NPO法人宮崎がん共同勉強会 第6回東京支部会が2016年6月11土曜日11時から東京都新橋周辺で開催。
会場など詳細についてはこのブログで告示しますが、参加希望者はメッセージ機能で当方に事前連絡を御願いします。当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

2016年6月18日土曜日、13:30より宮崎善仁会病院院内がんサロンを開催しますが、院外のご興味ある方も参加できます。事前に当方にメッセージをいただけるとありがたいですが、当日参加も可能です。

2016年6月25日土曜日、13:00より宮崎市郡医師会病院講義棟で第74回宮崎がん患者共同勉強会を開催します。今回のテーマは「がん治療にまつわる誤解はこんなにある」です。
当日は11時30分頃から患者さんだけの気軽なおしゃべり会を開いてますので、初めての方も気軽にご参加ください。
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2016-05-02 19:52:10

質問と回答: 主治医が緩和ケアチームへのコンサルトをいやがる場合どうすれば良い?

テーマ:質問と回答

もう20年ぐらい前、自分が医学生の時、大学病院の教授回診ですごい光景を目撃した。

研修医の主治医がベッドサイドで受持患者の病状を説明していた。
もともとその内科教室(各科の医局のことを指す)の専門分野の疾患の精査目的で入院したのだが、入院中に別の内分泌疾患(ホルモン産生下垂体腫瘍など)が見つかった。
その内分泌疾患領域は別の内科学教室が専門的にやっているので、そちらにコンサルトしましたといった旨を主治医が教授に説明したところ、その教授は突然英語でその主治医を罵倒し始めたのだ。

もちろんその場にいる患者さんにはわからないように英語に切り替えたわけだが、急に緊張した雰囲気になった場面で患者さんはきょとんとしている。
要は「他の内科学教室に頼るとは何事だ!なぜ君やうちの内科学教室で診きってやらないのだ?」という叱責だった。

大学病院では各専門領域の疾患の研究診療をおこなっているが、患者さんによってはそれから外れた疾患や症状を持っていることがある。
そういった場合、医師は患者さんのために専門外であっても、時間外であっても無条件に問題解決に当たることが当然という意識を持っている。
パターナリズム(父性主義)といって、医師が患者さんのためなら、ほとんどすべてにおいて良い方向となるような決定をして当たり前、という考え方が昔からあるのだ。
医師の独断の様にも見えるが、難しい理論や判断は患者さんに説明しても理解できないから、患者さん側としてもかえって任せたほうが安心で楽だということが伝統的に受け入れられてきた。

自分は医師国家試験合格後、その内科学教室に入局した。
その後外部の関連病院に派遣されていたが、15年ぶりにその大学病院の内科学教室にもどったときは驚いた。
あれほど自分の教室で患者さんのすべての病気を診ると言う方針だったものが、専門領域の以外の余計な検査はするなと言う方針に変わっていたからだ(まだ同じ教授がいたというのに)。

これは高齢化が進み、複数の疾患を持っている入院患者さんが増えたこと、大学病院の入退院ベッドの回転速度を早め、入院期間が長くならないよう上から圧力が高まったことなどがその要因だろう。

専門領域関係なくすべて任せてくれと言う古い診療スタイルは

・サービス精神
・病気は治すものだ

という土台からなっていた。
ところが最近は専門化が極端に進んできたため、専門外の事にはあまり関わりたくないという意識が出てきている。
また抗生剤で感染症を治す、あるいは手術で完治を目指す病気より、生活習慣病のように病状をコントロールして病気と折り合って生きていく場面が多くなったため、短期決戦ではすまなくなってきた。

近年セカンドオピニオン外来というものが広がってきたが、主治医がいい顔をしないとか、あるいは申し訳ない気がして、患者さん側からはなかなか頼みづらいとの声がある。

セカンドオピニオンのための紹介状を書いてほしいという患者さんから頼まれたとき、主治医は医師自身の度量とサービス精神が否定されたような感覚に襲われて、ついむっとした顔つきになるのかもしれない。

しかし今の時代、主治医の力量の範囲で患者さんの病状と不満をすべて解決するのは難しい。
したがって、セカンドオピニオンへ紹介希望があれば、すぐに承諾してくれる医師が今後増えてくるものと考えられる。上記のようにいい顔をしないかもしれないやや古いタイプの医師は徐々に減っていくだろう。

同様な構図で主治医に緩和ケア外来あるいは緩和ケアチームへの紹介依頼というものがある。

ここで4月9日の共同勉強会東京支部で出た話題を紹介する。

がん症状緩和が不十分と考えられ、患者さんが主治医に緩和ケアチームへの紹介をお願いしても、いい顔をしない医師がいる。
特に年長でベテランの医師。
患者会ではそういった融通の利かないベテラン医師が自然淘汰あるいは引退するまで待たなければならないのか?と言う意見が出ているらしい。

最近、診断時からの緩和ケアが重要と言うことは、厚労省が主導する緩和ケア研修会でも強調されている。
従来緩和ケアと言えばターミナルケアつまり終末期患者さんへの医療とされてきたが、診断時から緩和ケア外来の併診があった場合は、抗がん剤治療がよりうまくいって予後が改善するという報告が出てきた。
そのため病院長などの管理者も受講するよう勧告がなされている。

多くのがん患者さんを抱える病院では担当医が多忙で、患者さんとなかなかコミュニケーションをとる時間がない。
そのためお互いの意思疎通に問題が生じやすい。医師は限られた時間で、できるだけの事をして患者さんの治療をうまくいかせようと頑張っている一方、患者さんはそんな多忙な主治医の状況を見て、なかなか時間をとって相談がしにくい。
医師が考えている治療戦略の背景と、患者さんが優先したい価値観の背景を、お互いが十分知らないが為にすれ違いが生じていることで、不満がたまりやすいのだ。

その問題と解決法については、ここではリンクを提示するかわりに、あまり深入りしないが、次のように回答した。
ーーーー参考リンクーーーーー
大腸癌化学療法のつらさをどう伝えるか
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-11412767448.html

質問: 病院の対応がわるいのはなぜ?
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-11478473690.html

