第11回東京支部会(NPO法人宮崎がん共同勉強会)
時間:2016年11月26日(土)14:00~17:00東京都 大崎駅 周辺で開催予定(当初と場所が変わっているので注意!)。

2016年12月10日土曜日13:30~15:30宮崎善仁会病院院内がんサロンを開催しますが、院外のご興味ある方も参加できます。事前に当方にメッセージをいただけるとありがたいですが、当日参加も可能です。

2016年12月24日土曜日、13:00より宮崎市郡医師会病院講義棟で第81回宮崎がん患者共同勉強会を開催します。今回のテーマは「がんはもちろん、がん治療も、注意しないと老化が早く進行することを知っていますか?」です。
当日は11:30頃から患者さんだけの気軽なおしゃべり会を開いてますので、初めての方も気軽にご参加ください。
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2016-12-07 19:58:22

ネット情報の危険性

テーマ:医学的話題

DeNAがやってるキュレーションプラットフォーム事業: 医療情報サイト ウェルク(Welq)が無断引用改変した怪しい情報を大量に提供していた事件が現在炎上している。

 

ここでいうキュレーションとは、消費者が気になる記事のリンクを貼り付けたり、記事を要約したりする「まとめサイト」ことを指している。


気になるキーワードをグーグルやヤフーで検索すると、数百万以上の膨大な関連サイトが出てくる。あまりにも膨大な検索結果が出るので、通常検索された上位数個のサイトだけしか、実際には見ない人が多い。


もともと見ている人にとって適切なサイトや記事が上位に検索表示されるのではない。
検索エンジン会社に広告費を払ったサイトやよく検索されているサイトが表示されやすいのであって、正しいかどうかは関係ないのだ。


適切かどうかと言う意味では無法状態というのがネット情報であり、今回は間違った情報や違法な引用改変を許す、広告収益を第一にする企業の実態が暴かれたというわけだ。
実際に問題となっていることは、他の報道機関が大量に紹介しているので、ここでは省く。

 

ところで3年ぐらい前に運営会社の創業者の記事がネットで紹介されている。

----------------------------------------
2年の介護で変わった夫と愛犬さくらと私の関係 -DeNA創業者 南場智子
http://president.jp/articles/-/15145
より引用
こうして夫婦2人で闘病生活に入ると、私は病気について徹底的に勉強を始めました。術後の治療法について国内外の専門家に相談し、本を読み漁る。DeNAの創業メンバーの一人も、膨大な論文を読み込み、検討すべき治療法を教えに、わざわざ住まいのロンドンから駆け付けてくれました。また、病院の先生とも信頼関係を築くことができ、何でも相談することで、実際、いくつかの治療法を試しました。

家事は苦手だけど、とにかく夫と一緒にいたかった
そして退院後は抗がん剤などの治療を開始し、免疫力を高める生活を始めたのです。そのためには、なんといっても食事が重要です。そこで、私は慣れない料理に挑みました。『がんに効く生活』という本を読み、ターメリック(うこん)は抗炎症作用が高いと知ると、ひじきの煮つけだろうが、切り干し大根の煮物だろうが、構わずかけまくる。これがマズかったのでしょうね。そのうち夫が、「今日はひじきが嫌いになった」「切り干し大根が嫌いになった」と言い出すようになりました。それでも、私が慣れない料理を頑張って作っているのがわかるから、頑張って食べてはくれます。でも、大変な手術で痩せた体が、さらにどんどん痩せていってしまいました。頑張ったんですけど逆に迷惑だったみたいで、最後には「もう勘弁してくれよ」と言われてしまいました(笑)。
〜〜中略〜〜
2年の闘病生活の後、我々夫婦がどうなったかに話を戻しましょう。それが有り難いことに、夫のがんは縮小しはじめ、12年の夏には、画像に腫瘍が映らなくなりました。今では、海外旅行はもとより、ゴルフもダイビングも何でもござれという状態です。西洋医学のお医者さんは、説明がつかないと言うのですけどね。調子に乗って、このままいってくれと思っています。

引用ここまで--------

 

残念ながら、この方の夫の紺屋勝成氏は2016年12月5日死去されたと言うことで、なかなか大変な状況が重なったが、本日夕方の記者会見を見ていて気がついた点を書きたい。

DeNAの南場智子創業者は、自分の家族ががんになって、医療情報をネットで探そうとしていたのかという質問を受けていた。


上記の引用でわかるように、さすがやり手の社長だっただけに、信憑性の怪しい伝聞ばかりのネット記事は参考にせず、自分で論文も読んで、専門家に直接相談することを実践していたわけだ。


その経験からDeNAグループのヘルスケア事業では、がんなどの医学情報を一般人向けに、ネットで分かりやすく伝える情報提供事業を模索していた。


ところが、実際に有料事業を立ち上げ、患者会や一般人に提供しようとしたところ、実際には需要が極端に少なく、事業としては成り立たないことがわかった。

そのため、アクセス数を増やす小細工をし、安い原稿料で一般ライターに大量の記事を募って、無料提供して広告収入を稼ぐ方向転換の結果として今回の事件が発覚した。

 

発想は良かったのだが、この創業者自身が優秀すぎたのだろう。


がんを始め、健康情報は皆知りたいのであるが、だれでもあまり労力をかけたくないのが本音だ。


特に最近はグーグル先生に聞けばいいとばかり、何かあったらネット検索して済まそうとするし、最近のスマホでの検索では一画面の表示面積が狭いから、検索結果の1〜2番目の結果しか見ない傾向が強い。

 

当方のブログを含め、医療者は正確な医療情報は非常に大事だと主張しても、それは情報提供の当事者だから。


そのえらそうな医療者も、不動産や家計のことをもっと学習すべきだとファイナンシャルプランナーから責められたら、同じようにもっと簡潔な方法を教えてくれと言わざるをえない(笑)。

 

話を戻すと、有料でもがん治療情報を勉強したいという人は一握りであり、多くの患者さん(高齢者も多くなっている)や家族にとっては、がん治療を理解するのにかなりの苦労が伴う。

 

信頼すべき主治医とのやりとりより、安易なネット記事でがん治療の方向性を探ることを優先していた人にとっては、ネット記事の信頼性は無きに等しいと悟らざるを得ないような大きな事件だろう。


ネットに書いていることを鵜呑みにしていた人にとって、今後はそのネット記事が本当かどうか、確認する方法が示されていないからだ。


医療者が書いていれば信頼できるとは限らないのが難しいところだが、やはり日本でも信頼の置ける医療サイトの認定制が必要だろう。

 

ところで、当NPO法人宮崎がん共同勉強会では、「テレビや雑誌のがん治療情報が、あなたの治療に役に立たないのは理由がある」という講義までしているが、本当に意味のある医療情報を活用するためには医療リテラシー(読み書き能力)がある程度ないと危うい。
特にがん治療においては、担当医とのコミュニケーション技法のほうをとにかく優先してほしい。
なぜなら、どんながん情報でも患者さん本人の情報を前提としないと有益とはならないからだ。むしろ有害とも言って良い。

 

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第12回東京支部会(NPO法人宮崎がん共同勉強会)
がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。
当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。

