マスターズ・オブ・ホラー/ゾンビの帰郷
アメリカのテレビオムニバス・シリーズ「マスターズ・オブ・ホラー」の作品のひとつ。監督は『ハウリング』『グレムリン』のジョー・ダンテ。
【STORY】
ある夜、元大統領演説ライター兼選挙顧問のデイビッドと女性憲法学者のジェリーが車を走らせていると、突然現れた兵士の姿をしたゾンビをはねてしまう。すると、まわりから次々とゾンビ兵士が現れ二人に近づいてくる。この出来事の4週間前。大統領選挙を直前に控えたテレビの討論番組で、戦争で息子を亡くした母親を前に、デイビッドが言葉を詰まらせながら「もし一つ願いがかなうのなら、ご子息に戻ってきて欲しい。彼らなら言えるからです。意義ある戦争だったと…」。そのコメントを聞いた大統領はいたく感激し、自らの演説でそのまま流用した。数日後、戦地から戻って来た兵士の死体が次々と生き返った。大統領側は、ゾンビ兵士に選挙権を与えれば、投票数が増えると思い、選挙権を与える。ところがゾンビは「嘘の戦争のために、女や子どもが殺された」として、現大統領に投票しないという…。
【REVIEW】
ジョー・ダンテによる見事な風刺ホラー。こういうのはかなり好きである。ゾンビだし。
ユーモアとブラックジョークが満載だが、誤った判断で戦争をはじめた某国の大統領を痛烈に非難していることがとても伝わってくる。
車のナンバープレートが「BSH BABY」となっているあたりも某国の大統領を名指ししているように感じる。そういえば声も似ていたような…。しかもゾンビがせっかく投票したのに、カウントされなかったというこの選挙の展開は…。
ゾンビたちの悲壮感たっぷりの言動は、無念にも戦地で散った兵士たちの想いを代弁しているようだ。非常に切ない。
ゾンビというテーマを取り上げたのであれば、「あの方」への敬意を忘れてはいけないとばかりに、墓参りをしているとゾンビに襲われるという名シーンのオマージュも見られる。いいぞ、ジョー・ダンテ。
ゾンビのすべてはここからはじまったからね。
主人公のデイビッドは、ゾンビを蘇らせた原因を作ったとして苦悩する。そこには、彼の兄もベトナム戦争で戦死したという葛藤があった。自分のやっていることは正しいのか?兄の死は無駄なものだったのか?
そんな時、デイビッドは、母から兄と自分の信じられない秘密を聞かされる事になる。
ただのゾンビの逆襲というストーリではなく、こういうエピソードでストーリーに深みを与えている。なかなかよい。
とにかく『ゾンビの帰郷』というタイトルだけで、パブロフの犬のように無意識に手に取り当然のように見てしまっている自分。そんな自分を自分自身、決して嫌いではない。
でも、いわゆるホラー(恐怖)映画ではなかったが、『バタリアン 』のようなノリで非常に楽しめた作品。
<過去に紹介した『マスターズ・オブ・ホラー』作品>
・愛しのジェニファー
・世界の終わり
【MARKING】
オススメ度:★★★★★★★★8
えげつない度:★★★★4
なぜSMシーンが?度:★★★★★★6
禍々しい度:★★★★★★★★8
【INFORMATION】
・原題:HOMECOMING
・製作年:2005年
・製作国:アメリカ
・監督:ジョー・ダンテ
・脚本:サム・ハム
・出演:ジョン・テニー、ロバート・ピカード、ショーン・ケアリー
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