象亮 第四十三話「特捜ヒーローレスキュードラフト」(前編)
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先日(前回)、レスキュースペクターが石森市の大寒波に駆け付け、その大寒波を象亮とともに鎮圧。
それを受けて一週間後の予定だった情報番組での特集が週明けの夕方のニュースのトピックスに先行して取り上げられることとなり湊は急ピッチで仕上げた。
予定通りレスキュースペクター本部で取材をし、帰ってくるなり土日返上で仕上げ、月曜夕方のニュース番組のオンエアに間に合わせる神技を発揮。
もちろん、放送時間を大幅に落とした短縮版のため、週末の情報番組用の編集がまだ控えている。
よって湊はくたくたで、家に帰るなり爆睡という日々が続いている。
綾「頑張るねえ…湊パパ」
ちなみに綾は、いつの頃からか自宅より亮の家に居座ってる時間が長くなっている。
満里奈「普段グータラしてるからね、こういう大きい仕事んときくらいはキリキリと稼いでもらわないとw」
その原因が、満里奈であることは言わずもがなである。
満里奈は、えらく綾を気にいっているようだ、そこは湊もそうであるが^^;
綾「うわー、鬼だね満里奈ママw」
満里奈「あたしが鬼だったらこの辺の奥様全員昼ドラで主演張れるよ^^;」
綾「そんなにすごいの?」
満里奈「そうだよー…どーもキニナルに応募しようかなと思った話が何度あったことかw」
綾「りょーくんは知ってるの?」
満里奈「まさか、あの軽口に喋ったらうちは引っ越しを余儀なくされることになるからね^^;」
つまり、亮が軽口と言うことであるw
そのとき、湊が起きてきた。
湊「あー、なんか騒がしいと思ったら綾ちゃんが来てたのか」
綾「おはよw」
満里奈「今23時だよ^^;」
湊は22時ころ帰ってきたが、このところの疲れのせいか眠りが浅く再び起きてきた。
そんな時間まで綾が居座っていることについては亮の親がむちゃくちゃ目を光らせているってことでなんとかご納得を^^;
湊「ほんとに疲労がたまってると眠れねえもんだな…」
綾「りょーくんは上でグースカ寝てるのにね…」
湊「あ、あいつ寝てんのか…ならいいな、綾ちゃんにだけマル秘情報教えちゃおう」
綾「え?どんなマル秘?」
湊「レスキュースペクターなんだがな…メンバーを増員するらしいぞ」
綾「へー…でも確かに三人だけじゃ厳しいもんね」
満里奈「え?あの人たち今まであの三人だけで動いてたの?」
湊「あの強化服を着た隊員が三人ってだけで実質は相当でかい組織だぞ、だいたい全国動きまわるのに一から十までたったの三人では対処できんだろ?」
満里奈「そうだよね^^;」
湊「彼らの現場急行の早さも高性能マシンをいち早く現場に届ける「レスキューウォルター」という輸送ヘリがあってこそだ」
綾「はー、だから早いんだね」
湊「他にも、瓦礫・土砂の処理用作業車「レスキュードーザー」、道悪対策のオフロード救急バイク「レスキューバイクル」など盛りだくさんだ」
綾「すげー!」
ほんとに日本単独発の組織かと突っ込みを入れたくなるほど最先端をいくレスキュースペクターの設備に驚愕する綾であった。
いっぽう、亮は部屋でただ寝てたわけではなく、前回繰り出した自然発火技のことを考えていた。
亮「なあ…バッタ」
象飛蝗「んだよ」
亮「おめー炎苦手のはずなのに、なんであんな技出来たんだ?」
確かに、以前象飛蝗は炎に弱いという発言を残している。
象飛蝗「おれもわからん…それだけてめえがパワーアップしてるとしか言いようがない」
亮「わからねえってのはこええな…おれが実は象外鬼のラスボスでしたーなんて展開になりそうで」
自然発火と言えばクウガ、クウガと言えば一歩間違えば究極の闇。
亮は、自分が強大な力を持つことで闇に支配されやしないかとらしくもなく心配していた。
象飛蝗「それはフレッシュプリキュアにオードリーが再出演するのと同じくらいあり得ないから安心しろ」
が、戦闘中ですらボケとスケベを忘れないほど強力な自我を持つ亮にその心配は無用だ、と象飛蝗は思っていた(笑)
第四十三話「特捜ヒーローレスキュードラフト」
11月23日、亮と綾はイオンにいた。
亮「しかし三連休のラストってこともあってか混み合ってんな」
綾「こんなときに地震来たらと思うと…ぞっとするよね」
しかし、そのぞっとする光景は程なくして訪れる。
亮「確かに、中越んときは親父の方の親戚も被害喰らったし、宮城地震では綾ちゃん家の蔵の瓦が落ちたから他人事に思えないし」