時間:2016年12月17日(土)11時から14時
場所: 東京 新橋駅周辺

開催概要
https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

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2016-11-23 18:10:08

解説: NHKスペシャル▽“がん治療革命”が始まった~

テーマ:有用書籍、記事の紹介

NHKスペシャル▽“がん治療革命”が始まった~プレシジョン・メディシンの衝撃
http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586864/index.html
日本人の2人に1人がかかる病、がん。その治療が根底から変わろうとしている。――
進行した大腸がんを患う48歳の男性。4度にわたる再発を繰り返し、手術不能とされていた。しかし、ある薬の投与によって腫瘍が43%も縮小。職場への復帰を遂げた。投与された薬とは、なんと皮膚がんの一種、メラノーマの治療薬。今、こうした従来では考えられなかった投薬により劇的な効果をあげるケースが次々と報告されている。背景にあるのは、がん細胞の遺伝子を解析し速やかに適切な薬を投与する「プレシジョン・メディシン(精密医療)」だ。日本では去年、国立がん研究センター東病院など全国200以上の病院と10数社の製薬会社によって「SCRUM-Japan(スクラム・ジャパン)」と呼ばれるプレシジョン・メディシンのプロジェクトが始動した。進行した肺がんと大腸がんを中心に、がん細胞がもつ遺伝子変異を詳細に解析。効果が期待できる薬を選び出して投与する。これまでに7000人近くの患者が参加し、肺がんでは1/8の人に薬が効く可能性のある遺伝子変異が見つかった。100人ほどが実際に臨床試験に入っている。このプロジェクトに参加する患者に密着しながら、プレシジョン・メディシンはがん治療をどう変えようとしているのか、がん患者とその家族に何をもたらすのか、先進地のアメリカの最新事情とともに、その可能性と課題を見つめる


こちらも参考に
中村ゆきつぐ
NHKスペシャル“がん治療革命”が始まった ~プレシジョン・メディシンの衝撃~ 現状はまだ大変 しかし未来は期待出来る

http://blogos.com/article/198792/

 

興味深い番組でしたが、一般の方にとって、この番組だけで膨大ながん治療全体に対するプレシジョン・メディシン(精密医療)の位置づけを知るには無理がある。

 

最初に簡単にまとめると

従来のがん治療が、じゅうたん爆撃からピンポイント爆撃も併用するようになってきた。
ただしもっとお金はかかるようになるし、がん戦争はまだまだ続く

 

といったものだろうか。

 

確かにインパクトのある最新がん治療であることは間違いないし、注目すべき事ではあるが、ここでは見落とされがちな注意点を指摘しておきたい。

以下、番組内容に少し補足した内容を書く。(矢印は当ブログのコメント)

 

・従来の抗がん剤治療において、各がん種の患者さんの集団としての奏功率(腫瘍縮小する確率のこと)は臨床試験で判明していたが、実際の個々の患者さんに投与したときの効果は、やってみなければわからなかった。そのため無駄に苦しめる患者さんがどうしても多くなる。
(→これが今までの抗がん剤の評判が悪い理由)

 

・がんは遺伝子変異によって起こる。がんの増殖を引き起こす原因となっている遺伝子変異がわかり、そこに作用する分子標的薬があれば、事前に有効な患者さんを選択でき、不幸な患者さんを減らすことができる。
問題はがん増殖に関わらない遺伝子変異も多数あるので、原因遺伝子が特定しにくい。そこで、がん遺伝子変異とそこへの作用薬剤に関する膨大な論文を、AIに読み込ませて、可能性のある有効薬剤を探索できたら、治療につながるかもしれないとのこと。
(→がんの発生と増殖へ関わる遺伝子をドライバー遺伝子、結果としておこった変異が起こった遺伝子をパッセンジャー遺伝子という。EGFR遺伝子は非小細胞肺癌のドライバー遺伝子だが、大腸がんでは治療を左右しない。RAS遺伝子は大腸がん治療の方向性を決定づけるが、膵がんでの治療では参考にならないなど)

 

・今までは発生臓器のがん種別に抗がん剤が決まっていたが、これからは有効な薬剤のある遺伝子ごとに臓器横断的な治療法開発が多くなるだろう。
(→ただし、あくまでも一つの新しい治療の武器が増えたということでしかない)


以前のNHKスペシャルと違って、今回はこの最新治療の恩恵を得られなかった、あるいはその後治療が無効となった患者さんも紹介していることから、あまり期待をあおりすぎないような配慮が感じられた。

参考: 「NHK がんワクチン~"夢の治療薬"への格闘~」をどう見るか?
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-11408237842.html

 

ここで一般的に誤解されていることを訂正しておきたい。

 

・第4のがん治療法と言われていた免疫療法と最近話題の免疫チェックポイント阻害薬は全く別個のもの。
従来の免疫療法は腫瘍免疫を増強しようとする手法であったが、副作用は少ないものの、ほとんど効果が確認できなかった。
一方免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が生体内の免疫監視から逃避していた免疫チェックポイント機構を抗体薬でブロックすることで、本来の免疫機構が回復し、がん細胞を排除する。2〜3割の患者さんに効果が本当に証明された。

そのメカニズムは分子標的薬と言え、広い意味では抗がん剤そのものだ。効果はともにそれなりの副作用はある。

 

・奏功率から考えると従来の抗がん剤とそれほど変わらないか、もっと低い場合もある。ただし効いた患者さんは効果が長く続くことがあるのは革命的かもしれない。

 

・がんに対する武器が増え、事前に効果のある患者さんを選別できるようになった。

これは過半数のがん患者さんが救われるという意味ではないし、がんが消えると言うより、長く共存できるラッキーな人が出てきたと言うことに過ぎない。

例えば分子標的薬が9割以上奏効するALK遺伝子陽性肺がん患者は、非小細胞肺がんの3%ぐらいしかいないが、肺がん患者数が非常に多いので、恩恵を得られる人は多い。

しかし治るわけではなく高価な薬剤を投与し続ける必要があるし、いつかは効かなくなる可能性も高い。

 

番組ではがん治療革命と言っているが、それは医療者側と報道側からの視点でしかなく、幸運に恵まれなかったがん患者にとってはぬか喜びとなってしまう。

 

まあ、仮に運良くがんが治ったとしても、永遠に生き延びられるわけではない。

やはり人生という「生きている」時間をどれだけ稼げるか、どれほど大切にできるかという視点は必須だろう。

もちろん先端を突っ走る研究者と企業や行政当局の努力と貢献は素晴らしいもので、文句はつけられるものではない。


しかし、がん治療がどれほど発展しようが、次なる問題は絶対生じる。

 

・がんを縮小させ、共存、延命ができても、副作用とお金と家族の負担などの問題は生じる。
・がんが治っても、再発の恐怖や仕事ができるかという問題は生じる
・また今度は長生きするリスク(後遺症や、老化、二次がんなど)に直面する

 

気が重くなるかもしれないが、問題に終わりはないのだ。
医療者は自分の専門分野での貢献が果たせれば役割は終了と言うことで、その後の指針は患者さんに示してくれない(事が多い)。

世間で言うがん治療の進化は一面的であり、見過ごされている重要な領域はまだまだたくさんある。
がん治療進歩の尺度は治癒率や生存期間で測れるが、患者さんが不幸にならずにすむための物差しは無いからだ。

 

今回はやや重苦しい感じの紹介になったが、もちろんがん治療には希望が持てないという意味ではない。

 

逆に、まだまだ見過ごされ、改善されるべきがん治療の盲点を発掘していきたい。

 

 

 

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第11回東京支部会(NPO法人宮崎がん共同勉強会)
がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。
当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。

時間:2016年11月26日(土曜日)14時から17時
場所: 東京 大崎駅周辺

開催概要
https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

2016-11-15 08:45:30

がんの不安を軽くする三つのコツ

テーマ:がん患者の心構え

先日NPO法人宮崎がん共同勉強会例会が80回目を迎えた。
毎回1時間ほどのテーマでレクチャーして、その後参加者の近況報告と質疑応答となっているが、最近のレクチャーのテーマは以下のようになっている。

ーーーーーーーーーー
2016年
9月 インターネットと本のがん情報は実はかなり危険な理由
8月 テレビや雑誌のがん治療情報が、あなたの治療に役に立たないのは理由がある
7月 世の中のがんの悪いイメージは如何にして作り上げられたか?
6月 がん治療にまつわる誤解はこんなにある
5月 がん発症は人生の転機。なぜ、どんな事が?
4月 がんの不安に対処する方法をいくつ持っていますか?
3月 がん治療は自分で考える所に意味がある
2月 がんの種類が違うと、余命も治療戦略も、どんなに違うか知っていますか?
1月 がんになってよかったことを、あえて探してしまおう


