フォックスキャッチャー(ネタバレ)
フォックスキャッチャー
原題:Foxcatcher
2014/アメリカ 上映時間135分
監督・製作:ベネット・ミラー
製作:ミーガン・エリソン、ジョン・キリク、アンソニー・ブレグマン
製作総指揮:チェルシー・バーナード、ロン・シュミット、マーク・バクシ、マイケル・コールマン、トム・ヘラー、ジョン・P・ギウラ
脚本:E・マックス・フライ、ダン・ファターマン
撮影:グレッグ・フレイザー
美術:ジェス・ゴンコール
衣装:カシア・ワリッカ=メイモン
編集:スチュアート・レビ、コナー・オニール、ジェイ・キャシディ
音楽:ロブ・シモンセン
音楽監修:スーザン・ジェイコブス
出演:スティーブ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロ、バネッサ・レッドグレーブ、シエナ・ミラー、アンソニー・マイケル・ホール、ガイ・ボイド、デイブ・ベネット
パンフレット:★★★★☆(720円/コラムの人選が超好み。柳澤健さんの「1984年のマーク・シュルツ」には笑った)
(あらすじ)
ロサンゼルスオリンピックで金メダルを獲得したレスリング選手マーク・シュルツ(チャニング・テイタム)は、デュポン財閥の御曹司ジョン(スティーブ・カレル)から、ソウルオリンピックでのメダル獲得を目指すレスリングチーム「フォックスキャッチャー」に誘われる。同じく金メダリストの兄デイブ(マーク・ラファロ)へのコンプレックスから抜けだすことを願っていたマークは、最高のトレーニング環境を用意してくれるという絶好のチャンスに飛びつくが、デュポンのエキセントリックな行動に振り回されるようになっていく。やがてデイブもチームに加入することになり、そこから3人の運命は思わぬ方向へと転がっていく。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
89点
※この映画に関しては、ナイトウミノワさんのブログとかはちごろうさんのブログを読むと良いんじゃないかしらん。
予告編を見る限りは地味で暗そうだけど、「大富豪はなぜ金メダリストを殺したのか?」が気になった&チャニング・テイタムのアマレスラー振りを確認したくなりまして。奥さん&娘がママ友と遊ぶ隙を狙って、2月22日(猫の日)に「チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密(字幕版)」と勝手な二本立てとして新宿ピカデリーで観てきました。「良い映画だったけど… (`Δ´;) ヌゥ」という複雑な気持ちになりましたよ。
観たのはスクリーン7。「モルデカイ」の方が混んでたというね…。
映画としてはスゲー面白かったです。「大富豪はなぜ金メダリストを殺したのか?」という下世話なサスペンス的な興味で惹きつけられつつも、ヘビーな人間ドラマにグッときた感じ。まず、褒めたいのが役者さんたちで、いつも陽気なスティーブ・カレルが今作はとにかく不気味&痛々しくて… ('A`) 思わず「40歳の童貞男」でも観て、自分の心のバランスを取りたくなるほどでしたよ。
スティーブ・カレル、よく考えると、コメディでも“空気が読めない痛々しい役”をやってはいるんですが。
実際のジョンはこんな感じの人でございます。鼻が特徴的なのね。
だがしかし! 僕的に最も感動したのは、チャニング・テイタム&マーク・ラファロのアマレスブラザーズ!ヽ(`Д´)人(`Д´)ノ フンガー! あの肉体と動きの見事さに舌を巻いたというか、開始してすぐに2人が見せる打ち込み描写のリアルさは「ほほぅ、この映画は本物のアマレスラーを起用したのですな (・ω・) フムフム」としたり顔で思ったほど。2人とも演技が素晴らしかったのはもちろんのこと、何よりもあの肉体を作り上げた上にアマレスラーの動きを体得したことに感嘆いたしました。
チーズバーガーとピザとビールをガマンして、大嫌いなダイエットに挑んだチャニング・テイタム。偉いぞ!
マーク・ラファロ、7ヵ月で筋肉を16キロ増量したそうです。スゲェ!
