アメリカン・スナイパー(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

アメリカン・スナイパー(ネタバレ)

アメリカン・スナイパー

アメリカン・スナイパー

原題:American Sniper
2014/アメリカ 上映時間132分
監督・製作:クリント・イーストウッド
製作:ロバート・ローレンツ、アンドリュー・ラザー、ブラッドリー・クーパー、ピーター・モーガン
製作総指揮:ティム・ムーア、ジェイソン・ホール、シェロウム・キム、ブルース・バーマン
原作:クリス・カイル、スコット・マクイーウェン、ジム・デフェリス
脚本:ジェイソン・ホール
撮影:トム・スターン
美術:ジェームズ・J・ムラカミ、シャリーズ・カーデナス
衣装:デボラ・ホッパー
編集:ジョエル・コックス、ゲイリー・D・ローチ
視覚効果:マイケル・オーエン
海軍技術顧問:ケビン・ラーチ
出演:ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、ルーク・グライムス、ジェイク・マクドーマン、ケビン・ラーチ、コリー・ハードリクト、ナビド・ネガーバン、キーア・オドネル、サミー・シーク
パンフレット:★★★★☆(820円/ちょっと高いけどコラム6本収録! 最後のページの写真にもグッとくる)
(あらすじ)
イラク戦争に出征した、アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)。スナイパーである彼は、「誰一人残さない」というネイビーシールズのモットーに従うようにして仲間たちを徹底的に援護する。人並み外れた狙撃の精度からレジェンドと称されるが、その一方で反乱軍に賞金を懸けられてしまう。故郷に残した家族を思いながら、スコープをのぞき、引き金を引き、敵の命を奪っていくクリス。4回にわたってイラクに送られた彼は、心に深い傷を負ってしまう。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




85点


「アメリカン」というフレーズを聞くと、「小林克也のおしゃべりアメリ缶」や「アメリ缶」を思い出したり、B級世紀末アクション映画の良作「アメリカン・サイボーグ」が頭に浮かんだりするんですが、実は一番連想するのは「アメリカンチップス」。当時の“若かった僕”は「アメリカ~ン♪」とおどけるいしだ壱成さんを見ると2秒で怒りゲージを満タンにしてしまい、「死の翼触れるべし!ヽ(`Д´)ノ」と理不尽に激怒したものでしたよ…(しみじみ)。


アメリカンな壱成さん。ただ、あらためて吉田豪さんのトークを聞いたりすると、頑張ってほしいと思う40代の僕なのでした。
アメリカ~ン


な~んて関係ない話は置いとくとして。予告編を初めて見た時は「えぇっ、女性と子どもを撃っちゃうの!? (°д°;) ウタナイノ!?」と凄まじくドキドキさせられましてね。クリント・イーストウッド監督作ということもあって、それなりには期待していたということで! 公開日、新宿武蔵野館で「スペシャルID 特殊身分」を2回観てから新宿ピカデリーに足を運びました。スゴい映画でしたな… (`Δ´;) ヌゥ


公開初日ということで、かなり混んでました。
新宿ピカデリー


気になっている人のために予告編の続きを書いておくと、主人公のクリス・カイルったら2人とも殺してました ('A`) イヤーン パンフに載ってた監督インタビューによれば、クリスが映画の元となった自伝を書いた時、理解されないだろうと思って“母親だけ狙撃した”ことにしたようですが、実際には母子ともに射殺したんだそうです。いや、確かに手榴弾を投げようとしていたので仕方ないんですけど、つくづくヘビーな話ですな…。


この母子が殺されちゃうなんて、ドン引きですよね。
射殺されちゃう母子


一応、雑かつ適当にあらすじを書いておくと、弟をいじめる奴をボコボコにした少年クリスは、父親から「世の中には羊と狼と番犬がいて、お前は番犬だ!m9`Д´) ビシッ」と番犬認定されまして。成長して“いかにもなテキサスマッチョ”になって、弟とのんべんだらりと暮らしていたら、アメリカ同時多発テロ事件のニュース映像を観てハートがバーニング。「オレもやるッス!ヽ(`Д´)ノ」とアメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズにハードな訓練の末に入隊すると、狙撃の才能があったため、バリバリと“イラクの野蛮人ども”(本人談)を射殺しまくって、仲間からは「伝説の男~♪ (`∀´)」と歌われ、敵からは「ラマディの悪魔!(°д°;) ヒィィ」と恐れられるようになるのです(1つウソ)。


有名な映像を貼っておきますね↓ 結局、イラクとは関係なかったというね…。




とは言え、家庭の方は微妙な感じ。せっかく素敵な奥さんとの間に可愛い人形が生まれたのに、イラクへ何度も”ツアー”に行ってしまうため、奥さんは常に気が気じゃないし、クリスの方も帰宅しても心ここにあらずな状態だったり、犬を殺そうとしたり、看護婦さんに怒鳴ったりと、このままじゃ離婚してしまいそうなムードがムンムンでして(なんとシールズの離婚率は90パーセント以上なんだって (゚⊿゚) ヘー)。

