2.あふれる情報の中から信頼できる情報を選別する方法
口コミというのはとても大きな影響力があります、しかしそれは①体験者本人から②第三者の話を人を介して伝え聞いたこと③インターネットでの体験談に大きく分けられます。このうち①の場合は前回の記事で話したたまたま生き残った患者さんの話を最上としますがそれでも宝くじ売り場はどこがいいかと言うレベルになります。③はネット上の見知らぬ人からの情報ですから信憑性が問題で業者のねつ造を警戒する必要があります。②は最も出所が怪しく、主治医の推奨する治療選択肢を押しのけてそちらを信用する人が少なくないのは治療者としてははなはだ残念でした。化学療法を受ける心構えや同様ながん種の場合は参考になるのですが、胃癌と大腸がん、乳がん、リンパ腫などは治療法も効果も使う薬剤も全く違います。それなのにちまたにあふれる①②③はその種類の違いをほとんど考慮せず一緒にして利点を述べていることが圧倒的に多いのです。一方まともな医学の世界ではがんの種類が違ったらその効果も全く違うことを前提に臨床試験をやり直します。それどころか同じ治療法でもがんの種類の違いで副作用の違いが出ないかどうかも当然検証します。その試験に協力してくれているがん患者さんは数百人から数万人に上るのです。この圧倒的な人数を持って個人的な体質、環境、治療担当者の違いによるブレを誤差程度にしか考えなくてもいいため、同じ進行度のがんの患者さんには自信を持って標準治療(効果の証明された代表的治療)を選択肢として提示できるわけです。その手間、コスト、時間をかけて作り上げた実績に対抗できる民間療法は存在しません。宝くじを当てるのと同じですから、本当に治療法が潰えた時に考慮する価値があるかどうかを検討するのが無難だと思います。