実際の兄弟はこんな感じでございます。
特にチャニング・テイタムはスゴい! 最近まで“ちょっと頭が足りない陽性マッチョ”みたいなイメージだったのに、今作の“陰気マッチョ”役で「こんな演技ができるんだ!(゚д゚;)」と凄まじく見直したというか(いろいろと失礼な文章)。よくよく思い出せば、一昨年話題になったジャン=クロード・ヴァン・ダムの開脚動画の時ですよ。その後に流れたチャック・ノリスの動画に関しては、「エクスペンダブルズ2」の時に話題を取られた悔しさもあって、「身体を張ったヴァン・ダムのネタにCGで便乗しやがって!(`Δ´) クソガ!」と密かに激怒したのですが…(いろいろと心の狭い文章)。
チャニング・テイタムのパロディの方は、ちくしょう、スゲー愉快な上に「あえて失敗してみせる」ことでヴァン・ダムへの気配りすら感じさせる鮮やかな出来であり、その時から僕の中の「信用できる男フォルダ」に入れていた…って、スゲーどうでも良いですな。何はともあれ、つくづく「G.I.ジョー バック2リベンジ」での「製作者サイドが“彼の真価”を見抜けなかった降板」が残念で仕方なかったり(まぁ、僕もそうでしたが (´∀`;) ゴメンネ)。
「22ジャンプストリート」の宣伝の一環。「マジック・マイク」とか観る限り、180度開脚とか普通に出来そうな印象だったり。
閑話休DiE!m9`Д´) ビシッ で、物語の方は、「マークが大富豪のジョンに気に入られるも、調子に乗りすぎて練習をサボったりするようになって、『恩知らずのサルめ!』とビンタされて。2人の仲がこじれてた挙げ句、ジョンが練習場に乗り込んで、みんなが観てる前で射殺するのだろう (´∀`) ヤレヤレ」と安易に考えていたのですが、しかし! 予告編はミスリードだったというか、殺されたのはデイブの方だったからビックリですよ。
この場面、物語の中盤くらいに発生してました。
勝手な脚色を加えながらストーリーを雑に書くと、親のお金で大富豪のジョンはアマレスLOVEな男であり、自分が作ったアマレスチーム「フォックスキャッチャー」にマークを誘いまして。金メダリストなのに世間からは評価されず(講演会の場面が寂しすぎ!)、偉大な兄デイブの影で鬱屈していたマークったら、「一世一代のチャンス!ヽ(`Д´)ノ」とばかりに、彼に尽くしまくるワケですよ。象徴的なのが「ドキッ! 2人だけのアマレスレッスン」(勝手なタイトル)で、パーテールポジションのマークを後ろから攻める場面は同性愛感がモロなんですが、マークはそれすらも受け入れるワケです。
とは言え、ジョン的には、マークは所詮「金で買った友人」だし、そもそも本当にほしかったのは兄のデイブだし…。昔から金でわがままを通してきただけに、ある日、フラストレーションが爆発してしまって、みんなの前でマークを罵倒&ビンタをした挙げ句、大金でデイブを「フォックスキャッチャー」に招聘してしまうから、さぁ、大変。マークは「なんだよ、結局、オレは兄貴の代わりだったのかよ… (´・ω・`)」とすっかり心を閉ざしてしまうのでした。互いに強烈なコンプレックスを抱いたジョンとマークは、本当の友人になれる可能性もあったのにね。
この場面、マークは全然悪くなくて、可哀相でしたな。
そして、デイブがやってきたことで、万事上手くいくのかと思いきや! デイブはふて腐れたマークと違って、自分と上手く付き合ってくれるけれども、なんか薄々バカにされてる気がする…バカにされてる気がするんだYO!ヽ(TДT)ノ ウワァァァン! いろいろあって、自分を認めてほしかった母親は死んじゃうし、メダル獲得にも失敗しちゃったということで、ある日、ジョンったらなんとなくデイブを射殺→逮捕。期せずして兄の呪縛から逃れたマークがUSAコールを背負いながら総合格闘技(MMA)のリングに上がって、映画は終わってました。
一応、マーク・シュルツvsゲーリー・グッドリッジを貼っておきますね↓