2015年
12月 大半のがん患者さんが勘違いしている極めて重大なこととは
11月 「がん」で困った。どんな事が?対策は?
10月 治らないがんの場合、どこに目標を置けば良いのか?
9月 「がんリハビリ」という言葉を知らない患者さんは最新のがん治療から取り残されている!
8月 がんの予防と治療において多くの人が見逃している大事なことは?
7月 治らないがん、改善しない症状に直面したとき、どう対処すべきか?
6月 薬の名前を覚えようとしないがん患者さんに訪れる8つの不幸
5月 「がん治療は先生に全てお任せします」が絶対的によくない7つの理由
4月 がん治療ガイドラインは何のためにあるのか
3月 テレビで紹介される先進医療があなたにほとんど参考にならない理由
2月 がんの標準治療とはどういう意味か
1月 ?
2014年
12月 がん治療開始前に緩和ケアを受けたほうが良い理由とは?
11月 がんについて学習しないと治療は失敗する
10月 がんにふりまわされない患者力とは
9月 がんが心配でしょうがないときはどうすれば良い?
8月 エビデンスだけではがん治療が失敗するわけ
7月 エンディングノートが、がん患者に有益な理由
6月 高齢者のがん治療には深い戦略が必要
5月 残り時間が限られていたら、何をする?
4月 がんの不安はどうやって解消するか?
3月 何のためのがん治療か理解していますか
2月 ?
1月 がん患者とその家族が後悔することは何か?

ーーーーーーーーーー

 

やはり一般向けなので、個別のがん治療についての講義はほとんどない。ただ専門的治療の解説は、質疑応答時間に個別の治療についての相談を全員の前で行う事で、補っている。


さて今回は2016年10、11月の宮崎がん共同勉強会の講義よりテーマを持ってきた。

「がんの不安を軽くする三つのコツを伝授します」

 

もちろんがんの患者さんにとって個々の事情はまるで違うし、不安軽減のための方法は色々あるだろう。
しかし、心に余裕がない人にたくさん言っても届かないので三つに絞った。

最初に結論を記載する。

①今に集中する
②日記を書く
③良いこと探し


これらはがん治療における専門的な問題に対しての不安を、その原因からなくすと言うわけではない。
ここでは一般的な不安への対処法を記載していますが、実際がんに対する漠然とした不安で悩んでいる人は多い。

 

解説


①今に集中する
不安があって、仕事も何も手が着かないという人は多いでしょう。
不安というのは将来のことを指します。
考えれば考えるほど不安が募るものです。
ある研究によると不安の90%は実現しないとされており、そのために、自分のエネルギーと時間を浪費するのは、避けた方が良いでしょう。
がん患者さんが仕事を辞めない方が良い理由の一つは、今の仕事に没頭しているときは病気のことを考えなくてすむからです。今、やること、やりたいことをたくさん作りましょう。

 

 

②日記を書く
そうは言っても、つい考えてしまうのが人情です。
しかし頭の中で考えるだけでは、いろいろな事が浮かんでは消え、空回りするだけで、思考が前に進みません。


ここは一度その不安を言葉にして、文章に書き出しましょう。
避けられない事実、心配している不安、将来への期待、かすかな希望を思いつくまま日記として書くのです。
面倒と思う人が大半でしょうが、ちょっとした日付入りのメモでも良いのです。

その時点での心境を表現することも重要です。
言葉にすることで、曖昧な心配事は明瞭化し、自分でコントロールできることか、できないことかがはっきりします。
コントロールできないことに心のエネルギーを消耗してもしょうがありません。今できることのみに体力を使いましょう。

 

またその日記を後で読むことで、心配していたことが本当に起こったかどうか確認できるはず。
大抵は心配しすぎな自分を再認識でき、それを乗り越えた記録が、今からの自信の土台になります。


自分の不幸な体験は日記に書いても良いし、人に聞いてもらっても、楽になるでしょう。

ただし繰り返し書いたり、話したりしない方が良いです。

なぜなら何度も話すことは、その光景がくりかえし自分の脳裏に浮かび上がり、その不幸を追体験することになるからです。もちろんその逆も真です。

過去の楽しかったことを人に繰り返し話すことは、その追体験ですから、心の栄養補給と言っても良いでしょう。

 


③良いこと探し
不安というのは漠然とした不安が大多数です。これは明確な情報を仕入れることで解消できます。
がんになって、いやなことに敏感になってしまいがちですが、あえて身の回りの良いことを毎日探しましょう。
悪口や文句を言う人は不幸になります。
なぜなら悪いことや文句をつけたくなることを無意識的に探そうとする習慣がつくからです。


もちろんその人の性格はなかなか変えられないかもしれません。しかし意識的に行動を変えることは可能です。
がんになって不幸になったあるいはメンタルが弱くなった人は、毎日ちょっとした良いことを探す、あるいはプチチャレンジをする習慣をつけましょう。
多少失敗しても、それはその方法ではうまくいかないという事だけのこと。むしろ繰り返し試みることで、工夫する習慣が身につきます。
がん治療生活ではいろいろ予想外のトラブルは起こるものです。

しかしトラブルに対処する心構えと習慣さえあれば、きっと良い方向に軌道修正できるはずです。

 

 

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がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。
当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。

時間:2016年11月26日(土曜日)14時から17時
場所: 東京 大崎駅周辺

開催概要
https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

 

 

2016-11-07 18:31:23

有用記事の引用: 今すぐやめて!「免疫力」を高めない7つの誤解 

テーマ:有用書籍、記事の紹介

今すぐやめて!「免疫力」を高めない7つの誤解 
https://medley.life/news/item/5808ad9b13e3742c008b458f

結構読み応えのある記事です。
一部ポイントを引用します。矢印の後のコメントは一部当ブログの意見も入っています。

 

・よくある誤解1:笑うと免疫力が高まる→No
ストレスをなくすと免疫力が高まる?→No
笑うと免疫力が高まるのは医学的に証明されているのでは?→正確にはNo

 

・よくある誤解2:ツボを押すと免疫力が高まる→No

 

・よくある誤解3:食事で免疫力が高まる→No
バランスの悪い食事で免疫力は下がる?→No(ただし糖尿病になったらyes)
お酒で免疫力は下がる?→No(当ブログ注: ただし大酒家は色々な感染症で重症化しやすい医学常識あり)
免疫力を高めるために水を飲むべき?→No
腸内細菌を増やすと免疫力が高まる?→No(バランスのよい食事のためには、「体に良いものを食べよう」という考えは敵です)

 

・よくある誤解4:規則正しい生活をすると免疫力が高まる
早寝早起きで免疫力が高まる?→No(ただし、夜型生活で糖尿病になりやすい事実はある)
運動をすると免疫力が高まる?→運動をすると元気になるが、免疫力と直接関係なし
体を温めると免疫力が高まる?→No(ただし寝冷えしたりすれば、風邪を引くこともあるでしょう)
ダイエットで免疫力が高まる?→No(肥満そのものが免疫力を下げるとは言えません)
免疫力を高めるためには禁煙?→一部yes(喫煙者は一部の感染症にかかりやすい)

 

・よくある誤解5:免疫力を高める方法がある→No(元気になる方法はいろいろありますが、どれも免疫力を高めるための方法とは言えません。唯一の例外はワクチンです。ワクチンで、特定の病原体に対して免疫をつけることができます。)

 

