象亮 第十二話「光トカゲ」(前編)
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この日、淳は学校をさぼって亮の町をふらついていた。
淳「なんとかライダーを始末する手立てを見つけねば…」
気がついたら亮の学校の前。
そして、亮と綾がいつものようにマターリとした雰囲気で歩いてくる。
亮の手にはサッカーボール、なぜかといえば亮はサッカー部のエースだからである。
駐輪場にリョウホッパーを取りに来たのだ。
淳(あいつは…)
淳は物陰に潜み、亮ににらみを利かせた。
すると、亮綾に明らかにガラの悪い連中が寄ってくる。
不良1「おう、亮」
不良2「堀田さんがお呼びだ、ちょっとツラ貸せや」
亮「やだね、あんなゴリラの呼び出しなんざ誰が応じるかよ」
堀田「だぁ~れがゴリラだって?」
ガラの悪い連中の元締め・堀田が亮に因縁をかけてくる。
亮「ゴリラはゴリラじゃねえかよ」
堀田「てめえ、後輩のくせに…」
亮「先輩ヅラしてんじゃねえよ、サッカー部クビになったくせによ」
堀田「てめえのせいだろ!」
亮「うるせえなあ…おめーの自爆じゃねえかよ!」
亮がキレるということは、イコール綾がらみの何かであろう。
堀田「言わせておけば!」
堀田はファイティングポーズをとる。
亮「やるかクソボケバカアウストラロピテクス野郎!」
亮も、有吉級のひでえあだ名で応戦。
綾「亮くん、わけもない喧嘩はダメ!」
綾に叱責されて亮は拳を納める。
綾(相手にしちゃダメだよ、あたしあの人たち苦手だし…)
亮「しょうがねえ…行くか」
亮はその場をやりすごしてあとにしようとする。
堀田「おい、逃げんのか?」
亮「あいにくおれはおめえみてえな野蛮人じゃねえんだ」
堀田「んだと!」
ブォォォォォン!
堀田「あぶねえ!」
不良1・2「なにしやがる!」
亮は堀田たちの間を縫ってバイクでその場を後にする。
亮が跳ねる気があったかどうかは不明である(笑)
第十二話「光トカゲ」
亮と堀田の因縁は、亮が一年生のころにさかのぼる。
当時二人はサッカー部で先輩後輩だったが、亮は1年生エース、堀田は亮に押し出されて補欠となっていた。
これを不服に思っていた堀田は、亮のスパイクに画びょうを仕込む、亮が練習着に使ってた俊輔のレプリカユニフォームを隠すなどの陰湿ないじめを行っていた。
犯人が堀田というのをこれまでの経緯で察知していた亮は、堀田のロッカーに「くらだねーことしてねえでサッカーで勝負しろ単細胞のゴリラ」という張り紙を張り付けて宣戦布告。
逆上した堀田はある日、亮と綾が仲よさげにしてるさまを見て、綾になんかすれば亮が精神的ショックを受けると睨む。
そして、亮に自分にポジションを譲りサッカー部を自主退部しなければ綾に何かすると脅す。
この脅しに亮は「やれるもんならやってみろ、おれは綾ちゃんになんかする奴には容赦しねえそ」と逆に脅す。
この亮にキレた堀田は、昼休みに一人で行動していた綾を取り巻きたちと拉致るが、部室に連れ込む途中で運悪く教師に目撃され全員しばかれて未遂に終わる。
堀田の処分は停学は免れたがサッカー部を退部させされる羽目になった。
ちなみにこの際、綾は特別何かされたわけではないにもかかわらず大泣きしていたが、わけをきくと拉致られてるときにパンツ丸見え状態で担いで運ばれたこととその際に堀田に米袋でもはたくかのように尻を叩かれたことにある。
亮がその話をきいてめっちゃキレたことは言うまでもない(笑)
それ以来、綾は堀田が苦手であり、亮もすきあらば綾の報復を考えているがたいがい綾と一緒に行動してるためなるべく堀田は避けていた。
堀田「あのオカマ野郎(亮の女顔による)が出てきたせいで俺の高校生活は狂わされた…卒業前にあのお下げのガキ(いわずもがな綾)ともどもなんとしても潰してやる」
カッカする堀田。
そこに忍び寄る淳。
淳「ちょっとよろしいかな」
堀田「あぁ?なんだてめえは!」
淳「落ち着け、俺もあの緑頭にはこの地球上から消えてほしいと思っている輩よ」
堀田「だからなんだってんだ?てめえみてえないけすかねえ風貌の野郎なんか仲間になどいらん、間に合ってる」
ズガガガガ!