なんて言うんですかね、「承認欲求をこじらせた男の話」であり、「金で手に入らないものを追い求めて狂った男の話」というか。この世で一番嫌いなのが“金持ちの一族”な僕ですけれども(苦笑)、この映画のジョンを観ていると、さすがに可哀相で泣けてくる。「運転手の息子は友だちだと思っていたら、母親が金を払っていた」とかあんまりすぎるエピソードだし(本当にあったそうな)、でも、自分もそれと同じようなことを気付かずにやり続けてしまうとか、もうさぁ… ('A`) 尊敬する映画評論家の町山智浩さんが「たまむすび」でおっしゃってましたが、「フォックスキャッチャー」というチーム名自体に「自分は手を汚さない」という“金持ちライクな精神性”が滲み出てるのもイヤな感じ。何はともあれ、とにかく空気を読めないのがキツくて、鑑賞中はスゲー居心地が悪いんですよね。
今作での数少ない、ジョンの幸せな瞬間。「金で得る」って悪いことばかりではないとも思うんですが。
母親が見学に来た時に一流アマレスラーたちを指導する場面とか、激痛が走るレベルというか、座席で悶絶ですよ。金持ちだけど自分が財をなしたワケではない→自信がないから、「ゴールデン・イーグル」なんて愛国者アピールをしたり、重火器や格闘技というわかりやすい“力”に憧れたり、やたらと肩書きにこだわったりするんでしょうけど、「こんな哀れな人はそうそう観たことがないな… (・ω・;) ウーム」と同情。結局、「大富豪はなぜ金メダリストを殺したのか?」の理由は劇中で具体的に語られないんですが、“尊敬”を手に入れる方法がわからなくてパンクしちゃった…ってことなんでしょうか。
唐突に自分のことを書くと、僕は父親が残念な人だったから、ジョンやマークのような抑圧は感じたことは一切なくて。むしろ超金持ちだったり、素敵な兄がいたりするのが羨ましいと思うところはあるのですよ(姉は2人いますが)。だけど、それでもこじらせるってことは、その立場になってみないとわからないんだろうなぁと、今さらながら至極当たり前なことを思ったりして。いや、そんな抑圧には無縁だった僕だって、ある意味、承認欲求が強いからこんな駄ブログをせっせと書いてるんだろうし、マッチョへの憧憬もスゲーあるし、「グラップラー刃牙検定2級取得者」なんて肩書きを誇示することもあったりするだけに(気が早い文章)、気をつけなくちゃ…って、なんだそりゃ ( ゚д゚)、 ペッ
なんとなく失笑するステイサムを貼っておきますよ(「ブリッツ」より)。
あと、「アマレスっていいなぁ」と。例えば、冒頭の打ち込み場面、弟の苛立ちを兄がちゃんと受け止めたり、技でいなしたりと、2人の関係をアマレスで表しているのが超良くて。この映画、アマレス描写がリアルで面白いだけでなく、肉体を言語とした情感の触れ合いが最高なんですよね…(しみじみ)。兄弟愛の描き方も良くて、マーク的に思うところはあったんでしょうけど、やっぱり羨ましく思ったりして。「試合に負ける→荒れてヤケ食いするマーク→叱るデイブ→2人で減量!」の流れとか、その兄弟愛に泣き笑いでしたよ(そして、その関係に入れないジョン…)。
この展開、大好きでしたね。
ちなみにアメリカの観客は“デイブが殺されたことを知っている前提”で観ているワケで、「日本人と受け取り方が違うのかなぁ」なんて、「アメリカン・スナイパー」を観た時と同じようなことを思ったりして。さらにどうでも良いことを書くと、両方の作品で”旦那が死ぬ奥さん”を演じたシエナ・ミラー、「フォックスキャッチャー」のパンフでは「ナンシーはとてもオープンな人で、喜んでアイデア、考え、記憶を分け与えてくれて、最大の支援者であろうとしてくれたの」なんて言ってたくせに、「アメリカン・スナイパー」のパンフでは「ナンシー・シュルツは本当に人間的に素晴らしい方だったけど、何でも聞きたいことを聞けるような雰囲気ではなかったの」と語りつつ“もう1人の未亡人”の方を持ち上げていて、「ナンシー、可哀相… (´・ω・`)」って思ったり。
シエナ・ミラーは「G.I.ジョー」でチャニング・テイタムと共演してましたね。
その他、最後にマークがMMAに参戦することになって、ようやく「そういえばマーク・シュルツなんて選手がいたよ!Σ(゚д゚;)」と気付いて驚きましたよ。正直、大した記録を残したイメージはないんですけど、名前は覚えていただけに、そんな過去があった人だったのかと。スタ・エレさんと飲んだ時に指摘されて検索したら、ヒクソン・グレイシーとの道場マッチの話が引っ掛かったのも驚いたりしてね。ううむ、「人に歴史あり」、ですな(知った風な口調で)。
