ロイヤルコーギー/レックスの大冒険 | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:The Queen's Corgi
監督:ヴァンサン・ケステロー/ベン・スタッセン
キャスト:ジャック・ホワイトホール/レイ・ウィンストン/シェリダン・スミス
配給:イオンエンターテイメント
公開:2019年10月
時間:85分




1952年に25歳の若さで即位して以来,2022年に96歳で崩御するまで,70年に渡りイギリス女王としての職務を全うしたエリザベス2世。愛犬家としても知られた女王が特に可愛がってきたのが,イギリス西部ウェールズ原産犬のコーギー。18歳の誕生祝いに父ジョージ6世国王からプレゼントされたのが始まりで,生涯で30匹以上のコーギーを飼ってきたと言われる。コーギーはロイヤルドッグとして国民にも親しまれ,イギリス王室関連のお土産コーナーにはコーギーがモチーフの商品が多く並んでいた。

晩年は2匹のコーギーと共に過ごした女王。国葬の日には,棺が埋葬されるウィンザー城の外で最後のお見送りをする2匹の姿が印象的だった。その後は,ウィンザーのロイヤル・ロッジで,女王の次男アンドルー王子と元妻セーラ・ファーガソンらに引き取られ,大切に育てられているという。

さて,今夜紹介するのは,そんな“ロイヤルコーギー”を主人公にし,ベルギーで作られたアニメ。公開は女王が健在の4年前で,ヴァンサン・ケステローと,CGアニメ『サミーとシェリー』シリーズのベン・スタッセンの共同監督。日本公開時は吹替版のみが上映された。

誕生日プレゼントとしてフィリップ殿下(トム・コートネイ)からエリザベス女王(ジュリー・ウォルターズ)に贈られたのは,天性の可愛さを持つ1匹のコーギーの仔犬。レックス(ジャック・ホワイトホール/吹替:中村悠一)と名付けられ,すでに女王が飼っていた3匹のコーギー犬と共にバッキンガム宮殿で暮らし始める。トップドッグに任命されたレックスは,特に大切に可愛がられ,贅沢でわがまま放題のセレブ生活を送っていた。

そんなある日,アメリカのトランプ大統領(ジョン・カルショー)とメラニア夫人(デブラ・スティーブンソン)が国賓としてバッキンガム宮殿を訪れる。晩餐会の席上でトランプ大統領に噛み付いてしまうという大失態をやらかし叱られたレックスは,普段から親友のように接してくれるチャーリー(マット・ルーカス)に誘われ,ローマ教皇のもとへ行こうと宮殿を抜け出すのだったが…。

ロイヤルコーギーが,初めて体験する外の世界でさまざまな困難に立ち向かいながら,仲間たちの力を借りて宮殿へ戻る計画を進める,というオーソドックスなストーリーだが,可愛くて綺麗なCGと,子供向けにするにはもったいない傲慢や嫉妬や可笑しさを含む展開に,思わず夢中で見入ってしまう。

ちなみに,女王の後を継いだチャールズ国王はジャック・ラッセル・テリアを,ウィリアム皇太子はイングリッシュ・コッカー・スパニエルを飼っているらしい。犬種こそ違えど“愛犬家”というのはイギリス王家の伝統の1つなのかもしれない。


映画クタ評:★★★★


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