民主・自民・公明３党が消費税増税法案を今国会で「早期に成立」させることで合意しました。
この事態を的確に断罪する言葉を紹介しましょう。ほかでもない自民党・谷垣禎一総裁の今国会冒頭での代表質問の言葉です。この谷垣総裁の言葉は、今でも自民党のホームページに堂々と掲載されているもの です。
▼第180回通常国会における代表質問（平成24年1月26日）
自由民主党 衆議院議員 谷垣禎一
私は自由民主党・無所属の会を代表して、一昨日の野田総理の施政方針演説について質問致します。（中略）
民主党がこのまま消費税増税に突き進むことは、主権者は国民であるとの議会制民主主義の根本を否定する行為であり、断じて容認できないということです。（中略）
マニフェスト違反の消費税率引上げを行う権限を主権者から与えられてはいないのです。それは議会制民主主義の歴史への冒涜であり、国権の最高機関の成り立ちを否定するものです。（後略）
――以上が今国会で自民党を代表して質問に立った谷垣総裁の言葉です。この谷垣総裁の言葉をそのまま借りれば、昨日の民自公３党の「消費税増税法案の早期成立合意」は、「主権者は国民であるとの議会制民主主義の根本を否定する行為であり、断じて容認できない」ものであり、「議会制民主主義の歴史への冒涜であり、国権の最高機関の成り立ちを否定するものです。」 要約すれば、「消費税増税は国民主権と議会制民主主義と国会の根本否定・冒涜」であると、谷垣自民党総裁は今国会で断言していたのです。
このまま消費税増税を強行するということは、今国会冒頭の自らの言葉がブーメランのように戻ってきて、自民党・谷垣総裁自身を断罪することになります。
そして、消費税増税の強行は、国民主権と議会制民主主義と国会の根本否定・冒涜だけにとどまるものではありません。
昨日、消費税増税反対や、生活保護をはじめとする社会保障改悪反対を訴える「このまますすむと困っちゃう人々の会」による首相官邸前での「スタンディングアクション」 が取り組まれました。この行動のなかでは、「消費税増税は命にかかわる問題」だとの訴えも行われています。
このすくらむブログでも依然から指摘しているように、「消費税増税は貧困を激増させ年間自殺者５万人超まねき、究極の弱い者いじめ社会をつくる」 ものです。
上のグラフは収入別に「男性自身が（最近３カ月間で）死にたいと思ったことがあったか」を調査したものです。（内閣府・男女共同参画局『「男性にとっての男女共同参画」に関する意識調査報告書』2012年3月
）
上のグラフを見れば、社会保障が低水準で「自己責任社会」である日本において、低所得になればなるほど自殺者が増えてしまうことが見て取れます。
８月６日の参議院「社会保障と税の一体改革に関する特別委員会」の中央公聴会で、醍醐聰東京大学名誉教授が、次のように公述しています。
男性の非正規労働者の58.1％が年収200万円以下、女性の非正規労働者の47.8％が年収100万円以下であること、男性の非正規労働者の43.6％が「家計の足し」にではなく、「主たる稼ぎ手」として働いています。その上で、消費税が10％に引き上げられた場合、２人以上の世帯のうちの年収200万円以下の世帯では家計における消費税負担額は年収の7.5％を占め、単身世帯のうちの年収100万円以下の世帯では、その割合が11.6％と、尋常でない水準に達することになります。また、民自公３党が増税分を社会保障以外の経費に流用する道を開いたことは、社会保障にすべて使うという政府の言動に背反し、国民に対する信義にもとる行為です。所得税の累進性の緩和などによって５兆円超の減収を生みながら、低所得者ほど負担が重いという逆進性のある消費税増税で穴埋めをはかることは、税の正義に反するものです。わが国の税制に一層深刻なゆがみをもたらすものであり、廃案にして議論をやり直すべきです。
醍醐聰東京大学名誉教授が指摘するように、消費税増税は貧困層に尋常でない負担をもたらします。消費税増税は貧困と自殺者を激増させることになるのです。
また、「消費税増税は被災地東北の復興に逆行し貧困増大と中小業者壊滅の巨大人災をもたらします」。
そして、「消費税10％でＧＤＰは2.5％低下し、雇用は100万人以上も減少」 し、「消費税増税は財政赤字を一層拡大」 します。
繰り返しになりますが、消費税増税の強行は、議会制民主主義と国会を根本否定・冒涜し、失業と貧困と自殺と財政赤字を一層拡大し、日本経済を破壊する「正義に反する」暴挙にほかなりません。
（byノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan）