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2012年02月12日(日)

『アイアン・ハウス』

テーマ:ミステリーとか

   
『アイアン・ハウス (上) (下)』   ジョン・ハート/著、 東野さやか/訳、 ハヤカワ・ミステリ文庫(2012)


早川書房は、本書を文庫版とポケミス版の2形態で出版している。値段は同じ。文庫は上下2巻構成だが、ポケミスなら1冊で済む。

個人的な好みから云えば、新書形態のポケミス版で読みたいところだが、私の場合、ジョン・ハートの過去作品は文庫で読んできているため、今回も文庫の方がそれらと隣り合わせにして本棚に収納できるので都合が良い。

別段、文庫と新書を隣り合わせにしたっていいのだが、現在の私の本棚の構造上、文庫用と新書用とでは収納高さが異なっており、スペースを有効活用するために、こうした事態が起こる・・・。

・・・どうでもイイ話でしたね。失礼しました。



さて、ジョン・ハートがストーリー・テラーだってことは過去の3作を読んで判っている。どれも高品質の作品だ。

  『キングの死』     『川は静かに流れ』     『ラスト・チャイルド』


本作品もアッと言う間に読めてしまう。


犯罪組織を抜けると言い出したことから、組織に狙われる羽目となった主人公マイケル。

犯罪組織の一員であり、数々の殺人に手を染めてきたことを隠して付き合っている恋人エレナが狙われることになる。エレナが勤めるニューヨークのレストランが爆破され、多数の死傷者が出る事件が起こる。運良く難を逃れていたエレナを連れ、ひとまずニューヨークからの逃亡を計画するマイケル。

そんなマイケルに掛かってきた電話。組織は、子供の頃別れ別れとなった弟ジュリアンまでを盾に取ろうとしている・・・。

2人を守るために、組織との対決を決意したマイケル。彼は恋人エレナを連れ、弟ジュリアンが暮らす地へと向かう・・・。


マイケルとジュリアンは、ごく幼い頃に親に捨てられ、10歳・9歳になるまでアイアン・ハウスという施設で育てられた。体と精神の弱いジュリアンは、施設の子供達から虐めの対象となっており、マイケルはそんな弟を守る毎日を送っていた。

ある日、彼ら兄弟を引き取ろうと、上院議員夫妻が施設を訪れる。そんな最中、虐めにあっていたジュリアンが相手の一人を殺してしまった。その現場にいち早く駆けつけたマイケル。ジュリアンの体と精神では、捕えられ尋問などされ、さらには収監などされたら死んでしまう。そう考えたマイケルはジュリアンの身代わりになり、上院議員夫人の目前を駆け抜け、施設からの逃亡を図る。


施設から引き取られたジュリアンは、上院議員夫人からの愛情と恵まれた環境の中で育てられ、今は児童書作家として世間から認められるまでになっている。しかし、未だアイアン・ハウスで受けたトラウマを完全に克服するまでには至らず、発達障害による情緒不安定も時折顔を覗かせる・・・。

マイケルが上院議員夫妻とジュリアンの元を訪れた時もまた、ジュリアンは自分の殻の中に閉じこもっている最中だった。精神の奥底では、子供の頃の自分を守ってくれた憧れのマイケルが来てくれたことを理解しているにも拘らず、現実に向き合えないほど、何らかのショックを受けているジュリアン。しかも、マイケルが来宅している最中、ジュリアンは忽然と姿を消した。何故ジュリアンの精神状態は最悪の状態に落ち込んでいるのか?ここ上院議員の邸宅と敷地内で何が起こっているのか?


マイケルの過去と、マイケルが犯罪組織の一員だったことを聞かされ、動揺を隠しきれない恋人エレナは衝動的にマイケルから離れる。そんなエレナを捉えた組織。ジュリアンとエレナ、2人を同時に守らなければならない、という板挟みに会いながら、マイケルは組織との戦いに挑む・・・。


場面展開はスピーディで、数々のアクション・シーンは迫力も迫真さもある。

でも、今までのジョン・ハート作品と比べて何処か物足りなく感じる。 なぜか??


一つには、主人公のマイケルが余りにもスーパーマン過ぎること、そしてマイケルにとって都合のイイ事ばかりが起こること、が挙げられる。リアリティさに欠ける・・・というのかな?


