バタリアン | KURI of the DEAD

バタリアン

「オバタリアン」という流行語まで生み出したゾンビ映画の入門編的作品。ユニークなキャラクターのゾンビが多数登場し、コメディの要素をふんだんに盛り込んだホラー映画。


【STORY】
ケンタッキー州のとある医療倉庫にどういうわけかミイラが保管されているドラム缶があった。ミイラはトライオキシン245という
薬品について研究していた軍事病院での事故が原因で、蘇ってしまった死体だった。軍の手違いで、その医療倉庫に届けられ、そのままになっているらしい。

倉庫で働くフランクとバイトのフレディは、そのドラム缶を見に行き、面白半分で叩いてしまったおかげで、突然ガスが噴出する。その倉庫に保管されている死体の標本がそのガスを浴び、ゾンビ化した「バタリアン」として蘇ってしまう。ガスはどんどん広がり、近隣の墓地まで行きわたり、町中でバタリアンが暴れだす。


【REVIEW】
原題が『Return of the Living Dead』であることからもわかるように、ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビング
デッド 』のパロディ的作品。劇中にも『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 』は実話を基にして作られたというくだりがあるように、ゾンビ映画へのオマージュ要素も強く、正統ではないが『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 』の続編という考え方もできる作品。

エイリアン 』『トータル・リコール』の脚本ダン・オバノンの初監督作品。


パロディではあるが、ロメロのゾンビの定義にはない「走れる」「話せる」ゾンビが登場する。コメディ的要素を重視した結果としてまあ許容範囲。トライオキシン245に感染したという理由で自分自身納得している。
また、ゾンビたちは脳みそを求めて人間を襲うが、脳みそを食べる理由は、死者の痛みが少しだけ和らぐから、という新しい設
定も見られる。


好き。この映画好き。


まず冒頭で、うっかりトライオキシン245のガスを漏らしてしまうまでの経緯がある。そして、倉庫内をガスが充満し保管されている死体の標本に行き着くまでをオープニング(タイトルバック)にしているが、この作り方がうまい。これからはじまる悲劇を暗示するゾクゾクするオープニング。


最後は救いようのない結末で、はじめて観たときは、しばらく口あんぐりのまま動けなかった。ハッピーエンドしか基本的に上映できないアメリカでよくぞこのラストにしたと感心する。そういった意味でも、この作品は秀逸。
日本語版で洋画を観ることは少ないが、日本語版で観ても楽しめる作品。


このシリーズは、2006年までに計5作品作られている。続編については、また後日紹介したい。


●関連作品

バタリアン2

バタリアン・リターンズ

バタリアン4

バタリアン5

ゾンビ映画の歴史をちょっとだけ考えてみる件



【MARKING】

オススメ度:★★★★★★★★★9
えげつない度:★★★★★5
ハーゲンタフ度:★★★★★★★★★9
禍々しい度:★★★★★★★★★9


【INFORMATION】

・原題:RETURN OF THE LIVING DEAD

・製作年:1985年
・製作国:アメリカ

・監督:ダン・オバノン

・脚本:ダン・オバノン、ドン・ジャコビー

・特殊メイク:ビル・マンス

・出演:クルー・ギャラガー、ジェームズ・カレン、ドン・カルファ、トム・マシューズ、ビバリー・ランドルフ、ミゲル・ナネッツ、ジュエル・シェパード


バタリアン