ゾンビ | KURI of the DEAD

ゾンビ

いわゆる「ゾンビ」の定義を決定付けた“マスター・オブ・ホラー”ジョージ・A・ロメロの最高傑作。
「Living Dead」三部作(当時)の第2弾。


【STORY】
全米各地で突如として死者が蘇り、人間を襲いはじめる。噛まれた人間はゾンビと化し、新たに人間を襲うという事態が発生した。テレビ局に勤めるスティーブンは、恋人と、その場に居合わせたSWAT隊員ロジャー、ピーターとともにパニック状態に陥っている局内をヘリコプターで脱出する。食料を求め、ようやくたどり着いた大型ショッピングモールで、ひとときの安全を確保するが、生きていた頃の習慣でショッピングモールに集まるゾンビや食料・安全を求めショッピングモールを襲撃しに来た武装集団との戦いなど、生き残りをかけた死闘が繰り広げられる。


【REVIEW】
記念すべき第1回は自分が最も感銘を受けたホラー映画の金字塔「ゾンビ」の紹介。
まちがいなくゾンビ映画の最高傑作。ロメロは、この映画を機に“マスター・オブ・ホラー”として、一躍有名監督の仲間入りを果たす。


死者がよみがえった理由としては「地獄がいっぱいになった」とか「死者を冒涜した」からといわれているが、真実は明らかにされていない。ちなみに日本公開時(配給:日本ヘラルド)では「惑星が爆発して、死体を蘇らせる光線が地球に向かって発せられ、その光線を浴びたため死者が蘇った」という説明のテロップが流れ、惑星が爆発するシーンが付けられている。


ちなみに、ロジャーが運転するトレーラーがゾンビをはねとばすシーンがあるが、よく見るとゾンビが飛ぶためのトランポリンが映りこんでしまっている。
どうでもいい話だが、ゴブリンによるBGMは、同時代のテレビ番組「水曜スペシャル『川口浩探検隊』シリーズ」のBGMに使われていたらしい。


大型ショッピングモールに立てこもり、いつ壊れるともわからない、ひとときの安息の日々をおびえながら過ごし、時間の経過やちょっとした油断からその平和は簡単に壊れてしまう非情な設定がとても気に入っている。まるで、人間社会の縮図がこのショッピングモールに凝縮されているかのようだ。

またホラー映画でありながら、ゾンビと化す仲間を殺すべきかで苦悩する心理的描写なども多数描かれている。ただえげつないだけの映画ではなく、緻密なストーリーやロメロの作品に対する思い入れが感じ取れる。物言わぬゾンビだが、圧倒的な数で人間社会に襲いかかり破滅に追いやる行動は、人間の愚かな行為(戦争、動物虐殺、自然破壊)に対するロメロ流の警告なのだろう。


本作品は、「米国劇場公開版(126分)」「ダリオ・アルジェント監修版(119分)」「ディレクターズ・カット完全版(139分)」の3つの編集版がある。個人的にはショッピングモール内の描写が長いディレクターズ・カット完全版がおすすめ。ちなみに、熱狂的ファンが勝手に編集した「ファイナル・カット版(156分)」があるらしい。


●関連作品

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド

死霊のえじき

ランド・オブ・ザ・デッド

ダイアリー・オブ・ザ・デッド

ドーン・オブ・ザ・デッド 』(リメイク版)

デイ・オブ・ザ・デッド 』(リメイク版)

突如ゾンビの大群が現れた時のことを考えてみる件

ゾンビ映画の歴史をちょっとだけ考えてみる件



【MARKING】

オススメ度:★★★★★★★★★9
えげつない度:★★★★★★★7
すべての道はロメロに通じる度:★★★★★★★★★★10
禍々しい度:★★★★★★★★★★10


【INFORMATION】
・原題:DAWN OF THE DEAD
・製作年:1978年
・制作国:アメリカ、イタリア
・監督:ジョージ・A・ロメロ
・脚本:ジョージ・A・ロメロ、ダリオ・アルジェント
・特殊メイク:トム・サビーニ
・出演:デビット・エンゲ、ケン・フォーリー、スコット・H・ラインガー、ゲイラン・ロス、トム・サビーニ、デビット・クロフォード
・音楽:ゴブリン / ダリオ・アルジェント


ディレクターズ

ダリオ

劇場