４月の東京日程では、夕方のヴォイス・ヒーリング講座のまえに神楽坂の紀の善を再訪し、絶対にあんみつを食べようと、ひそかに決めているのですが、
こういう甘味処に行くと、いつも思い出すのが、ＹＡＷＡＲＡ！で、滋五郎おじいちゃんが、突然来日したテレシコワさんに、おしるこを食べさせるシーン。
ロシアの切迫した事情で来日したことを説明するテレシコワさんに、「食え！！」と、おしるこをすすめる滋五郎おじいちゃん。
テレシコワさんは、初めて口にする日本の伝統的甘味に、ものすごい無表情で、
「甘い・・・」（→おしるこ）
「しょっぱい・・・」（→おしんこ）
と、甘さと塩気を交互に口にした感想を呟く。
これがほんと画像でご紹介できないのが残念なのですが、率直なおしるこ評の極致というか、たとえば豆大福の豆の自然な甘みとほんの少しの塩気とか、レーズンブレッドのレーズンの甘さとバターの塩気とか、
この口のなかで広がる絶妙の甘さと塩気のコントラストがより美味しさを高める！！！
と陶酔するたびに、
さくらはこのテレシコワさんの「甘い・・・」「しょっぱい・・・」の名場面を思い出すのです
かっこいいのが、生活のためなら日本でコーチの道を選んだ方がずっといいけど、テレシコワさんは「やっぱりヤワラと本気の勝負するのは、オリンピックしかない」と、柔道家としての魂の道＝情熱を選ぶところ。
おじいちゃんに、ずっと練習していないことを見抜かれた悔しさと祖国の情勢に対する希望の見えないなか、おしるこを食べて元気になって、「国に戻ってすぐ練習を始める」と宣言するテレシコワさん。その柔道家としての“本気”に触発され、ロシアに戻ることを決めた、一緒に来ていたフルシチョワさんに、「オシルコ食べて帰ろう」と言うシーンも、かっこよくって心温まる、大好きなシーンのひとつです
ＹＡＷＡＲＡ！はほんと、物語も熱くて面白くて、名場面がたくさんあって大好きなマンガなのですが、マスターキートンもそうですけど、浦沢直樹さんの描く食べ物が実に美味しそうなのですよね
食べ物の描写といえば、池波正太郎さんの作品も、忍者の“丸薬”でさえ美味しそうに感じるほどでしたし、大好きな３月のライオンも、羽海野チカさんの食いしん坊を通り越した“食べ物愛”全開なところも大好きで（おねいさんとひなちゃんの“トッピング全部乗せ”あんみつは、いつか大好きなみはしでやってみたいっっ）、
ＹＡＷＡＲＡ！名言集からは、こんな名言が
「甘い！！マロングラッセをほおばりながら、あんみつをすするようなもんです！！ そんなことで、あの猪熊柔に勝てると思ってるんですか！！」（風祭さん）
千疋屋のマロンフェアで、マロンケーキとマロンパフェの合わせ技一本を華麗に決めたことがあるさくらも、
洋のマロングラッセのややくどい甘ったるさと、和のあんこと黒蜜のダブルの甘さが重なるあんみつは、これは到底同居し得ない甘さなので、風祭さんの真意としては、甘さだけじゃなく、「そんな的外れな練習メニューではだめだ」ということなのかもしれません
ＹＡＷＡＲＡ！の読み過ぎというか、滋五郎おじいちゃんの教えが浸透しすぎて、
一本取ってこそ柔道！！！
が、いまも変わらぬさくらの柔道観＝人生観なのではありますが、
去年、投げられたあとのさやかさん状態になったことを思い出したり
→さくら、さやかさんになるの巻
人生に迷ったときは、滋五郎おじいちゃんに喝を入れてもらいましょう
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絵：リンゴの国のあゆみさん
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