・よくある誤解6:免疫力を高めると健康になる→yesとは限らない
免疫力を高めるとがんにならない?→免疫とはごく大雑把に言うと風邪を引かないことです。感染症以外の病気にはたいてい関係ありません。むしろ一部の病気を引き起こします。
オプジーボは免疫療法じゃないの?
→商品名オプジーボ(一般名ニボルマブ)などの薬は、でたらめな「免疫療法」とはまったく違います。抗がん剤です。
免疫力を高めるとアトピーにならない?→アトピー性皮膚炎は免疫が強すぎて起こる病気です。免疫を弱くすることで症状が治まります。(当ブログ注: ただし免疫力を高めてアトピーになるというのは一般的ではありません)
免疫力を高めると花粉症にならない?→上と同様

 

・最大の誤解:免疫力というものがある

免疫のしくみはとても複雑だということをわかってもらえたでしょうか。これほど複雑な免疫のしくみを「免疫力」というひとことで説明しようとするのは無理があります。

「免疫力」にあたる医学上の概念はありません。
このサイトでもイメージが湧きやすいように「免疫力」と言っている場所はありますが、「免疫力」を飛ばして理解したほうがより正確になります。たとえば「ワクチンで免疫力をつけると病気を防げます」という説明なら、「ワクチンで病気を防げます」とだけ言ったほうが不正確さがありません。
「がん免疫療法」と同様、「免疫力」という言葉はでたらめな説明によく使われています。運動や早寝早起きならともあれ有益ですが、「免疫力を高める食品」や「免疫力を高める治療」にお金を出す前には、少し落ち着いて考えたほうがいいでしょう。
 
「免疫力を高める生活」について何かを知る必要はありません。あなたの常識を信じて、当たり前に健康的だと思える生活をしてください。それが病気を防ぐ近道です。

ーーーーーーーーーここまで引用ーーーーーーーーー

 

ええ〜〜!?と思う人も多いでしょう。しかし繰り返しますが、一般の人にも非常に分かりやすくその理由を説明しているので是非元記事を読んでほしい。

確かに「免疫力」とは漠然としたやっかいな用語です。実際に医学用語としては使われていないし、敢えて言うなら「免疫力」とは見た目の元気さですと当方は患者さんに説明しています。どうしても食い下がる人には血清アルブミンの高さは参考になるかもしれないとお話ししています。

ちなみに当ブログでも「くせ者医学用語集」シリーズで解説したことがあります。


くせもの(医学)用語解説 VII「免疫力」①
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-10842139392.html

 

くせもの(医学)用語解説 VII「免疫力」②
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-10843198104.html#main

 

くせもの(医学)用語解説 VII「免疫力」③
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-10843678594.html#main

ーーー 一部引用 ーーーー
例えば免疫学者の安保徹氏などはしきりに免疫力関係の出版、講演を行い、抗がん剤は免疫力を下げるからすべきでない、医者の8割は自分ががんになったら抗がん剤治療はしない(いつの時代の話?)と主張している。しかし当の本人は基礎研究者で実際のがん患者さんは全く診ないで思い込みを言っているだけなのだ。
筆者が受け持ったある膵がん患者さんは抗がん剤治療を順調に受けていたが、たまたま安保氏の講演を聴いて治療をやめてしまった。その後どうなったかは推して知るべしだが、余りにも多くのまがい物情報が氾濫しているのでたまたま目についた物を盲信するのは危険過ぎる。
阿保氏は抗がん剤は免疫力を下げるので逆に寿命が縮まると言っているが、体の免疫力と突破した結果、ガン細胞は進展しているわけである。その状態で抗がん剤で治療したほうがより長生きできるし、治療しないほうが癌の進展による症状で苦しみ、ずっと寿命が短くなる事は全世界的にすでに証明されて異論の挟む余地がないのだ。(ブログ注: 正確にはメリットのある患者さんが一定数いるという意味)
そのなかで阿保氏が実際の治療に手を染めてなく観念の世界で抗がん剤は有害だと言い張る事は無理がある。何といっても実際の治療現場にてすでに結論が出ているからだ。

ただし安保氏が主張している基礎医学的なことに関してそれほど異論を唱えているわけではない。それはそれで正しい根拠があるのだろう。

問題はそれをそのまま臨床医学つまり実際のがん患者さんの治療理論に当てはめたことだ。今の医学は実証主義であり、たまたまではなく実際に効果があったかどうかの再現性を証明してなんぼの世界なのだ。
つまり理論がどんなにもっともらしくても、効果が証明されなければ捨てられる。
逆にメカニズムがわからなくても効くことが証明されてしまったためよくわからないが標準治療として確立している治療法もある。

したがって実際に患者さんを治療していない人間が自分の都合の良い理論だけで治療法を指導することに自体に無理がある。

ーーー ここまで引用 ーーーー

 

 

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時間:2016年11月26日(土曜日)14時から17時
場所: 東京 新橋駅周辺

開催概要
https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

2016-11-04 16:20:50

質問と回答: 医師は患者・家族心理への教育を受ける機会がないのか?

テーマ:質問と回答

有用記事の紹介: 勝俣先生連載: 余命に関する誤解(下)~標準治療の功罪~

http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-12213750813.html

のコメント欄の露草さんからの質問

 

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余命告知の問題は医師が言う「患者教育」(嫌な言葉ですが、糖尿病の患者さんが命を守る為に受ける生活教育を思い出して納得するようにしています。癌患者へのそれは、医師によっては、まるで死への準備教育・少し余計なお世話と思う時もあります。)をする医師教育の問題が大きいのではないでしょうか。私は自分自身が癌患者ですが、数十年前に家族を別の癌で亡くしました。当時の主治医は病状・余命等を説明する際に、家族がなった癌の症例から、その後の生存の可能性として、極度に進行が早ければ半年、手術とその後(抗がん剤ではありません。当時は家族の癌に効果が明らかなものは無かったと思います。)の治療が上手く功を奏し、治療を続けていければ6年から7年という説明をしたそうです。不覚実なものを、資料を示し、可能性にも言及するという説明が、数十年前に既にあったのに、何故、今頃、単純に1つの数字だけで説明する医師が多いのか(どうなのでしょう?)疑問です。時間が無いからですとは医師も答えないでしょうが、患者心理・家族心理への教育を、医師は受ける機会がないのでしょうか。
私の家族の生存期間は、良い方に振れました。拡大手術でもなく、家族の社会生活・仕事も考慮に入れて頂いた、当時としては最善に近い治療を受けられたと思います。
医師には医師の事情と考えがあるのだろうと思いますが、患者の考えを医師は一体どう受け止めるんだろうというのが、患者になってから、頭から離れない疑問というか命題の一つです。
〜中略〜

家族の癌は当時の言い方で中期の後期という説明でした。病名を説明される以前に、行われる検査等から推測して、癌である可能性は高いだろうと、家族自身も他の家族も考えていたそうです。医師の説明を冷静に聞く素地はあったかと思います。主治医の生存可能性の説明も更に慎重で、手術・治療が功を奏せば短く見れば2年、長く見れば6~7年、と短い場合にも言及したそうです。数十年前に、家族が慎重かつ真摯な「病気はあれど、更に人生は続く」を理解して下さる主治医に出会えた事を感謝しています。

----------------------------

 

当方の回答


医師は患者さんへの説明の仕方、患者心理・家族心理への配慮について、どういった教育のされ方をしているのか、患者さん側としては当然出てくる疑問だと思います。

 

近年、医学生の時にOSCEという患者さんへの面接の仕方についての正式な教育カリキュラムはありますが、これも立ち振る舞いの常識を世間知らずの医学生に教えているという感じのものです。

 

しかし、医師になってからの患者説明方法の教育は正式にはほぼ皆無と言って良いでしょう。
びっくりされるかもしれませんが、医師なりたての研修医に対する患者さん向けの親切、効率的、理解しやすい説明方法の指針や教育カリキュラムなどなく、大学教官自身も手探りで教えているのが現状です。