ただ、いろいろと検索すると、こういう記事が引っ掛かったりして。「あのカート・アングルがフォックスキャッチャーにいた」って事実がビックリだし、あの当時UFCはまだやっていないってのもその通りで、そこはUWFかシューティングに変えれば良かったね程度には思うんですけれども! それ以上に、実話をフィクション化することの難しさを感じたというか。
カート・アングルの動画↓ アマレスラー時代、首を折りながら金メダルを獲ったんですよね、確か。
パンフのコラムとかネットの情報とかいろいろ読むと、どの言い分が正しいのかわからない部分はありつつも、一応、本物のジョン・デュポンはそこまで孤独な人じゃなかったっぽくて。マーク・シュルツ本人にもいろいろと思うところがあったみたいだし…。お話としては非常に良く出来てるし、重苦しい雰囲気なのにグイグイと惹きつけるベネット・ミラー監督の語り口はスゴいんですけど、なんか“実話ベース”という部分にグッときた要素もあっただけに、「あっ、実際は違ったのね (´・ω・`) ナァンダ」と若干冷めちゃった…って、伝わりますかね。
いや、それでもね、スゲー面白かった&良く出来た映画だと思いますよ。ベネット・ミラー監督、「カポーティ」や「マネーボール」も良かったけど、さらにひと皮剥けたのではないでしょうか。今でもシュルツ兄弟とジョンを思うと、不憫で切ない気持ちになるというか、なんかね、「もしこの映画が『金持ちのお坊ちゃんがアマレスチームを作っちゃったぞ!ヘ(゚∀゚*)ノ ヒャッハー』『うひゃあ、アニキ助けてよ~!(´Д`;) イヤーン』『まったく2人には困ったもんだ ┐(´ー`)┌ マイッタネ』といった“愉快な青春アマレスコメディ”だったら…」なんて夢想をしてしまうのでしたーー。
相互フォローさせていただいている方がツイートされていた画像をなんとなく貼っておきますね。こんなムードだったら良かったのに…。
おしまい (´・ω・`)
でも、ベネット・ミラー監督作ではこっちの方が好きかな。僕の感想はこんな感じ。
ベネット・ミラー監督はこの映画を観て、チャニング・テイタムの起用を決めたそうな。
チャニング・テイタムがMMAにチャレンジする青春格闘映画。それなりには面白いぜ!(o^-')b ソレナリ!
原題:Foxcatcher
2014/アメリカ 上映時間135分
監督・製作:ベネット・ミラー
製作:ミーガン・エリソン、ジョン・キリク、アンソニー・ブレグマン
製作総指揮:チェルシー・バーナード、ロン・シュミット、マーク・バクシ、マイケル・コールマン、トム・ヘラー、ジョン・P・ギウラ
脚本:E・マックス・フライ、ダン・ファターマン
撮影:グレッグ・フレイザー
美術:ジェス・ゴンコール
衣装:カシア・ワリッカ=メイモン
編集:スチュアート・レビ、コナー・オニール、ジェイ・キャシディ
音楽:ロブ・シモンセン
音楽監修:スーザン・ジェイコブス
出演:スティーブ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロ、バネッサ・レッドグレーブ、シエナ・ミラー、アンソニー・マイケル・ホール、ガイ・ボイド、デイブ・ベネット
パンフレット:★★★★☆(720円/コラムの人選が超好み。柳澤健さんの「1984年のマーク・シュルツ」には笑った)
(あらすじ)
ロサンゼルスオリンピックで金メダルを獲得したレスリング選手マーク・シュルツ(チャニング・テイタム)は、デュポン財閥の御曹司ジョン(スティーブ・カレル)から、ソウルオリンピックでのメダル獲得を目指すレスリングチーム「フォックスキャッチャー」に誘われる。同じく金メダリストの兄デイブ(マーク・ラファロ)へのコンプレックスから抜けだすことを願っていたマークは、最高のトレーニング環境を用意してくれるという絶好のチャンスに飛びつくが、デュポンのエキセントリックな行動に振り回されるようになっていく。やがてデイブもチームに加入することになり、そこから3人の運命は思わぬ方向へと転がっていく。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
89点
※この映画に関しては、ナイトウミノワさんのブログとかはちごろうさんのブログを読むと良いんじゃないかしらん。
