第9回東京支部会(NPO法人宮崎がん共同勉強会)
時間:2016年9月24日(土)14時から3時間土曜日14時から東京都新橋周辺で開催予定。

2016年10月15日土曜日14:00~(2時間)宮崎善仁会病院院内がんサロンを開催しますが、院外のご興味ある方も参加できます。事前に当方にメッセージをいただけるとありがたいですが、当日参加も可能です。

2016年10月8日土曜日、13:00より宮崎市郡医師会病院講義棟で第79回宮崎がん患者共同勉強会を開催します。今回のテーマは「がんの不安を軽くする三つのコツを伝授します」です。
当日は12時頃から患者さんだけの気軽なおしゃべり会を開いてますので、初めての方も気軽にご参加ください。
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2016-09-20 18:28:07

質問と回答: 初回抗がん剤治療は入院治療でなくていいのか?

テーマ:質問と回答

露草さんからのコメント2016-09-02
質問を記事に取り上げて頂き有難うございました。
癌患者になってしまったからには、客観的な視点が自分を救う(かもしれない)と思い、勉強を始めましたが、抗がん剤治療は調べれば調べるほど、奏効率やら無増悪生存期間やらが立ちはだかってきて、これは一面、答えの無い治療だなあと思いました。別の面から見ればいろいろな可能性の追求の治療でもありそうですが。
sho先生が懸念されている「正しさ」は、患者には辛いものです。一部の腫瘍内科医の方が、「副作用は個人差がある」と言いつつ、初回の抗がん剤の入院治療を全面否定しているのも気になっています。私の抗がん剤治療の副作用は、自宅で我慢できる範囲に収まっていますが、入院中に手術の予後に出た症状の治療では、通常使われている薬が合わず悪心に苦しめられました。主治医は非番で、病院は休日体制、看護師さんは「変ですねえ。聞いてみます。」で時間が過ぎました。自分の状態を確実にその日の治療責任者に伝えて貰うために、点滴で投下される輸液・薬液の順番、量、名前、症状が出るまでの時間を苦しみつつ記録し、繰り返し訴えて、漸く別の手段を検討して貰い、安静を得ることが出来ました。入院患者も交渉術を駆使する必要が有るんだなと何だか可笑しくなって、ぼうっとした頭で一人笑っていました。
これから、若い医師の方々も腫瘍内科医となっていかれるのでしょうが、術後の痛みに苦しむ患者、薬が合わなくて何ℓも嘔吐し、吐き気に苦しむ患者を山ほど見た方が、腫瘍内科医になって下さる事を願っています。
sho先生を始め、日本各地で、より良い医療・治療を目指して奮闘している先生方に敬意を表します。
プログの中で見つけた言葉です。「患者は医師に治療をして貰いたいのです。」医師と看護師と患者の共同作業が上手く回った時、病者である患者も平穏な心を得るかもと思っています。患者も患者としての努力が重要ですね。


前回に続いて回答させてもらいます。
コメント欄でも良かったのですが、長くなるので別記事としました。
最近はがん治療を解説するブログやニュースも増えたので、このブログも少し視点を変えて、患者さんと医療者の考え方や背景の違いに焦点を合わせていこうと思います。

さて今回の質問での注目点の解説をします。


・一部の腫瘍内科医の方が、「副作用は個人差がある」と言いつつ、初回の抗がん剤の入院治療を全面否定しているのも気になっています。


→どの腫瘍内科医の発言かは定かではないのですが、今までの抗がん剤治療と、今のこの業界の流れから推測してみます。
かつては手術できないような進行がんの場合、入院したまま亡くなるケースもよくありました。がんの病名告知も一般的ではなく、外来通院での支援環境も整っていなかったからです。
抗がん剤治療をやるにしても、点滴の抗がん剤が多いことや副作用コントロールが未発達であったことから、やはり長期の入院治療が普通でした。
ところが、新規制吐薬の登場など副作用緩和のための支持療法の発達し、5FUの2〜5日にわたる持続点滴投与が静注ポートを介しての在宅投与、あるいは経口薬への切り替えが進むようになって、かならずしも入院でなければ治療できないものではなくなりました。
抗がん剤の副作用は100種類以上あるのが普通ですが、その頻度と出現時期はさまざまです。
一番怖いアナフィラキシーショックという抗がん剤投与に伴うアレルギーは投与中に起こることがほとんどですが、頻度はわずかです。


制吐剤の予防的投与が一般的になって、数日続く吐き気はかなりコントロールされるようになり、投与翌日以降に出てくる副作用としては、全身倦怠感や食欲不振などがあります。悪名高い白血球減少による感染症は1週間後以降に出てくる可能性が高いです。
1週間後以降に出てくる副作用もたくさんありますが、出現して病院受診すれば対応が間に合うことが大半です(そこで予定外でも患者さんが病院受診しようとするかという問題はありますが)。


たしかに腎障害予防のための大量輸液が必要なシスプラチン投与や造血器腫瘍や一部の固形がん(精巣腫瘍など)での強力な化学療法(抗がん剤治療)で根治が可能な場合は入院治療を必要します。


しかし今の時代、それ以外では総じて初回外来治療が可能となっています。
じゃあ全例初回から外来化学療法が可能という意味で前述の腫瘍内科医が主張していたのでしょうか?


