新自由主義の敗北 | 朝倉新哉の研究室

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タクシー:減車義務化 運転手労働条件改善へ自公民が法案

 ◇規制緩和 抜本見直し

自民、公明、民主3党は、
国がタクシーの台数制限を事実上義務づける「タクシーサービス向上法案」で合意した。
規制緩和による競争激化で悪化した運転手の労働条件の改善が目的。
これまでの事業者による自主的な供給削減(減車や営業時間の制限)では不十分と判断した。
秋の臨時国会での成立を目指す。
「小泉構造改革」の象徴の一つだったタクシーの規制緩和を抜本的に見直す。

タクシーの規制緩和を巡っては
供給過剰による運転手の待遇悪化が格差拡大の象徴としてたびたび指摘されてきた。
このため、2009年には
都市部で自主的な減車などを3年以内に行うよう促す
「タクシー適正化・活性化法」が成立した。

ただ、減車を一律に割り当てると
独占禁止法に抵触するカルテルにあたる可能性があるため、
適正化・活性化法は自主的な取り組みを促すにとどまった。
協力しないタクシー業者への強制措置もなかった。

このため、新法案は、
国が指定する特定地域の協議会とタクシー事業者に
減車や営業時間の制限など輸送力の削減方法を盛り込んだ計画を
国土交通相に提出するよう義務づけ、
計画に基づく削減は独禁法の適用除外とすると明記。
協議会に不参加の事業者にも、
国が地域の計画に沿うよう勧告・命令でき、
従わない場合の営業停止や許可取り消しも盛り込んだ。

また、特定地域内の新規参入や増車は現在は認可制だが、期限付きで「禁止」に強化。
運転手の賃金低下につながる過度の運賃値下げ競争を防ぐため、
国交相が特定地域ごとに運賃の幅を定め、
事業者はその範囲内で料金を決める新たな仕組みも盛り込んだ。

今回の新法が成立すれば、
小泉改革下でのタクシーの規制緩和の内容はほぼ否定される。


規制緩和による自由競争で経済が活性化し全体が底上げされるという
小泉改革の基本的な考え方に一定の限界があることを与党も認めた形だ。

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http://mainichi.jp/select/news/20130818k0000e010142000c.htmlから抜粋して引用。
(青字、赤字による強調は筆者による)


これは、大変意義深いことです。

”規制緩和による自由競争で経済が活性化し全体が底上げされるという
 小泉改革の基本的な考え方”(=新自由主義の考え方)

が否定されただけでなく、

「セイの法則」が間違っていることを示す実例となったからです。

「セイの法則」とは、

「供給はそれ自身の需要を創造する」

というものです。

端的に言えば、「物を作れば、必ず売れる」ということです。

供給を増やせば(=物を作れば)、

需要も増えるから、作った物はどんどん売れる。

んなバカなことがありますか?

作っても売れなくて困ってる企業があるのに…。

タクシーの場合は、サービス業ですから、

規制を緩和して、新規参入を増やそうとしたわけです。

それによって、タクシーの台数やタクシー会社が増えることが、

供給が増える(=物を作る)ことに当たるわけです。

セイの法則が正しければ、

タクシー会社やタクシーの台数が増えれば、

タクシーに乗る人が必ず増えて、タクシー会社の売り上げは必ず増える、

はずですが、

そうはなりませんでした。

国家戦略研究

国家戦略研究































『日本経済が頂点に立つこれだけの理由』 山本博一 彩図社より転載

棒グラフが事業者数(タクシー会社の数)で、折れ線グラフが営業収入です。

規制緩和が実施された2002年から、

事業者数(タクシー会社の数)は増えていきましたが、

営業収入は下がり続けています。

それ以前から、営業収入は下がっていますが、

これは97年以降、デフレが深刻化したことによるものと思われます。

タクシー会社の営業収入が減れば、当然、運転手さんにも影響が出ます。

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■タクシー増え給料減る

東京都内のタクシー運転手、小林洋一さん(60)は
かつて約600万円の年収があったが、今は400万円ほどになった。
妻と長男を養うため、午前8時から翌日午前4時まで働き、
280円のコンビニ弁当で空腹をしのぐ。

路上には空車のタクシーがあふれ、客待ちの場所を見つけるのも大変だ。
客を奪い合い、違法に値引きするタクシーもあるという。

空車タクシーが多いのはバブル後に景気が長く低迷したからだけではない。
2000年代に入り、小泉純一郎政権などが進めた「規制緩和」の影響も大きい。

政府は02年、タクシー業界に参入しやすくしたり、
台数を自由に増やせたりする規制緩和に踏み切った。
タクシー会社は売り上げを伸ばそうと台数をどんどん増やし、
01~07年度に全国のタクシー台数は1万5千台近く増えた。

あおりを受けたのが運転手だ。
台数が増えれば競争が激しくなり、1台あたりの売り上げは減る。
1995年度に403万円だった平均年収は05年度に約300万円まで落ち、
06~07年度に景気回復で一時的に上がったが、
最近は200万円台まで落ち込んでいる。

このため、政府は09年、
台数が増え過ぎた156地域で台数を減らす方針に転じ、
ようやく運転手の年収は下がらなくなった。
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http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201307190741.htmlから抜粋して引用。

これからどんどん伸びる成長産業なら、

供給を増やす政策はいいかもしれませんが、

タクシー業界は、成長産業ではなく、成熟産業の部類に入ると思います。

あまり伸びが期待できない成熟産業に、新規参入を促しても、
                           ↑
                   (つまり、供給を増やすということ)

限られたパイを奪い合うことになるだけで、

個々の会社の売り上げが減ったり、タクシーの場合、運転手の収入が減ってしまうのです。


根本的な間違いは、デフレなのに、供給を増やす策をとってしまったことでしょう。

タクシー規制緩和の失敗は、

デフレでは、セイの法則が成り立たないことを示す実例となりました。

そして、

・セイの法則は、どんな場合でも成り立つ。

・規制緩和は、どんな場合でも正しい。

・自由競争は絶対の善。

と考える新自由主義者の考えが間違っていることを示す実例ともなりました。


デフレでは、セイの法則は成り立たない。

新自由主義者は、それがわからないバカ。

これを頭に入れていただきたいと思います。

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