母親の閉経年齢よりAMHの方が閉経時期を予測しうる | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

妊娠を目指している女性の多くは「いつ閉経が訪れるのか」という心配を持ちながら治療を続けているものと思います。外国では卵子が少なくなってくると、ドナー卵子の治療をすぐに勧められ実行されてしまうため、日本ほど高齢の女性の妊娠治療が行われていません。本論文は、閉経時期の予測には、母親の閉経年齢よりAMHの方が有用であることを示しています。

Hum Reprod 2014; 29: 584(オランダ)
要約:グループ1の164名(乳癌スタディーに属するコホート)とグループ2の150名(一般集団の2つのスタディー)の女性の、母親の閉経年齢と本人のAMH値を調べ、閉経時期までの期間を前方視的に検討しました。閉経時期までの期間の予測として、c統計量で比較すると、母親の閉経年齢のみでは85%、母親の閉経年齢+本人のAMHでは92%となりました。母親の閉経年齢のみの場合と比べた閉経時期の予測は、母親の閉経年齢+本人のAMHで47%改善しました。

解説:本論文は、2013.2.8「☆AMHは母親の閉経年齢に左右される」2012.10.16「AMHによる閉経時期の予測」を合体させたものです。予想通り、閉経時期の予測には、母親の閉経年齢よりAMHの方が有用となりました。今後の対応策として、母親の閉経年齢が45歳以下の場合には、一度AMHの測定を行い、早めに妊娠を目指すのが良いと考えます。

なお、c統計量は、ROC曲線で求められる AUC と同義であり、100%が最もよい数値です。