綾「あのときはびっくりしたよねえ…あたしも阪神のときはパパのほうの親戚が大変だったらしいって聞いたよ」
亮「らしい?綾ちゃんは知らんの?」
綾「だって阪神大震災ってあたしら3歳のときだよ、覚えてるわけないよ;;」
亮「てっきり3歳の頃からほとんど顔変わってないから覚えてるかと思ったw」
綾「そんなわけないでしょ!童顔でわるうございました!」
亮「いや、悪いとは一言も言ってないんだけど…むしろ」
綾「むしろ…何?」
亮「いや、なんでもねえわ」
亮「ま、地震は大丈夫だろ、いざとなればレスキュースペクターが助けに」
綾「そこは「おれにまかせとけ」とか言ってよー、いちおりょーくん仮面ライダーなんだから…」
亮「あちらは阪神や中越で培ったのを基にして国家あげてテレビのレスキューファイヤーみたいの作ったんだぜ、太刀打ちできんよ」
綾「でももし同時に災害が起こったりしたら…レスキュースペクターだって一回に二つの災害はカバーできないんだよ?そういうときこそ」
亮「あのね、仮面ライダーなら何でもできると思ったら大間違いなんだぜーー;かのウルトラマンは「ウルトラマンは神ではない」という名言を」
綾「だー!油断も隙もないんだから…ウルトラマンの話は禁止!」
とかく弱音とウルトラマンの話の多い仮面ライダーである、おそらく世界どこを見渡してもこいつ以上のへたれライダーはいないだろう^^;
綾「あ、ゴメン、ちょっと待っててね」
綾は、こそこそとどっかヘ行こうとする。
亮「トイレ?」
綾「言わなくてもわかるでしょ!」
綾は顔を真っ赤にさせながらトイレの方向に退散。
亮「ボケのつもりで言ったのに当たっちゃったよ…あーあぶね、綾ちゃんじゃなかったら絶対殺されてたわ^^;」
大丈夫、お前は殺しても多分死なんw
亮「あ、そーだそーだ…親父が欲しがってた本田のユニフォーム入ってるか見てこよう」
本田とはもちろん本田圭祐のことである、ちなみにこの当時は今のような圧倒的な知名度があったわけではない。
では、なぜかというとサッカー好きである湊がグランパス時代から本田のファンである(筆者の父が実際にそう)からである。
そんなわけで亮は、イオン内のスポーツ用品店へ向かった。
亮「うーむ…やっぱりまだねえのか、そりゃそうだよな…あいつまだ代表定着してねえから何番かわからねえしな」
当然ながらこの半年後に「HONDA 18」のユニフォームが日本中で飛ぶように売れることになるとはまだ誰も知る由はない。
亮「親父は絶対定着するとか抜かしてるけど、俊輔と被ってる(左利きの右サイドMF)から俊輔が健在のうちは出番ねえだろうな」
今では中村俊輔の背番号10の後継者第一候補と言われている男も、この頃世間ではまだ「海外で活躍するサッカー選手の一人」にすぎなかった。
トレードマークの無回転キックもこのころはさほどサッカーに興味のない人にはまだ知れ渡ってもいなかった。
ちなみに筆者の父が本田に注目したのは、まだ本田がグランパスにいた頃、この無回転キックを偶然やべっちFCで見たことからである。
そのときだった。
ドカドカガタガタドカーッ!
亮「!!!」
「なんだー!」
「地震だー!」
震度5以上はあろうかという地震が襲いかかった!
亮「やべえ…」
ボスッ!
亮「あいて!サッカーボールが落ちて来やがった!」
この非常時でもこの男にはすべり笑いの神が離れないらしい。
ピーンポーンパーンポーン♪
「只今、地震が発生しております!ご来店中の皆さま!慌てず速やかに安全な場所に退避してください!」
亮「アナウンスの方があわててるよーー;」
ともあれ、店の中にいてはまた物が頭上に落ちてきて危ないと感じた亮は安全な場所の一つ、イベントホールへ避難した。
いっぽう、トイレに行った綾は…。
綾「あ~怖かった~><」
個室にいたため、余計に反響したが亮のように直接ダメージを受けるということはなかった。
綾「これりょーくんだったら絶対便器に顔突っ込んでたよねきっと^^;」
いくら亮でもそこまで笑いの神ついてないだろうとは思うが…。
綾「おっと、あんまり遅いとりょーくんが心配するからもどろっと」
綾は、個室を後にしようとした。
グイ
綾「あれ?」
グイグイ
綾「おっかしいなあ…もしかして今ので扉壊れた?」
その通りであった。鍵が壊れて外れなくなってしまったのであった。
綾「うそでしょ…」
綾はなんとか打開策を考えた。
綾「こーいうとき、りょーくんだったら…」
よりによって、亮のやり方を利用するか。
綾「ぷりきゅあきっく!」
ガスッ!