患者さんのための乳がん診療ガイドライン④上手なコミュニケーションとは
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-11033487372.html

ーーーーーーーーーーーーーー

一見融通が利かない様に見える医師も、長年の経験を元にした信念を持ち、治療医としてがん治療の進歩について行こうとしている。
実際がんの診療というのは常に進歩しているが、医学的妥当性だけでなく、患者さんの価値観を知った上で満足度も考慮しなければならなくなってきている。

となると患者さんが要望した緩和ケアコンサルトを渋る場合は、説得あるいは誘導する必要があるだろう。
それがうまくいかなくても、患者さん側はみんなで結託してあの手この手で働きかけ続ける必要がある。
というのは、そうしないとそういう患者さん側のニーズが増えていると言う事に担当医が気付くのが遅れるからだ。
ここで大事なのは----
・自分が一番困っている事、気にしている事とその理由を箇条書きにして、事前に手紙として郵送しておく事。
・あるいは事前に受付にその手紙を渡しておいて電子カルテにスキャンしてもらうともっと良い(握りつぶししにくくなる)
・看護師や薬剤師に事前に渡しておいて、手伝ってもらう事も有効。-----

確かに主治医の機嫌を損ねる、あるいはいやな顔をされるのは気分の良いものではない。
しかし、これは患者さん自身の今後の治療の快適さだけでなく、これから治療を受ける患者さん達に多大な影響を与える大事な「社会貢献」なのだ。

そしてそれは、当初いやな気分になった主治医にとっても、長い目で見るとがん治療をうまくいかせる、あるいは患者さんから感謝されるという大きなメリットを享受できる事になる。

誤解を恐れず表現すると「患者さんは主治医を教育する義務がある」と言っても良い。

医療関係者には反感を買うかもしれないが、この真意は結局医療関係者だけが一生懸命努力してもうまく行かないし、患者さんも努力して両者の関係性を改善していかないと最善の治療とならないからだ。

相手を変えようとしても変えられない事が多く、それは大変なストレスとなる。
しかしその相手との「関係性=つきあい方」は変えられると言う意味ととってほしい。


ーーーーーーーーーー
NPO法人宮崎がん共同勉強会 第5回東京支部会開催告示

がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。
当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。
ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。

セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。

事前に人数確認が必要なので、参加希望者はメッセージ機能で当方に1週間前ぐらいまでに事前連絡を御願いします(連絡先記入はアメブロで禁止されています)。

時間:2016年5月14日(土) 14時から3時間ほど
場所: 東京JR新橋駅近くの会議室

参加費用: お飲み物代含めて1000円

開催概要は以下のリンクをご参照ください。

https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

今後は基本的に毎月開催する予定です。第6回は6月11日土曜日11~14時の予定です。

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2016-04-23 16:40:33

ロキソニンの副作用報道について

テーマ:患者医師間の意思疎通問題

先日共同勉強会東京支部会で、食道がんの骨転移で痛みのコントロールに苦労している患者さんがいた。
徐放性(長時間作用)医療用麻薬のオキシコンチンを増量して対応しておられたが、ロキソニンの副作用報道が気になって、一日3回定期内服を1回ぐらいに減らしているという。

報道で自分が使用している薬剤の危険性を知ると心穏やかでなくなってしまうのはよく理解できるが、これは以下の点でまずい。

①ロキソニンを始め、NSAIDs(非ステロイド系解熱鎮痛薬)という系統の薬剤は非常にたくさん出回っている。バファリン(一般名アスピリン)、カロナール(一般名アセトアミノフェン)など数え切れないほどあるが、その副作用も同様なものが百種類以上とっくの昔に報告されている。いやそれどころか総合感冒薬も同様に非常に多数の副作用は知られている。薬剤の添付文書を見ればすぐわかる。

NSAIDs(非ステロイド系解熱鎮痛薬)の頻度の高い副作用としては胃潰瘍、胃痛がよく知られているが、あまり大腸内視鏡検査はしない。
限られた医療機関でしかできない小腸内視鏡やカプセル内視鏡でしかわからない小腸大腸の輪状潰瘍、狭窄は消化器科の医師の間では常識であろう。

今回ロキソニンがたまたま使用している人が多く、非常に知名度が高かったため注目を浴びて、マスコミで取り上げられたが、突出して危険度が高いという認識は医療側にはない。

もちろん注意は必要だが、患者さん側が、特に不調もないのに闇雲に使用制限するのはやり過ぎだろう。
進行がんの患者さんの疼痛対策でまず最初に定期使用し始める代表的な薬剤がロキソニンである。
理由は鎮痛効果が強力で、比較的副作用が少ないため、つらくQOLが下がるがん疼痛を緩和する薬剤としては不利益を織り込んだ上で有用性が高いから。
副作用を疑わせる症状が無ければ、マスコミ報道で自分で勝手に減量するのは理にかなっていないだろう。
はっきりいって副作用だけなら抗がん剤の方がよほど危険だ。その危険な抗がん剤を敢えて使う理由は、がん進行のほうがずっと危険だからだ。

②がん疼痛にまず最初にNSAIDsを使い、力不足であれば医療用麻薬を使う事がある。しかしその場合でもNSAIDsの減量中止はしない方が良い。医療用麻薬とNSAIDsは作用機序が違うので、置き換えるべきものではない。むしろ併用する事で相乗効果が得られるからだ。

③医療用麻薬は内臓痛(腹痛など)に効果を発揮しやすいが、NSAIDsは体性痛といって外傷や骨転移痛に効きやすいという特徴がある。つまり今回の場合ロキソニンを抜くとかえって骨痛の制御が難しくなるだろう。

通常ロキソニンの副作用としては胃十二指腸潰瘍が有名だが、潰瘍を起こしても、鎮痛作用があるため、本人はちょっとした不快感ぐらいしか自覚がなく、吐下血を起こして初めて判明する事もある。
ただこの副作用の危険因子で最も大きいものは加齢であり、若い人で潰瘍を起こす人は少ない。
筆者も30歳の女性で直腸潰瘍を起こした例を見た事があるが、通常の倍量を服用して起こしたものだった。

