パチンコ屋の住人の妄想 | kyupinの日記 気が向けば更新

パチンコ屋の住人の妄想

パチンコ屋には常連と呼ばれる暇な人たちがいる。彼らはプロかどうかはともかく、毎日、開店から来ている。パチンコ屋にはお休みの日があるので、その日はたぶん他の用事をしているのであろう。

このような真面目で皆勤賞の人々は、パチンコ屋にとっても店内の景観の一部になっているので、なにがしか優遇されていることが多い。彼らは、自動販売機や玉貸し機のように、いわばお店の備品のようなものなのである。

よく考えると、お客さんがパチンコ屋にお昼前に行った時、だーれもいないより彼らがいて、ジャンジャン玉を出していた方が良いに決まっている。まあ負けている人もいるのであろうが。まあ、無償のサクラみたいなものだ。

だいたいパチンコ台にしろパチスロにしろ朝はセブンなり確変なりがかかり易くしてある。これも常連へのサービスみたいなものだ。これは一般にモーニング・セットと言われる。個人的に「モーニング・セット」のこの意味も広辞苑に付け加えてほしいと思う。

あのパチンコのかかるタイミングだが、なぜか人が替わった途端にかかる事が多い。

あのパチンコのセブンはフラッグを引くというか基本的に抽選なので、長く回した方がよりかかり易いとはいえない。何度回そうがその回転でかかる確率は同じである。「場合の数」的には長く回せばいつかはかかるはずなのであるが、ついていない人は針の穴を通すような確率ではずすので、かからないのは台のせいと言うより、打つ人の手のせいである。

だからハマッている台は、人が替わった途端にかかりやすいともいえる。これは簡単に言えば、その人のツキの差である。ツキというのは非科学的だが、実際に観察されるのでやむを得ない。

こういうことが度々起こることにより、常連の間に二次妄想が生じる。それは、

店が遠隔操作して、新しい客を勝たせるようにしている・・

といったような感じだ。あるいは「店が常連を潰そうとしている」などもある。なぜ新しい客に勝たせるかといえば、またお店に来させるためだ。このような二次妄想は時々、本当に遠隔操作しているパチンコ屋が摘発されたりするため、更に強固なものになる。

この妄想は常連全員に共有されていることが多く、まあ精神科でいう妄想のように確信的ではある。しかし、一次妄想の様に荒唐無稽ではなく、なんとなくなぜそのような妄想が生じたかがわかるようになっている。そこが二次妄想的なのである。だから統合失調症的とはいえない。

うーーん・・あれは二人組精神病と言えるのだろうか・・

「二人組精神病」とは、2人以上の人たちに同一の妄想、妄想様観念が共有されている状態を言う。家族内のように親密な関係の中に見られることが多く、そのうちの1人は本当に精神病か、あるいはそれに近い病態を呈していることが多い。またカルト教団内でも見られたりする。時に集団自殺や犯罪の原因となることもある。

ポイントはその集団の中で最も影響力を持つ人に精神病状態があり、閉鎖的な空間で起こりやすいことだと思う。二人組精神病はそうそう診るものではないが、たまに訪問看護や往診に行った時、家族の間に奇妙な妄想が共有されているのを目撃する。

ということは・・
一日中、パチンコ屋にいることがやっぱ悪いな。


と思った。

というか、彼らは誰といって精神病状態の人はいないし・・

みんな一般人の感覚で言うと、精神的には健康なのである。ギャンブル依存だけど。

参考
徒然なるままに浪費癖とギャンブル癖を考える