インターネットは内向的な世界なのか? | kyupinの日記 気が向けば更新

インターネットは内向的な世界なのか?

2ちゃんねるなどの掲示板を見ていると、時々、妄想的に思える書き込みを見かける。例えば、

自分の行動はインターネットで監視されている・・


などである。他の妄想的な書き込みを挙げると、パソコンや家電の板で、あるメーカーの酷評する書き込みに反論したりすると、そのメーカーの社員の工作員という決め付けをされることがある。偶然そういうこともあるとは思うが、軽く妄想的とは言える。

妄想的と妄想の相違点は確信しているかどうかである。あの書き込みのニュアンスだと、むしろ煽りのようでもあり、確信しているようには見えないので妄想と言い難いものが多い。これはパチンコ屋の住人の2次妄想レベルにも及ばないかもしれない(参考)。

もし確信していたとしたら、現在のインターネットの普及率の低さと掲示板に常時いる人たちの希少さが理解できていない(参考)。普通の人を監視するヒマなどないというのが現実であろう。そもそも、そうする動機も見当たらない。

実際、インターネットにはウイルスなるものがあり、スパイウエアなどはまさに監視したり操作したりするものなのでリアリティがゼロとは言えない。つまり、確率の問題なのである。

妄想は非常に低い確率の事象を、ありふれた、すぐにも起こりうるものに感じることから始まっている。一介の市民の行動を国家が監視することは100万分の1の確率もないと思うが、本人にとって、知的に理解して無視できないのである。

インターネットはそういう精神状態に陥り易い面があるので、やはり内向的で視野狭窄的な世界なんだと思う。そのような状況は、柔軟で合理的な判断や解釈を難しくさせている。

僕の患者さんで、インターネットを利用して商売を始めたところ、最初は順調に行っていたのに、偶然、トラブルに巻き込まれ精神変調を来たした人がいる。彼は僕のところに来た時は既に統合失調症であり、訴える妄想は荒唐無稽で確信的であった。

統合失調症は内因性疾患であるが、彼に関してはインターネットに関わらなかったら、統合失調症を発病していないか、発病したとしてもあのようなタイプにはならなかったような気がする。つまり、インターネットの悪い面がトリガーを引いたのである。

確率と言っても、さまざまなレベルがある。警察が自分のパソコンをインターネットから監視している確率は、何も犯罪のない人では限りなくゼロであろう。だいたい、FBIやCIAじゃあるまし、そういうスキルがある人も警察(特に地方都市)にはほとんどいないような気がする。公安だってそうだ。本来、そういう行為は憲法違反なのである。

こういうことを言うと、いや警察にはサイバー事件を専門にしている人がいるなどと反論する人もいるかもしれない。しかし、その一休さんのような屁理屈こそ、既に内向的で視野狭窄な心理状態なのである。まさに知識が悪い方に影響している。基本的にスパイウエアの知識も悪い方に影響すると思うので、インターネットは知れば知るほどかえってマイナスになるなど妙なものだ。

株の板では、株を買った瞬間に株価がピークをうち値下がりすることが多いため、「どうみても誰かが監視している」と言う面白い書き込みがみられたりするが、これも確率的にゼロに近い。普通、株を買いたくなるのはまさにその時なので、心理状態の通りに買えばそういう値動きになりやすい。株は一般大衆の予想を裏切るような値動きになっている。欲望ともいえるが。

彼らがどのくらい真剣に書き込みしているかわからないので、これをマジに受けてこのようなエントリを書くのもバカみたいだが、実際、結構真剣に悩んでいるような人もいるようには見える。もちろん、そのような人ばかりではないが。

インターネットの掲示板が本質的にメンタルヘルスに対し有害かどうかは不明だ。なぜ不明と思うかと言えば、もともとややバイアスがかかっている人たちが集まっているからである。(参考

こういう面白い書き込みは、本人がまだ笑える範囲だと良いが、書き込みし辛くなったり、書き込んだことがずっとストレスになるような状態だと、少しインターネットを休んで、ランニングや水泳でもしていた方が良いかもしれない。

今日のエントリは誠にしょうがないものだが、ずっと感じていたことを少し書いてみた。