「ダウン」 | こだわりの館blog版

「ダウン」

ハピネット・ピクチャーズ
ダウン DOWN~スペシャル・エディション~

【真夏の夜のホラー特集】さて本日は予告通り「リメイクした作品」
アメリカ作品「ダウン」であります。

真夏の夜のホラー特集・第11弾
2002年劇場公開作品
監督:ディック・マース
出演:ジェームズ・マーシャル、ナオミ・ワッツ、エリック・タール、マイケル・アイアンサイド、
    ダン・ヘダヤ、エドワード・ハーマン、他

今から20年ほど前、
映画雑誌『スクリーン』を愛読しておりました私は、
ある作品紹介に興味を持ちました。その作品名は「悪魔の密室」
オランダ映画で、なんでもエレベーターが人を殺すという突拍子もないアイデアの作品でした。
その前年ぐらいに大量のホラー作品が公開されており
(アメリカ俳優協会のストが原因で低予算のホラー作品ばかりが制作されたそうです)
手を変え、品を変えのホラー攻勢にさすがに食傷気味だったところのこのアイデアに、
幼少の頃の私は「見たい!」と思って公開を待ちわびたのでありました。
ところが待てど暮せど公開の声を聞かない。
「ありゃ地方公開のみ(昔はこういう作品があったんです!)だったのかな」と思ったが
地方でも封切られた形跡はなし。
『スクリーン』誌では双葉十三郎先生が「ぼくの採点評」でこの作品をそこそこ誉めており
ますます見たいと思えども、いつまで経っても公開されない。
遂に「悪魔の密室」は『スクリーン』誌で紹介されておきながら結局は“オクラ入り”してしまったわけです。
その後、ワーナーホームビデオで「悪魔の密室」のタイトルは見ましたが、
アッという間に廃盤になってしまったようで
「悪魔の密室」は結局のところ私にとっては“幻の作品”となってしまいました。

それから20年後、1本の公開作品の新聞広告を見て私は「オッ!」と思いました。
タイトルは「ダウン」
「エレベーターの恐怖!ノンストップ・ホラー!」てなキャッチが並ぶその広告に
私は20年前の記憶を蘇らせていたのであります。
これは「悪魔の密室」のリバイバル上映かと…。
ところがこれは「小さな目撃者(1999)でハリウッドデビューした
「悪魔の密室」の監督ディック・マースが自らの手でリメイクした作品だったんですね。
「悪魔の密室」はアヴォリアッツ国際映画祭のグランプリを受賞した
ディック・マースのまさに出世作でありますから
自らの手でハリウッドリメイクするほど、この素材には人一倍愛着があるのでしょう。

  ニューヨーク・マンハッタンにそびえるハイテク装備の最新鋭超高層“ミレニアム・ビル”。
  ある日突然、このビルのエレベーターが誤作動を起こす。
  エレベーター技師マーク(ジェームズ・マーシャル)は整備で訪れた際、
  エレベーターに何か異常なものを感じ取る。
  案の定、エレベーターによる不可解で残酷な事件が続出し、
  警察が調査しても一向に原因を解明できない。
  マークは、取材に来た女性記者ジェニファー(ナオミ・ワッツ)を連れて独自調査を始めた。
  なおも犠牲者が増える一方で、予想し得ない衝撃的な事実が彼らを待ち受けているのだった…。

満を持してのリメイクですからキャストも思いっきりパワーアップしてます。
「リング」に続く出演で、今や“新ホラークイーン”になりつつあるナオミ・ワッツを筆頭に
「ツイン・ピークス」でのウジウジした青年役が印象的だったジェームズ・マーシャル
出てきただけで悪役だとすぐにわかってしまう、
「スキャナーズ」で全てのキャリアを出し尽くしたマイケル・アイアンサイドに、
B級映画の常連で「マルホランド・ドライブ」ではデビッド・リンチがオマージュを捧げるほどの
“知る人ゾ知る”ダン・ヘダヤ
などなど…見ながらニヤニヤしっぱなしのツボを得たキャスティングであります。

まあ作品としましてはハイテクビルを舞台にするなど懸命にニューバージョンにしようと努力しておりますが
所詮は、20年前の素材の焼き直し
もう素材自体が“賞味期限切れ寸前”てな感じで、
「悪魔の密室」の当時は私も「見たい!」とは思いましたが、今では思わず笑ってしまう箇所も多々あり、
ディック・マースの20年ぶりの再登板もちょっと時期が遅過ぎたように感じてなりませんでした。
またエレベーターの描写が、セットで撮影されたのがミエミエで、
ドアが閉まる時、左右の扉の閉まるタイミングが微妙にズレるのが、妙に気になったんですね。
これじゃテレビドラマじゃないか…と。
たかがエレベーターのドアの些細なシーンなんですけど、
何せ「悪魔の密室」に思い入れがあった身にとっては、
パワーアップしたであろう本作にはついつい完璧さを求めてしまったんですね。

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  悪魔の密室
  ワーナー・ホーム・ビデオ
  悪魔の密室

■過去の記事はこちら
 ●ドーン・オブ・ザ・デッド(【真夏の夜のホラー特集】第1弾)
 ●テキサス・チェーンソー(【真夏の夜のホラー特集】第2弾)
 ●ゴシカ(【真夏の夜のホラー特集】第3弾)
 ●4人の食卓(【真夏の夜のホラー特集】第4弾)
 ●デビルズ・バックボーン(【真夏の夜のホラー特集】第5弾)
 ●ノロイ(【真夏の夜のホラー特集】第6弾)
 ●シャドウ・オブ・ヴァンパイア(【真夏の夜のホラー特集】第7弾)
 ●ニコラ(【真夏の夜のホラー特集】第8弾)
 ●28日後(【真夏の夜のホラー特集】 第9弾)
 ●モルグ(【真夏の夜のホラー特集】第10弾)

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