予告編を見る限りは地味で暗そうだけど、「大富豪はなぜ金メダリストを殺したのか?」が気になった&チャニング・テイタムのアマレスラー振りを確認したくなりまして。奥さん&娘がママ友と遊ぶ隙を狙って、2月22日(猫の日)に「チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密(字幕版)」と勝手な二本立てとして新宿ピカデリーで観てきました。「良い映画だったけど… (`Δ´;) ヌゥ」という複雑な気持ちになりましたよ。
観たのはスクリーン7。「モルデカイ」の方が混んでたというね…。
映画としてはスゲー面白かったです。「大富豪はなぜ金メダリストを殺したのか?」という下世話なサスペンス的な興味で惹きつけられつつも、ヘビーな人間ドラマにグッときた感じ。まず、褒めたいのが役者さんたちで、いつも陽気なスティーブ・カレルが今作はとにかく不気味&痛々しくて… ('A`) 思わず「40歳の童貞男」でも観て、自分の心のバランスを取りたくなるほどでしたよ。
スティーブ・カレル、よく考えると、コメディでも“空気が読めない痛々しい役”をやってはいるんですが。
実際のジョンはこんな感じの人でございます。鼻が特徴的なのね。
だがしかし! 僕的に最も感動したのは、チャニング・テイタム&マーク・ラファロのアマレスブラザーズ!ヽ(`Д´)人(`Д´)ノ フンガー! あの肉体と動きの見事さに舌を巻いたというか、開始してすぐに2人が見せる打ち込み描写のリアルさは「ほほぅ、この映画は本物のアマレスラーを起用したのですな (・ω・) フムフム」としたり顔で思ったほど。2人とも演技が素晴らしかったのはもちろんのこと、何よりもあの肉体を作り上げた上にアマレスラーの動きを体得したことに感嘆いたしました。
チーズバーガーとピザとビールをガマンして、大嫌いなダイエットに挑んだチャニング・テイタム。偉いぞ!
マーク・ラファロ、7ヵ月で筋肉を16キロ増量したそうです。スゲェ!
実際の兄弟はこんな感じでございます。
特にチャニング・テイタムはスゴい! 最近まで“ちょっと頭が足りない陽性マッチョ”みたいなイメージだったのに、今作の“陰気マッチョ”役で「こんな演技ができるんだ!(゚д゚;)」と凄まじく見直したというか(いろいろと失礼な文章)。よくよく思い出せば、一昨年話題になったジャン=クロード・ヴァン・ダムの開脚動画の時ですよ。その後に流れたチャック・ノリスの動画に関しては、「エクスペンダブルズ2」の時に話題を取られた悔しさもあって、「身体を張ったヴァン・ダムのネタにCGで便乗しやがって!(`Δ´) クソガ!」と密かに激怒したのですが…(いろいろと心の狭い文章)。
チャニング・テイタムのパロディの方は、ちくしょう、スゲー愉快な上に「あえて失敗してみせる」ことでヴァン・ダムへの気配りすら感じさせる鮮やかな出来であり、その時から僕の中の「信用できる男フォルダ」に入れていた…って、スゲーどうでも良いですな。何はともあれ、つくづく「G.I.ジョー バック2リベンジ」での「製作者サイドが“彼の真価”を見抜けなかった降板」が残念で仕方なかったり(まぁ、僕もそうでしたが (´∀`;) ゴメンネ)。
「22ジャンプストリート」の宣伝の一環。「マジック・マイク」とか観る限り、180度開脚とか普通に出来そうな印象だったり。
閑話休DiE!m9`Д´) ビシッ で、物語の方は、「マークが大富豪のジョンに気に入られるも、調子に乗りすぎて練習をサボったりするようになって、『恩知らずのサルめ!』とビンタされて。2人の仲がこじれてた挙げ句、ジョンが練習場に乗り込んで、みんなが観てる前で射殺するのだろう (´∀`) ヤレヤレ」と安易に考えていたのですが、しかし! 予告編はミスリードだったというか、殺されたのはデイブの方だったからビックリですよ。
この場面、物語の中盤くらいに発生してました。
勝手な脚色を加えながらストーリーを雑に書くと、親のお金で大富豪のジョンはアマレスLOVEな男であり、自分が作ったアマレスチーム「フォックスキャッチャー」にマークを誘いまして。金メダリストなのに世間からは評価されず(講演会の場面が寂しすぎ!)、偉大な兄デイブの影で鬱屈していたマークったら、「一世一代のチャンス!ヽ(`Д´)ノ」とばかりに、彼に尽くしまくるワケですよ。象徴的なのが「ドキッ! 2人だけのアマレスレッスン」(勝手なタイトル)で、パーテールポジションのマークを後ろから攻める場面は同性愛感がモロなんですが、マークはそれすらも受け入れるワケです。
