著、 青木千鶴/訳
3. 「この場所と黄海の間」 ニック・ピゾラット/著、 東野さやか/訳
4. 「彼の両手がずっと待っていたもの」 トム・フランクリン&ベス・アン・フェンリイ/著、 伏見威蕃/訳
5. 「悪魔がオレホヴォにやってくる」 デイヴィッド・ベニオフ/著、 田口俊樹/訳
6. 「四人目の空席」 スティーヴ・ハミルトン/著、 越前敏弥/訳
7. 「彼女がくれたもの」 トマス・H・クック/著、 府川由美恵/訳
8. 「ライラックの香り」 ダグ・アリン/著、 富永和子/訳
技巧派ゴードンの2作品はどちらもユニーク。
ピゾラットの作品はロードノベルの一種で、結末が物凄く現実的。リアル過ぎてやるせなくなる。
トム・フランクリン&ベス・アン・フェンリイ(この2人は夫婦)の作品は、1927年のミシシッピ川の大洪水後の崩壊した村を捜索する2人の男と、彼らが村で出会った赤ん坊と女を描いた物語。地味なヒーローが描かれたハードボイルド。8作品中では最も後味のイイ作品だった。
この中で、ベニオフの作品だけはかつて読んだことがあるはずだが、まったく覚えていなかった。
古参のロシア兵士2人と新兵が、真冬のチェチェンで雪中行軍している。軍事的な要所となりそうな1件の家を捜索し、そこに隠れていた老婆を発見する。古参兵たちは、未だ他人を殺めたことのない新兵に、老婆を家の外に連れ出して殺せと命じる。新兵は、家から離れた地へ老婆を連れ出す。老婆を逃がしてやるのか、それとも・・・・・。
これまた結末の描き方がメチャめちゃリアル。ノワールだ。
ハミルトンのはゴルフ場での殺人を題材にした作品。この8作の中では最もオーソドックスなミステリー。
クックの作品は、いつもの彼の作風とはチョッと違ってる。
深夜のバーで出会った女と一夜を過ごした、と云う話を友人に聞かせている作家の一人語り。短編ならではオチ。
ダグ・アリンという作家のは初読み。
南北戦争末期、戦争によって引き起こされた中年夫婦の悲哀と無常さ、それでも、寄り添って生き続けて行こうとする姿を描いた作品。この結末には気持ちが揺さぶられる。
8作品とも、ハズレなし!
このアンソロジーはホント充実している。 お薦め。 お買い得です。