綾「…いっ…たぁーい!><」
まあそりゃそうでしょう、亮のキック力が異常なんです^^;
綾「あーんTT…こうなったら!」
綾は手でハートを作り、叫んだ。
綾「ぷりきゅあ!らぶさんしゃい~ん!」
シーン…。
プリキュアの真似をして技が出るわけなかろう。
綾「やっぱだめか…だったらこっち」
綾は手でスペードを作り、再び叫んだ。
綾「ぷりきゅあ!ひ~りんぐぶれあ~!」
シーン…。
パニックで完全に冷静さを失っている。
キュアピーチの真似がダメでも、キュアベリーの真似ならいつもお腹を出している自分なら何とかなるだろうという発想は完全に亮の発想だ。
綾「そりゃそうだよね…orz」
綾は諦めて亮に助けを求めるべく携帯を取り出した。
綾「りょーくんならなんとかして…うそ!ここ圏外なの~!><」
長年亮とつるんでるからか、綾にまで亮の持病・お約束症候群が伝染したかのようだ。
そのとき、レスキュースペクター本部には只今の地震の情報が入った。
指令室でモニターを除くは三浦俊介本部長とレスキュージャンヌ・山田玲子。
本部長「む!?」
玲子「本部長、石森市で不自然な局地型地震です!」
本部長「なにぃ?」
一方、調整ルーム。
レスキューナイト・渡辺龍馬とレスキューブレイン・嵯峨根大樹がレスキュースペクター二期生となるレスキュードラフトに選抜された三人にハッパをかけていた。
選抜された三人の名は飯塚隼人、豊本耕作、角田拳。
龍馬「君たちがレスキュードラフトだね、僕はレスキュースペクター隊長の渡辺龍馬だ」
大樹「同じく隊員の嵯峨根大樹っす」
龍馬「本部長に代わってこれからについて説明する、早速本日より実務に入ってもらうがそれにあたって大事なことを三つ」
龍馬は、本部長から預かった原稿を読み上げる。
龍馬「まず、訓練は現場のように緊張感を持ってあたるようにと言われてきただろうが、現場でもそれは同じだ。現場は訓練のように慌てず冷静に行動すること」
大樹「我々が慌ててしまってはかえって不安を煽ってしまうので心で慌てても身体まで慌ててはいけない、ということだ」
隼人・耕作・拳「はい!」
龍馬「そして、最初は不慣れなうちは現場は大変だが、人生は勉強の繰り返しだ、失敗はしないに越したことはないがそこは人間だ、失敗も当然ある。大事なのは失敗にくじけないこと」
大樹「くじけていては救える命も救えなくなってしまう、それは忘れないでほしい」
隼人・耕作・拳「はい!」
龍馬「以上だ、みんな、これからよろしく!」
隼人・耕作・拳「よろしくお願いします!」
訓示という大役をやり遂げた龍馬であったが、大樹はあることが気がかりだった。
大樹(龍馬さん…あと一つは?)
龍馬(紙にも2つしか書いてなかったんだよ、本部長が二と三書き間違えたんだよきっと)
大樹(あ、ホントですね…あれ?もう一行「一、」ってありますよ)
龍馬(え?…これ、僕が自分で考えた言葉を言えってことだったのかな)
大樹(書いたの本部長ですからね…ありえますよ)
ビー!ビー!ビー!
龍馬「指令室からだ」
大樹「出動ですね、よし、行くぞ後輩!」
隼人・耕作・拳「はい!」
五人は指令室へ向かった。
指令室。
龍馬「隊長、渡辺龍馬以下五名、参りました」
本部長「来たか、早速だが超局地型地震が発生した」
大樹「超局地?どういうことですか?」
本部長「局地型地震というのはあるが、この地震は石森市のショッピングモールの敷地内のみ強力な揺れを感知したというものだ」
龍馬「石森市だって?あそこならありえますね…」
レスキュースペクターは先週も石森市へ出動している。
そのときは偶然居合わせた象亮とともに鎮圧にあたったが…。
耕作「石森市って、あの仮面ライダー伝説があるところですか?」
龍馬「ああ、実際にいたよ」
拳「マジっすか!?」
龍馬「うむ、しかしテレビの仮面ライダーとはまた別な存在のようだ…本人もそう呼ばれているだけだと言っていたし」
隼人「仮面ライダーとは似て非なる者ですか…」
龍馬「いずれにしろ、あの町を護るために戦っている戦士であることは間違いなさそうだ」
ここで本部長はまさかの発言をする。
本部長「よし、龍馬たちは今日はサポートに廻れ。現地にはレスキュードラフトの3人を派遣する」
隼人「え?」
耕作「俺達が出動ですか?」
拳「よっしゃ!やったろうぜ!」
龍馬「本部長!いきなり彼ら単独ですか?」
本部長「レスキューとは常にいきなりの繰り返しだ、初めからなんて泣き言は通用せんよ」
龍馬「それもそうですね…実際僕らもそうでしたし」
本部長「というわけだ、レスキュードラフト、出動せよ!」
隼人・耕作・拳「了解!」
レスキュードラフトの三人は、急いで専用マシン・レスキュースクラムに乗り込んだ。
隼人・耕作・拳「装着変身!」
三人はそれぞれレスキューシンク(隼人)、レスキューブルース(耕作)、レスキューキース(拳)をそれぞれ身にまとう。
スーツは、レスキューファイヤーをそれぞれエクシードラフとのイメージカラーにしたような感じである。
指令室に待機する本部長は、三人の準備が終わるのを見計らって左の胸ポケットに入れていた白手袋を取り出した。
本部長「GO!」
レスキュースクラムは、レスキュースペクター本部を発進した。
<後編へ続く >