ブリジット・バルドーも好きだったタルト・トロペジエンヌ | penのフランス語日記

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「虎と小鳥のフランス日記」でフランス語を学習中のpenの日記。独学です。トリュフォーの映画を字幕なしで楽しむのが目標。フランス語とフランス全般の情報を楽しくご紹介。初心者むけの文法、語彙、ディクテなどの学習法、フランス映画、フレンチポップスの話題もあり。




こんにちは。penです。

「今週の物」はレストラン、ル・トラン・ブルーでAntoineが注文した、カフェ・グルマンの皿にのっていたお菓子の一つ、タルト・トロペジエンヌとそのお菓子が生まれた街、サントロペをとりあげます。

まず、カフェ・グルマン le café gourmandですが、これはグルメ・コーヒーのことではありません。

コーヒー(ふつうはエスプレッソ)に、小さい一口サイズの種類の違うお菓子を複数(三つ~四つ)つけて、すべて同じ皿にのせて供するものです。

このセットはわりに最近のトレンドで、食事のあとおなかいっぱいで、ヘビーなデザートがとれないけれど、何か甘いものはほしいという需要に答えて考案されたようですが、いろんな味を食べたいという女性にも人気です。

見た目がかわいいワンプレートです。

ちなみに、今回Antoineの注文したプレートはギャルソンが内容を説明してくれました。

店の内装はベル・エポックですが、お皿はモダンですね。

tarte tropézienne


内容は、

・マカロン un macaron

・チョコがけのエクレア l'éclair au chocolat

・バニラクリームに赤いフルーツのコンポートをのせたもの。crème vanille avec une compotée de fruits rouges
これは、カスタードみたいなものかな?

そして、

・tarte tropézienne タルト・トロぺジエンヌ

Saint-Tropez(サントロペ)発祥のお菓子なので、tropézienneという名前がついています。

このネーミングはたとえば、ニースの『サラド・ニソワーズ( Salade Niçois)』、名古屋の『なごやん』と同じつけ方です。

タルトという名前がついていますが、ブリオッシュをスライスして中にカスタードクリーム(crème pâtissière)をはさんだものです。

中のクリームはカスタードのほか、バタークリームや、バタークリームに生クリームをまぜたものなどバリエーションがありますが、たいていキルシュ(kirsch さくらんぼのリキュール)で風味付けします。

粒の大きな砂糖をトッピングします。

サントロペはマルセイユの東、コートダジュールにある海辺の保養地。今はセレブやお金持ちでにぎあうおしゃれな街ですが、昔は海があるだけの知る人ぞ知る場所でした。

しかし、ブリジット・バルドーがここを気に入り、60年代に別荘を買ったため、にわかに注目されたので、この街を発見したのはバルドーだと言われています。

1940年代半ばに生まれたとされるtarte tropézienneもサントロペが観光地として人気のでた60年代に知名度をあげました。

以前、レペットのサンドリオンの記事でも紹介した«Et Dieu... créa la femme»『素直な悪女』(直訳は『そして神は女を作った』)という映画はサントロペが舞台です。

映画のスタッフは全員、タルト・トロペジエンヌが気に入って、毎日取り寄せていたそうです。

映画のダイジェストです。
3分16秒。
1956年の映画なので、ゆっくりしゃべっていますから、聞き取りやすいと思います。


※YouTubeで見る方はこちらから⇒映画「素直な悪女」抜粋

バルドーはこの映画より前に、やはりサントロペが舞台の映画に出ているので、かなり前からここが気に入っていたのでしょう。この海辺で撮影した水着姿の写真もたくさんあります。

ちなみに、tropézienneとう単語は、『サントロペの女性』という意味もあります。

タルト・トロピジエンヌについて伝えるニュース。



冒頭バックに流れていたDouliou Douliou Douliou Saint Tropezという歌は、64年の«Le Gendarme de Saint-Tropez»『サントロペ大混戦』という、サントロペが舞台のコメディー映画に出てきたものです。

当時、アメリカではビーチ・ボーイズがサーフィンの歌を流行らせていましたが、そんな楽しげな60年代のビーチカルチャーを歌ったものの一つです。イエイエソングですね。

こちらは、オリジナルのジェニー・ロック。

※YouTubeで見る方はこちらから⇒Jenny Rock - Douliou Douliou St-Tropez

この映画は海辺の裸族を警官が取り締まろうとするがうまくいかない話らしいです。

明るく、自由気ままなサントロペの雰囲気があふれた歌ですね。タルト・トロペジエンヌもそんなハッピーで軽やかな夢のあるお菓子だと思います。カフェなどでは、ナイフとフォークで食べるのですが、大きなのをこんなふうに手で持って食べると、サントロペにいる気分にひたれるかもしれません。


最後にバルドーが歌ったLa Madragueいう曲をご紹介します。マドラグはバルドーの別荘の名前です。

夏の終わりが来て、誰もいない海辺で貝殻やエビがさびしがってる。私も去りがたいわ。でもまた来年楽しい夏がくるわね、という内容の、今の季節にぴったりの歌です。



☆歌詞はこちらで訳しています⇒ブリジット・バルドーのラ・マドラグの訳詞


◆バルドーのことはサントロペの観光局の雑誌にものっています。
Saint-Tropez & Brigitte Bardot




☆メインブログでタルトトロピジエンヌのレシプと作り方を紹介しています⇒サン・トロペ名物、タルト・トロペジエンヌのレシピと作り方 | フランス語





・・・2012年8月30日追記・・・


■「虎と小鳥のフランス日記」の受講生のRicottaさまが、タルト・トロペジエンヌのレシピを和訳つきで紹介してくださっています。

第64話 パリのリヨン駅|Ça va aller.



■ そして、やはり受講生のbird_birdさまが、そのレシピでタルト・トロペジエンヌを作られ、記事にされています。

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