淳は堀田をエアガンで撃つ!
堀田「いって!なんてことしやがる!」
淳「うるせえなあ、あの緑頭しばき上げたかったら言うこと聞けやゴルァ!」
堀田「この…」
堀田は、反撃に出ようとするが閉口する。
取り巻きたちが象軍隊蟻(しょうあーみーあんと)に変化したからである。
堀田「な、なんなんだてめえら!?」
淳「あらかじめお前の手下はこちらの手下になりかわらせてもらった」
淳は続ける。
淳「あの緑頭を確実にしばける力を貴様に授ける」
堀田「余計な御世話だ、そんなもんなくとも…!」
象軍隊蟻は堀田を羽交い絞めにする。
堀田「ぐぉ、何をする、離せー!」
淳「象蜥蜴(しょうりざーど)、やれ!」
淳がそう言うと、象蜥蜴が現れ、堀田を丸飲みにする。
象蜥蜴はしばらくすると堀田の姿に変化。
淳「象蜥蜴、貴様は緑頭の男をおびき寄せるためにお綾の末裔のお下げの女を拉致れ、いいな!」
堀田「がってんだ!」
象蜥蜴は、堀田の姿のままその場を去った。
淳「象蜥蜴に万が一のことがあれば次は俺が自ら出撃か…」
淳の顔が褐色の飛蝗に変化し、全体のフォルムも象飛蝗(しょうほっぱー)に近くなった。
淳は、この象外鬼に亮同様憑依されたが亮と違って完全に意識を乗っ取られている。
この象外鬼の名前は、象飛蝗赤(しょうほっぱー・れっど)。亮の仲間である象飛蝗とは別な種類らしい。
象飛蝗赤「となると象飛蝗一族のさまよえる御霊を俺のように人間どもに憑依させるのを急がねばな…」
象飛蝗赤は、象外鬼の元締め・象不死鳥(しょうふぇにっくす)を倒すことしか考えていない象飛蝗と異なり象不死鳥を押しのけて象外鬼の元締めになりあがろうとしているのだ。
しかし、ことごとく象亮に阻止されておりいっぱいいっぱいとなっていた。
象飛蝗赤「このままでは象不死鳥に下剋上をかけるばかりが俺が再びさまよえる御霊になってしまう、それは阻止せねば…」
象飛蝗赤は、目がマジになっていた。
翌日、チア部の練習終了後に綾が亮を待っていると象蜥蜴たちが化けた堀田と取り巻きが現れた。
綾「なんですか?」
堀田「連れて行け」
綾「!?」
取り巻きたち「アリィーッ!」
ガシッ
綾「きゃー!」
颯「こらこら、綾ちゃんをどこに持っていくねん」
青葉「とっとと綾ちゃんを放しなさい!」
小町「ですわ!」
取り巻きたち「アリィーッ!」
ドンッ!
青葉「わーっ!」
小町「きゃっ!」
颯「なんやー!」
ドサッ!
堀田「行くぞ」
ドドドドド…
綾はあっさりとさらわれてしまった。
颯「な、なんやあいつら…」
小町「どうしましょう…亮さんがもうすぐ迎えに来ますわよ」
青葉「と、とにかく亮さん呼ぼう…こんなことあったなら尚更教えないと亮さんは心配するよ」
青葉の機転で、即座に亮に事件の状況が伝えられる。
亮は電話後、烈火の勢いでリョウホッパーにまたがり、青葉から伝え聞いた方向へ向かって走って行った。
象飛蝗「間違いない、象外鬼の匂いはこっからずーっと一直線だ!」
亮「てことは採石場の方向か…急ぐぞ!」
<後半へ続く >