私見としては恐らく違うと思います。
なぜなら、高齢者や合併症のある患者さん、基礎体力が弱い患者さんというのは副作用が出やすく、初回から2割ほど減量して治療開始することもあるからです。
やってみないと副作用がどれほど出るかわからないのですが、元気な患者さんほど副作用が出にくいという常識があります。

となると、いくら外来化学療法が普及しても、高齢な患者さんが増える一方ですから初回は入院して慎重に開始したいと思われる患者さんは一定数います。


それでは上記の腫瘍内科医が「初回の抗がん剤の入院治療を全面否定」している背景はどういうことかというと、おそらく比較的若い患者さんが多い乳がんや婦人科がん患者さんの化学療法を念頭に置いている可能性を考えました。
つまり状態の悪い患者さんでも初回から外来化学療法で、というより、若くて元気な患者さんも含め、全例初回化学療法は入院で、という風潮に一石を投じられているのだと思います。
腫瘍内科医は、治療に対する考え方だけでなく、その所属する施設により、がん種、年齢層などの治療対象者層がかなり違っていることや、その病院の治療環境の事情もありますね。

 

次回はまた続きの疑問点の回答をおこないます。

 

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当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

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セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。
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開催概要
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2016-08-31 19:49:09

質問と回答: 抗がん剤治療が何故、怨嗟・恐怖・後悔のもとになるのか?

テーマ:質問と回答

元横綱・千代の富士の九重親方の膵がん治療についての考察 のコメント欄より
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-12190607508.html
露草さんからの質問
1 ■抗がん剤治療が何故、怨嗟・恐怖・後悔のもとになるのか。
 はじめまして。下行結腸癌3bリンパ節転移7、手術後、標準治療で補助化学療法中の患者です。主治医は外科医ですが、検査の値を見つつ、減薬、休薬、副作用対応薬、漢方薬等、患者の私の様子を見つつ対応してくれています。白血球数が下がりやすいので。
 この病気になって、自分の状態を知っておくために、いろいろ調べていて、こちらのプログに行き当たりました。過去記事から現在の記事に至るまでいろいろ読ませていただき、学習し、参考にさせていただいております。
 他の腫瘍内科医の方々のプログを読むと、時に科学者の実験記録でも読んでいるような気がする時があります。病者のことを思ってはいるのでしょうが、伝わってこないのです。実際に見て頂くと、また違うのかも知れませんが。
 sho先生は、患者の痛みをどうするかからプログを始められたように思いますので、「治らない病気」ということをどう患者に理解させていくかという論の時も「医師もいろいろ苦労がお有りだなあ。」と思いましたが、理性的に自分の病気にに向き合っている患者も、また、別の面では悩み深い病者でもあるのです。抗がん剤治療に患者から怨嗟の声があがるのも、一部の腫瘍内科医のあまりにも科学者的な態度にも一因はあるのではないでしょうか。




興味深い質問を受けたのでブログ記事とさせてもらいます。

固形がんは切らなければ治らないというのが常識でしたから、かつてがんは外科医の病気とされてきました。

しかし最初から切除不能、あるいは術後再発の場合は、手術できなくても治療を担当しなければなりません。

固形がんに抗がん剤はあまり効かないという認識がありましたが、たとえ無効とわかっていても、なにもしないと患者さんから不満が出るため、抗がん剤を使わざるを得ない場合が度々ありました。
といっても副作用も怖いので、あまりきつくない5FU系の内服抗がん剤を主に使っていたわけです。

ただ患者さん側からすると結構きついため、処方されても自宅で飲まずにため込んでいることが少なくありませんでした。
そのため主治医側は意外と副作用も少なく、継続できるものだと勘違いしていることもありました。
患者さんにとっては通院治療していること自体が重要だったのです。

ただし製薬会社が儲かるためだけなので、クレスチン(これは5FU系ではなくさるのこしかけというキノコが原料で副作用も効果もほとんどない)は単独投与は不可となりました。

内服抗がん剤は医療側もあまり期待していなかったのですが、皮肉にもその日本発の内服抗がん剤の効果を一部証明したのは欧米における臨床試験でした。

欧米にて統計学に基づいた臨床試験を積み重ね、着実に有効な治療法を開発出来た理由のひとつとしては、抗がん剤治療を一手に引き受ける腫瘍内科医がいたことです。

日本においてもそれまで外科医が片手間で抗がん剤治療をやっていたのを、専門医が主導する形できちんと体系づけようという気運が高まったのは1990年後半以降です。
ところが手術療法は無効ながら、抗がん剤が著効する白血病を専門とする血液内科を例外として、内科医は基本的にがんは専門外であり、化学療法を教育する指導者がほとんどいませんでした。

