『告白』 2010年・日本
少年が犯した過ちを、大の大人はどう捉えるべきか。
鑑賞後、しばらく頭の中でグルグルと滞留する系。
心を持って行かれるパターン。
ふと翻って、自分であればどうするかと考えられるうちは、まだ余裕がある。
今作はその逡巡を軽々と超えてくるから、稀有だ。
罪を憎んで人を憎まず、などというのは建前だ。
緻密な意志がここにはあって、とても強い。
サスペンスではあるのだけれど、絵作りも物語もホラー。
絶妙に、恐ろしい。
非常に、シャープ。
そして、センセーショナル。
過去の作品を含めても、原作者の湊かなえは集団を信用していない、ということがよくわかる。
集団は煽動されやすく、紛れやすい。
今年の顔、松たか子が猛烈！天才か。ぃや、天才だ。天才の努力だ。
なんという表情をするんだ、なんて声を出すんだ。震撼。極めて高度な演技。
木村佳乃が上手くて唸る。この人のヒステリーはいつも、いい。
橋本愛が美少女すぎて、能年玲奈ちゃんは見失った。
岡田将生が適役すぎて、愉快の極地。
男子１の西井幸人の、あどけなさ。
男子２の藤原薫は、芝居巧者。
芦田愛菜ちゃんの可憐さといったら！
中島哲也監督自らの脚本も、演出も珠玉。感嘆あるのみ。
原作の印象を保持して忠実でありながら、監督ならではの装飾が大効果。
構成、画面の質感、セリフの丁々発止。
どこを切っても、ナイフみたいに冷徹。
子どもという集団は残酷で浅薄で、衝動的。
その罪を罪として科すことのできない世間への、強烈なパロディでもある。
子供を失くした母親は、教師だった。
犯人探しといった、ありきたりさはここにはない。
日常に転がるアレコレが凶器になる。
伏線に次ぐ、伏線。
この回収劇は、圧巻だ。
WOWOW
[関連作品]
中島哲也監督 『嫌われ松子の一生』『渇き。』
湊かなえ原作 『北のカナリアたち』『白ゆき姫殺人事件』
↑面白かったらクリック☆ありがとう！人気ブログランキングへ
にほんブログ村へ
