(本の紹介)『ビジュアル英文解釈 Ⅰ・Ⅱ』(伊藤和夫著) その1 | 真面目に脱線話@リンガランド英語塾

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英語や芸能など、思いついたことを適当に書いていくという、そういうブログです。

このブログはおもに社会人や大学生などの方に向けられていますが、高校生用の学習参考書を紹介すると意外と反応があります。『基本からわかる 英語リーディング教本』(→リンク)や『英文解釈教室 改訂版』(→その1その2)の紹介記事もいまだにアクセスが続いています。



本格的な学習参考書は今や社会人のほうが需要があるものになったのかもしれません。



以前大学受験用の学習塾で英語を教えていたことがあります。そんなこともあって、自分が高校生だったころから通して考えると、ざっと流して読んだだけのものを含めればゆうに200冊以上の高校生用・大学受験生用の参考書に目を通してきました。



もちろん自分が勉強するために読んだのでなく、「どういった教え方が良いのか」という観点からです。



そのような観点から、「その中でもっともすばらしい参考書は何か?」と問われれば、私はまよいなく伊藤和夫著『ビジュアル英文解釈』(駿台文庫)をあげます。



ではなぜそんなに評価しているのか? この記事はその理由を述べたものです。今回は大人が読む実用書としての『ビジュアル英文解釈』を考えます(高校生・大学受験生の方はぜひリンガランド教育研究所の記事「大学受験生へのアドバイス」をご覧ください)。



足跡 足跡 足跡



前に述べましたが、同じ著者の『英文解釈教室』(現、『英文解釈教室 改訂版』)は大人が読むレベルの英文にあらわれるほぼすべての構文を網羅し、なおかつ学校英語の範囲で説明しています。いわば『英文解釈教室』は構文事典です(→その1その2)。



ただ、『英文解釈教室』には2つの短所があります。その1つが、頻度の高い大事な構文と、さほど目にしない構文とが同じような扱い方をされ、頻出が高く大切な構文なのに数がこなせないとか、それほど使われない構文なのに数例の例文が上げられるなどのアンバランスさがあることです(もう1つは本質的な「難解さ」です。過去ログをご参照ください)。



それをみごとに克服した参考書が1987年に出版された『ビジュアル英文解釈』です。



『ビジュアル英文解釈』で特筆すべきはその構成の美しさです。



最初の段階では語彙レベルの低い読みやすい英文を使って基本的で大切な構文を習得できるようにしてきます。次の段階では、前に出た構文を、前よりもわずかに語彙レベルの高い英文で学びます。次の段階でも、前に出た構文を、前よりもわずかに語彙レベルの高い英文で学びます。



そうやって最後まで読み進んでいくと、大切な構文は繰り返し勉強することになります。そうでないものは途中で出てきて、繰り返しの回数が減っていきます。そうやって最後まで読み進むと、大切な構文はたっぷりと練習し、頻度の低いものは数回見る程度にとどまるといったように、重要度に応じ身に付き方にちがいが出ます。



私たち英語学習者は英語を読む上で、英語の「形」を気にする必要があります。ネイティブはそんな意識はありません。単に意味だけに集中します。また、それこそが英語の理想的な読み方です。



でも、最初からそれをやるのは不可能です。その不可能にできるだけ近づこうと試みたのが『ビジュアル英文解釈』です。



『英文解釈教室』を読むとあらゆる構文の知識が得られますが、英文を読むときはその知識を「知識」として使っているうちは、意味だけに集中するのは不可能です。



『ビジュアル英文解釈』を読むと、英語の中心となる基本構文はかなりの確率で「知識」ではなく、「身について」います。つまり、英文の「形」を意識することなく意味に集中できます。



意識的に身につけた方法を無意識に使えるようになる無意識化のプロセスが、『ビジュアル英文解釈』では『英文解釈教室』より一段階少ないと言ってもよいでしょう。



続きます。


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ビジュアル英文解釈 (Part1) (駿台レクチャーシリーズ)
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