薬剤は主作用と副作用がつきものだが、それを両方見比べながら、医療側は処方している。

もちろん心情的に飲みたくないという気持ちがあれば、その理由を明らかにして主治医に相談すべきだろう。
最終決定権は患者さん側にあり、無理に継続させられる事はないはずだ。

相談してもらえれば主治医は患者さんの誤解を解く説明ができるかもしれないし、なにより、疼痛コントロールが悪いからと追加の鎮痛剤を出しかねない行き違いが生じやすくなる。

こういった小さい行き違いを放置しておくと、がん治療が将来うまく行かなくなる誘因となることを留意してほしい。
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2016-03-30 23:18:47

有用書籍の紹介: 「がんとともに、自分らしく生きる」 高野 利実 (著)

テーマ:有用書籍、記事の紹介
がんとともに、自分らしく生きる―希望をもって、がんと向き合う「HBM」のすすめ―/きずな出版

¥1,728
Amazon.co.jp

この本の印象を一言で言うと
「近藤誠氏から始まった「抗がん剤は効かない」論争から、ようやくがん治療の核心に近づいてきた」ということだ。

抗がん剤を使う使わないという戦術論だけではなく、「患者さんが幸せになるためにはどうやってがん治療を進めていくべきか」という戦略論を展開している。これなしでは、なんのためのがん治療かわからなくなってしまうからだ。

著者は非常に多くの臨床経験を有した第一線の腫瘍内科医であるが、決してがん患者さんに一律に抗がん剤を勧めることはしない。
患者さんの価値観を知り、相談に乗り、利用できる科学的根拠のあるがん治療を提案していく。
お互い十分にコミュニケーションを取りながら、その時における最善の選択肢を一緒に探すという姿勢は、がん治療の一つの理想に近いと言えるだろう。
医学的論争が多かった類書とは違い、かなり実際の患者さんよりになってきている。

印象に残る文面を抜き出す「→」は付け足した当方の感想

・がんと共に生きる →がん治療は勝ち負けではない
・抗がん剤は元気になるために使うもの →このことをはっきり表現してくれる書籍は今まであまりなかった!
・抗がん剤を使わないという選択 →抗がん剤は使える多くの治療法の一手段に過ぎない
・抗がん剤の効果と副作用のバランス →「効く、効かない」「副作用がきつい、きつくない」という二者択一ではない
・がんのイメージに苦しむ患者さん →「がん=死」という過剰なイメージが患者さんを無用に苦しめて、正常な判断を妨げている
・抗がん剤が人生のすべて? →「治療する事」自体が目的になってしまっている人がいる。本当の目的は本人の苦痛緩和と希望の保持
・がんになっても人生が終わるわけではない →がんを意識せず日常を楽しむ考え方に行き着くことも可能
・がんのおかげで得られたもの →がんで人生が狭まるだけではない。逆に本人の世界が広がる分野もある
・いつでもそこにある希望の医療が「緩和ケア」それは「医療そのもの」 →緩和ケアは特別な医療ではない。いつでもどの段階でも併存すべき存在。医療界は「治す」ことに偏りすぎる。
・治らない病気と向き合うということ
・使える抗がん剤がなくなったりすると「もう治療法がありません」と言い放ってしまう医師もいるようですが、それは間違いです。
→この指摘はまさに大きな問題で、がん治療においては最期までやれる治療はたくさんあるといいたい。病気を治すことに一生懸命な医師だとつい言ってしまうのだろうが、確かにひどい表現だと思う。

近藤誠氏の主張の3つの問題点
1.「抗がん剤は絶対ダメ」と主張するだけで思考停止している
2.EBMのルールを無視し、エビデンスを偽装している
3.がん患者を放置している

上記に関しては今まで類書でさんざん指摘されているが、当方はもう一つ加えたい。
それは
「個別対応こそがキモのがん治療において、医師と患者の協力体制を無意味に破壊して双方が不幸となる」

最終的な著者の言いたいことは「もっと人生全体を見渡して、「感謝」や「幸せ」を感じることができたなら、それは治療の進歩以上に価値あることですし、それを支えるのが、本当の医療なのだと思います」という文に集約されると感じた。

この本を通して著書の強い主張をもうひとつ指摘しておきたい。
がんもがん患者さんも、性質、事情は皆 ばらばらで全部違うのだから、「がん」と「がん治療」のレッテル化はやめましょうと言うことではないだろうか。

この本はがん患者さんや家族だけでなく、がん医療に携わるすべての医師や医療関係者に読んでほしい一冊。
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2016-03-21 13:36:20

質問と回答: 転移性肺腫瘍への放射線ピンポイント照射に意味はあるか?

テーマ:質問と回答
2016年3月5日のNPO法人宮崎がん患者共同勉強会東京支部会での質疑応答を紹介します。

・乳がん術後10年後の再発で、多発肺転移がある場合、四次元ピンポイント照射は意味があるか?

肺転移へのピンポイント照射



発生臓器と病理組織の型でがんの性質は大まかに分類されている。
原発巣という発生した場所から離れた臓器に転移した場合を、ステージIVとなり、根治は不可能な状態を示している。
ただし、大腸がんのように数個の肝転移、1~2個ぐらいの肺転移であれば、外科切除で根治できるケースがありえる。肝臓の部分切除であれば、再生能力の高い肝細胞が数ヶ月で再生するので、結構大きく切除できる。また再生した後に再切除できることもある(しかしそれは多数派ではない)。

ところが、転移性肺腫瘍に対して肺切除をおこなうと、確実に肺活量が減り、それは元に戻らないので、安易に肺切除できない。
ラジオ波で転移巣だけを焼灼すれば、それほど肺活量は減らずにすむが、がんが残存することも多いので、メリットがあるかどうかは慎重に判断する必要がある。

さて今回の質問であった乳がんの肺転移では「四次元ピンポイント照射療法」で効果が期待できるか?というものだった。
もちろん当方はそれをおこなっている施設に所属しているわけではないので、正式な回答ができるわけではないが、通常のがん治療理論から判断して助言した。

