シャイロックの子供たち | p・rhyth・m~映画を語る~

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英題:SHYLOCK'S CHILDREN
監督:本木克英
キャスト:阿部サダヲ/上戸彩/玉森裕太
配給:松竹
公開:2023年2月
時間:122分




中世イタリアのヴェニス。商人アントーニオは,親友バサーニオのために,シャイロックから金を借りる。高利貸しのシャイロックは,アントーニオの肉1ポンドを担保に金を貸す。ところがトラブルで金が返せなくなるアントーニオ。シャイロックは“人肉裁判”と呼ばれる裁判を起こし,アントーニオの肉を要求する。有名なシェークスピアの戯曲『ヴェニスの商人』のあらすじだ。

さて現代。“どれだけ大きな融資をまとめられるか?”の実績がで立場と出世に繋がっていく銀行員という仕事。メガバンクのバンカーという経歴を持つ池井戸潤が描く“銀行”という世界は,読む者に驚きとリアリティをぶつけてくる。タイトルの『シャイロックの子供たち』にも,そんな想いと,いくばくかの揶揄が感じられる。2006年に発表されたこの小説を原作に,『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『アキラとあきら』に続く池井戸作品4作目の映画化となったのが今夜紹介する『シャイロックの子供たち』。監督は『超高速!参勤交代』シリーズや『空飛ぶタイヤ』の本木克英。

メガバンク“東京第一銀行”の長原支店で現金紛失事件が発生する。ベテランお客様係の西木(阿部サダヲ)は,濡れ衣を着せられた部下の北川(上戸彩),その後輩で投資信託などを担当する営業の田端(玉森裕太)と共に事件の真相を突き止めようと調査に乗り出す。

しかし,そこに待ち受けていたのは出世コースから外れた支店長の九条(柳葉敏郎),超パワハラ気質の副支店長・古川(杉本哲太),過去の客にたかられているエースの滝野(佐藤隆太)ら,曲者の銀行員たち。さらに,本店検査部から調査に訪れる嫌われ者の黒田(佐々木蔵之介)も絡めつつ,横領や隠ぺい工作,不正融資といった不祥事の数々が次第に明らかになるのだったが…。

疲れずに飽きずに惹きつけられるのは,やはり阿部サダヲの演じる課長代理・西木のキャラによるところが大きい。この西木,原作では端役なのに劇場版では主役へと大出世。物語も原作や昨年WOWOWでドラマ化されたものとは異なる完全オリジナルストーリーで,映画独自のキャラクターも登場する。

ただ,キャストが過剰に豪華で,それぞれが味のある演技を見せるものだから,それが逆に個性的なキャラの表出を阻害している。西木と滝野に,もう少し感情移入させてほしかったなって心残り。構成や展開はめちゃめちゃ好きなので,なおさらにそこだけが残念に思った。


映画クタ評:★★★★


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