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2012年05月08日(火)

『カオスの紡ぐ夢の中で』

テーマ:なんでも読んでみよう

『カオスの紡ぐ夢の中で』  金子邦彦/著、 ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ(2010)


著者はカオスとか複雑系生命科学とかの研究者。そのエッセイ集+小説。

プラス小説、というのがウリかも。

で、その小説「進物史観」だが、一読しただけではどこが面白いのか良く判らない。なので二度読んでみた。二度読むと二度目にはジンワリと何となく奥深さが沁みてくる。


だが、やはり、何と云ってもエッセイがイイ。特に最初のエッセイは読者を鷲掴みにする。

科学や科学者の位置付け、定義付けが明確かつ納得できるコトが書かれてる。

一言でいうと、科学とは文化なんだ、と云うこと。

何かを発見したり、何かを発展・発達させたりするのは科学の一部の効能であって、それだけではない、ということ。

科学とは、モノの見方や考え方の新たな一面を提示するコトなんだ、という主張は大きく頷いてしまう。

芸術や文芸・文学などと同種の価値観を提案することなんだ。


だから、科学と小説とは親和性が高いんだ。

だから、著者は小説なんかも披露してみせるんだ。面白いかどうかは別として・・・。
だから、この著者の研究室からは芥川賞作家(円城塔)なんかも排出するんだ。

本書、お薦めです。

(昔から科学者のエッセイには面白いものが多いんだ・・・。)



金子邦彦著作のこれ↓も読みたくなった。

生命とは何か―複雑系生命科学へ/金子 邦彦
2012年05月06日(日)

『花の慶次』と妙義山

テーマ:今日のポタ

ゴールデンウィークの後半は、娘とともに2泊3日で実家に行った。なか日に山歩きをするのが目的だった。

妙義山。上州三山の一つで、奇岩の山。


本だけ読んで暮らせたら

当初は一人で行こうと思っていたが、何気なく娘に聞いたところ、予想外にも「行く」とのことだった。



ゴールデンウィーク中、見るテレビは天気予報ばかり。

5月3日昼過ぎ、実家に向かう道中は大雨。隣り車線のトラックからの水飛沫が凄い。

列島の真ん中に2つの低気圧が居座っているらしい。関東各地は5月3日の夕刻までは雨、その後は回復、との予報。

実家に到着した15時過ぎ、雨は止み、周辺の山々からは一斉に水蒸気が登りだしている。

予報通り、明日4日は晴れそうだ、と期待する。


山歩き前日の実家での夜は、マンガ『花の慶次』の文庫本を引っ張り出してきて読む。

このマンガの中で、豊臣軍による関東(北条)攻めの行軍ルート途中で「松井田」を攻める場面が登場する。

明日、上信越高速道の松井田妙義インターチェンジで降りることを再度確認する・・・。


花の慶次―雲のかなたに (1) (集英社文庫―コミック版)/隆 慶一郎
花の慶次―雲のかなたに (10) (集英社文庫―コミック版)/隆 慶一郎


山歩き当日の5月4日。

4日は晴れるところもあれば、芳しくないところもある、との予報。

実家周辺の朝は小雨。

娘とは、「少しでも雨が降っている場合は山歩きは中止。予定変更して群馬県立自然史博物館に行って恐竜骨格模型展示を見に行こう」 ということにしていた。

取り敢えず、車を出す。 車を走らせ始めた途端に雨は止んだ!?

雲の動きが速い。松井田妙義インターチェンジに着く頃には快晴。


登山口近くの駐車場から見上げる妙義山は日を浴びて輝いている。

岩場は濡れているだろうが、初心者コースを様子を見ながら行こう、と決める。

靴を履き替え、滑り止め付きのグローブを用意して歩き出す。


石門めぐりルートを行く。
本だけ読んで暮らせたら   本だけ読んで暮らせたら


本だけ読んで暮らせたら


頭上の木や岩から滴り落ちる水滴の中を歩いたり、泥濘を踏んだり、鎖を使いながら登ったり降りたりしなければならない岩壁を幾つか越えて、休息場で一休みする。

ジーンズとパーカーを泥だらけにし、汗だくになりながらも娘の魅せる表情は楽しそうだ。


山歩き初心者の娘を連れ、変化の激しい空模様だったこともあり、およそ2時間半を歩いて終了とした。

久しぶりの山歩きだったので、私にもちょうど良い按配だった。



5月5日。

ほぼ全身が筋肉痛・・・。

2012年05月02日(水)

『明治めちゃくちゃ物語 勝海舟の腹芸』

テーマ:歴史とか

『明治めちゃくちゃ物語 勝海舟の腹芸』   野口 武彦/著、 新潮新書(2012)


以前、『氷川清話』 を読んでみて感じたこと==明治時代(明治政府)も結構いい加減だった==が、書名になってるものだから興味津々で購入。


ところが、書名と中身がかけ離れている。

大政奉還から戊辰戦争終結までの、薩長官軍vs旧幕軍による戦記が大まかに描かれているだけ。

幕末、維新期の主だった人物が一様に出てくるが、「海舟の腹芸」など何処にも書かれてない。


まったく!