「四次元ピンポイント照射療法」とはがんの存在する部位のみに限定して三次元照射して、同時に呼吸による肺の病巣の動きもコンピュータで計算して追随する照射のことを言うのだろう。
つまり三次元+時間偏位を合わせて四次元としている。
これに似た治療法としてサイバーナイフというものがある。

ここで質問があった今回の乳がん多発肺転移への「四次元ピンポイント照射療法」について考える。

肺に多発転移があっても、それぞれにピンポイント照射すれば良いような気がするかもしれない。

しかしこの場合おそらくCT画像に写らない多数の微小転移があり、多くの転移巣で最も大きいものが目に見えるだけだろう。

ということは、すくなくとも見えてる転移がんすべてに照射しても、すぐに見えない微小転移が増大して元の木阿弥になるだろう。

多発肺転移があっても、それぞれの腫瘍があまり大きくなければ、その合計分だけの肺活量が減るだけなので、基本的に症状はないはずだ。
たとえピンポイント照射であっても、放射線治療は肺障害の危険性もあるから、根治できないならやるだけ損ということになる。
むしろ、怖いのは目に見えない小さいがんが砂のように血管やリンパ管に詰まる、がん性リンパ管症に移行することだ。
この場合肺の毛細血管の微小循環血流が詰まって、ガス交換ができなくなる。つまり急速に呼吸ができなくなる。
このがん性リンパ管症は非常に怖い病態で、緊急事態と言って良い。
たとえ目に見えない病変であっても薬剤が到達するという意味では抗がん剤治療のほうが理にかなっている。

ただし、主気管支に大きい転移がんが浸潤して、窒息する危険性が高く、その圧迫症状を取ることが、余命に大きく寄与するのであれば、「四次元ピンポイント照射療法」は意味があるかもしれない。
ただそれも緊急避難的な意味であり、いずれ抗がん剤治療が必要だろう。
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2016-03-08 18:30:18

第2回東京支部会④-2 低用量抗がん剤は場合による

テーマ:がん患者共同勉強会


前回記事で、きつくて減量して「結果してはありかもしれない」と回答した抗がん剤の低用量投与法は、以下の3つのケースを提示した。

①再発予防目的の術後補助化学療法
②白血病や悪性リンパ腫、卵巣がん、精巣がんのように本質的に治癒可能性のあるがん種に対する化学療法
③肺がんや消化器がんのような固形がんstage IVに対する緩和療法的化学療法


①再発予防目的の術後補助化学療法の場合

切除術後に再発する可能性を30%程度低下させる乳がんと、5~10%しか低下効果のない胃がん、大腸がんでは、分けて考える必要がある。

乳がんの場合、術後の強力な化学療法がその後の再発率や生存率をかなり改善しており、抗がん剤を安易に減量すべきではないという報告があるのは事実。
これは対象患者が比較的若年層なので、その気になれば副作用に耐えられやすいのだろう。

再発するのと、しないのでは、がん治療から解放されるか、一生がん治療につきあわなければならないという意味ではその後の人生が一変するため、多少頑張ってもらおうと言うことだ。

一方大腸がんでは、XELOX療法を例に挙げると、原法通り忠実に行うよりも、患者の副作用や状態に応じて、投与量減量や投与間隔を空けたほうが、再発率はむしろ下がるとされているので、逆の印象がある。

しかしその意味は、本人の状態にかまわず無理矢理投与量を維持すると、治療のきつさから途中で脱落しまうからだ。
そのため、かえって抗がん剤の総投与量が減ってしまい、結果として再発率の改善が得られない。

(※患者数の多い乳がん、大腸がんを代表例として挙げた。ただし、がん種が違ったら、お互いの治療薬も成績も全く異なり、直接の参考にはならないことも注意してほしい。)

②白血病や悪性リンパ腫、卵巣がん、精巣がんのように本質的に治癒可能性のあるがん種に対する化学療法
の場合


本人の状態があれば、可能な限りの副作用対策をおこなって、標準的な量の抗がん剤治療を行う。

完治するチャンスがあるのならば、多少きつくても、長い目で見て本人の利益につながるからだ。ここで低用量の抗がん剤を安易に勧めるのは、目先の利益のために将来を見誤ることになり、倫理的に問題がある。

③肺がんや消化器がんのような固形がんstage IVに対する緩和療法的化学療法

こういったがん種の場合、抗がん剤ではがん細胞を全部消滅させることができないことがわかっている。よってがんとの共存をはかり、がん症状を緩和することを目標としている。

またこういったがん種の患者さんが比較的高齢で、他の病気を持っていたりして、あまり状態が良くないことがある。
もちろん、臨床試験に参加できるような普通の人と変わらない元気な人では通常量の抗がん剤を勧めるべきであり、安易な低用量抗がん剤治療は推奨できない。
その理由は、標準量の抗がん剤のほうが抗腫瘍作用は強いのはわかっている一方で、患者さん全員に必ずしも強い副作用が出るとは限らないからだ。

したがって、まずは、通常量で行っていく。
腫瘍が縮小すれば良いが、縮小しても副作用で苦しむ場合が生じる。
ここで重要なのは、その副作用の程度であり、患者さん本人にとって「切実」なものかどうかだ。
言い換えると、数ヶ月から1年ぐらいはそれほど無理なく継続できると見込める程度に副作用をコントロールすることが大変重要となる。これは制吐剤などの副作用対策と抗がん剤の微調整が柱となる。

「がんと共存する」→「少なくともがんを増大させない」

と言う戦略においては、どんなに効果的な治療でも継続できなければ治療失敗となるからだ。
がんの総量がそれほど多くなく、危険な転移やがん自体のタチの悪さがなければ、長期戦になる。
こういった場合は長期的な体重減少や体力低下防止も考慮して、少しずつ絶妙に抗がん剤を減量していくことが重要になる。
添付文書などに記載されている抗がん剤の副作用の報告は、数回あるいは数ヶ月の短期間を念頭に置いていることが多く、長期的な影響を考慮していないことが多いからだ。
よって長期に渡る治療においては、結果として低用量の抗がん剤治療に至ることがあるわけだ。