とは言え、ジョン的には、マークは所詮「金で買った友人」だし、そもそも本当にほしかったのは兄のデイブだし…。昔から金でわがままを通してきただけに、ある日、フラストレーションが爆発してしまって、みんなの前でマークを罵倒&ビンタをした挙げ句、大金でデイブを「フォックスキャッチャー」に招聘してしまうから、さぁ、大変。マークは「なんだよ、結局、オレは兄貴の代わりだったのかよ… (´・ω・`)」とすっかり心を閉ざしてしまうのでした。互いに強烈なコンプレックスを抱いたジョンとマークは、本当の友人になれる可能性もあったのにね。
この場面、マークは全然悪くなくて、可哀相でしたな。
そして、デイブがやってきたことで、万事上手くいくのかと思いきや! デイブはふて腐れたマークと違って、自分と上手く付き合ってくれるけれども、なんか薄々バカにされてる気がする…バカにされてる気がするんだYO!ヽ(TДT)ノ ウワァァァン! いろいろあって、自分を認めてほしかった母親は死んじゃうし、メダル獲得にも失敗しちゃったということで、ある日、ジョンったらなんとなくデイブを射殺→逮捕。期せずして兄の呪縛から逃れたマークがUSAコールを背負いながら総合格闘技(MMA)のリングに上がって、映画は終わってました。
一応、マーク・シュルツvsゲーリー・グッドリッジを貼っておきますね↓
なんて言うんですかね、「承認欲求をこじらせた男の話」であり、「金で手に入らないものを追い求めて狂った男の話」というか。この世で一番嫌いなのが“金持ちの一族”な僕ですけれども(苦笑)、この映画のジョンを観ていると、さすがに可哀相で泣けてくる。「運転手の息子は友だちだと思っていたら、母親が金を払っていた」とかあんまりすぎるエピソードだし(本当にあったそうな)、でも、自分もそれと同じようなことを気付かずにやり続けてしまうとか、もうさぁ… ('A`) 尊敬する映画評論家の町山智浩さんが「たまむすび」でおっしゃってましたが、「フォックスキャッチャー」というチーム名自体に「自分は手を汚さない」という“金持ちライクな精神性”が滲み出てるのもイヤな感じ。何はともあれ、とにかく空気を読めないのがキツくて、鑑賞中はスゲー居心地が悪いんですよね。
今作での数少ない、ジョンの幸せな瞬間。「金で得る」って悪いことばかりではないとも思うんですが。
母親が見学に来た時に一流アマレスラーたちを指導する場面とか、激痛が走るレベルというか、座席で悶絶ですよ。金持ちだけど自分が財をなしたワケではない→自信がないから、「ゴールデン・イーグル」なんて愛国者アピールをしたり、重火器や格闘技というわかりやすい“力”に憧れたり、やたらと肩書きにこだわったりするんでしょうけど、「こんな哀れな人はそうそう観たことがないな… (・ω・;) ウーム」と同情。結局、「大富豪はなぜ金メダリストを殺したのか?」の理由は劇中で具体的に語られないんですが、“尊敬”を手に入れる方法がわからなくてパンクしちゃった…ってことなんでしょうか。
唐突に自分のことを書くと、僕は父親が残念な人だったから、ジョンやマークのような抑圧は感じたことは一切なくて。むしろ超金持ちだったり、素敵な兄がいたりするのが羨ましいと思うところはあるのですよ(姉は2人いますが)。だけど、それでもこじらせるってことは、その立場になってみないとわからないんだろうなぁと、今さらながら至極当たり前なことを思ったりして。いや、そんな抑圧には無縁だった僕だって、ある意味、承認欲求が強いからこんな駄ブログをせっせと書いてるんだろうし、マッチョへの憧憬もスゲーあるし、「グラップラー刃牙検定2級取得者」なんて肩書きを誇示することもあったりするだけに(気が早い文章)、気をつけなくちゃ…って、なんだそりゃ ( ゚д゚)、 ペッ
なんとなく失笑するステイサムを貼っておきますよ(「ブリッツ」より)。