なんと言っても、この領域を扱った医学専門科がないからです


かろうじて精神科の一部、精神腫瘍学の領域では多少患者さんの心情に配慮した説明の仕方を研究対象としているぐらいでしょうか。


また生死の問題が大きい臨床腫瘍学や医療者向け緩和ケア研修の一部では告知の仕方などの具体的手法を教えてくれますが、微々たるものです。

 

じゃあ現場の医者はどうやって患者さんへの説明方法を学んでいるのかというと、ほぼ100%がその時ペアを組んでいた指導医(あるいはその上の上級医)の実際の説明場面で学んでいます。その指導医も昔研修医だったときに同様な方法で学んでいるはずです。


医療現場では高度専門化と安全対策のプレッシャーで忙しい一方、患者さんへの説明技法に関しては、苦情でもない限り、評価のされることがほとんどないことから優先順位がどうしても低くなります。(といっても、この実技を直に学べることは非常に意義が大きいのですが、当然その指導医の技量に左右される)

 

となると患者さんへの説明能力は、当の医師のキャラクターと個人的関心に委ねられることになるわけです。


基本的に医者は患者さんに安心してほしいし、喜んでもらいたいと思っているものです。

しかし問題は医者としての医学常識を身につけているか、上司や医療スタッフとうまくやっていけるかどうか、救急処置の知識やテクニック、学会発表や回診の準備、自身の睡眠時間や体力、受持患者の急変など他の切実な優先事項が多すぎるのです。

 

もっと簡単に言うと、患者さんの生死に関わる医者としての業務と、患者さんの満足度を上げる接遇の能力のどちらを優先するかというと、ほぼ前者を選択するのは言うまでもありません。

 

ところが、最近では高齢化社会で、がんにかかる人も、さらに生き延びる人も増え、治療を受ける期間も長期化してきました。


がんによる生死が短期決戦よりも、患者さんや家族の人生や生活にも大きな影響を及ぼす長期戦に主軸が移ってきたわけです。


となると、患者さん自身がよく理解し、考えて納得のいく治療(抗がん剤など苦痛を伴うものであればなおさら)を選択したくなるだけの時間的余裕も出てきます。

 

納得感が得られる十分な説明の要望は非常に高まっているのですが、肝腎の医者側がついていけてないのが現状です。

別の角度から見ると、医者は皆、患者さんの病気を治したいと思って医者になったため、治せるかどうかという点を最優先としてきました。
表現は悪いですが、治せれば文句はないだろうと言う考え方です。


ところが、近年のがん治療の発展は治癒を目指すだけでなく、治らないステージIVであっても、病状の進行を遅らせ、生活を守り、がんとの共存をはかるという大きな戦略転換が進行しています。


生きるか死ぬかというクリアカットな話ではなく、不幸にならないよう治療人生を送ってもらう命題が出現したわけです。

 

こうなってくると医者の治療の腕だけではなく、きつい治療への意欲を保たせるための患者説明技法が非常に重要になってくると思われます。


しかし治療意欲まで守備範囲が広がると、患者さん自身のキャラクターや価値観をも把握し、配慮する必要が出てくるため、もはや技量云々の範囲を超えた医師自身の信念が必要となってきます。

 

正確な診断技術、高度な治療技術の開発と習得といった医者として当然追求すべき命題以上に、患者さんへの説明技術を高めようという医師は多数派ではありません。

例えば、手術は下手だが、患者説明はうまいといわれる医師がいたとしたら、患者さん側としてもどうかなと思うでしょう。

 

もちろん、手術のうまいへたは患者さんには一見わかりづらく(その時の運に左右されることもありますから)、患者さんの不安を上手にとってくれる医師の評判が良いということは往々にしてあります。


逆に患者さんにぶっきらぼうでも、他の医者がまねができない医療技術を持っている医者は、業界内では誰も文句が言えないので、そのまま押し通せるわけです。


ただ、当方が出会った優秀な医師は患者さん説明もうまかったですね。技術だけで医療を押し通せる訳ではないからか、自信と余裕があってサービス精神が旺盛になったのかは不明ですが。


さてこういった医療側の裏の事情を知りたい方への推薦書籍があります。

 

 

 

この本は、最近話題の高額な免疫チェックポイント薬が国を滅ぼすと声を上げて有名になった肺がん専門医で、平成版「白い巨塔」のシナリオを監修したことでも知られています。

医療問題についてあけっぴろげな意見をたびたび披露し、医師の本音を語っているので、医者が何を考えているか、ヒントを得たいときは大変参考になるでしょう。

平凡な書籍名とはうらはらに、内容はかなり刺激的です。
いわゆる医療問題専門家の薄っぺらい(この場合日々患者さんと向き合っているわけではないという意味)意見でなく、難解な用語を並べた業界権威の高説でもない、平易な(遠慮のない)言葉で毎日患者さんと向き合っている現場のジレンマを披露してくれます。


たしかに著者のべらんめえ調の表現には好き嫌いはあると思うし、本人の講演はさらに拍車がかかって、偽悪家ぶっている口調が好きになれないという意見もあります。さらに業界内では変わり者扱いされているらしいのですが(失礼!)、書いている考察は思わずうなってしまう深さがあります。

同業者にとっても面白く読めて、まあ少なくとも退屈とは無縁の書籍ですね。

一部引用すると

ーーーーーー

・「患者と仲良くする方法」→「ばあさん(患者)に抱きつけ。じいさんだともっと効果ある。」

・患者からの贈り物は?→その場で開けて食え。

(通常なら文句も出てくるでしょうが、実際の書籍を読んで各自ご判断ください。)

ーーーーーー

今の(がん)医療の軋轢は医療側と患者さん側の背景の相互理解不足が大きな原因と思っているので、医療側の内情を赤裸々に語ってくれるのは自分としては助かるかなあ?

 

ちょっと話が脱線しましたが、患者さんの心情に配慮できない医師が増えた?、あるいは目立つようになったのは、医療技術の進歩のおかげで、ある程度生存期間の延長したためとも言えるのではないでしょうか。


もちろん異論もあるでしょう。
しかし、世界的に見ると、厳しい医療事情である発展途上国で、患者説明の問題が取り上げられるのはほとんど見たことがありません。

 

もっと(がん)医療の発展が進めば、いずれはいろんな問題が解決され、人は幸福になるのではないかという期待が一般にはあるかもしれませんが、実際には次から次に問題が生じるものだと当方は考えています。


例えば慢性骨髄性白血病は特効薬の出現で8割ぐらいの患者さんが生き延びられるようになりました。しかし患者さんの新たな悩みは生涯医療保険に加入できないことだという記事を見たことがあります。
また小児がんは昔と違って、かなり高率に治るようになりましたが、今問題になっているのは治療に使用した抗がん剤の後遺症である、成人してからの二次がん発症あるいは結婚や妊孕性に関することです。

 

切りがないのですが、こうなってくると人生哲学の領域に突入してしまいます。
やむを得ないので、患者さんには「当面の問題解決を探るのも大事ですが、かならず次の問題が生じるものです。よってトラブルに対処する基本的心構えも身につけましょう」と当方は受持患者さんに助言しています。

 

患者さん側からすると医療側の責任にしたくなるようなことも多いでしょうが、外部に原因を求めすぎると自分の努力で解決するチャンスが減ることになります。

つまり他人に自分の命運を握られるのがいやであれば、自らできることを探っていきましょうというのがこのブログのスタンスです。

 

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がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。
当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。

時間:2016年11月26日(日)14時から17時
場所: 東京 新橋駅周辺

開催概要
https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

2016-10-31 14:16:14

大津秀一先生の”まだまだあるある医療用麻薬の誤解 Q&A集

テーマ:有用書籍、記事の紹介


 

このブログでも下記のように「医療用麻薬の誤解」シリーズをやっていたが、途中中断したまま、すでに6年...

