Q&A1012 ☆ピルで卵子が温存できるのにAMHが下がるのはなぜ? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 初歩的な質問で恐縮ですが、昔「ピルを飲むと無駄に毎月卵子を消費しないので、卵を残しておける」つまり避妊以外にもメリットがある、というようなことを聞いたことがあります。でもピルを服用するとAMHが下がるというのは、その周期のことだけではなく長期的に見てのことであれば、私の聞いた説は嘘というか逆になります。
若いころ、避妊目的でピルを服用する若い女性が多くいる国に住んでいたことがあり、服用を医師にも勧められましたが、私は服用しませんでした。私にはあまり関係ないのですが、ふと疑問に思いました。

A これは誤解されている方が大変多いと思います。AMHが何を意味するのかがわかると理解出来ます。

AMHは卵巣に残っている卵子の数を示しているのではなく、現在供給されている卵子の数を示しています。ピルは、卵子の供給を減少させますので、ピル使用中から使用をやめて3カ月まではAMHが低下します。しかし、供給量が減っただけですので、ピルを使用していない方よりも残っている卵子は多くなります。

ピルとAMHについては、下記の記事を参照してください。
2015.10.4「ピル服用でAMHが19%低下」
2014.11.8「☆ピルを飲むとAMHが減ります」
2013.9.18「Q&A77 ☆AMHが増えました♡」
2013.6.25「ターナー症候群の妊娠」
2013.6.16「☆☆☆AMHは年齢とともに低下しません⁈」
2013.5.21「☆☆ピル(OC)のメリット」
2013.5.14「☆体外受精前周期のピル(OC)のメリット•デメリット その1」
2013.4.22「☆ホルモン剤(ピル)の使い方でAMHが半減?」

卵巣からの卵子の供給については、下記の記事を参照してください。
2013.10.13「☆☆チョコレート嚢腫術後に低下したAMHが増加する場合がある?」
2013.10.23「☆GDF9遺伝子変異でAMHが減少します」