孤高のメス

『孤高のメス』 2010年・日本 


ちょっと!
こんなにカッコいい人がいるのか!
いたら教えてください、どこまでも追っていって、ぜひにも診察していただきたい。
オペしていただきたい。
横に並んで歩きたい。

そうだ、邪心を持たない男と、その横に並びたいと思った女の話だ。
並んで立っていたいと思った女。
その2人の時間。
そして同じように思い、手術室で苦闘した仲間の話だ。

地域医療を担う市民病院に、気鋭の外科医が赴任する。
手術室の様相は一変。
一人の人間が、全てを変え得る可能性。

そういう映画は他にもある。
けれど、この映画には格別な熱が詰まっている。
だから胸を掴まれる。


堤真一と役所広司は、信頼する2大主演俳優。
堤真一は機微を心得ているので、ほのぼの感も醸し出してくるからクラックラする。
思わず、「先生、貧血です、看てください!」と叫んでいた。夜中に、だ。
「どうしたの?」というセリフにフォーリン・ラブ。

医療指導が徹底しており、セリフはもちろん、身体の動きも俳優陣は猛特訓したことだろう。
つくづく、俳優業とは素晴らしい。

夏川結衣がリアルに看護士、余貴美子がリアルに母親、ザ・好青年といえば吉沢悠、生瀬勝久のイヤラシサ!クズ野郎!
松重豊が嬉しく、徳井優のいる映画は楽しい。

面白いのか面白くないのか蓋を開けるまで分からない成島出監督は、今回は傑作の回。
いつもながらのホラーシーンもなく、緊張感のみが浮き上がる。緻密。

WOWOWドラマ『ヒトリシズカ』も良かった安川午朗の音楽も効果的だ。


クライマックスのほとんどが手術室。
臓器も本物と見紛う。
原作は漫画(『メスよ輝け!』)だったのですね、日本漫画界の懐は本当に深い。

当方も、当家族も外科医には大いに世話になった。
きっと皆さんもそうだろう。
医療に従事する方々に感謝の念が湧き上がる。

鑑賞後、都はるみが聞きたくなって仕方がない。
生と死が交錯する手術室で、汗を流す人々。
救われたい人を、救いたいと闘う人たち。

この映画は輝いている。



映画 WOWOW

[関連作品]
成島出監督 『ソロモンの偽証 前篇・事件』『ソロモンの偽証 後篇・裁判』『脳男』(脚本) 『ふしぎな岬の物語』
堤真一 『クライマーズ・ハイ』『プリンセス・トヨトミ』



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