いつかは再開したいが、今回はわかりやすい専門家の記事を紹介します。

 

医療用麻薬の誤解①医療用麻薬についての多いなる誤解

http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-10728127736.html

より引用

-----------

がん治療において説明の手間がかかる双璧が「がん治療の意味」と「医療用麻薬」です。
かといってこの手間を省くと後で手痛いしっぺ返しを食らうのはもちろん、もろに患者さんの運命に関わります。
なのでいかに理解しやすく説明するかがここ数年間の自分の主要テーマの一つでした。
で、医療用麻薬について
・麻薬を始めるときは最後のときだ
・麻薬を一度始めるとやめられない
・麻薬を早く始めると後で痛みが強くなったときに効かなくなる
・麻薬を始めると頭がおかしくなる
・我慢できなくなった時に麻薬を使うべきだ
・麻薬を使い始めると寿命が短くなる
・入院中は麻薬は全て看護師さんに管理してもらう
・麻薬の使い方は全て医師に決めてもらうべきだ
・麻薬が効かなかったらもう手がない
・麻薬を始めたら普通の痛み止めは中止してもいい
・がんの痛みにしか麻薬は使えない
・これ以上薬は使いたくない


これぜーんぶ間違いです。

----------------

 

2016-10-27 17:53:56

有用記事の紹介: 勝俣先生連載: 余命に関する誤解(下)~標準治療の功罪~

テーマ:有用書籍、記事の紹介

有用記事の紹介
余命に関する誤解(下)~標準治療の功罪~
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161024-OYTET50013/?catname=column\_katsumata-noriyuki

 

当ブログでも何度も余命の誤解について取り上げていますが、勝俣先生が連載されておられる「がん診療の誤解を解く 腫瘍内科医Dr.勝俣の視点」の記事を紹介します。
----------------一部引用--------------
生存期間中央値は余命ではない

進行がんの生存期間を表現する際に、生存期間中央値がよく使われます。

中央値とは、文字通り、”真ん中のデータ”です。

100人の患者さんの生存期間のデータがあったとすると、50番目の患者さんの生存 した期間のデータになります。

平均のデータではありません。

なぜ、平均値を使わないのか?というと、がん患者さんの生存期間は、平均値の付近に集束するような正規分布にならないからです。

がん患者さんの生存期間のデータは、ばらつきが大きく、正規分布になりません。

早いうちに亡くなる患者さんもいれば、長く延命できる患者さんまで、幅広く存在するということになります。

つまり、生存期間中央値6か月というデータがあったとしても、6か月の時点で、たくさん患者さんが亡くなったということを示しているわけではありません。

医師が言う余命は、中央値のことを言っている場合があります。

私のよく知っている有名な肺がんの専門医も、診断の時に、

「平均的な余命が1.5年から2年くらい」と言うようにしているとのことです。

専門医ですら、平均値と中央値の意味をよく知らない、また、知っていても、患者さんに説明するのが面倒くさいからと、

「平均で、○か月」「だいたい、○か月」

などと言ってしまう場合があるようです。

患者さんは、たとえ、“中央値で○か月”、のように言われた場合も、冒頭の患者さんのように、数字だけが一人歩きして、“自分の命は、あと○か月”と勘違いしてしまうのではないでしょうか。

----------------ここまで引用———————

当方のコメント

一昔前はがん告知をどうするかということが、よく議論されていましたが、さすがに最近になってからは告知することが普通になってきました。


もちろん相当な高齢で、認知症もあったりすると、敢えて本人には病名を告げないこともあるでしょう。

しかしがんの治療法が有効なものが増え(シビアながん種でも多少なりとも生存期間が長くなってきている)、選択にかなり幅が広がってくると、本人の意向が重要になってきます。

このがん告知の方法もどうあるべきか、ちゃんとした「がん告知マニュアル」があるのですが、最近では担当医が検査結果説明の時にあっさり告げることも増えてきて、ショックを受ける患者さんもいるようです。(本来なら悪い知らせはある程度予告して、本人の精神的な身構えをさせる方が良いのですが)

 

 

このがん告知の作法は問題があるとしても、すでに本人に隠すという問題は過去のものとなりつつあります(ただし地方はまだ残っている)。

 

代わりに問題になっているのはこの「余命」の考え方と説明方法です。


当ブログの過去記事でもさんざん記載していますが、医療側がその該当がん患者さんの集団が、半数亡くなる時間(生存期間中央値: MST)を「余命」と誤解して患者さんに説明してしまう、あるいはわかっていても患者さんがそこまでしか生きられないと勘違いしてしまう悲劇的な説明が横行しています。

参考: 
曲者(くせもの)医学用語解説 I「余命」①
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-10796831916.html

余命の告知はどうすべきか③医師側の事情
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-11300042985.html


また医師は「余命」を厳しめに言う傾向があります。

これは生存曲線を見ればわかるのですが、生存期間中央値よりも早く亡くなる患者さんも少なくないからです(当たり前の話でしょうが)。


説明した「余命」よりも患者さんが亡くなった場合、医療側は責められるのを警戒してしまうからでしょう。

 

本当の意味で正確な余命を患者さんに説明しようとすれば、どのがん種のどのステージでは、どんな生存曲線を描いているのかというグラフを図示して解説するのが必須だと思います。


もしこのブログを読んでいる医療関係者がいたら、是非注意していただきたい。

 

またこのことを留意できている医師ばかりとは限らないので、患者さん側は自ら学習して、身を守るしかありません。

 

各がん種の各ステージごとの生存曲線自体を調べるのが、一昔前は難しかったのですが、今は全国のがんセンターや基幹病院のがん患者の予後を対象とした全がん協加盟施設の生存率共同調査、全がん協生存率がネットで見る事が出来ます。
https://kapweb.chiba-cancer-registry.org

このサイトの説明の一部を引用
---------------------
生存率のデータを見ていただく時に、いくつかご理解いただきたいことがあります。

生存率のデータは、たくさんのがん患者さんの平均的な数字です。
いわば確率として推測するものであり、一人ひとりの患者さんの余命を決定づける数字ではありません。

この生存率は、日本のデータとしては最も新しいものですが、それでも10年以上前にがんにかかった方のデータです。
ある程度の年数を経ないと、がん統計は結果が出ないためです。
ですから、現在は医療の進歩により、この生存率の数字よりさらに治療成績は向上していると考えてください。

生存率は、何万人というがん患者さんの生と死の結果わかった数字です。
ご覧になる方の受けとめ方によっては、生きる力になることもあるでしょうが、逆にその意欲を失くしてしまわれることもあるかもしれません。
おひとりおひとりが、そのことを心に刻んだうえでご覧ください。

---------------------

ちなみに当方は、がん患者さんに余命の説明をするときは電子カルテ上で必ずこの生存曲線を表示して解説しています。
この研究サイトの素晴らしいところは、その曲線で早く亡くなる患者さんもいるし、長期生存した患者さんもいることを説明できることです。
つまり余命はばらつくものだと言うことを患者さんも理解しやすいようです。

 

 

 

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当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。

時間:2016年11月26日(日)14時から17時
場所: 東京 新橋駅周辺

開催概要
https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

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2016-10-25 10:37:00

”相手によって言うことを変えないのが吉 痛みを取ってもらうためにも何にしても”

テーマ:医療用麻薬
痛みに関しては訴えないとわからないこと。主治医に対して遠慮してはいけないこと。緩和ケア医は疼痛緩和の専門家であることがよくわかる記事です。
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2016-10-15 22:51:42

有用書籍の紹介: 「元気になるシカ」

テーマ:有用書籍、記事の紹介

元気になるシカ

 

 


36歳の女性漫画家がIc ステージの卵巣がんにかかり、卵巣・子宮全摘術+術後補助化学療法(TC療法6コース)を受けた経験を漫画化したものです。

 

