無重力着付けの手順を構築
着付けをしているときに 気持ちいい!と言われたことからはじまった無重力着付け。
気持ちいい着かたをどうやって みなさんが再現できるようにお伝えするのか
10年以上この仕事をしていても結構な難産でした。というか 最初は 無理だと思ってましたから。
そこから 自分の着付けを観察して いったいどこが無重力着付けの肝の部分になるのかを探り当て、
手順としてお伝えするようになりました。
これまで高い評価を受けていた鞠小路メソッドの着付けの手順のときよりもさらに
手順をそぎ落とし よりきれいにも着られるようになるというおまけつき ですよ!
そのときは我ながら感動しました(笑)
もっとも大切でもっとも簡単なこと
ところがみんな 無重力着付けで一番大切な要のポイントを忘れてしまうのです。
1人や2人ではありません。
ほぼ全員。
難しい手順なのかといったらそういうわけでもなく 講座中は特に苦も無くできてしまいます。
これさえ押さえたら 気持ちよく きれいに 着崩れもせず そしてすごく簡単に着られるという 普通に考えたら
うれしすぎるポイントのはず。
なのに 忘れる
やり方が難しいのか
伝え方が悪いのか
強調が足りないのか
いろいろ試したけどやっぱり忘れる というよりも そもそも届いていない印象。
そのあとも なん十人なん百人と教えても同じ結果。
そして ひとつの結論に達しました。
「簡単なのに大切なこと、それを感じるセンサーそのものが存在しない」
わたしたちは着物のことをすっかり忘れてしまった
今のわたしたちは 生まれた時からずっと洋服を着続けてきました。
洋服とは 洋の服 つまり 外国の服です。
それを何の疑問も持たずに
「洋」とすらつけずに 服 と呼んで 毎日の生活の基盤としています。
毎日繰り返し繰り返し洋服に袖を通すことで
洋の身体の使い方を練習し 洋の考え方をインストールしていること
そして 日本人が育んできた 着物は もはや
特別な時にだけ着る 遠い存在になってしまいました。
無重力着付け以前に大切なこと
今月19日に開催する 呉服神社参拝+新春ランチ会では その原因に触れて 取り除くということを行うことで
無重力着付けをすでに習った方には 着心地よく着られるような 回路を作りたいと考えています。
呉の国から 我が国に 機織り裁縫技術をもたらした神様 呉服神。
着物の神様が私たちにもたらしてくれたものはいったいなんだったのか。
その原点に立ち返り 想いを馳せ
あらためて 着物 というものの存在を解き明かし
わたしたちの着物に対する認識を再定義していきます。
熱心な人ほど 真剣に練習するし 自分なりの頭で考えるということを行いますが
それらはすべて 洋服で培われた世界観の中で行われます。
着物を気持ちよく着る というのは その世界の外にあります。
今のわたしたちにとっては 残念ながら異世界ですが
そこに戻る ということを試みる一日にしたいと思っています。