双極性障害適応状況(アメリカ) | kyupinの日記 気が向けば更新

双極性障害適応状況(アメリカ)

①躁病相
リスパダール
双極性1型障害に伴う急性躁病及び混合状態(単独療法およびリチウム・バルプロ酸との併用)(2003年12月)

ジプレキサ
双極性障害に伴う急性躁病(2000年3月17日)
双極性1型障害に伴う急性躁病(リチウム・バルプロ酸との併用)(2003年7月15日)

セロクエル
双極性障害に伴う急性躁病(2004年1月12日)

エビリファイ
双極性障害に伴う急性躁病(2004年9月29日)

ジプラシドン(本邦未発売)
双極性障害に伴う急性躁病(2004年8月19日)


これは双極性障害への非定型抗精神病薬の適応取得状況である。アメリカの添付文書を参考にしている。注目すべきは、エビリファイも躁病相に適応を取得していること。エビリファイを処方したとき、当初、ちょっとトーンが上がるか、あるいは少し煽るような感じになるのに、躁病に効果があると考えられていることは注意したい。エビリファイは、人にもよるけど最初少し上がって、その後ニュートラルになり、その後かえって下がるあるいは無気力っぽくなる人もいる。もちろんそんな変化が無い人も多いけどね。まぁとにかく、FDAはエビリファイの躁病への効果を認めているのである。エビリファイって、ずいぶんと奥が深い薬と思うんだな。上のジプラシドンというのは、日本では未発売。構造式の中にセディールの骨格がみられる、いわゆるドン系非定型薬物。



②維持療法(再発抑制)

ジプレキサ
双極性障害の維持療法(2004年1月14日)

エビリファイ
双極性1型障害で少なくとも6週間症状が安定している患者に対する維持療法(2005年3月1日)


アメリカで非定型抗精神病薬のうち、双極性障害の維持療法に適応があるのは、この2つの薬物しかない。この維持療法の適応と言うのが面倒見が良いというか。日本では躁病の維持療法などという細かい適応はないんだな。漠然と「躁病の適応」というだけ。エビリファイが維持療法に適応があるのはなんとなくわかるような気がする。エビリファイは自然体にする薬物なので、いったん平穏になったなら、それを維持するのは得意のような。統合失調症の治療でも同じようなことを感じるんだな。



③うつ病相

セロクエル
双極性障害に伴ううつ状態に承認(2006年10月20日)

SYMBYAX(ジプレキサとプロザックの合剤)
双極性障害に伴ううつ病(2003年12月24日)


ごく最近になるが、FDAはセロクエルのうつ状態への適応を認めた。これについて、セロクエルやSDA の項目を参考にしてほしい。躁うつ病のうつ状態の治療は、躁転に注意しないといけないため単極性のうつ病に比べ難しい。セロクエルは、うつ状態への適応に加え躁病相にも適応があるので、一度に済む感覚になるのはいい。しかし、うつ状態への効果は3環系に比べ明らかに弱いのである。SYMBYAXはシンビアックスと読む。ずっと前にこんな薬が発売されるようだと、2chに書いたことがあるが、もう実現しているんだね。この薬がうつ病に効果があるのは当たり前のような。日本ではジプレキサとパキシル あるいはジェイゾロフト の併用って感じでしょうか?