野口武彦・・・二度と読まん!
新潮社の本・・・新刊はもう当分買わん! せいぜいブックオフ。 よほど読みたいのが見つかった場合は図書館。

2012年05月01日(火)

『写真で見る関東大震災』

テーマ:歴史とか

『写真で見る関東大震災』  小沢健志/編、 ちくま文庫(2003)


大正12年(1923年)の関東大震災後の東京や横浜、鎌倉などの地の被災状況を録った写真がおよそ250点載ってる。


東京下町の火に焼き尽くされた被害地域をとらえた写真は、去年の東北地方太平洋沖地震による津波の被害に遭った沿岸域の惨状に酷似している。一部の鉄筋コンクリートの建物の外側が残された以外は荒涼とした更地が残されるのみである。



この地震による死者・行方不明者は東京だけで約15万人。当時の東京の人口がおよそ400万人だから、その割合たるや物凄いものがある。

関東大震災による被害は火災旋風によるものが大きかった。本所の被服廠跡地では一時的に避難した人たち3万8千人もの人が火災によって命を落とした。


大きかった被害は東京だけではない。

震源に近い相模湾沿いの被災率は当然のことながら東京を超えていた。

横浜では9割もの家屋が倒壊し、10万人もの人々が亡くなった。

鎌倉や三浦などでは津波による被害も相当だった。



来年2013年は、大正関東大震災から90年。
近代以降、東京は90年前の地震と70年程前の大空襲によって2度焦土と化した。 そして、その都度復活した。


次の地震の際、おそらく大災害、社会制度の崩壊は免れ得ない。

3度目の崩壊を被ったとき、人口が減少し、経済成長が見込めない社会が、焦土の中から文明を復活させることができるのか?

復活可能なしぶとさを現在の日本社会は持っているだろうか?


災害に対する冗長性とか、復活可能な靱性が持てるような制度設計とは何か?

災害の記憶、復興の記憶を後世に引き継ぐための方策は?


こういうのを読む・見るたびに、東北地方の沿岸域の現場を見るたびに考えるが・・・どうにも、その後が続かない・・・。

2012年04月28日(土)

酔っぱらいの衝動買い

テーマ:メモランダム

昨夜は、勤務先で所属する部署の飲み会だった。

その終了後、まだ二十代の後輩と駅構内の書店に寄り、お互いのお薦め本を紹介し合った。


どこまで本気か判らないが、彼は、ゆくゆくは作家になりたいなどと云っている。実現するといいのだが・・・。


彼のお薦めは、『ソードアート・オンライン』というラノベ。

ソードアート・オンライン〈1〉アインクラッド (電撃文庫)/川原 礫

↑これだけ見ると、ん~、なんだか微妙・・・と思ったが、取り敢えず読んでみるか・・・。

私が薦めたのは、↓コレ。

星を継ぐもの (創元SF文庫)/ジェイムズ・P・ホーガン

さて、互いの評価や如何に?

2012年04月28日(土)

『非選抜アイドル』

テーマ:なんでも読んでみよう

『非選抜アイドル』   仲谷 明香(AKB48)/著、 小学館101新書(2012)


著者、なかや さやか と読むのだそうだ。私には読めんかった・・・。


タイトルが秀逸。 なので、読んでみた。


オッサン読者からしてみれば、内容的には至って普通。平凡。

だが、それでも二十歳そこそこの娘が新書1冊に仕上げたのだから大したものだ。

タイトルも自分のアイデアなのだろうか?


自分の立場・能力を客観視した上で、自分の仕事に自分なりに価値観を見い出しているのだから、おそらくこの年代の一般的な人間の中では優秀だ(と思う)。

私がこの年代だった頃に比べたら、この著者は遥かに考え方が大人だし、文章力もある。


2012年04月27日(金)

『東西不思議物語』

テーマ:なんでも読んでみよう

東『東西不思議物語』  澁澤 龍彦/著、 河出文庫(1982)



澁澤龍彦初読み。


日本、中国、ヨーロッパなどの古今の書物・文献に載る不可思議な出来事や妖怪・幽霊話の類を拾ってきて、ランダムに紹介している。

49の話。

何処かで一度は聞いたことがあるような話が、出典と共に紹介されている。


日本には随分と昔から奇譚が多いんだってことが良く判る。まァ、日本に限らずだが。

江戸時代の随筆なんかには、どれも大体アヤカシの話が載ってる、ってことが判る。


澁澤という人は、このテの奇譚がよほど好きらしく、その面白がり方が実に素直で厭味がない。

私などは物事を直ぐに疑ってかかるから、不思議話を読んでも素直に楽しまないこともあったりするが、この人の面白がり方は屈託がなくて好感が持てる。

だからなのか?それだけじゃないだろうが、澁澤ファンって何気に多いようだ。


『私のプリニウス』ってのも読みたくなった。

2012年04月24日(火)

『オランダ宿の娘』

テーマ:ミステリーとか

『オランダ宿の娘』  葉室 麟/著、 ハヤカワ文庫JA(2012)

