2011年8月22日レクサプロ発売
製剤見本。
見本は2錠入れられている。日本では10mg錠の1剤型のみ発売。
拡大したもの。楕円形で、真ん中に大きな割線がある。
レクサプロ(エスシタロプラム)
今日、2011年8月22日、レクサプロが発売になった。レクサプロはセレクサ(シタロプラム)のうち、光学異性体のS体のみを抽出したものである。
セレクサのうちR体は抗うつ効果を弱めてしまうらしい。ピュアなS体(エスシタロプラム)は非常に評価の高いSSRIの1つである。
過去ログ(2008年1月2日の記事)から。
シタロプラムというSSRI。シタロプラムはセレクサという商品名で発売されており過去ログでも紹介している(参考)。シタロプラムそのままが、セレクサであり、シタロプラムの中で光学異性体で効果がない薬物を減じたものが、レクサプロである。セレクサとレクサプロの関係はタリビッドとクラビットの関係に似ている(参考)。
セレクサの剤型は錠剤として10、20、40mg錠がある他、10mgの水薬がある。セレクサはアメリカではパニック障害、強迫性障害、社会不安障害の適応はなく、単にうつ状態(うつ病)だけになっている。それに対し、レクサプロは剤型は5、10、20mgの3剤型と5mgの水薬。適応も「大うつ病」に加え、短い期間の全般性不安障害(GAD)も認められている。
セレクサ、レクサプロの催奇形性ランキングはCである(参考)。
今回、日本で発売になったレクサプロの剤型は10mgのみである。ただし、錠剤には分割できるように割線が入れられているので、5mgあるいは15mgの処方は可能である。一応、添付文書では、10mgから開始し20mgまで処方できるように書かれている。
【用法・用量】
通常、成人にはエスシタロムラムとして10mgを1日1回夕食後に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行い、1日の最高用量は20mgを超えないこととする。
レクサプロはセレクサの過去ログを参照してほしいが、心臓に対して副作用を持つ。ここが他のSSRIとの大きな相違である。特に大きな用量ではQT延長が認められるため、オーラップとの併用は禁忌である。(その他、MAO阻害薬はもちろん併用禁忌)
効能・効果は「うつ病、うつ状態」のみであり、日本ではレセプト上、パニック障害、社会不安障害、強迫性障害などには処方できない。
以下も過去ログから(2009年Lancet)
有効性の指標による抗うつ剤の世界ランキング(最も良い治療である可能性(%))
①ミルタザピン(レメロン) 24.4
②エスシタロプラム(レクサプロ) 23.7
③ベンラファキシン(エフェクサー) 22.3
④セルトラリン(ジェイゾロフト) 20.3
⑤シタロプラム(セレクサ) 3.4
⑥ミルナシプラン(トレドミン) 2.7
⑦ブプロピオン(ウエルブトリン) 2.0
⑧デュロキセチン(サインバルタ) 0.9
⑨フルボキサミン(デプロメール) 0.7
⑩パロキセチン(パキシル) 0.1
⑪フルオキセチン(プロザック) 0.0
⑫レボキセチン(Davedax) 0.0
受容率(忍容性)の指標による抗うつ剤の世界ランキング(最も良い治療である可能性(%))
①エスシタロプラム(レクサプロ) 27.6
②セルトラリン(ジェイゾロフト) 21.3
③ブプロピオン(ウエルブトリン) 19.3
④シタロプラム(セレクサ) 18.7
⑤ミルナシプラン(トレドミン) 7.1
⑥ミルタザピン(レメロン) 4.4
⑦フルオキセチン(プロザック) 3.4
⑧ベンラファキシン(エフェクサー) 0.9
⑨デュロキセチン(サインバルタ) 0.7
⑩フルボキサミン(デプロメール) 0.4
⑪パロキセチン(パキシル) 0.2
⑫レボキセチン(Davedax) 0.1
このランキングからすると、有効性、忍容性ともレクサプロは優れた抗うつ剤の1つであることがわかる。しかし、このランキングであまり評価が高くないが、サインバルタは日本人には評判の良い抗うつ剤の1つなので、実際使われて時間が経たないとわからないと思う。
日本国内の臨床試験では、550例中409例(74.4%)に副作用が認められている。その主なものは、
悪心(23.8%)
傾眠(23.5%)
頭痛(10.2%)
口渇(9.6%)
浮動性めまい(8.7%)
倦怠感(7.1%)
下痢(6.2%)
腹部不快感(5.8%)
重篤な副作用として、痙攣、SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)、セロトニン症候群が挙げられている。(いずれも頻度不明)
参考
セレクサ
日本未発売の向精神薬と催奇形性の話
QT時間延長
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