以前に
【第2版】抗がん剤治療漫画「さよならタマちゃん」

http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-11685151891.html

を紹介したことがある。


このときは精巣腫瘍の主人公が漫画家で、前立腺がんや膀胱がんについての抗がん剤治療や手術についての漫画であった。

患者さん目線の内容が新鮮で、抗がん剤治療がどんなものか想像できない治療前の患者さんには一読を勧めたいと紹介したことがある。

今度は婦人科がん患者さん向けの良い漫画テキストが出てきたと感じた。

「さよならタマちゃん」の場合はステージIVでも、強力な化学療法で完治し得る可能性が非常に高い精巣腫瘍であり、かなりきつい抗がん剤治療であっても、希望が持てるため、ひたすら頑張るシーンがメインであった。

今度は女性特有の卵巣がんだが、手術したあと、再発予防のためのきつめの抗がん剤治療を6コース行うという体験談となっている。
卵巣がんは固形がんの中では比較的抗がん剤が効きやすい部類だが、精巣腫瘍ほどの完治率ではない。
術後確定したステージはIcだが、再発予防のための抗がん剤治療はきっちりした方が良いので、ややきつめの抗がん剤治療となっている。(再発するかどうかでその後の人生が全く変わってしまうから)

「さよならタマちゃん」と同様に、初めてのがん治療で困惑する患者さんの心理状況とその変化を、主人公の表情で微妙に表現できる漫画の良さがある。
また絵の雰囲気がほのぼのとしているだけではなく、大部分が四コマ漫画となっており、読み始めるのに気合いがいらないところが良い。

婦人科がん治療の全体像を知る容易さから本書の対象はやはり、治療前の婦人科がん患者さんやその家族、あるいは一般人向けと思われる。

もちろん医療者にとっては患者さんの心理を知るために大変役に立つことから、推薦したいがん治療漫画といえる。

 

以下に自分が注目した点を記載する。

 

・p39 入院前日まで仕事→「気が紛れていいんだよね〜〜」
→仕事の効用で最も重要なのは、病気のことを考えなくてすむと言うことだ。


・p40 医師との話用グッズ: 質問を箇条書きでまとめたメモ、スマートフォンなどのレコーダー機能
→全ての患者さんに推奨したいこと。本来なら全ての病院案内に記載すべき事と思うのだが。


・p58 治療前に脱毛用ウイッグを用意

→脱毛は辛いことながら、それを前提に対策をしておくかどうかで雲泥の差が出てくる。卵巣がんや乳がんでは高度な脱毛が多いので、事前に案内がある事が多いが、他の固形がんの抗がん剤治療でも見習ってほしい。

 

・p74 吐き気止めの実際:「あまり薬追加したくないって思っていたけど、無理せず早めに飲めば良かった」
→せっかく多数の吐き気止めが開発されているのだから、利用しなけば損。がん治療の発展は、新規抗がん剤以上に強力な吐き気止めが使えるようになった恩恵が大きい。なるべく薬は使いたくないとか、副作用が怖いという人が多いが、抗がん剤そのものによる副作用に比べれば軽すぎて、誤差範囲に近い。
「なるべく薬は使いたくないので、手術の時は麻酔無しでお願いします」と言う人はまずいない。
抗がん剤治療も吐き気止めを存分に使わないのは麻酔をけちった手術に近いことを知ってほしい。

 

・p86 脱毛メイク
→男性にはわからない女性特有の問題。それを漫画で分かりやすく広報してくれるのはありがたい。

 

・p94 副作用で気持ち悪いときはスポ根ものの漫画を読むとよい。(注:スポ根→スポーツ根性系漫画: 「スラムダンク」など、古くは「エースを狙え」とか?)
→これも治療側からすると目からウロコの患者意見。これから自分の患者さんにも勧めてみよう。

治療経験者の意見は貴重で、自分も吐き気がするときは焼酎飲むと治ると主張する大酒家の大腸がん患者さんを受け持っていた。

 

・p95: 「こう言う時間は病気しなかったら持てなかったな」
→このシーンは全患者さんにみてほしい。がんになって自分の人生が失われるだけではなく、視点を変えると、逆にがんになったからこそ得られるものも探し出せると言うこと。


・P97
治療中にグレープフルーツを食べると吐く。
→グレープフルーツが薬剤吸収、代謝に大きく関与していることは知っており、日本人でグレープフルーツをそんなに食べる人がいるかな?と思っていたが、患者さん自身が自覚して訴えるというのは初めて見た。
グレープフルーツと薬剤との相互作用は不明な点が多く、その強度も個人差がかなり大きいようだ(ある種の薬物血中濃度を20倍上げる場合もあるという報告もある)。グレープフルーツは治療中は避けた方が良いだろう。

 

p99: 「治療をやらされているんじゃなくて、やるぞと言う気持ちに」
→「ストレス」という言葉がある。これは言い換えると「やらされ感」のことを指す。
治療のストレスというのは、納得できなく、無理に治療をさせられていることを指す。作者は治療から逃げるのではなく、自らの意思で治療に立ち向かう覚悟を決めたことで道を切り開いたわけだ。

 

p111 治療記録帳をつけていたが、 前回治療3日目で気分が悪くなっていると確認して、先に吐き気止めを飲んでおくことにした。
→記録することの重要さ、さらに学習することで得られるメリットを実感している。

 

p114 色々試してみたのは..やることで気が紛れる、やったんだから大丈夫…そういう気持ちが励みになるから。
→実際に行動することの大事さがわかる。考えるだけでは何も話が進まず、思考が空回りするだけだ。

 

p112: 味覚障害と吐き気があるときは冷や奴、ゆでトウモロコシ(の冷やしたもの?)が食べやすい。
→抗がん剤治療をしていると食べ物の匂いが吐き気を誘発するようになることがある。冷たい食べ物は匂いが発生しにくい。


p113: 治療前にマッサージすることでリラックスできる

→精神安定薬もあるが、マッサージは意外と効用がありそうな気がする。最近は最終末期のがん患者さんへのがんリハビリテーションとしてのマッサージも大変喜ばれるぐらいだから、結構期待できるだろう。


p146: 再発疑いがあるとき海外旅行へ行くかどうかを迷うシーン。
→不安時の一種の認知行動療法といえる方法を作者は実行している。再発していない場合は、もちろん旅行に行って満喫する。一方再発した場合だったとしても、抗がん剤治療を開始したらもう旅行に行けないかもしれない。だったら今のうちに行った楽しんだ方がまし、という発想にたどり着いた。そして旅行に行ったという実行力が素晴らしい。

 

p163: もともと落ち込みやすい性格
→しかし後で立ちあがる速さを獲得←それは生きている残りの時間を意識できるようになったから。

 

 

ここでちょっと気になる点を。

白血球が下がる抗がん剤治療であり、生ジュースや生もの禁止にがっかりするシーンがある。
たしかに今まではそういう意見であったが、抗がん剤治療と言えど、極端に白血球減少を来す治療でなければ、最近は生ものを食べてもかまわないと言う話になってきている。
少なくとも白血病の骨髄移植など、徹底的に白血球減少を来す治療でないなら、新鮮なものであれば生ものを食べても問題ないということだ。

以下のリンクを参照してほしい


抗がん剤と副作用の誤解 ~抗がん剤治療中は生ものを食べてもよいのでしょうか?~
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20151214-OYTEW55388/