抗がん剤を専門としない医師が抗がん剤を使うときは、副作用を極端に恐れ、通常量より大幅に減量して投与することもよくありました。
これだと一見副作用も少なく、一旦腫瘍も縮小して結構な感じもしますが、抗がん剤で治癒可能な腫瘍では完全寛解に至るチャンスを失うことにもなります。
自分のかつての上司は「中途半端な抗がん剤治療をするぐらいなら、始めからするな」と怒っていました。

その後日本臨床腫瘍学会が発足して、エビデンスに基づいたがん薬物療法を行う専門医を養成することが目標とされましたが、これはなあなあで腰の引けた抗がん剤治療がおこなわれる現状を改善するためだったのです。

治療ガイドラインも整備され、多施設臨床試験を増やすことで、日本全体のがん治療の均てん化をめざしたことは、がん薬物療法専門医が日本全体で1000人を超えることから一定の成果をあげていると考えて良いでしょう。

しかし、エビデンスとガイドラインを強調するあまり、その治療方針をやや無理に強く押し進めようとする傾向が見られるのも事実です。

エビデンスやガイドラインによる抗がん剤治療が適切な条件を持つがん患者さんは6〜7割しかおらず、適合しない残りの患者さん(高齢者、重篤な基礎疾患を持つなど)への治療法は定まっていません。

臨床試験などで新治療法を開発することを自らの使命と思っている一部の腫瘍内科医は、こういった適合外の患者さんへ対応を苦手としている場合があります(あくまでも一部ですが)。
化学療法継続ができない患者さんに対して、こういった腫瘍内科医は(あるいは病院施設の方針によりやむを得ず)他院へ移ることを提言しています。
転院したくない患者さんの中には、主治医に抗がん剤の副作用のきつさを訴えられず、無理に我慢したりする事もあるようです。
こういったケースが抗がん剤治療の評判を悪くし、代替医療や近藤誠理論に利することになっています。

がん治療医は今までの臨床試験に協力いただいた患者さんのおかげで、標準治療を行えている一方、将来へのがん治療の発展のために、同時に臨床試験など、現在の患者さんの協力を得て、新治療を開発しなければいけないというプレッシャーを感じています。
がんセンターなどの専門病院が治療成績などの数字にこだわるのは、他の病院より設備や患者数が恵まれている環境に見合った役割を果たさなければいけないという使命感があるためでしょう。

もちろん、腫瘍内科医があまりに科学的な態度で患者さんを苦しめて良いと言う意味ではありません。

医者自身の正論が患者さんを苦しめている事実に気がついていないケースが実は多いのです。
日本の医療制度のおかげであまり高額とならないがん治療が受けられる反面、多数のがん患者さんが専門病院に集中し、診察時間が限られているため、患者さんが遠慮して率直に主治医に本当の思いを訴えないこともその一因でしょう。

医者自体日本全国に30万人以上いるわけですから、その性格や振る舞いは様々です。
また患者さんにも諸処の事情があり、理不尽な医療側の対応に不満があるケースは多数あります。

個々の事例を勘案する必要はあるでしょうが、医療者と患者さん側のどちらか一方に非と責があるというより、お互いの置かれている立場を理解しあって、最も苦痛の少なくかつ利益が共有できるような歯車を合わせる方向を探る必要があります。

そのノウハウの周知が欠落しているため、がん治療の進歩が患者さんの幸福感の向上につながっていないというのがこのブログの主張であり、がん患者会にその解決策の一翼を担ってほしいと切望しています。

参考: 抗がん剤を拒否する理由①
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-11139375788.html


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2016-08-18 20:07:46

”Yahoo!トップ『モルヒネに代わる「副作用のない」鎮痛薬を開発か』の誤り 右から左は止めて”

テーマ:有用書籍、記事の紹介
インパクトの大きさを最優先して、一般人の無用な先入観と医療現場の混乱を省みない困った医療ニュースを、第一線の緩和ケア医がたしなめ、解説してくれています。
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2016-08-15 18:09:22

元横綱・千代の富士の九重親方の膵がん治療についての考察

テーマ:膵がん
ちょっと前の話題ながら、注目されているので、このブログでも言及しておきたい。
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<医療>きょう葬儀 千代の富士が最後に闘ったがんとは
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160807-00000027-mai-soci

昭和を代表する横綱、千代の富士の九重親方が亡くなった。7日午後には東京都墨田区の九重部屋で葬儀が行われる。九重親方は昨秋、膵臓がんを公表し、闘病を続けていた。消化器がんの中では、もっとも難治性と言われる膵臓がん。
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一般的に多い膵がんは正式には膵管がんと言う。
スティーブジョブスは膵管がんではなく、膵内分泌腫瘍というやや進行の緩やかな組織型だった(比較的珍しいタイプ)。
そのため割と長生きでき、肝臓に転移しても肝移植術で延命できた。