そして、何よりも決定的なのは、エレナの性格描写が貧弱すぎると感じられるのだ。

そもそもこの物語は、恋人エレナに対する想いからマイケルが犯罪組織を抜け出すことに端を発している。にも関わらず、マイクルは何故そこまで彼女に対する想いが強いのか?が伝わってこないのだ。

恋人に対する強い想いについては、コトある毎に2人の会話として描かれてはいる。しかし、彼女がそれほどまでに魅力ある人物なのかが何か特別なエピソードを通して描かれているわけではない。ただ、マイケルが好きになったという前提があるだけなのだ。

つまり私には、マイケルの恋人エレナという人間の魅力が判らなかったのだ。それほどまでの女なのか?と思わずにはいられなかった。


一方で、上院議員夫人アビゲイルが何故ジュリアンをそれほどまでに慈しむのか?については、それがストーリー中の謎の解明を担う要素の一つともなっており、実に良く描けている。

むしろ、このアビゲイルこそが主人公だと云ってもイイくらい彼女は良く描けている。


マイケルがかつて属した犯罪組織との戦い、上院議員宅地内の湖から発見されたアイアン・ハウス出身者の死体とジュリアン失踪の謎、この2つの大きなプロットそれぞれが余りにも複雑な様相を呈しながら展開する。

だからなんだと思う。プロットを複雑にした分、主人公マイケルと弟の養母アビゲイル以外の周辺人物たちの描写が単調になり過ぎたのではないか?という気がしてならないんだ。

これまでのジョン・ハート作品に感じられた、人・家族に対する深い洞察というものが全体を通して足りなかったように思えた。そこが惜しい。
ジョン・ハートという高レベル作家の作品ゆえの贅沢な要求かもしれないけど・・・・・。 それでもお薦めなんだけどね。
2012年02月11日(土)

現実からの逃げ道

テーマ:読みたい・・・(未読本倉庫)

忙しいうえに問題山積の業務も抱え儘ならぬ状況である。若い時ほどの気力もバイタリティもなく、すべきことも出来ずにいる。

そんな中でも読みたい本はいくらでも出てくる。

休日出勤をした帰りに購入してしまった本。


脱出空域(ハヤカワ文庫NV)/トマス・W・ヤング

冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)/ヨハン テオリン

謎の物語 (ちくま文庫)/紀田順一郎/編
本の購入と毒にも薬にもならない読書こそが、私の現実からの逃避術。辞められまへんナ~
2012年02月10日(金)

『ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち』

テーマ:ミステリーとか

『ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち』   三上延/著、 メディアワークス文庫(2011)


読みたかったやつ。

たまたま娘が同級生から借りてきていたのを、ここぞとばかりに又借りしてしまった。

出勤時に本書を持って出て、往復の電車の中と、帰宅して夕食後の腹ごなし中に読み終えた。


古本とその古本にこだわる客に纏わるミステリーの連作中編集。

探偵役は、大怪我をして入院中の古書店主の篠川栞子さん。

助手は、職探し中の身だったが、ヒョンなこと(第一話)が切っ掛けで店員になった五浦大輔23歳。


プロローグ

第一話 夏目漱石 『漱石全集・新書版』 (岩波書店)

第二話 小山清 『落穂拾い・聖アンデルセン』 (新潮文庫)

第三話 ヴィノグラードフ・クジミン 『論理学入門』 (青木文庫)

第四話 太宰治 『晩年』 (砂子屋書房)

エピローグ


うん。評判どおり面白い。

第四話の犯人など少々突飛なキャラも登場したり、探偵役の栞子さんの頭脳はホームズのようにデキ過ぎだとも思えるが、ラノベ的デフォルメだとすればそれもアリ。キャラ萌え要素もあるし・・・

まァ、それに何と云っても本に纏わる話だしね・・・。

2012年02月07日(火)

