AMHは閉経時期を予測しうるか? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、AMHが閉経時期を予測しうるかについて検討したものです。

Hum Reprod 2016; 31: 1579(オランダ)
要約:1992〜2001年に、21〜46歳の女性265名を対象に、AMH、AFC、FSHを測定し、2009〜2013年に閉経したかどうかについて質問票調査を行いました。155名の分析が可能で、81名(38%)が閉経に至っていました。AMHが閉経までの期間(TTM = time to menopause)を予測する唯一の因子でした。しかし、予測可能なのは若年の場合のみであり、高齢になればなるほど予測が難しくなっていました。

解説:本論文は、AMHが閉経時期をある程度は予測しうるが、それは若年の場合に限られることを示しています。このような研究は壮大なビジョンのもとに行わなければできません。本研究グループは、当時まだAMH検査が一般的でなかった1992年からこの調査を開始しており、先見の明があったことは間違いありません。しかし、分析数は155名のみであり、結論を導くには症例数が少なすぎるとおもいます。したがって、現段階では、AMHで閉経時期や、妊娠の可能性を論じることは難しいと言えるでしょう。

下記の記事を参照してください。
2015.7.30「閉経時期の予測因子」
2014.11.26「採卵個数で閉経時期の予測が可能!?」
2014.4.10「母親の閉経年齢よりAMHの方が閉経時期を予測しうる」
2012.10.16「AMHによる閉経時期の予測」