この膵管がんが難治がんの代表となっている理由は

・通常の胃カメラでは到達できない位置にあり、また腹部超音波検査でも見えない死角がある。
・腹部単純CTでも発見が難しい場合もあり、造影CTでも万能ではない。
・検診などで膵嚢胞性疾患という前癌病変に近い状態で見つかることもあるが、がんの確定診断が得られないうちに難度の高い切除手術するのはあまりにも負担が大きい。
・膵嚢胞性疾患があるとわかっていて、がんになるタイミングで手術しようとしても予想以上の進行速度で間に合わないことが度々ある
・症状が出たころにはすでに手術不能のステージとなっていることが多く、可能と思って手術に踏み切っても、3割は腹膜播種などの転移が術中に発覚して結局切除できない。
・非常に進行が速く、しかも遠隔転移を起こしやすい性質がある
・抗がん剤も放射線治療も効きにくい

という、非常にやっかいな性質による。

この膵がんは高齢化社会と言うこともあって、決して少なくない。
そして年齢関係なく、あっという間に患者さんが亡くなるケースもめずらしくない。
抗がん剤でも20年近く前まではゲムシタビンぐらいしかなく、しかもその有効率(一時的に縮小する確率)は15%程度しかない。

しかし一時的な症状緩和効果は5割ぐらいあるので、やらないよりかはましと言った具合だ。
ゲムシタビンはあまり副作用がきつくないし、厳しい膵がんでは重要な標準治療と言えた。

その後TS-1、カベシタビンなどの新薬も出たが、オキサリプラチン+イリノテカン+5FUからなるFOLFIRINOX療法が出たことで、膵がん治療の常識が少し変わった感じがあった。

かなり強力な抗がん剤治療なので、もちろん状態の悪い膵がん患者さんへは使えない。しかし比較的元気で若い方にはゲムシタビンでほどほどの治療をするよりも、きつくてもこの FOLFIRINOX療法を頑張ってもらうと結構延命できるケースが少し増えた印象がある。

実際の患者さんを治療すると、たとえ治療はきつくても、それ以上にタチの悪い膵がんの増殖を一時的にでも抑え込めるメリットを実感できるようになった。

これは膵がんの症状(腹痛や食欲不振など)が改善し、結果として延命できるということだ。
と言っても効かない人には全く効かないのも事実。
そういった事実に絶望して抗がん剤治療をしない人もいる。

今回抗がん剤治療を行わなかった理由は治らないし、副作用のことを考えて放射線治療を選択されたのかもしれない。
ただ放射線治療というのは外科治療と同じく局所療法であり(ただしメタストロン治療は例外)、周囲に浸潤転移しやすい膵がんでは基本的に無効と考えて良い。

かつて臨床試験でおこなわれた5FUとの併用化学放射線療法で長期生存例は少数報告されているが、これも局所進行に留まっているという前提条件がある。
したがって4次元ピンポイント照射といえど、基本的には局所療法だから、全身病に等しい膵がんの再発転移には理論上無効なはずだ。
もちろんがんの局所的な圧迫症状に対して症状緩和目的で行う事はありえるかもしれない。
しかし脳転移以外の全身転移に対応できる抗がん剤治療を差し置いてまで行う理由が通常はない。

参考: 質問と回答: 転移性肺腫瘍への放射線ピンポイント照射に意味はあるか?
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-12141518982.html

そうなると抗がん剤治療を避けた理由は副作用のイメージのためかもしれない(勝手な推測なのでもちろん大外れの可能性もあるが)。
困ったことにこの抗がん剤の悪いイメージは世の中にこびりついている。

抗がん剤の副作用はきついものだが、受けた人全員がひどい目に遭うわけではない。
きっちりとした臨床試験で受けた患者さん全般の評価としては、がんによる痛みや症状よりもずっとましで、そのおかげで延命できるという結論が出ている。
もちろんひどい副作用で苦しむ人が一定以上出てくるのは事実であり、そういった方の恨み辛みの直接間接的証言が世間一般に広がりやすいのが悪印象の一因だ。
抗がん剤治療を受けてみたら、それほどきつくなかったという人も、実はかなりいる。残念ながらそういった方々はそのことを声高には言わない。
もう一つは、やはりがんにまつわるドラマや映画の誇張された抗がん剤副作用のシーンだろう。なにせ、登場人物のがん患者が苦しむシーンでないと絵にならないという制作者の勝手な印象操作が、一般人に対しての刷り込み現象を引き起こしているわけだ。

日々治療をおこなっている現場の人間として言っておきたいのは、抗がん剤治療の第一目標は副作用対策であり、効果ではない(継続できなければ意味がないので)。実際にやってみて、出てきた副作用の程度で対策をとり、継続できるよう微調整していくのが大原則だから、一発勝負ではない。
近年抗がん剤治療の発展は新規抗がん剤だけでなく、複数の有効な制吐剤など副作用対策の進歩に寄ることも非常に大きい。しかしそのことに言及している医療ドラマなどは見たことがない。

こういったバランスの欠いた噂や悪質な印象操作などで良いがん治療を受けるチャンスが減ってしまうのは大変残念だ。
これを覆すには、実際に抗がん剤治療を受けた患者さん達にもっと声を上げてもらうしかない。
これが患者会やがんサロンを推進する大きな理由の一つである。

