イ・ウンジュの遺作 第4作 『火の鳥』 | コワれるまで ALLORA

イ・ウンジュの遺作 第4作 『火の鳥』

イ・ウンジュの遺作 火の鳥イ・ウンジュの魅力を知ったのは、TVで 『オー!マイDJ』(2004年 韓題:アンニョン!UFO)を観てから。

「なんて儚くて透明感のある人だろう」と思いました。

その後、彼女の映画初主演作 『秘花 ~スジョンの愛~』 (2000年)(Virgin Stripped Bare by Her Bachelors)、翌年の バンジージャンプする』((A Bungee Jump of Their Own)2001年)を観ましたが、『オー!マイDJ』に出てくる、イ・ウンジュらしいイ・ウンジュを観たいと切望し、ついに観てしまいました。

観たい見たいと思ってきた、蠱惑的なタイトル。
韓国ドラマ 火の鳥火の鳥(Phoenix)』(2004年)。
女優イ・ウンジュ(Lee Eun Joo)の遺作視聴、第4作目です。

おお~っビックリマーク
イ・ウンジュですビックリマーク


堪能しましたビックリマーク






映画じゃなくてドラマ作品なので、長い長い。

全26話、26時間強、イ・ウンジュをじっくり観ました。




    赤ワイン    赤ワイン    赤ワイン





2004年作品ですから、少し昔の作品の部類に入るかもしれません。

2002年に製作された『冬のソナタ』が2003年から2004年にかけて日本で韓流ブームを巻き起こしました。
それ以前の韓国ドラマは、今よりもずっと作品数も少ないし、私みたいに最近韓国作品を観はじめた人間にとっては馴染みのない作品が並びます。

そんな時期の作品の中で『火の鳥』は群を抜いたヒット作品でした。

なんと韓国で最高視聴率31.4%を獲得!!

当初は全16話完結だったらしいですが、人気がスゴイので、26話に延長されてしまったのです。

だからといって、ドラマ全体のバランスを欠いてはいません。

16話では、登場人物の運命が描ききれなかったでしょう。




    赤ワイン    赤ワイン    赤ワイン


第1話・第2話、イ・ウンジュ演じるイ・ジウンは20歳。
キャピキャピの社長令嬢として登場します。
検事プリンセス』((Prosector Princess)2010年)のマ・ヘリ(キム・ソヨン)のような、巻き髪でワガママでツンデレお嬢様として。

キム・ソヨンはシリアスな演技に加えて、大きな口を開けて笑うような演技も似合う女優ですが、イ・ウンジュはやっぱりとことん不幸でなきゃいかんのですむかっ
火の鳥 イ・ウンジュ
だから「こりゃあ イ・ウンジュじゃないな」と思って観ていたのですが、ストーリーはあっという間に薄幸の美女に転落あせる

そこから10年を経て、ジウンは派遣ヘルパーとして細々と母妹を養うのです。

例の無表情で、目線に力のない盲目のギョンウ役(『オー! マイDJ』)のようなイ・ウンジュの魅力がずーっと引きつけてくれます。
火の鳥 イ・ウンジュ


このドラマは韓流お得意の、貧富格差+4角関係+愛憎劇。

とにかく、イ・ジウンの愛を踏みにじろうと、恋敵役のユン・ミラン(チョン・ヘヨン)が狂気の策を弄し続けるのです。
火の鳥
ジウンが富裕時代にごり押し結婚して別れた元夫のチャン・セフン(イ・ソジン)、ヘルパーとして働くジウンが出会った富豪の息子ソ・ジョンミン(エリック)ら、周囲はことごとくミランの憎悪の対象となり、毎回崖っぷちに突き落とされます。

それもまあ、虚言や籠絡がすごいなぁと思っていると、製作陣のドSぶりがどんどんエスカレート。

海に突き落とされる。
突然の水中撮影シーンあせる

火事。

放火。

発砲。

なんでもあり、のドラマです。

放火や火事なんて、私の心が聞こえる?(Can You Hear my Heart?)なら その事件だけでドラマを引っ張っていくほどのエピソードなんですが、この『火の鳥』では、どんどん使い捨てていってしまいます。

贅沢というか、製作陣が勢いで作っているみたいで、なんともすごいドラマですねぇ。

イ・ウンジュが泣かせるシーンもあるのですが、全体としては感動・・・というよりも「やめてくれーっ」「どーなるんだよーっ」といったじれったい思いで、次の回を見続ける作品です。

そういう点で言えば、近い作品は 天使の羽根『天使の誘惑』(2009(Temptation of an Angel)年)かもしれません。

もしこのドラマが全16話で終わるのなら、ジウンは最後にはどちらかの男を選んで、ハッピーエンドといったところでしょうか。

ところが、10話増えて26話です。

ドラマの柱は、突然若かったジウンを襲った不幸の本当の理由があるってことになっていくのです。

2転3転叫び

ジウンはドラマの4分の3くらいまでは貧しくても心の澄んだ女性なんですが、そこから突然「復讐してやる」「死んでも許さない」というセリフを吐くようになってしまうのです。

もっとも、彼女の生粋の優しさは損なわれないのですけど。


この10話追加が、このドラマのメインテーマである「愛とは何か」についての、登場人物たちのセリフや行動の厚みをすごく増してくれています。



タイトル “火の鳥” とは、ドラマのなかで現れる絵画です。
それは鑑賞する人の価値観によって、さまざまな愛を描いた絵として解釈されます。

なかなか、凝った台詞の多いドラマですから、若い女性にも好まれる作品でしょう。

そんな『火の鳥』全編に流れる OST 「あなたも私のように」。
サビの盛り上げがイマイチ足りない曲ですけど、このドラマと共に生き続けるラブソングです。



全26話、少々長いですけど、イ・ウンジュの魅力全開の作品でした。


こんないい女優さんが、もういないんですよね~。

~ 合掌 ~