執筆中

テーマ:メモランダム

ただいま執筆中です。

自分的には数年ぶりの大著です。

現在、十数ページに及ぶ論文を書いてます。


初稿はだいぶ前に出しましたが、数名の審査者によるピア・レヴューを経て、33項目に及ぶ修正・追加説明を要請されて審査から戻ってきました。

で、その修正原稿の提出締め切りがもうすぐ。あと1か月もない。


勤務先では顧客から委託されている業務が優先され、個人的な論文の執筆など後回しです。

年度末ということもあって本来業務もテンコ盛りです。仕上げなけりゃならない報告書がまだまだ何件も残ってます。

勤務日のうち週に何日かは、現場、業務の中間報告、会議・打合わせやらで外出するため、勤務時間の半分も書き物ができません。

そのため、論文の修正は自宅で行わなければなりません。


ジョン・ハート著『アイアン・ハウス』も、ブラックウッド著『幻想怪奇傑作集』も読み終わり、記事も途中まで書き掛けているのですが、そのまま止まった状態です。


記事も書かずに読み終った本ばかり・・・になる!?

しかも困ったことに、何故か忙しい時ほど隙間の時間を見つけて本を読みたくなる・・・。


2012年01月29日(日)

『神秘の島』

テーマ:ファンタジー・SFとか
 
    
『神秘の島〈第1部〉』  ジュール・ヴェルヌ/著、 大友徳明/訳、 偕成社文庫(2004)
『神秘の島〈第2部〉』  ジュール ヴェルヌ
『神秘の島〈第3部〉』  ジュール ヴェルヌ


ジュール・ヴェルヌ作品。

「海底二万里」や「八十日間世界一周」や「十五少年漂流記」は知っていても、この作品は知らなかった。一部のヴェルヌ・ファンの間では超傑作として有名らしい。。。

amazon内サーフィン中、余りの評価の高さについクリックしてしまった。娘もヴェルヌ好きだし、いいかって思って。


ヴェルヌ作品と云えば、岩波文庫とか新潮文庫とか創元推理文庫なのだが、本書は児童書の出版で有名な偕成社から出版されている。

“偕成社文庫”と称されているが、一般の文庫本とは異なる大きさ。青い鳥文庫とか岩波児童文庫と同じサイズ。

ジュブナイル版、ってことか?



では、概要紹介。

時代は南北戦争の頃。

南軍に捕らえられた北軍の捕虜達が気球を使って脱出を試みるところから物語は始まる。

4人の男と1人の少年、それと犬一匹が、監視の目が届かなくなる嵐の日に気球に乗り込んだ。 

で、やはり嵐に巻き込まれ空を漂流する。 5日間も。

気球の空気も抜け始めてきて太平洋の孤島沖に不時着する。不時着する際、気球の高度を上げ下げするために、気球に持ち込んだすべての物資を海中に投げ捨ててしまった。


島に上陸した5人と1匹のサバイバルが始まる。

生き残るために次から次へと解決しなけりゃならない問題が出てくる・・・。

リーダー格の技師サイラスをはじめとして、各人は何らかの専門的知識、実務能力を持っている。少年でさえ博物学に詳しい。だから、島の北西部の火山周辺で採取可能な鉱物からは様々な材料や燃料を精製することもできるし、島に存在する豊富な動植物を上手く利用することもできる。

島の緯度経度を計測したり、湖の一部の堰を爆破して水位を下げたり、岩盤内に居住空間を作ったり、畑を耕したり、野生動物の家畜化を行ったりと、彼らのサバイバルの様、やがては住居周辺を開拓してしまうようになるまでの様子が具体的に描かれる。しかも実に活き活きと。

こうした場面の描写は男子なら(女子でも? 私のようなオッサンでも) 夢中になって読んでしまうだろう。


あっと言う間に1巻を読み終ってしまう。しかも1巻の終わりが意外な終わり方をするもんだから直ぐに2巻に跳び付くことになる。1巻終わりでの食事場面。ブタ肉から出てきたのは銃弾だった。

絶海の孤島、無人島であるはずなのに・・・、ブタの体内にあった銃弾の存在は、この島に別の人間がいることを示すのか??


大洋を航海するような大型帆船は無理でも、ちょっとした帆船を作れるようにまでなった開拓者たち。2巻では船を作って隣りの島に冒険に行くところが描かれる。隣り島から流れ着いたと思しきボトルに入っていた手紙から、遭難者がいるらしいことが判ったからだ。

島での生活も軌道に乗り始めてきた。数々の幸運にも恵まれ、幾多の危機を切り抜けてきた開拓者達。

だが、サイラスは恵まれすぎる状況に疑問を感じていた・・・


3巻では海賊船の来襲を受ける。その危機もなんとか切り抜けるのだが・・・、

3巻の後半ではブッ飛びの展開が待ち受けている。

これまで男たちが危機に陥るたびに働く神秘の力。

その謎が一気に解かれるのだ! そう来たかァ-!って感じで、その場面を読んだときは鳥肌が立つほど喜んでしまった。

最後の最後まで、意外性のある展開を味わい、驚きと喜びを感じることのできる作品です。チョーお薦めです。


2012年01月22日(日)

『夏目友人帳』

テーマ:マンガとか

        

     
夏目友人帳 (1) (花とゆめCOMICS (2842))/緑川 ゆき


昨日の買い物で行ったショッピングセンター内のツタヤで見かけたコミック。

表紙の絵が好みだったので、なんとなしに読みたいなァと言ったところ、娘が、持ってる! とのこと。

で、借りて読んだ。


ほのぼの妖怪マンガ?

シンプルな線で描かれた比較的単純な構図の画。

物語もソコソコ良い。

話力と画力のバランスが中学生には丁度いいんだろうね。


2012年01月20日(金)

『新編 百花譜百選』

テーマ:なんでも読んでみよう
『新編 百花譜百選』  木下 杢太郎/画、 岩波文庫(2007)




カラー印刷が施されているため、文字だけが書かれている作品とは紙質も違う。だから定価1500円もする。

いつだったかは忘れたが数年前、書店で立ち読みをした際、本書の綺麗なスケッチを見て、欲しいなァと思っていたのだが購入はしなかった。

それが過日、大宮(宮原)のブックオフにほぼ真っ新の状態で半額800円で並べられていたのを見て跳び付いた。


「絵」のある岩波文庫。 と云うか、むしろ図鑑。


医師、詩人、作家の木下杢太郎が戦時下の灯火管制が布かれている中で画いたとされる草木花が百枚掲載されている。


本を開く。

左のページに画が載っている。画には短い手書きの字句が添えられている。

右のページには字句を鮮明にした活字が再掲されている。画の説明やそれを描いた時の状況や気持ちについての短文である。

つまり2ページを使って一つの草木花が紹介されていることになる。


草花の画を見ているだけで落ち着く。

こういう本は、一気に全部を読んだり観たりしなくてもいい。

事あるごとにその都度開けばいい。

別段、何事も無くても開いて、何の気なしに眺めるだけでいい。


2012年01月19日(木)

『真鍮の評決』

テーマ:ミステリーとか
THE BRASS VERDICT (2008)
   
『真鍮の評決 リンカーン弁護士』  マイクル・コナリー/著、 古沢嘉通/訳、 講談社文庫(2012)


マイクル・コナリー&古沢嘉通 の新作。 相変わらずのテッパン面白作品だ。

風邪で一日休暇を取った水曜日に寝床で一気に読んでしまった。


主人公ミッキー・ハラーを始めとした登場人物達の言動は魅力的だし、ロス市警強盗殺人課刑事のハリー・ボッシュは脇役だが、存在感タップリの渋い役回りで登場しているし、話の運びは滑らかだし、アッという間に読めてしまう。 1日で読み終えてしまうのは実にもったいないのだが・・・、



然る事件で銃傷を負い、治療の過程で薬物依存となり、そこから立ち直るために弁護士業務を休んでいた主人公マイクル・ハラー。身体的・精神的な傷もそろそろ癒え、仕事に復帰しようとしていた矢先、ロサンジェルス郡上級裁判所主席判事から呼び出しを受ける。

呼び出しの内容は、ハラーの知り合いの弁護士が射殺された、その弁護士が受け持っていた弁護業務31件を引き継ぐ気はあるか?との問い合わせだった。その中にはハリウッド映画業界の大物が、妻とその浮気相手を射殺した事件で、全米が注目している案件も含まれていた・・・。ハラーはその大物案件を引き継ぐことにした。


有罪必至の被告=依頼人。だが、何故かその依頼人は自分が無罪となることに確信を持っている・・・?

射殺された前の弁護士と依頼人にはどのような法廷戦術があったのか・・・?

殺された前弁護士が無罪の決め手としていた「魔法の銃弾」とは・・・?