なお、これをもって九重親方が抗がん剤をすべきであったという意見を言うつもりはない。
個別の治療の成否を持って、その推奨を決めると「○○でがんが消えた」と言った類いの書籍と同類になってしまう。
また標準治療といえど、それが仇となる患者さんは一定数いるはずで、個人の治療には個人の事情や運命があるからだ。
世間一般の方々が知りたいのは、他人の治療がうまくいったかどうかより、自分や自分の知り合いががんになったときの確率的に有利な治療法ではないだろうか。

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2016-08-04 17:08:39

2016年臨床腫瘍学会ポスター発表

テーマ:有用書籍、記事の紹介
2016年7月29日に神戸で開催された日本臨床腫瘍学会においてポスター発表しました。
通常この手の学会発表は専門的すぎて、一般の方にはわかりにくいものです。
しかし今回の内容は多少平易であり、がん患者さんと一般の方にも密接につながるものなので、紹介させてもらいます。
また患者会やがんサロンを続けることも大事ですが、医療者への報告と広報、推奨も重要です。

エビデンスの追求や治療成績だけに没頭するがん治療医もいますが、患者さんの幸福とコミュニケーション(ラポールと言い換えても良い)につながるこういった活動にも興味を持っていただきたい。
がん治療医が患者会に出席すると患者さん達に大変喜ばれます。

外来診察室の緊張感から解放されたもう一つの治療の場と考えてほしいです。
ちなみに当方は義務で患者会に参加しているのではありません。

色々な発見とインスピレーションが得られ、自分のストレス発散につながるから参加させてもらっているのです。つまりは自分が救われている部分がかなり大きいと感じています。




今回は新刊の目次を掲載しました。

孤独を克服するがん治療〜患者と家族のための心の処方箋〜/サンライズパブリッシング

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----------------目次-------------
はじめに〜この本を読み進める前にどうしても解いておきたい「がん」の誤解〜
39個のQ&A
第1章 がんを告知され、受け止めるために
1 告知を受けましたが、現実感がありません 
2 余命3ヶ月と言われて、目の前が真っ暗です
3 生きる気力を取り戻したいです
4 死ぬかもしれないと考えると、恐ろしくてたまらなくなります
5 死んだあとのことは考えないほうがいいでしょうか
コラム「ステージⅣのがんを5分で理解する!」

第2章 がんに立ち向かうために
6 治療のためには仕事を辞めないといけませんか
7 以前の体に戻ることができないのなら、つらい治療は受けたくありません
8 がんについて調べたくても、どこから手をつけたらいいかわかりません
9 抗がん剤治療には、いいイメージがありません
10 抗がん剤治療が苦しくて耐えきれません
11 定年して子どもも独立しています。もう苦しい思いをしてまで治療しなくてもいいのでは
12 効果がないかもしれない治療を続けるべきですか
13 最先端の治療を受けられる病院に行きたいです
14 代替医療にも効果があるのではないでしょうか
15 見舞いに来る友人たちの健康さが疎ましいです
コラム「免疫力と免疫療法」

第3章 患者の家族ががんに向き合うために
16 家族からは以前と変わらず元気に見えるのに、がんだなんて信じられません
17 本人以上に家族が動揺してしまっています
18 がんになったのは、家族の責任でしょうか
19 家族の看病のため、離職しようと思っています
20 治療にはどれくらいお金がかかるのでしょうか
コラム「がん患者会とがんサロン」

第4章 患者と家族がよりよい関係を築くために
21 心配させたくないので、家族には黙っていようと思います
22 付き添ってくれている家族の疲労が心配です
23 幼い子どもに、がんのことをどう伝えればいいですか
24 がんについて本人が調べた結果、かえって絶望してしまったようです
25 生きる希望をなくして、どんな話をしても落ち込んでしまいます
26 家族にすまないと思っているのを和らげてあげたいです
27 「どうせ治る見込みはないんだから、殺してくれ」と言われました
28 「安楽死させてくれる病院を探してほしい」と言われました
29 「僕のことはもういいから、新しい人生を歩んでくれ」と言われました
30 万一に備え遺産相続の話をしておくべきですか
31 若くしてがんになった人をはげましたいです
32 高齢の親ががん治療を望んでいます。治療すべきでしょうか
33 認知症患者ががんになってしまったらどうすればいいですか
34 遺族が、罪悪感にさいなまれています
コラム「がんにならない食事」

第5章 医者や病院とよい関係を築くために
35 医者が何も説明してくれません
36 主治医に自分の苦痛をわかってもらえません
37 主治医とのコミュニケーションがうまくとれません
38 主治医がセカンドオピニオンを嫌がります
39 本人が在宅医療を希望していますが、家族としては不安があります
コラム「もう治療法がない」

あとがき
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なお、本を読まれた方は、自分が読みたかった、あるいは説明が不足しているQ&Aをお知らせください。
次回著作、あるいはこのブログで補足説明記事にできるかもしれません。

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2016-08-01 18:19:28

質問と回答: 抗がん剤で大腸がん肝転移が消失した場合治療を続けるべきか?

