閉経時期の予測因子 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、閉経予測因子について各種パラメータを検討したものです。

Hum Reprod 2015; 30: 1974(オランダ)
要約:1987~1991年に20~43歳の閉経前の女性1163名を、5年毎に経過観察し、閉経の起こる時期を調査し、後方視的に分析しました。閉経時期を予測する因子として、年齢、BMI、喫煙期間、生理周期(規則的、不規則、ピル服用、妊娠の有無)、AMHが抽出されました。C-統計量と閉経の予測確率を算出したところ、下記のようになりました。

                   C-統計量  予測確率
年齢のみ                0.88    
年齢、BMI、喫煙期間、生理周期     0.89    82.6%
年齢、BMI、喫煙期間、生理周期、AMH  0.91    85.3%

解説:C-統計量は、1に近いほど予測確率が高くなります。本論文は、閉経を予測する因子として、年齢、BMI、喫煙期間、生理周期、AMHを明らかにし、AMHを加えた場合に最も予測精度が高くなることを示しています。当たり前といえば当たり前かもしれません。本当は、閉経時期を予測する計算式を提案して欲しかったのですが、それはまだ無理のようです。

閉経時期の予測については、下記の記事も参照してください。
2014.11.26「採卵個数で閉経時期の予測が可能!?」
2014.4.10「母親の閉経年齢よりAMHの方が閉経時期を予測しうる」
2012.10.16「AMHによる閉経時期の予測」