・・・とまぁ、ストーリーには幾つかの謎が提示され、その謎の解明を果たすために主人公が奮闘する様がメインプロットとなっているわけだ。

が、そこはコナリーが描く物語だ、単純な謎解きだけでは終わらない!

プロットに絡めて主人公の生き様が描かれるのだ。


無罪であるはずの人間が有罪になることを避けるために構築されたシステム、陪審員制度や「推定無罪」の概念、これらが使いようによっては、有罪の人間を無罪にし得る・・・・。

司法制度が抱える矛盾、どんなシステムにも完全なものなどあり得ないということ、を判事も検察官も弁護士も捜査官も被告も、誰もが知りながら、それでも正義の存在を信じ、それを遂行しようと試みるアメリカの姿が描かれている。

主人公の弁護士ミッキー・ハラーと、立場的にはその真逆にいる刑事ハリー・ボッシュ。異なる立場の両者ではあるが、共にアメリカの良心を体現していることには変わりがない。

コナリーは、そんな二人の男を実に味わい深く描く・・・。 読み終ってしばらく余韻に浸れるんだよなァ。。。


本書を読んで改めて思ったね。やはり、コナリーは当代きってのストーリーテラーだって! コナリーはテッパン!

お薦めです。

2012年01月18日(水)

『生物から見た世界』

テーマ:自然科学とか
『生物から見た世界』  ユクスキュル/著、 日高敏隆・羽田節子/訳、 岩波文庫(2005)


風邪をひいた。

週末に法事で実家に帰った際に弟からうつされた・・・んだと思う。

火曜日午後に客先との打ち合わせがあったので、月曜日と火曜日は少々無理して仕事をしたが、今日は休暇を取った。

昨夜は打ち合わせ終了後、早々に帰宅し、夕食も採らずに寝ていた。12時間以上も寝ていたが、さすがにそれ以上は寝ていられず、寝床で本を読んでいる。

途中までだった本書を読み終り、今はコナリーの新作を読んでる。コナリーの新作ももう直ぐ読み終っちゃいそう。。。



さて、本書、「絵」のある岩波文庫


「環境」が客観的世界であるのに対し、「環世界」という個々の生物が見ている主観的世界について、世界でも最初期に提唱したのがユクスキュルというドイツの生物学者で、その人が書いたのが本書。 訳者は故・日高敏隆博士


生物の空間・時間認識について書かれている。

全ての生物に共通する空間や時間などない、空間や時間は生物によって異なる捉え方をされている、ということが解り易く書かれ、また、訳されている。 


僅か160ページ程度。ポケットに入れといて、外出時のちょっとした空き時間に読むのに絶好の厚さ。しかも名著。

お薦めです。


2012年01月15日(日)

『不良のための読書術』

テーマ:なんでも読んでみよう
『不良のための読書術』  永江 朗/著、 ちくま文庫(2000年)


単行本が刊行されたのが1997年ってんだから、ずいぶん前の本だ。

本の流通のことだとか、本の値段の内訳のことだとか、15年も前の内容で、今の時代どこまで信頼性があるかは判らない。

現代の出版事情を語る際には欠かすことのできないamazonのことにも当然のことながら触れていない。

さらに、読書「術」ってほどオオゴトなことも書かれていないように思える・・・。

だから読んでもしょうがない・・・・・ってわけじゃない。


時代が新しい/古いとか、流行にのってる/遅れてるとか、というのとは違うトコで結構頷ける箇所がある。
例えば、「本当の自分」とか「自分らしさ」、「オリジナルな考え」なんてものは幻想に過ぎない・・・、

よほどの天才でもない限り、本当のオリジナルなんて追求するな!・・・、

・・・・・というような趣旨のことをハッキリ言っている点。


他人の考えや何処かで聞いたことのある事、ごくごく僅かな自分の経験、これまでに読んできた本の中に書いてあったこと、などなどの断片が混然一体となって、それらが混ざり合って、今の自分がある。。。

混ざり合ったものの上澄みであったり、沈殿したものであったり、ゲル状になって浮遊しているモノが、時と場合に応じて表出する・・・。

そういうのがヒトなんだ・・・って。


↑本書はこんなコト言ってなかったかもしれないが、兎にも角にも本書を読んでたらそんなことを思った。。。



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