テーマ:質問と回答

中川健二さんからの質問
抗がん剤後の治療について
sho先生質問があるのですが、70歳の母が去年大腸癌で手術ステージ3でUFT補助化学療法、半年後肝転移(1センチ4個)1月からFOLFOX+ベクティビクス減薬なしで8クール終了。
4クール後8クール後画像診断で転移巣消失他転移なく主治医から
①今の抗がん剤続ける
②飲み薬に変更する
③一旦抗がん剤をやめる
どの選択いいのか迷いまして先生の意見をお願いします。


当方の回答
いつものように限られた情報をものとに推測しながら考察します。
大腸がん術後再発でステージは3から4になったと言うことですね。

大腸がんの場合、腫瘍としての性質が比較的おとなしいことがあるので、特に今回の場合のように1センチ4個だけであれば、ステージ4でも肝転移だけの場合は、肝転移切除に踏み切ることは珍しくありません。
それを選択しなかった理由を推察すると、

1.小さい転移であっても肝臓全体に散らばっていて、あるいは肝臓の部分切除だけでは完全切除にならない場合
2.4つ小さい転移巣は見つかっても、まだ怪しい小さい肝転移がありそうな場合
3.実は肝臓以外に転移がある場合

などが考えられます。
要は身体の負担の大きい手術に踏み切るのなら、その手術で完全に治癒できる見込みが前提となります。

その条件が満たされなければ、化学療法で腫瘍を縮小させる方針となります。
しかし固形がんの場合、抗がん剤で運良く腫瘍が縮小し、画像上見えなくなっても、顕微鏡的には腫瘍が残存していることがほとんどです。

となると1.の場合でもあってもなかなか手術に踏み切れないこともあります。
ということで、手術に踏み切れない理由を主治医に確認しておくことをお勧めします。

腫瘍が生命と症状に直結するのはその大きさと場所ですが、腫瘍量が少ないと生命の危機はすぐには迫ってきません。
その場合、あまりきつい化学療法を継続していると、長期的には抗がん剤の副作用でへばってしまうので、主治医は治療法をどうしようかと考えておられるのだろうと推察しました。

今までの臨床試験では、大腸がんにおいて腫瘍が縮小しても、完全に抗がん剤なしで様子みるより、5FUだけの軽い抗がん剤だけを継続したほうが、少し長期成績が良いことが判明しています。
内服抗がん剤はおそらく5FU系統でしょうから、同等と考えます。

FOLFOX+ベクティビクスも長く続けるときつくなる治療ですから、経過が良いのなら、少し手綱をゆるめるのは長期的戦略として妥当でしょう。

ただここでコメントした内容は、集団としての大腸がん患者さんを対象とした考察です。
最も優先すべきは患者さん個人の身体状況と価値観です。
ここではそれを知識面で補完する助言だと考えてください。
どんな妥当な意見でも、結果がどうなるかは「運」による部分も大きいですから、最終決定は患者さんご自身と家族がなされるほうがいいでしょう。

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第8回東京支部会(NPO法人宮崎がん共同勉強会)
がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。
当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。
場所: 東京都新橋周辺
時間:2016年8月27日(土)14時から3時間

開催概要は以下のリンクをご参照ください。
https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/
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2016-07-29 07:40:02

【孤独を克服するがん治療】の感想をいただきました

テーマ:有用書籍、記事の紹介

早速、ご感想をいただきました。
卵巣がんステージIV 化学療法後経過観察中の方です。
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【孤独を克服するがん治療】読みました。
各質問項目ごとに詳しく回答され、方向性も書かれていました。さらに項目ごとに役立つ本が解説付きで紹介されてました。分かりやすく読みやすいので、がんを告知された方や、家族、友達など、読んでみたらいいかなと思います。

がんになった時の気持ち、思い、受け止め、学び、向き合い方等々、私のこれまでの経過過程で、共感出来る事が多かった。入院中、主治医との関係が最悪だった私が関心があった 第5章。興味津々 なるほど…でした。紹介されていた「もしも、がんが再発したら ~本人と家族に伝えたいこと~」再発に備えて、この本は購入しよう。

知りたかった事の答えは見つからず…。
がん闘病中、友達に「どう接したらいいか分からない」と言われた事。社交辞令の返答でがんを患ってるだけで遠ざけられた事。友達が皆 協力的に支えになってくれる訳じゃないって事は、がんになって学んだ事のひとつ。がん仲間にも、同じ思いをした人がいる。
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当方からのコメント

早々のご感想をいただき、大変ありがとうございます。この本でカバーできている部分はほんの一部でしかない当初からわかっていたので、とても参考になります。次作があるとすれば、不足している部分を検討したいと思います。

