「速度」という、コピーライターのノウハウ。 | 三茶農園/きむらさとる

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次の2つのコピーのどちらをチョイスするべきか。
    2月28日終了。

    2月28日まで。

この2つのコピーは、「速度」という観点からは明快な違いがある と私は思っています。特に調査をしたわけでも実験をしたわけでもありませんので、あくまで私は、ということですが。答えは、下の「2月28日まで。」です。

理由は明快。「終了」が頭の中で音に変換されるときに「終了→しゅうりょう」という1プロセスが必要なことに対して、「まで」はそのまま見たままで音だからです。その余分の1プロセスで、人の感情における理解の「速度」は遅くなります。しかも、「まで」は音が2つに対して、「しゅうりょう」は「しゅ」を1つと数えると2倍の4つ、数えなければ3倍の6つあります。

よく広告コピーでは「なるだけ漢字はひらけ(ひらがなで表記しろ)」と言われます。「下さい」は「ください」のほうがよく、「私達」は「私たち」のほうがよい、みたいなこと。これは、誰にでもやさしく表記するという部分もあるけれど、きっと速度の問題でもあるのでしょう。で、ここで「私」はひらきませんでした。これは、「私」という漢字は、ひらがなの「わたし」より速度が速いからです。たいがいの漢字はひらくほうが速度が速く、日常で頻出する簡単な漢字は、ひらがなより漢字のほうが速度が速いということなんですね。

WEBユーザーはせっかちで短気なので、バナークリエイティブのコピーにこそ、こういったノウハウを生かすべきだと思う。企画の強さと太さは、コピーライターのこういったノウハウによって増すのだろう・・・。とてもためになる。

特に調査をしたわけでも実験をしたわけでもないが、反応率をあげるバナークリエイティブのテクニックとして、

  • コピーに数字を含ませる
  • アテンションに人の顔を使う
  • 一文字ずつ文字を出さない
  • ブランドロゴの明示
といったことがあるが、どれも「速度」という観点ではたしかに説明がつく気がする。