このままじゃいけないと思いながらも、“番犬”の彼は仲間を守るために4回目のツアーに行ったところ! やっと宿敵である狙撃手ムスタファを「山猫は眠らない」ライクに倒して、死闘の末、無事生還(愛銃をなくしてしまう象徴的な場面あり)。奥さん&子どもたちと仲良く暮らしながら、自分自身の心の治療も兼ねてPTSDに苦しむ帰還兵の面倒を看ていたら、殺されてしまって… (ノД`) 葬儀の様子が流れてエンドクレジットに突入すると、無音状態になって映画は終わってました。


クリスの葬式で奥さんがスピーチする映像を貼っておきますね↓ 死んだことを知らなかったので、結構ビックリしました。




尊敬する映画評論家の町山智浩さんの「たまむすび」での紹介を聴いたり、「映画秘宝 2015年 04 月号」の特集記事やパンフを読んだりすればわかることですが、決して戦争賛美映画ではなくて。基本的には「戦争によって英雄に祭り上げられながらも、PTSDになって、因果のように人生が終わってしまった男の物語」であり、そこにもグッときたんですが、しかし! ごめんなさい、不謹慎ですけど、僕は何よりも戦争アクションとしてスゲー面白かったです (´∀`;) エヘヘ 狙撃シーンや突入シーンはマジで緊迫感に溢れていて、ヒリヒリするというか、胃が痛くなるというか。ムスタファとの直接対決も好みであり(フィクションだけど、そういう人がいたのは事実だそうな)、手に汗握りながら鑑賞いたしましたよ。


サミー・シーク演じるムスタファ、渋かったです。
狙撃手ムスタファ!


ただ、それ故に、これを戦争賛美映画と思う人の気持ち、スゲーわかる。だって、戦闘シーンがカッコイイ時点でテンションが上がるじゃないですか。一応、ムスタファの奥さんを見せたりして「イラク側も同じ人間」ということを表していたけどさ、やっぱりアメリカ寄りには見えちゃったし…(って、遺族が絡んでるから仕方ないと思いますが)。だったら、「アルマジロ」みたいな“リアルかつイヤな雰囲気”に仕上げてほしかったなぁ…って、この前、一緒に飲んだ桑江さんが言ってました!(o^-')b ウケウリ!

あと、僕が大好きな「パニッシャー」のスカルマークが出まくっていたのは、その偏差値の低さに共感を覚えつつも、ガチで人を殺す人たちが好むのは引くというか(実際に好きだったみたいですが)。ちょうど僕もパニッシャーのパーカーを着用して映画を観に行っていたりして、それも…なんか…恥ずかしかったです… (´Д`;) ナニコレ


胸には「パニッシャー」のスカルマークがあったりして。装甲車にも書いてありましたな。
胸にパニッシャーのマーク

ビグルス(ジェイク・マクドーマン)も読んでました。海兵隊員繋がりで好きなのかしらん。
パニッシャーを読んでる!


で、恐ろしく興を削がれたポイントが2点ありまして。すでにイヤミっぽく書いてましたけど(苦笑)、クリスの赤子が人形丸出しだったのは何なのかと。すみません、あれは本当に安っぽくてガッカリしたというか、必死に抱くブラッドリー・クーパーが哀れに見えたほどでしたよ。それと、ムスタファを倒す時に弾丸が飛んでいくシーンも心底失望。いきなり「山猫は眠らない」っぽくなっちゃってさぁ…(あの映画は大好きですが)。リアルなムードが台無しだと思っちゃったり。


問題の赤子。監督が「当たり前ですけどニセ赤子です。初笑いできたかな?」ってツイートしてましたが…(勝手なウソ)。
ニセ赤子

ニセ赤子を観た時の僕の気持ちを代弁する愚地独歩の画像を貼っておきますね。
見るにたえねぇ


ちなみにアメリカの観客は“クリスが殺されたことを知っている前提”で観ているワケで、「日本人と受け取り方が違うのかなぁ」なんて思ったりしたのはどうでも良いザンス(シエナ・ミラーが同じく”旦那が死ぬ奥さん”を演じた「フォックスキャッチャー」を観た時も思った)。何だかネガティブな文章を垂れ流しちゃいましたけど、ちょっと気になる部分があっただけで、本当にスゴい映画だとは思うんですよ。増量してクリスを演じたブラッドリー・クーパーは素晴らしかったし(デッドリフトをするシーンが好み)、見終わった直後は無音の中で凄まじくしんみりさせられたし、何よりも狙撃シーンでは超ハラハラさせられたし…。「ハート・ロッカー」と同じような話ですが、僕はこっちの方が好きです (´∀`) オシマイ




クリス・カイルによる自伝。興味はあるんですが、時間とお金がなくて…。



クリント・イーストウッド監督作。これのイラク版を作ってほしいと思ったり。



なんとなく思い出した映画シリーズ。「1」を観れば十分だと思う。僕の感想はこんな感じ



本物の戦闘シーンまで映しているドキュメンタリー。僕の感想はこんな感じ



なんとなく思い出したキャスリン・ビグロー監督作。僕の感想はこんな感じ



イラク少女暴行殺害事件を描いたブライアン・デ・パルマ監督作も貼っておきますね。