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上記コメントを受けてのお返事

一気に読んでしまいました。癌患者が知りたいと思っている事が、とても分かりやすく書かれていました。共感しながらアッと言う間に読み終えました。参考になる書物は解説もあり、有り難かったです。早速 何冊か注文しました。押川先生のこの本を、がん告知された方や家族に教えます。この本を読んだ方が、主治医の言ってることより分かりやすいし、主治医に何を聞いたらいいのかヒントになると思います。第5章は、一番知りたかった事です。ありがとうございました。
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以上、本人からの転載許可を得て、引用しました。

孤独を克服するがん治療〜患者と家族のための心の処方箋〜/サンライズパブリッシング

¥1,620
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2016-07-26 18:37:03

”待ち望んでいた本が出ました 「がん治療の虚実」のsho先生の『孤独を克服するがん治療』”

テーマ:有用書籍、記事の紹介


大津秀一先生、ご紹介有り難うございます。当方は大津秀一先生の著作「死ぬときに後悔すること25」と「間違いだらけの緩和薬選び」に大変刺激を受けて、背中を押されました(笑)。
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2016-07-23 09:03:02

序文を転載: 「孤独を克服するがん治療」

テーマ:有用書籍、記事の紹介

今回は参考までに序文を転載します。

孤独を克服するがん治療〜患者と家族のための心の処方箋〜/サンライズパブリッシング

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はじめに〜この本を読み進める前にどうしても解いておきたい「がん」の誤解

 近年、がんに関する報道が非常に多くなっています。テレビや新聞などでは毎日のように、最新のがん治療や芸能人のがんを報じているほどです。

 なぜ、がんという病気はこれほどまでにメディアに注目されるのでしょうか?

 ひとつは、がんの罹患率の高さでしょう。

 今や日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで死ぬといわれています。ご家族や知人ががん治療を受けている、あるいはがんで亡くなったという方も少なくないでしょう。おそらくこの本を手に取られた方も、ほとんどががん患者ご本人、あるいは身近な方だと思います。

 もうひとつは、「がん」のブランド化です。

 がんは劇的な展開を見せる病気であるがゆえに、さまざまな映画やドラマ、小説などで題材にされています。悲劇的かつドラマティックに描かれた結果、人々はがんという病気に対する固定概念を持ってしまいました。だからこそ、ニュース記事などでがんが取り上げられていると、人々は「ドラマ」を期待して興味を持つのです。

 しかし、映画やドラマはあくまでもフィクションです。

 画一的なレッテルが貼られた結果、がんに対する大きな誤解が生まれてしまいました。その誤解の最たるものは、「がん=死に至る病」という思い込みです。

 がんは部位によって、経過がまったく異なります。図のように、乳がんと肝臓がんでは5年生存率が3倍近くも異なるのです。

がんの10年生存率解説


 一方、10年生存率を見てみると、乳がんと肝臓がんは生存率が下がり続けるのに対し、大腸がんと胃がんはほぼ横ばいになっています。薬物療法の効果の出やすさや再発率によって、これだけのばらつきがあるのです。

 もちろんこれは患者集団としての数値であって、人それぞれに経過はまったく異なります。末期がんと診断されても、長年生きる患者さんもいらっしゃるのです。がんは人によってまったく異なる病気であり、「がん=死」というイメージは思い込みに過ぎません。

 私はがん治療医として、20年以上にわたりがん患者さんと接しています。

 また、勤務医としてできることに限界を感じ、NPO法人宮崎患者共同勉強会を設立してがん患者さんの不安や要望に正面から対応してきました。

 この勉強会で、患者さんたちはさまざまなことを教えてくれます。「がん=死」というイメージにとらわれて悲観的になっている方もいれば、病院への不満をお持ちの方もいらっしゃいます。がん患者さんの心の声を、直接聞くことができるのです。

 また2010年からブログ「がん治療の虚実」でも情報発信を続けています。

 この活動を続ける中で、私は繰り返し質問されるがん治療の本質的な疑問に答える本が必要だと考えるようになりました。

 本書では、実際にがん患者さんやその家族から寄せられる質問を厳選しました。その上で、ひとりのがん治療医として医学的妥当性を保ちつつ、患者さんの心情に寄り添ったアドバイスを綴っています。

 しかし、がんの情報は膨大で、各個人の医療事情も様々ですから、全てを解説することは不可能です。

 がんと診断されても、どの臓器なのか、がん組織型、ステージ(進行度のことI〜Ⅳまであって、Ⅳは遠隔転移があって根治が難しい、ただし末期とは違う)、どの治療を選択するかなど、多数の情報が説明されます。