ここで「がん休眠療法」と称して、低用量抗がん剤でも腫瘍が縮小したと主張する医療機関の話はよくある。

結果としてうまく行けば良いだろうが、副作用の少ない量での抗がん剤は効果も少ないのが常識であるから、腫瘍増大が予想外に抑えきれない患者さんが少なくないはずだ。
そうなると本来の治療の意味がなくなる。
ちなみに不用意に抗がん剤を減らすと治療成績が悪くなったという報告や、逆に無理に抗がん剤を増やすと副作用が強くなった割に、生存期間は延びなかったと言う報告は、学会などでよく報告されている。
要は抗がん剤のメリットを発揮できる治療用量の幅は狭いということだ。
結局決められた投与量を基本に、患者さんの状況に合わせた、非常に微妙な調節がものを言う。

それで特殊な例で当方はどうしているかというと…(これは特に③の場合に当てはまる事が多い)

・抗がん剤治療に恐れを抱いている人には、治療の意味と副作用軽減こそが最重要事項だと学習してもらって標準量を投与する。

・状態が悪くて(痛みやがん症状が強いなど)、抗がん剤治療が逆効果と思える人には、まず症状緩和の治療をおこなって、状態が許せばきつくない抗がん剤治療から提案してみる。

・本当に抗がん剤の副作用に恐れおののいている人、基礎疾患(心不全や腎障害など)のある人や体力のない高齢者に対しては、標準量の半分量で投与してかつ、制吐剤などの副作用対策を最初から思いっきりおこなう。

それで大きな問題がなければ、2回目以降から抗がん剤の量を徐々に増量していくと言う方法を用いている。



報告: 3月5日に東京新橋にて第3回東京支部会開催しましたが、このときの話題は今後ブログに順次解説していきます。

ーーーーーーーーーー

NPO法人宮崎がん患者共同勉強会 第4回東京支部会開催告示
ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。

セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。

事前に人数確認が必要なので、参加希望者はメッセージ機能で当方に1週間前ぐらいまでに事前連絡を御願いします(連絡先記入はアメブロで禁止されています)。

時間:2016年4月9日(土) 14時から3時間ほど
場所: 東京JR新橋駅近くの会議室

参加費用: お飲み物代含めて1000円

開催概要は以下のリンクをご参照ください。

https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

今後は基本的に毎月開催する予定です。第4回は5月14日土曜日午後予定です。

--------講演会の広報--------
第12回 東広島医療センターフォーラム
市民公開講座 がん診療の最前線(入場無料)
https://www.hiro-hosp.jp/medical/cancer_forum.html
講演チラシ
https://www.hiro-hosp.jp/medical/medical_staff/documents/center_forum_12.pdf
日時
平成28年3月27日 日曜日 12時~16時
場所
広島大学サタケメモリアルホール 東広島市鏡山1丁目2番2号

以下の演題で講演させていただく予定です。
「がんに振り回されないための患者力
― 実は患者さん達にできる工夫はたくさんある ―」
現代の「がん」治療は確実に進歩しています。その一方であふれる情報に患者さん達は何を基準に治療を選択すべきか混乱しています。そのため病院に任せるしかないと思い込んでいる方も多いでしょう。
しかし、「がん」ほど患者さん自身の努力と工夫の余地がある病気はありません。「がん」と診断されて、狭まるばかりだった人生の幅を積極的に広げ、医療者と協力して患者さんの自信を回復させるための秘訣をお話しさせていただきます。
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2016-03-02 16:38:15

第2回東京支部会開催報告④-1低用量の抗がん剤はありか?

テーマ:がん患者共同勉強会
第2回東京支部会での質疑応答続き
○低用量の抗がん剤治療はありか?

いわゆる「がん休眠療法」「tumor dormancy」というものがある。
しかし抗がん剤治療においては、古くから「縮小なくして延命なし」ということわざがあるように、がんを縮小させる治療でないと延命にはつながらないというのが常識であった。

腫瘍縮小というのは画像的にも証明しやすく、インパクトがあるからだ。
しかしそれが本当に患者さん自身の為になっているかと言う点では疑問も生じる。
そこでQOL改善を証明することが重要となる。そのための「硬い」指標として臨床試験では腫瘍縮小率より生存期間延長のほうが重視されている。

もちろんQOL改善をいくつかの方法で指標を定め、評価する臨床試験もたくさんあるが、「生存期間」ほど分かりやすく、意義のあるものはないからだ。

一般の方には意外と思えるかもしれないが、QOLが悪いと長生きできないのががんの常識だ。

「苦しい思いをしてまで抗がん剤治療はしたくない」と言う人も少なくないが、本当のがん治療の目的からすると、意味を取り違えている可能性がある。
がん症状で苦しんで死に至ることを防ぐ(あるいは先送りする)ために、抗がん剤をする意味があるからだ。

ではがん症状が全くない患者さんについてはどうか?と問われると、少し話が複雑となる。

症状が無いのにがんが見つかったのは、診察、画像や血液検査の結果となるが、その診断は患者さんのがんが進行して命を脅かすだろうという将来を予言するに等しい。
つまり、未来の多大な不幸よりも、今の抗がん剤治療の負担のほうがまだましだという医学的結論が前提となる。
しかしそのことを理解できていないと、患者さんは非常に不幸になるし、治療拒否の大きな原因となる。
こういったことを前提に、「低用量の抗がん剤はありか?」という質問に答える。

がんを根治させる抗がん剤治療は副作用がきつく、耐えられない。そこで、がんの増殖を抑える程度の少量の抗がん剤治療で長く抑え、副作用はきつくないようにしたい、と言う意味の治療法だろう。

東京支部会での、この質問に対しては「結果してはありかもしれない」と回答した。エピデンスはないが、きつくて減量して、結果的に、低用量となることはありえるからだ。
しかし、実際には以下の3つのケースを分けて想定する必要がある。

①再発予防目的の術後補助化学療法
②白血病や悪性リンパ腫、卵巣がん、精巣がんのように本質的に治癒可能性のあるがん種に対する化学療法
③肺がんや消化器がんのような固形がんstage IVに対する緩和療法的化学療法

つづく

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NPO法人宮崎がん患者共同勉強会 第3回東京支部会開催告示
ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。

セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。

事前に人数確認が必要なので、参加希望者はメッセージ機能で当方に1週間前ぐらいまでに事前連絡を御願いします。

時間:2016年3月5日(土) 14時から3時間ほど
場所: 東京JR新橋駅近くの会議室

参加費用: お飲み物代含めて1000円

開催概要は以下のリンクをご参照ください。

https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

今後は基本的に毎月開催する予定です。第4回は4月9日土曜日午後予定です。

--------講演会の広報--------
第12回 東広島医療センターフォーラム
市民公開講座 がん診療の最前線(入場無料)
https://www.hiro-hosp.jp/medical/cancer_forum.html
講演チラシ
https://www.hiro-hosp.jp/medical/medical_staff/documents/center_forum_12.pdf
日時
平成28年3月27日 日曜日 12時~16時
場所
広島大学サタケメモリアルホール 東広島市鏡山1丁目2番2号

以下の演題で講演させていただく予定です。
「がんに振り回されないための患者力
― 実は患者さん達にできる工夫はたくさんある ―」
現代の「がん」治療は確実に進歩しています。その一方であふれる情報に患者さん達は何を基準に治療を選択すべきか混乱しています。そのため病院に任せるしかないと思い込んでいる方も多いでしょう。
しかし、「がん」ほど患者さん自身の努力と工夫の余地がある病気はありません。「がん」と診断されて、狭まるばかりだった人生の幅を積極的に広げ、医療者と協力して患者さんの自信を回復させるための秘訣をお話しさせていただきます。
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2016-02-12 11:09:04

第2回東京支部会開催報告③問題解決もいいが問題対処の姿勢を確立すべし

テーマ:がん患者共同勉強会
前々回から支部会での話題メモの追加解説を継続しています。

○問題に対処する心構えが、今後についても、必要になってくる

→セカンドオピニオンやピアサポートはその時の患者さんの状況に合わせて、問題点をを提示して、ピンポイント的なアドバイスや選択肢を提示してくれる。
これはその患者さんの病状や価値観、家庭の事情に合わせてくれるため、大変有用。

一方、書籍や、ネット上の色々な情報を見て、自分で探したり、他者がすすめてくるというのは一見良さそうだが、実は一番要注意。
なぜか?
ネットや書籍は商業主義にまみれており、真っ先に商売の手先になっているからだ。

がんの発生臓器が違っただけでも、あるいは同じがん種の同じステージでも、治療方針が全く違うことが珍しくない。それを考慮して大きな病院では、最近多くの他科診療科を交えて、キャンサーボードを開き、治療方針を慎重に決定することもある。

たまたま目にした情報に、これしかないと思い込んで、自分のがんの状況をわかっていないまま、その治療に突き進もうとすることが、どんなに危険なことであるかわかるだろうか?

Googleの検索結果順位を買い取った民間業者の情報を、自分のがんの状況すらわかっていない一般人が参考にしようとする構図は多くの不幸な事例を生み出している。

前置きが長くなったが、本題はここからだ。

セカンドオピニオンでは、本当の最良解が得られることや、あるいはもともとの主治医の方針と合致していることがわかって、ほっとできることを望んでいる人が多いだろう。

それは良いことだが、本当に大事なことは、どういう病気で、どんな戦略だからその治療法が適切なのかを本人家族が担当医と同時に理解することだ。

がん治療のある場面が解決しても、いずれ必ず次の問題が生じる。
これは治療がうまくいってもいかなくても絶対起こることなのだ。

となると問題は次から次に起こると言うことだから、問題点を解決することだけではなく、問題に対処する姿勢を学ぶ必要がある。

つまり、最優先の問題を把握する→その背景を理解する→現時点でできることをとにかく探す→それらを全てノートに書き出す→実際に行動してみる→新たな問題点を特定し、うまく行かない方法を修正する。

これをしないと不安や思考の空回りで苦しむ。

問題点を整理して、それを元にすぐ具体的な行動を取る習慣が必要。なぜかというとがん治療は時間との勝負なので、タイミングがずれるとあらゆる相談、検査、受診が後手後手に回るからだ。

病状的に余裕があるときはいいが、がん治療生活には好不調の波があるものだし、進行するほど急激な経過をたどることがある。だから普段から即行動する習慣をつけた方が良いわけだ。

頭で考えすぎてどんどん深刻な雰囲気になると言うのが一番良くなく、貴重な時間を浪費することになる。具体的に行動して、失敗してもかまわない。
それは無駄ではなく、その方向ではうまく行かないことがわかり、より好ましい方向に近づいていく事を意味する。一見無駄なようでも物事が進行している実感は心の平静に非常に有効。

さて色々調べ物をする時間も大事だが、当人の価値観は別として、一般人が本当の意味で専門家よりがん治療の最良解を見つけ出すのはまず無理だろう。となると→

○専門医を手なずけられるようなコミュニケーションを
熟達させるほうがずっと理にかなっている。

自分の価値観と希望を効率的に伝え、主治医の時間を浪費させず、興味を持ってもらえるような話し方、働きかけ方を研究している患者さんは果たしてどれだけいるだろうか?

この医療者側とうまくやっているノウハウを教えてくれる部署が無いに等しい、今の日本の病院は効率が悪すぎる。(ちなみに海外の専門病院はサバイバーのボランティアがたくさんいて、こういった問題を援助してくれる)

まだ続く

ーーーーーーーーーー
NPO法人宮崎がん患者共同勉強会 第3回東京支部会開催告示
ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。

セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。

事前に人数確認が必要なので、参加希望者はメッセージ機能で当方に1週間前ぐらいまでに事前連絡を御願いします。

時間:2016年3月5日(土) 14時から3時間ほど
場所: 東京JR新橋駅近くの会議室

参加費用: お飲み物代含めて1000円

開催概要は以下のリンクをご参照ください。

https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

今後は基本的に毎月開催する予定です。第4回は4月9日土曜日午後予定です。

--------講演会の広報--------
第12回 東広島医療センターフォーラム
市民公開講座 がん診療の最前線(入場無料)
https://www.hiro-hosp.jp/medical/cancer_forum.html
講演チラシ
https://www.hiro-hosp.jp/medical/medical_staff/documents/center_forum_12.pdf
日時
平成28年3月27日 日曜日 12時~16時
場所
広島大学サタケメモリアルホール 東広島市鏡山1丁目2番2号

以下の演題で講演させていただく予定です。
「がんに振り回されないための患者力
― 実は患者さん達にできる工夫はたくさんある ―」
現代の「がん」治療は確実に進歩しています。その一方であふれる情報に患者さん達は何を基準に治療を選択すべきか混乱しています。そのため病院に任せるしかないと思い込んでいる方も多いでしょう。
しかし、「がん」ほど患者さん自身の努力と工夫の余地がある病気はありません。「がん」と診断されて、狭まるばかりだった人生の幅を積極的に広げ、医療者と協力して患者さんの自信を回復させるための秘訣をお話しさせていただきます。
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2016-02-08 19:40:52

第2回東京支部会開催報告②「緩和ケア」に抵抗感あり?