単行本は、ミステリ・ワールド・シリーズとして出された。 なんだって、ワールド・・・。


この単行本、ちょうど葉室を読み始めて、「この作家は面白い!」と思い始めた頃に出たんだ。

文庫化されるのを待ってました。


江戸時代、日本との貿易を行っていた数少ない国、オランダ。

普段は長崎の出島を拠点としているオランダ人商館長が、年に一度、江戸参府を行った際に常宿としていた「長崎屋」。その長崎屋の姉妹を中心に、シーボルト事件に関わった人間たちの悲喜愛憎を描いた物語。


いつものハムロ作品とは少~し風味が違う。

剣劇とは無縁。

ストイックな漢(もののふ)が主人公という訳でもないから、猛々しさや勇猛さといった要素はない。


だが、日蘭の文化・心の架け橋たらんとする姉妹二人の凛々しさと儚さが今作には流れている。

そして何より、葉室麟の作品はいつも優しい。




過去の葉室作品に関する記事はコチラ ⇒ 『銀漢の賦』  『いのちなりけり』  『秋月記』  『乾山晩愁』  『実朝の首』


2012年04月19日(木)

『ミステリアス・ショーケース』

テーマ:ミステリーとか

『ミステリアス・ショーケース』  早川書房編集部/編、 デイヴィッド・ゴードン・他/著、 ハヤカワ・ミステリ(2012)



昨年、ハヤカワ・ポケットミステリーで活躍した作家たちの短編を集めたもの。

新世代作家たちだけでなく、ベニオフやトマス・H・クックのも載っている。

日本オリジナル編集のアンソロジー。


1. 「ぼくがしようとしてきたこと」   デイヴィッド・ゴードン/著、 青木千鶴/訳

2. 「クイーンズのヴァンパイア」   デイヴィッド・ゴードン/著、 青木千鶴/訳

3. 「この場所と黄海の間」   ニック・ピゾラット/著、 東野さやか/訳

4. 「彼の両手がずっと待っていたもの」   トム・フランクリン&ベス・アン・フェンリイ/著、 伏見威蕃/訳

5. 「悪魔がオレホヴォにやってくる」   デイヴィッド・ベニオフ/著、 田口俊樹/訳

6. 「四人目の空席」   スティーヴ・ハミルトン/著、 越前敏弥/訳

7. 「彼女がくれたもの」   トマス・H・クック/著、 府川由美恵/訳

8. 「ライラックの香り」   ダグ・アリン/著、 富永和子/訳



技巧派ゴードンの2作品はどちらもユニーク。


ピゾラットの作品はロードノベルの一種で、結末が物凄く現実的。リアル過ぎてやるせなくなる。


トム・フランクリン&ベス・アン・フェンリイ(この2人は夫婦)の作品は、1927年のミシシッピ川の大洪水後の崩壊した村を捜索する2人の男と、彼らが村で出会った赤ん坊と女を描いた物語。地味なヒーローが描かれたハードボイルド。8作品中では最も後味のイイ作品だった。


この中で、ベニオフの作品だけはかつて読んだことがあるはずだが、まったく覚えていなかった。

古参のロシア兵士2人と新兵が、真冬のチェチェンで雪中行軍している。軍事的な要所となりそうな1件の家を捜索し、そこに隠れていた老婆を発見する。古参兵たちは、未だ他人を殺めたことのない新兵に、老婆を家の外に連れ出して殺せと命じる。新兵は、家から離れた地へ老婆を連れ出す。老婆を逃がしてやるのか、それとも・・・・・。

これまた結末の描き方がメチャめちゃリアル。ノワールだ。


ハミルトンのはゴルフ場での殺人を題材にした作品。この8作の中では最もオーソドックスなミステリー。


クックの作品は、いつもの彼の作風とはチョッと違ってる。

深夜のバーで出会った女と一夜を過ごした、と云う話を友人に聞かせている作家の一人語り。短編ならではオチ。


ダグ・アリンという作家のは初読み。

南北戦争末期、戦争によって引き起こされた中年夫婦の悲哀と無常さ、それでも、寄り添って生き続けて行こうとする姿を描いた作品。この結末には気持ちが揺さぶられる。



8作品とも、ハズレなし!

このアンソロジーはホント充実している。 お薦め。 お買い得です。


2012年04月17日(火)

『たいした問題じゃないが -イギリス・コラム傑作選-』

テーマ:なんでも読んでみよう

『たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選』   行方昭夫/編訳、岩波文庫(2009)



いきなりどうでも良いことだが、コラムとエッセイの違いは? 良く判らん???


A・G・ガードナー

E・V・ルーカス

ロバート・リンド

A・A・ミルン    といった、1900年代前半に活躍した4人のエッセイスト/コラムニストの選集。


全210ページに、32編のエッセイ。

ルーカスの作品には、おそらく逆説的な意味合いを持たせている? と採れる作品があったが、私には理解できないのが幾つかあった。

A・A・ミルンの書いたものが最も好みだったかな。

ミルンの本職はジャーナリストだけど、日本では「クマのプーさん」の作者として有名な人。

4人の中では、彼のエッセイが一番軽くてユーモラス。洒落も効いてる。


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