 がん告知されたばかりだと、聞き慣れない領域の説明がよくわからないのは当然のことでしょう。

 最終的には理解は可能なはずなのですが、時間的、心理的余裕がないときには無理なのです。となると、やるべき対策は決まってきます。

・家族など数人で話を聞いて、聞きもれ、理解不十分な部分を補う

・説明を録音させてもらい、繰り返し聞く

・治療選択時など再度、追加の説明があるときまでに、前回説明受けたキーワードを、ネットや紹介した書籍で調べ、疑問点をメモして説明前に主治医へ渡しておく

 確かに面倒くさくて、全て主治医に任せたくなるでしょう。

 しかし後々、いろいろなアクシデントが起こりえるのががん治療と言うものです。

 面倒でもじぶんで「なぜ?」と考える習慣が付いている人ほど、がん治療の問題解決能力が備わってきますから、将来きっと良い見返りがえられるはずです。

 そこで思いついたのが、各質問項目に詳しく回答し、方向性を示した上で、さらに学びたい読者に役立つ本を解説付きで紹介する方法でした。

 今では書店に多数のがん関連書籍が山積みになっています。これらは役に立つ本もありますが、現場のがん治療医から見るとどう考えても有害な本や、商売のための本、医療不信をことさら書き立てる本が見分けが付かない状態で置かれています。

 昔のがん治療は各病院でまったく違った方針となっていたのが普通でしたが、今は医学的根拠に基づいたがん治療ガイドラインが普及し、治療レベルはかなり均一化しています。

 一方、書籍の世界はガイドラインどころか、何の制限もないため、だれでもどんなウソでも書きたい放題です。しかし体裁の整った本になると、読者には一見まともそうに見えてしまうものです。つまり、がんについて調べるためには、今や書店は危険地帯と言っても過言ではない、ということなのです。

 そこで怪しい本を避けるため、本書では各項目ごとに、がん治療に本当に有益な一般の方向けの本を厳選して紹介しています。有害な本の見分け方も記載しており、がん関連書籍のブックガイドとしてもご活用いただけると思います。

 選書にあたっては、がん情報だけでなく、患者さんが今後自らレジリエンス(逆境力、折れない心、回復力、復元力、立ち直る力とも表現されます)を獲得できるような方向づけを心がけました。

 がん告知を受けたばかりの方、治療中の方、がんとつきあうあらゆる方のお役に立てば幸いです。

 またがんと診断された友人への勇気づけのプレゼント本としてもご活用ください。



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第8回東京支部会(NPO法人宮崎がん共同勉強会)
がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。
当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。
場所: 東京都新橋周辺
時間:2016年8月27日(土)14時から3時間

開催概要は以下のリンクをご参照ください。
https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/
2016-07-21 18:58:50

初単独出版本の紹介: 孤独を克服するがん治療

テーマ:有用書籍、記事の紹介
がん患者会を立ち上げてすでに7年、「がん治療の虚実」ブログを始めて6年たちますが、このほどようやくがん患者さん向けの本を出版することになりました。
Amazonでは7月27日に発売となります。
3年以上も前からブログそのものを書籍化する構想はあったのですが、テーマと対象読者層の選定が難しく、結局新たに書き下ろすことになりました。

孤独を克服するがん治療〜患者と家族のための心の処方箋〜/サンライズパブリッシング

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---------以下アマゾンのページより引用-------
内容紹介
「がんに立ち向かうにはどうすればいいか?」 健康なときにはなかなか意識しないこの問題は、 いざがん告知を受けたとき、あるいはがん治療をスタートしてからも、 患者やその家族を大いに悩ませる。 そして、悩み抜いた末に「孤独」におちいってしまう人も少なくないのだ。 しかし、「孤独」なままでがんに立ち向かうことは難しい。 そう語るのは、腫瘍内科医として約20年にわたりがんと向き合ってきた著者だ。 病院、主治医、患者会、支えてくれる人たち――さまざまな存在とのつながりが、 がん患者に希望を与えてくれる。 「がんを告知され、受け止めるために」 「がんに立ち向かうために」 「患者の家族ががんに向き合うために」 「患者と家族がよりよい関係を築くために」 「医者や病院とよい関係を築くために」 本書では5つのシチュエーション別に、がん患者やその家族から寄せられる疑問、 あるいは医師の目から見た「がん患者が抱えやすい悩み」に対してアドバイスをする。 がん治療の実情、誤解されがちな医療のトピックスにも触れつつ、 「孤独」から抜け出すための「心の処方箋」を詰め込んだ、 がん患者とその家族にとって必携の一冊。
出版社からのコメント
がん患者さんやそのご家族の「心」の持ち方は、 治療そのものと同じくらい大切なものです。 しかしながら、多くの人は「がん」という事実にショックを受け、 大きな不安を抱えてしまいます。 本書はそんなときにどうすればいいのか、どう考えればいいのかを教えてくれる、 「心」のガイドブックといえるでしょう。 長年現場でがん患者と接してきた著者だからこそ言える、 がんを前向きにとらえ、「心」を強く保つためのヒントが満載の一冊です。
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がんに対してはさまざまな出版物がありますが、この本を一言で言えば、「がんに対する患者さん向け戦略本」と言ったところでしょうか。
次回以降、前書きや目次、この本の活用術について紹介したいと思います。

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第8回東京支部会(NPO法人宮崎がん共同勉強会)
がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。
当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。
場所: 東京都新橋周辺
時間:2016年8月27日(土)14時から3時間

開催概要は以下のリンクをご参照ください。
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