メモ:左へ捻じれた胸…よく見られる胸郭の形④
左捻りの胸


 胸が左へ捻じれている人は多いです。過去記事で書いたように、右が利き腕や利き目の人が多いからだと思います。また、内臓の配置の左右差なんかが関係しているのかもしれません。とにかく、左へ捻じれる人は多いのです。


さて、この“左へ捻じれた胸”ですが実は、“右へ倒れた状態の胸”が同じ高さで余分に右前に倒れた胸であることがほとんどです。捻じれる動きは椎間関節からみると前後の動きを含むものだからです。(詳しくは→メモ:捻る動きと体軸)
そのため、“左へ捻じれた胸”は


右へ倒れた状態の胸”+右側が“前後に引き伸ばされた胸


あるいは、


右へ倒れた状態の胸”+右側が“前から後へ押しつぶされた胸


となっていることがほとんどです。


  体調への影響も胸椎が右へ倒れた高さで出る不調に前に倒れて出る症状が重なった形で出てきます。

胸椎が前に倒れ込むと、たわんで丸くなった部分に気血の淀みが出来やすくなります。その部分で水(体液、リンパ液等)が淀むと“湿痰”と(我々鍼灸師が)呼ぶ“”が形成されます。(邪と書くとなんだか呪いのような禍々しいものと感じますが、中医学の世界ではもっとアッサリしています。「体の働き・流れを疎外して悪さするモノ」です。)
これらの溜まる場所によってノドから出る痰になったり、鼻水になったり、デキモノなったりするというわけです。

また、そのたわんで丸くなった部分に血液が淀むと“血オ”(ケツオ)または“オ血”(オケツ)と呼ぶ“”が形成されます。これも場所によってコリを発生させたり、神経痛を起こしたり、腫瘍を形成したりすると考えています。


これらの"邪"が臓器そのものまたは回りに溜まると、臓器の働きを損ない徐々に臓器そのものを段々と弱わらせていくと中医学の世界では考えています。

西洋医学的な観点からも見ても説明が重なる部分があります。


例えば
肺がうっ血して水分が溜まると肺水腫になるとか。
心臓にたまると心肥大とか。不整脈を起こす冠動脈狭窄なども心筋のうっ血と考えて良いと思います。



  私達が臨床で一番よく出会うのは、胸椎6~9番で左へ捻じれを起こしている例です。胸椎6~9番当たりは横隔膜から胃~十二指腸~肝臓・胆のうの動きに影響を与えます。特に右へ倒れると十二指腸~肝臓~胆のうにかけての消化機能への影響が多くでます。そこから右前へ前倒れしてくると淀みが発生します。具体的には、胆汁の出が悪くなり脂っこいもので胃もたれしやすくなります。あるいは、十二指腸炎や潰瘍が出来やすくなります。手でゆっくり触りこの当たりを観察していくと、このことを確認することが出来ます。ミゾオチから右のアバラの縁を手で丁寧に確認していきます。すると浮腫んだところ硬くなって圧すると痛い場所が見つけられます。よく見るとほそく細かい毛細血管が浮き出ていたりするのを見つけることが出来ます。血行不良でうっ血が肌の上に現れてきているのです。

その状態が長引き負担が増加していくと胆石が出来たり、肝臓の病へと発展していくことになります。


  “胸の捻じれ”はほとんどの人の胸に見つけることができます。けれども長い目で見ていくと疾病へつながると私達鍼灸師は確信しています。これを予防していくには“胸の捻じれ”がひどくなる前にゆるめてひどくならないようにしていくことであると確信しています。「からだ」の声を聴くとはこういった病につながる前の状態に気付いていくということでもあります。



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