周りで笑い声がすると・・ | kyupinの日記 気が向けば更新

周りで笑い声がすると・・

周りで笑い声がすると、どうしても自分が笑われているような気がする。

という人がいる。こういう感じで訴えるような人は、統合失調症でないことが圧倒的に多い。だいたい95%は器質性のものである。

このような人は、むしろそういう風に感じることで不安になったり、「自分は統合失調症になりはしないか?」という恐怖感の方が重大である。それこそ、生活の支障になっていることが多い。

こういう人たちは、20年くらい前は、

貴方は統合失調症になることはない。だいたい今そうじゃないし。こういう道筋で統合失調症になどならんよ。

と言い、ドグマチールとレキソタンくらいを処方していた。このような処方。

ドグマチール 150mg
レキソタン   4mg


この5錠を1日のうちでいつでも良いから、飲んでおきなさい。

と言っておく。これで症状が消失するか、やわらぐか、たとえ笑われているような感じがしても、ほとんど気にならないようになる人が多かった。(ほぼ全員)

これはその時に統合失調症ではない人に言うわけで、統合失調症の場合はもう少し異なった対応をする。統合失調症と確信する人に、「そうではない」とは相当に言い辛いものなのである。(告知はしないわけだけど。)

このドグマチールとレキソタンの処方だが、やや太るし、眠い組み合わせである。ドグマチールは飲みなれればそうでもないが、初心者には眠い。

問題は、この薬をいつまで飲むかである。これは人による。もういつから飲み始めたか忘れるほど、つまり半年以上飲んでみて、調子が良さそうなら薬を減らす。仮に1年以上飲んでも妙な副作用がなければ問題ない。女性は無月経や乳汁分泌が生じることがあるので、けっこう使いにくい。

減量する際には、ドグマチールはこの量でも離脱が出るので、レキソタンは残して飲んでおく。ドグマチールは50mgは成立しないことが多いので、まずは100mgである。この成立しないという意味だが、薬効的に期待できないことを言っている。(しかしルーラン1mgなどという精神科医もいるので、可能な人もいるかもしれない)

そういう風にして、あえて、少量を飲んだり飲まなかったりするように指導する。

たまに調子が悪いときだけ、レキソタンを2mgか4mg飲む。

そういう風にしていて、仕事が忙しくなったり、結婚したりするうちになんとなく治癒してしまう。

厳密には、たまに体調が悪いとき、笑い声が耳障りになることもある。また、とりわけ不順な気候の変わり目に、気になる感じに気づくこともある。

まあ、そんなもんだ。

参考
ドグマチール
レキソタン
高プロラクチン血症
統合失調症の発病の謎
アスペルガーと前頭前野
内因性幻聴と器質性幻聴