象亮 第八話「ブンブンブブブン!蜂が飛ぶ!」(前編)
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ブォンブォンブォン…
亮「うるせえなあ…」
象外神社は、よく暴走族がたまり場にしている。
そのため、象外神社の隣に住んでいる亮と綾は安眠妨害をよく受ける。
綾「まったく…あれがおじーちゃんの胃潰瘍に悪いんだよねーー;」
綾の祖父・吉兵衛は象外神社の神主である。
ちなみに、吉兵衛が若いころは暴走族のほうがしばかれることも多かったが、今はあちこちがたがたのためそうもいかないらしい。
また、そのせいでエンジン音はどちらかといえば佐渡家(亮)側がうるさい。
亮「あのジジイの胃はどうでもいいが…」
綾「よくないよくない!」
亮「あのゾクがうるせえと寝れねえからな…ちょっとライダーになってしばいてくるわ」
ギィ、タッタッタ…
綾「え、ちょ、ちょっと…あー、行っちゃった」
ブロロロロー
綾「ここから神社まですぐなのになんでわざわざバイクで行くかね^^;」
第八話「ブンブンブブブン!蜂が飛ぶ!」
象外神社では暴走族がだべっていた。
暴走族A「おー、今日どこ走るよ?」
暴走族B「そうだなあ…商店街にすっか?」
象亮はこっそりまぎれる。
亮「面白そうだなあ…おれも混ぜてくれねえか?」
暴走族C「ああ?聞きなれねえ声だな…新人なら名を名乗れや」
亮「この顔見りゃあ誰でもわかるだろ」
暴走族D「やけに態度のでけえ新入…か、仮面ライダー!?」
暴走族一同「えー!」
当然だが暴走族は突然の仮面ライダー登場に唖然。
暴走族A「なんかわからんけどやな予感がする…逃げろー!」
暴走族一同「押忍!」
ブォー
暴走族はあっさりと消えた。
亮「これはこれでつまんねえなあ…もっと食ってかかられるかと思ったのに」
暴走族は町はずれの倉庫前まで逃げてきた。
暴走族A「はあ、はあ…仮面ライダー来てないな?」
暴走族B「しかしなんでおれらが逃げる必要あったんだ?」
暴走族A「バカ、あんなバケモン怒らせたらこっちに勝ち目ないだろ、わけのわからないうちに逃げるが吉だ」
?「おうおう、何ちっちぇえこと言ってんだワレ!」
暴走族一同「は、蜂矢さん!」
蜂矢と呼ばれたいかにも総長風な男を見て、暴走族軍団は委縮する。
蜂矢「話はだいたい聞かせてもらったぞ、仮面ライダーごときに逃げたとな…」
暴走族A「だって仮面ライダーですよ!?」
蜂矢「バカ野郎!なんかされたわけじゃあるまいしびびって逃げる奴がいるか!」
暴走族B「それはそうと蜂矢さん、この前の事故でなくなったはずでは?」
ガスッ!
蜂矢「アホ!確かに普通なら死んでるほどの大事故だと聞いたが、間一髪息を吹き返したってわけだ!」
暴走族C「さすが蜂矢さん^^;」
蜂矢「いいか!仮面ライダー見てビビって逃げたなんて噂が立ったらこのチームの名折れだ!むしろ今度仮面ライダーに会ったらしばき上げるつもりでいろ!」
暴走族D「む、無理言わんで下さい!」
蜂矢「ビビるんじゃねえ!…今からおめーらが最高にハイなチームになるよう喝を注入してやる、まわれ右!」
暴走族一同「押忍!」
暴走族一同は一斉に蜂矢に背を向ける。
蜂矢「いいか、俺がいいというまでこっちを向くな」
暴走族一同「押忍!」
そう言うと蜂矢は蜂の化け物に変身した。
蜂矢の正体は象雀蜂(しょうわすぷ)、というか象雀蜂が蜂矢の姿を借りているというのが正しい。
象雀蜂が悪事を働くために考えたのが蜂の大群のようにやかましい暴走族を利用した破壊活動。
たまたまその総長である蜂矢のバイク事故を見た象雀蜂が蜂矢の亡骸を取り込み蜂矢になりすましたという寸法である。
その象雀蜂は、右手のサーベル状の針を研いで、暴走族Aの前で構える。
象雀蜂「行くぞ、闘魂注入!」
ブスッ!
象雀蜂の毒は、いわゆる興奮剤のようなものとなっておりそれを注入した。
しかし、注入箇所が問題である…そう、ギャグ漫画でよくコメディリリーフが蜂に刺されるところ…すなわちケツ、それもケツの穴であった^^;
象雀蜂が全員に闘魂を注入し終えると…暴走族一同は全員ダウン。それを見計らって象雀蜂は蜂矢の姿に。
蜂矢「三年殺しじゃー!」
蜂矢がこう叫ぶことによち暴走族一同は全員復活。
暴走族一同「合わせて六年殺しじゃー!」
蜂矢「サンハイ!」
全員「三年殺しでワッショイワッショイ!六年殺しでワッショイワッショイ!」
突如として原西の「祭りでワッショイ」を踊りだした。
蜂矢「出撃じゃー!」
暴走族一同「押忍!」
さっきまでのへたれぶりがうそのように暴走族は命知らずの爆走を始める。
蜂矢も、後から追走し、一団は商店街へと向かった。
時刻はすでに夜12時だが、綾はまだ亮の部屋で太鼓の達人で遊んでいた。
ダーダーダーダッダダーダッダダー♪
綾「あ、おじーちゃんだ…」
ピ!
綾「もしもし」
吉兵衛「日付かわっとるのにまだ遊んどるんか!どーせ亮んとこじゃろうから3分以内に戻れ!」
ツーツーツー
綾「…3分以内に帰れってあたしゃウルトラマンか^^;」
亮「だいたいうちから綾ちゃん家なんて3分もかかんねえだろ」
亮の家と綾の家は象外神社を挟んで隣合わせなので抜き足差し足で行っても1分とかからない。
綾「ここまで近いと帰るのめんどいわ^^;」
亮「いつもうちにばっかり居座るんだから…たまにはおれがそっち行きたいわ」
綾「やだよ、部屋散らかってんもん」
亮「ああ…部屋干ししたパンツを部屋に人入れる前にしまい忘れる癖治ってねえもんな^^;」
綾「(ムカッ!)帰る!」
いつもながらの亮のからかいにキレた綾は、乱暴な足取りで亮宅の階段を下りていく。
亮「おーい、あんま乱暴に歩くな、このボロ階段滑」
ツルッ、タタタタタドシーン!
綾は亮が忠告してる間にこけ、階段を滑り台みたいに落ちた。
綾「あーん、お尻が痛いー;;」
亮「あーあー、いわんこっちゃないーー;」
昔の家屋の階段はなぜか急勾配でニスがてかてかのため異様に滑る。
なお、綾がこの階段でよくこけてるのは言うまでもない。
心配になった亮が下りてくるが、滑り落ちた影響でスカートがめくれ上がっていたこともあり、亮も苦笑いするしかなかった^^;
亮「イチゴか…さすが歩くシャッターチャンス^^;」
綾「笑うなー;;」
シャッターチャンスといいつつ、亮が綾のハプニングに写メを打ったことは一度もない。
いくらドスケベの亮といえど、好きな女の子の恥ずかしい姿は残したくないようだ^^;
亮「まったく、ほぼ毎回のこととはいえ…よいしょ」
綾「おわっ!」
亮は綾を家までおぶってくことにした。
<後編へ続く >