テーマ:がん患者共同勉強会

参加者メモの残りの解説ですが、つい熱が入って、次回以降にも続きます。

○短期的なメリットと、長期的なメリット両方考えるとは?
○「緩和ケア」という言葉に抵抗感がある

→抗がん剤治療の効果と副作用の天秤で考える際に必要な考え方。
人間目先の利益不利益に振り回される。きつい治療を受けるのなら、将来どんな利益が期待できるから今頑張るのかを、重々理解しておくことが必要。

もちろんこんなことは多くの患者さんにとって当たり前と思えるでしょうが、今治療受けられること自体に救いを求めすぎている人も多い。

つまり、治療継続自体が救いだと思ってしまうと、その路線だと治療が無効となったときにむしろ副作用でひどい目に遭う可能性が出てくる。
がん治療でまかり通っているひどい誤解に「もう治療法が無い」という言葉がある。

冗談ではないと言いたいが、最後の最後までがん治療は続くものだ。

治療を「積極的治療」「がんを縮小させる治療」と同義だと医療側も患者さん側も思い込んでいるから、抗がん剤が無効となったとき

・医療側は「もうすることがなくなった」「もう治療法が無い」「だから病院を移ってください」という冷淡な言葉を発するし、

・患者さん側は「あきらめたくない」「見捨てられたくない」と、限度を超える副作用に耐えて我慢し(本当にかわいそうに思えるほど)、挙げ句の果てに「まだ治療法がありますよ」と高額な民間療法の誘いに乗ってしまう。

・そして緩和ケア施設は「抗がん剤治療を終了した人しか受け付けない」「積極治療をしないことを条件に受け入れる」と宣言している所があるため(ただし施設によってばらつきがある)、患者さんは緩和ケアに行くように言われることを「見放される」「もう人生の終わりの場所」と受け取ってしまう。(一般人もこういったことを見聞きし、先入観を刷り込まれていることが「緩和ケア」という言葉に抵抗を持つ所以の一つだ)

もともと完治が難しい段階で始まった固形がんステージIVや再発がんは、いつかは命に関わると覚悟する必要がある。それががん種によっては半年後か5年後か10年後かはだれにもわからない。さすがに100年後と思っている人は皆無だろう。

抗がん剤治療は例外はあれど「緩和療法的化学療法」というのが本当の意味と考えた方が良い。
つまりがんは治らなくても、治療の本当の目的は苦痛緩和と症状予防、今の生活を守る事だ。

となると最初から緩和療法であって、抗がん剤は多くの緩和療法のうちの一つの手段にしか過ぎない。
医療用麻薬が直接的鎮痛剤としたら、抗がん剤は腫瘍縮小で疼痛緩和につながるから「間接的鎮痛剤」となるわけだ。

抗がん剤の副作用に耐えてもそれ以上に抗腫瘍効果が実生活にメリットがあるのなら、継続する意味がある。
しかし抗がん剤のデメリットが上回るようになったときは、抗がん剤以外で治療を継続するだけのことである。

もちろん施設によっては化学療法を行う患者さんしか診療できない業務事情などもあるだろう。
しかし、こういった言葉の使い方が悪影響を及ぼしているのは確実といえる。
「抗がん剤のデメリットが大きくなったので、抗がん剤以外の治療を継続しましょう」という表現にするだけでも印象が違うはずだ。

あるいは抗がん剤治療中であっても、「痛みを取る専門家に相談してみましょう」とコンサルトする雰囲気が普通になると良い。これは患者さん側から主治医にコンサルトを要望するのも良いアイデアと思われる。
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2016-02-07 13:53:32

第2回東京支部会開催報告①

テーマ:がん患者共同勉強会

去る2月6日に東京新橋駅近くの会議室で第2回東京支部会が開催された。
参加者は15人ぐらいで、そのうちスキルス胃がん患者会「希望の会」から7人ほど参加していただけたので、胃がんの治療にまつわる話が多かった。
せっかくなので、相談、質疑応答の概要を今回と次回に分けて掲載する。
といっても、当方が全部覚えているわけではないので、参加者の会議メモの提供を受けて、解説も追加した。

○治療の意味を考えて、自分の必要な治療を考える
○なんのための治療なのか?今の生活を守るために、調整して、治療すべき

→治療の本当の目的がわかっているか?副作用との天秤をかけているのか?
①完治を目指せるのか⇒期間限定なら多少は頑張る意味がある。しかし無理すると不幸になる。

②術後再発予防のための化学療法では何%再発抑制効果が期待でき、どのくらい副作用は許容できるのか意識しているか?
再発抑制効果改善率は乳がんで30%、胃がんで10%、大腸がんで5-7%ぐらいということを理解できているか?しかもこれは集団としての患者さんのメリットであり、個人の患者さんは実感できることはない。

③完治は無理とわかっている⇒がん縮小はメリットあるが、治療の継続性のほうが生存期間延長につながることも多い。また治療の本当の目的は今の生活を守る事ではないか。がんの縮小が得られても、生活が破壊されたら、あるいはがん治療で苦しみすぎたら治療の意味がない。

