「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
いつか必ず、また観なくてはいけない日が来る
★★★★★
(★…1点 ☆…0.5点,★5つで満点)
(2012年/フランス・ドイツ・オーストリア/127分/Amour)
【 監督・脚本 】
ミヒャエル・ハネケ
【 出演 】
ジャン=ルイ・トランティニャン
エマニュエル・リヴァ
イザベル・ユペール
アレクサンドル・タロー
【あらすじ】
パリ都心に住む音楽家の老夫婦のジョルジュとアンヌは、慎ましくも満ち足りた生活を送っていた。
ある日、アンヌの体に異変が生じ、手術も虚しく右半身不随に。懸命に介護するジョルジュだったが、アンヌの病状は日増しに悪化していく―
【コメント】
はい、満点付けさせていただきました。
巨匠ミヒャエル・ハネケの、『白いリボン』に続くカンヌ映画祭パルムドールを受賞した本作。今回の作品は非常にシンプルでありながら、身につまされる思いになるとても重い作品であります。
はっきり言ってしまうと、映画自体は非常にテンポが悪く、グダグダ感がハンパないです。
そりゃそうです。2時間ずーっと介護をしているところを見させられるんですから。長回しも非常に多く、“見せ場”というものがまるでない。「映画はエンタメ!」と思っている人は確実に退屈するでしょう。
もう十数年前になりますか、僕の祖母がまさにこんな感じでして、あれだけ気丈で怖かったばあちゃんが日に日におかしくなっていく様を見てるんですね。粗相をしたり、真夜中に突然奇声を発したり、意味もなく怒りだしたり。
特に親父は、仕事をしながらも一生懸命介護をこなしていましたが、やっぱりどうしても我慢できず声を荒げるところも何度か目にしています。もどかしいんですよね。それでも、祖母が亡くなったときは、涙なんて見せなかった親父は泣いていましたね。
結局のところ、本作の無駄と思われる長回しは、まさにその愛する人に対する介護の“もどかしさ”を体感させているんじゃないかと思えてならないんです。
本作に巨大なテーマやメッセージが隠されているかと言えば、決して押しつけがましいものではないんです。
あくまで日常の姿をダラダラと見せ、「この映画であなたが感じたことこそがあなた自身のテーマです」とハネケ監督は言っているような気がしますね。
介護問題でもいいし、普遍的な愛の形と捉えてもいい。本作で感じたことをそのまま汲み取ればいいと僕は思います。そんな映画だったと僕は感じます。
そんなわけで本作、僕はまたいつか必ず、観なくてはいけない日が来るだろうと思っています。
自分の親がこうなるかもしれない、そして今度は自分自身がこうなるかもしれない。それを体感したときに、また本作の感じ方が違ってくるのかもしれません。そして、胸を締め付けられるラストの意味も紐解けるのかもしれませんね。
その前に僕は、愛する人を見つけなくてはなりませんが。
【2013年度 Myランキング】(3/10時点)
本作は、本年度のベスト10中1位(暫定)にランクイン。
今年はこれで決定かな・・・
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:愛、アムール ★★★★★
2位:燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘 ★★★★☆
3位:レ・ミゼラブル ★★★★
4位:ジャンゴ 繋がれざる者 ★★★☆
5位:アウトロー ★★★☆
6位:テッド ★★★☆
7位:デッド寿司 ★★★☆
8位:
9位:
10位:
次点:
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:ダイ・ハード/ラスト・デイ ★★
2位:脳男 ★★☆
3位:ゼロ・ダーク・サーティ ★★☆
<その他ランク外一覧>
96時間/リベンジLOOPER/ルーパーキャビン
『愛、アムール』公式サイトはこちら
白いリボン 【DVD】
ファニーゲーム 【DVD】
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