サスペリア | KURI of the DEAD

サスペリア

イタリアンホラーの鬼才ダリオ・アルジェント監督によるショッキング・ホラーの名作。「魔女三部作」の1作目。


【STORY】
ニューヨークからドイツの名門バレエ学校にやってきた美少女スージー。着いてすぐに女生徒とその友人が惨殺されるなど、不
可解な事件が続く。寮生活をすることになるスージーは、大きなのカーテンの向こうから聞こえてくる不気味な呻き声にひどくおびえはじめる。友人のサラは、あの呻き声が海外出張中の校長ではないかと疑いはじめが、間もなくしてサラも屋根裏で殺されてしまう。殺されたことを知らないスージーは、サラがいないことを不審に思うが、サラは退学したと告げられる。毎晩のように校舎のどこかへ姿を消す教師たちに、さらに不信感を強める。そこでスージーは、サラの友人である心理学者に相談する。そこで学園にまつわる魔女の伝説の話を聞く。ある夜、思い立ったスージーは、学園の秘密を探ろうと決意し、教師たちの後を追い秘密の部屋へと向かう…。


【REVIEW】
「決して、一人では見ないでください」のキャッチ・コピーとともに、センセーショナルに世に登場した本作品。ダリオ・アルジ
ェントの最高傑作であろう。一応、自分もクリエイターなので、このキャッチコピーのうまさには注目したいが、それとともに、あまりにも残酷な描写のため、1000万円のショック保険がかけられたという話題づくりで、ヒット作となった。


いいね。これ。美しい。


アルジェントの作品は、本当にきれいだ。きついほどの原色を使った映像美、計算された死体の構図、そして惨殺シーン、いかに観客を恐怖に陥れるかというショック演出。これぞ完成された映画という感じ。その後のホラー映画に与えた影響はあまりにも大きい。

このころの映画って完成度高い。CGにも頼らず、高度な機材も使わず、ストーリーと演出であれほどのことができるんだから。アルジェントの作品は、直接的な恐怖だけでなく、五感に響く。『ゾンビ 』同様、ゴブリンの音楽もよい。

アルジェントは少女を使ったホラーがこれまたうまい。美少女が怯える姿こそホラーの醍醐味とばかりに、彼の作品には、少女が多く登場する。


もっとも印象的なシーンは、スージーが例の部屋に入っていって、呻き声を上げる校長のカーテンを開くシーン。
不気味な魔女の笑い声のなか、校長のシルエットが映っている。そして思い切ってカーテンを開ける。いよいよ魔女のお出まし
かと思いきや誰もいない。誰もが「いないのかよっ!」といいたくなるシーン。しかし笑い声は続く。見えない恐怖という演出。巧みなやり方だと思う。あれだけ期待しておいて、逆に中途半端な魔女を見せられたらがっかりしていたことだろう。結局魔女は登場するけど。


最後のシーンで、やっとのことで館の外に逃げ出したスージーが雨の中、うっすら笑みを浮かべる。とても魔女っぽい。伝説の魔女を倒したのは、未知の力を持つ若い魔女とでもいうのか…。非常に意味深なシーン。


ちなみに、冒頭で雨の中、スージーがタクシーを拾って運転手に行き先を告げるシーンで、雷の光に照らされた瞬間にガラスに叫んでいるような人の影が見える。このシーンは幽霊であると騒がれ、未だに心霊特集などでも登場するが、アルジェントの演出であることはあまりにも有名。よく見るとその顔はアルジェント本人にとても似ている。


この作品の勢いを拝借しようとしたのか、同作品の2年前に製作されたにもかかわらず、同監督の作品を『サスペリア パート2』として公開した(原題は『Profondo Rosso』)。正当な続編ではない。


とにもかくにも、アルジェントの作品は怖いというより、そのセンスに感心させられる。


ところで、この作品のジャンルをあえて「サスペンス」に入れてみたが、議論の分かれるところかな…


●関連作品

歓びの毒牙
サスペリアPART2

インフェルノ

ゾンビ
シャドー
フェノミナ

デモンズ
デモンズ2
愛しのジェニファー

サスペリア・テルザ 最後の魔女



【MARKING】

オススメ度:★★★★★★★★★9
えげつない度:★★★★★★★★8
教師にもっとすごい魔女顔の人いるよ度:★★★★★★★★★9
禍々しい度:★★★★★★★★★9


【INFORMATION】

・原題:Suspiria

・製作年:1977年
・製作国:イタリア

・監督:ダリオ・アルジェント

・脚本:ダリオ・アルジェント
・音楽:ゴブリン

・出演:ジェシカ・ハーパー、ステファニア・カッシーニ、ジョーン・ベネット、アリダ・ヴァリ、フラビオ・ビッチ


suspiria