あと、「アマレスっていいなぁ」と。例えば、冒頭の打ち込み場面、弟の苛立ちを兄がちゃんと受け止めたり、技でいなしたりと、2人の関係をアマレスで表しているのが超良くて。この映画、アマレス描写がリアルで面白いだけでなく、肉体を言語とした情感の触れ合いが最高なんですよね…(しみじみ)。兄弟愛の描き方も良くて、マーク的に思うところはあったんでしょうけど、やっぱり羨ましく思ったりして。「試合に負ける→荒れてヤケ食いするマーク→叱るデイブ→2人で減量!」の流れとか、その兄弟愛に泣き笑いでしたよ(そして、その関係に入れないジョン…)。
この展開、大好きでしたね。
ちなみにアメリカの観客は“デイブが殺されたことを知っている前提”で観ているワケで、「日本人と受け取り方が違うのかなぁ」なんて、「アメリカン・スナイパー」を観た時と同じようなことを思ったりして。さらにどうでも良いことを書くと、両方の作品で”旦那が死ぬ奥さん”を演じたシエナ・ミラー、「フォックスキャッチャー」のパンフでは「ナンシーはとてもオープンな人で、喜んでアイデア、考え、記憶を分け与えてくれて、最大の支援者であろうとしてくれたの」なんて言ってたくせに、「アメリカン・スナイパー」のパンフでは「ナンシー・シュルツは本当に人間的に素晴らしい方だったけど、何でも聞きたいことを聞けるような雰囲気ではなかったの」と語りつつ“もう1人の未亡人”の方を持ち上げていて、「ナンシー、可哀相… (´・ω・`)」って思ったり。
シエナ・ミラーは「G.I.ジョー」でチャニング・テイタムと共演してましたね。
その他、最後にマークがMMAに参戦することになって、ようやく「そういえばマーク・シュルツなんて選手がいたよ!Σ(゚д゚;)」と気付いて驚きましたよ。正直、大した記録を残したイメージはないんですけど、名前は覚えていただけに、そんな過去があった人だったのかと。スタ・エレさんと飲んだ時に指摘されて検索したら、ヒクソン・グレイシーとの道場マッチの話が引っ掛かったのも驚いたりしてね。ううむ、「人に歴史あり」、ですな(知った風な口調で)。
ただ、いろいろと検索すると、こういう記事が引っ掛かったりして。「あのカート・アングルがフォックスキャッチャーにいた」って事実がビックリだし、あの当時UFCはまだやっていないってのもその通りで、そこはUWFかシューティングに変えれば良かったね程度には思うんですけれども! それ以上に、実話をフィクション化することの難しさを感じたというか。
カート・アングルの動画↓ アマレスラー時代、首を折りながら金メダルを獲ったんですよね、確か。
パンフのコラムとかネットの情報とかいろいろ読むと、どの言い分が正しいのかわからない部分はありつつも、一応、本物のジョン・デュポンはそこまで孤独な人じゃなかったっぽくて。マーク・シュルツ本人にもいろいろと思うところがあったみたいだし…。お話としては非常に良く出来てるし、重苦しい雰囲気なのにグイグイと惹きつけるベネット・ミラー監督の語り口はスゴいんですけど、なんか“実話ベース”という部分にグッときた要素もあっただけに、「あっ、実際は違ったのね (´・ω・`) ナァンダ」と若干冷めちゃった…って、伝わりますかね。
いや、それでもね、スゲー面白かった&良く出来た映画だと思いますよ。ベネット・ミラー監督、「カポーティ」や「マネーボール」も良かったけど、さらにひと皮剥けたのではないでしょうか。今でもシュルツ兄弟とジョンを思うと、不憫で切ない気持ちになるというか、なんかね、「もしこの映画が『金持ちのお坊ちゃんがアマレスチームを作っちゃったぞ!ヘ(゚∀゚*)ノ ヒャッハー』『うひゃあ、アニキ助けてよ~!(´Д`;) イヤーン』『まったく2人には困ったもんだ ┐(´ー`)┌ マイッタネ』といった“愉快な青春アマレスコメディ”だったら…」なんて夢想をしてしまうのでしたーー。
相互フォローさせていただいている方がツイートされていた画像をなんとなく貼っておきますね。こんなムードだったら良かったのに…。
おしまい (´・ω・`)
でも、ベネット・ミラー監督作ではこっちの方が好きかな。僕の感想はこんな感じ。
ベネット・ミラー監督はこの映画を観て、チャニング・テイタムの起用を決めたそうな。
チャニング・テイタムがMMAにチャレンジする青春格闘映画。それなりには面白いぜ!(o^-')b ソレナリ!