○治験
メリットのある人は、10%くらい

→治験(第一相試験)とは初めて人間に投与され、本当にまだ毒性や効果があるか不明であるため、他の治療が無効となった人で、まだ体力のある患者さんにボランティアで参加を御願いする。効果があっても最適な量を投与されるとは限らない(どのくらいの量で、毒性が限界となるか調べるため)こともあって、総じて10%前後と言われている。
ただし既に承認されてたり、第一、第二相試験を終えた治療薬の従来の標準薬との無作為比較試験(第三相試験)は、初めて抗がん剤治療を受ける患者さんがエントリーされることが多い。

○治療は、治療。上手くいくのは、願うけど、同様に、自分の人生を楽しむことが必要

→がんとがん治療は患者さんの人生のほんの一部でしかない。治療がうまくいっても、人生を捧げては治療の意味がなくなる。
極端なことを言うと「がんを忘れるためにがん治療をする」と言ってもいい。

○やるか、やらないか、二者択一ではなくて、やって駄目なら、やめられるのが、抗がん剤

→手術と違って一発勝負で終わることは稀。もちろん初回に重篤な副作用で不幸な事になるケースはゼロではないが、多くの患者さんは抗がん剤を長期に渡って継続する上で副作用コントロールや方針変更に対して用意周到さが足りない印象がある。そのためにちょうど良い落としどころを見つけられない。

○抗がん剤治療は、食事摂取できることが、重要。体重が、減り続けるような、治療の仕方は、よくない

→栄養状態が悪いと副作用が強く出るし、長期に渡る体重減少という副作用は多くの人が注意を払っていない。体重が減ると言うことは寿命が短くなると同義なので、抗がん剤の用量調節は不可欠。これをもっと主治医にアピールすべき。

○どの副作用が、本人にとって切実なものになるのか?という視点
→人間が感じる苦痛の種類と程度は非常に個人差が多い。これに無頓着な医療者や患者さんが多すぎるため、お互いの考えのずれが生じ、トラブルの元となる。

○EBM=ガイドラインではない
○標準治療は、全体の6-7割の人が対象

→治験に入らない持病のあるひとや、75歳以上などは、実は対象外
ガイドラインが根拠を求める臨床試験は、予想外のトラブルで試験が失敗することを極度に避けたがるので、70~75歳以上の患者やインスリン治療中の糖尿病患者やワーファリンなどの抗血栓剤治療を受けている不整脈、脳血管障害を持つがん患者を最初から排除している。

よって厳密な意味でのガイドライン治療を適応できるのは6割ぐらいしかいない。
EBM(科学的根拠に基づく医療)というのはエビデンス(臨床試験など)が確認された患者群の背景要素と目の前の患者さんの背景を見比べ、そのエビデンスのどの部分をどうやって応用できるかを批判的に吟味して、患者さんと一緒に治療方針を決めることを言う(簡単に言えば)。

結構多くの医療者がEBM=ガイドライン治療と勘違いしているが、患者さんを無理矢理ガイドライン治療へ当てはめようとするのはむしろ、cook book medicine(料理本医療)になる。これも患者さんを苦しめることになる。

○受診時、毎回テーマを決めて、質問してみる。受診は、面接試験。準備も必要。

→診察時の極度の緊張や、聞きたいことを聞けない、主治医とのやりとりに苦労している患者さんはかなり多い。しかしそういった問題があっても、そこに焦点を絞った抜本的な対策をしている患者さんは少ない。
主治医が忙しく時間が取れないのも事実ながら、医療側の背景も考えて両者に無理がないような対策を考えることは可能だろう。

よって
①自分の聞きたいこと、知りたいこと、調べて疑問のある事、なぜその治療判断を主治医がしたか、その背景を知りたい等、受診前に手紙に箇条書きとして受診の前に受付に出しておく。

②手紙は電子カルテならスキャンされ、多くの医療者の目にとまるので主治医は無視できない。また事前に主治医は調べて回答する準備ができる。

③聞かれなければ、問題ないと考えるのが、忙殺される外来主治医の特性である事を前提に、患者さん自身が何ができるかを戦略的に考える。

④可能なら経験豊富なサバイバーに受診を同行してもらって援助してもらうと言う作戦もある。

⑤これは患者さん側に一方的なメリットがあるのではなく、将来無用なトラブル防ぐため、あるいは受持患者さんが行き違いで不幸になる事を防止することから、医療側にとっても大きなメリットがあることを認識すべし。
これは医療側に責任がないという意味ではない。医療側に責任を求めても、いつになったら解決できるか見通しが立たないのなら、患者さんが自ら行動して解決した方がずっとましだから。

実は医者は説明する時間が無いのではなく、患者さんが言いたいことをくみ取る時間が無い事実がある。
(もちろん偏屈な医師も多い。専門的で高度な技術を持っているのなら、そうなる傾向が強い。あるいは極度に外来患者さんが多い専門医になると、わざとつっけんどんで、話を打ち切ろうとする場合がある。これを医療側の背景から考えると、そうしないと多くの患者さんをこなせないからだろう。
それでもその医師や病院に診てもらいたいという患者が多いわけだが、色々工夫しても改善せず、相性も悪ければ、他の医師や病院に移るのも一つの手)

残りは次回

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NPO法人宮崎がん患者共同勉強会 第3回東京支部会開催告示
ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。

セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。

事前に人数確認が必要なので、参加希望者はメッセージ機能で当方に1週間前ぐらいまでに事前連絡を御願いします。

時間:2016年3月5日(土) 14時から3時間ほど
場所: 東京JR新橋駅近くの会議室

参加費用: お飲み物代含めて1000円

開催概要は以下のリンクをご参照ください。

https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

今後は基本的に毎月開催する予定です。第3回はの午後予定です。
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2016-01-29 22:06:21

NPO法人宮崎がん患者共同勉強会 第2回東京支部会開催告示

テーマ:がん患者共同勉強会

がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。
当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。

事前に人数確認が必要なので、参加希望者はメッセージ機能で当方に事前連絡を御願いします。

時間:2016年2月6日(土) 14時から3時間ほど
場所: 東京JR新橋駅近くの会議室

参加費用: お飲み物代含めて1000円

開催概要は以下のリンクをご参照ください。

https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

今後は基本的に毎月開催する予定です。第3回は3月5日(土)の午後予定です。
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