抗がん剤治療中は、マスクをつけることや、生ものを避けることなどを、病院から指導されることが多いと思います。このマスク着用や、生ものを食べないようにすることの医学的根拠が乏しいとして、最近の海外の診療ガイドラインではする必要がないと記載されています(※2)。上記に示したように、ほとんどの細菌感染症は、空気中に浮遊している細菌が原因ではなく、手についた細菌が原因となるため、マスクの着用は感染症を予防する根拠に乏しいとされています。 
また、白血病で強力な抗がん剤をうける153人の患者さんに対して、生ものを禁止する群と、生ものを食べてもよい群とに無作為に振り分けて、感染症の発症率に差があるかどうかを調べた研究で、両者に差はありませんでした(※3)。この結果から、生ものの摂取に関して、米国の診療ガイドラインでは、「抗がん剤治療中に生ものを禁止するという根拠は乏しい」と記載がされるようになったのです。 
もちろん、生もの、特に生肉などは、普通の人が食べても食中毒や重症感染症を起こすことがありますので、注意が必要です。日常的に食べる野菜やくだもの類などは、新鮮なものをよく洗って食べればまったく問題がないと思います。また、お刺し身やすしなども、新鮮で、衛生環境が整った場所で調理されたものであれば、抗がん剤中に食べていただいてもかまいません。 
ーーここまで引用ーーー


日本ではまだガイドラインに記載されていないが、ガイドライン自体がかなり慎重を期して作成されるものだ。

 

自分の診療では抗がん剤治療中の生もの摂取は禁じていない(少なくとも外来通院で可能なものでは問題ないはず)。
これから先の抗がん剤治療では生ものに関しては制限が緩くなる傾向になってくると思われる。

 

 

この漫画は主治医の監修を受けているようで、婦人科がんを扱う病院では常備しても良いような感じがするぐらいの良い教育漫画ではないだろうか?

 

闘病記には主人公が不幸な結末にいたるものも多いが、そういったものはこれから治療する人が読むにはきびしいだろう。

この漫画は幸い主人公のがんは再発しておらず、厳しい治療でも前向きにとらえることはできるという点で、いまからがん治療に向かう人には安心してお勧めできる。(もちろんステージIVの根治の望めない患者さんは希望が持てないという意味ではない。考え方にさらなる工夫が必要だろうが)


以下の紹介記事も参照してください。
一人暮らしアラフォー がん告知を漫画に
https://dot.asahi.com/wa/2016100700056.html

 

 

最後に一点だけ気がついたことを。
主人公の姿は「鹿」の姿であり、恐らく本人の面影は全く反映されていないと思われる。
それでも、その表情は大変リアリティーがあり、共感を呼びやすいだろう。
しかしそれは漫画に慣れた日本人だから、表情の描出自体で主人公の心理を理解できることなのかな?
となると漫画の表現に慣れていない人や高齢者には厳しいかもしれません。

 

ちなみにkindle版があるので、スマホやタブレットのkindleアプリを使える人は、本屋になくてもすぐ見れます。

 

https://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B01LYTHKKG/ref=tmm_kin_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=

 

 

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第10回東京支部会(NPO法人宮崎がん共同勉強会)
がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。
当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。
場所: 東京都新橋周辺
時間:2016年10月23日(日)11時30分から3時間

開催概要
https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

2016-10-12 15:30:23

有用記事の紹介: 小林麻央さんも活用! がん闘病ブログは本人のQOL向上も

テーマ:有用書籍、記事の紹介

-------------ここより引用----------

小林麻央さんも活用! がん闘病ブログは本人のQOL向上も
http://bylines.news.yahoo.co.jp/katasekei/20161011-00062958/
より抜粋

がんサバイバーを孤独から救うブログ

がんという病気の診断を受けた日から、人はがんサバイバーになる。同じ自分、同じ体なのに、診断を受ける前とは、違う人生に迷い込んでしまったように感じる。

体調が悪くて外出がままならない時の閉塞感、病気や治療に対する不安を他の人に理解してもらえない苛立ち、診断を受ける前まで当たり前にこなしていた家族として、社会の一員としての責任を果たせない自分を無力に感じ、罪悪感にさいなまれる。そしてボディブローのように効いてくるのが、深い孤独感だ。

しかしソーシャル・メディアは、そんながんサバイバーたちがより多くの人々とつながり、孤独感を癒す手段を与えてくれた。
〜〜中略〜〜
この記事で紹介されたアン・シルバーマンさんは、2009年8月に乳がんの診断を受け、その2週間後に闘病ブログをはじめた。シルバーマンさんは、「治療や体調不良から開放されるのは、その事をブログにどう書こうかと考えている時」、「癌について他人のために書くことができて、癌治療の否定的な面よりも、前向きな面に注目できるようになった」と言う。
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ジョージタウン大学のロンバルディ総合がんセンター講師のナンシー・モーガン氏は、がんサバイバーのブロガーが、「がんについてのさまざまな考えや気持ちをはっきりと表現し、他の人とつながりを持つことで、大きな力を得ています」と述べている。ブログを通して読者や仲間とのコミュニティができあがるのだ。あるブロガーは、「病気や治療のことで失望しても、感じたことやその日の出来事をブログに綴ると、誰かがコメントやメールをくれる。そうした、ちょっとした励ましが、私の心を持ち上げてくれる。

---------ここまで引用----------

小林麻央さんのブログはがんサバイバーの方々の膨大なコメントが出てきていることから、非常に大きな反響があるのは多くの方がご承知でしょう。


がん治療において、どの治療法を選ぶべきかという視点ではなく、がんと診断されてからの心の持ち方や周囲の人たちとのつきあい方、あるいは社会的なつながりを前面に出したこのブログは、昨今のがん治療に対する考え方の変化を象徴していると言えます。

 

がんは身体的だけでなく、精神的苦痛も大きい事は昔から知られており、それに対処するため、30年ぐらい前から精神腫瘍学の研究が続いています。
今日では認知行動療法という手法が注目され、実際にがん患者さんの予後を延ばし、QOLも改善できるというデータもそろってきています。
また患者さん自身の思いを伝えたいという強い思いは数千冊に及ぶがん闘病本を生み出しました。


一方ではがん患者会が数多く誕生し、がん患者さんの孤独を解消し、希望をつなぐ役目も大きくなっています。
ただ実際の患者会では、患者さんの実情にあった会を見つけるのが難しく、またその場に行けるかどうかという問題もあります。


近年闘病ブログという時間と距離を克服できる社会的つながりの形態が普及してきました。

ここにきて芸能人である小林麻央さんのリアルタイムな闘病ブログの出現は、どちらかというと社会の中では目立たなかったがんサバイバーの存在の大きさを認識させ、がんとのつきあい方を患者さんと医療側に再考させるエポックメーキングなものとなるでしょう。

特に地方では未だ人にがんと言うことを知られたくないという方が多く、自分を孤独な方向に傾斜させる風潮が残っているからです。
それを自らがんを公表するだけでなく、それを糧に周囲とつながることで、治療意欲向上やQOL改善に役立てられると、これほどの著名人が立証した影響力は絶大です。


当方も、がんということを隠したがる患者さんへ、世間ではよくある事であり、周囲に知らせた上で普通に暮らすことの良さを理解してもらうための格好の事例として活用させてもらおうと思っています。

 

小林麻央さんのブログについては、いずれ考察を入れて記事にしようと思っていましたが、非常に分かりやすい紹介記事があったので、今回引用させてもらいました。
是非ともリンクの元記事を読んでみてください。

 

なお別記事ながら小林麻央さんのブログ関連で当方の書籍を紹介していただいたニュースもありました。

「孤独から抜け出し、前向きに生きる」---がん患者のあるべき姿とは

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160921-12000029-webhon-ent

 

------2016年7月新刊紹介--------

孤独を克服するがん治療〜患者と家族のための心の処方箋〜孤独を克服するがん治療〜患者と家族のための心の処方箋〜

1,620円

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がんに悩む友人へのプレゼントとしてもご活用ください。
 

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第10回東京支部会(NPO法人宮崎がん共同勉強会)
がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。
当日は女性看護師も出席しますので、女性の方々もどうぞ。

ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオンほどではなくても、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。
場所: 東京都新橋周辺
時間:2016年10月23日(日)11時30分から3時間

開催概要
https://sites.google.com/site/miyazakigkkb/

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