監督:橋本幸治
キャスト:小林桂樹/田中健/沢口靖子
配給:東宝
公開:1984年12月
時間:103分
『メカゴジラの逆襲』以来9年の沈黙を保っていたシリーズが“誕生30周年記念映画”として動き出した。それも,1954年の『ゴジラ』出現から30年ぶりにゴジラが現れたという設定で,第2作『ゴジラの逆襲』から第15作『メカゴジラの逆襲』までは無かったことにするリブート。原点回帰を目指した“怖いゴジラ”設定で,以降のゴジラは再び人類の敵として描かれていく。時代的には“昭和最後のゴジラ”なのだが,キャラや設定的にこの第16弾から“平成ゴジラシリーズ”と分類される。監督には『キングコング対ゴジラ』で監督助手を務めた橋本幸治が抜擢された。
伊豆諸島の大黒島噴火から3ヶ月後,付近をヨットで航行していた東都日報の牧吾郎(田中健)は,前夜に行方不明となった漁船“第五八幡丸”を発見し,船内でミイラ化した乗組員の死体と,体長1mもある巨大なフナムシに遭遇する。牧に救出された唯一の生存者である奥村宏(宅麻伸)は,荒れ狂う嵐の中で咆哮と共に現れた巨大生物の姿を目撃していた。奥村の恩師である生物学者・林田(夏木陽介)は,30年前に首都を襲撃し東京湾に葬られたゴジラが大黒島噴火で目覚めたと確信する。
パニックを恐れた政府の報道管制によって特ダネをフイにした牧は,訪れた林田の研究室で手伝いをする奥村の妹・尚子(沢口靖子)と出会い,兄の無事を伝える。しかしソ連原潜が沈められ,ゴジラの存在を明らかにせざるをえなくなる政府。東西陣営を巻き込んだ政治混乱の中,静岡井浜原発に現れると放射能を吸収し海へと消えるゴジラ。だがそれは破滅へのプロローグでしかなかったのだった…。
今回“夏休みゴジラ大祭”のために第1作目から見返したが,正直,『オール怪獣大進撃』辺りで挫けそうになった。頑張って続けて見てきてようやく「そう! 待ってたのはこんなゴジラ!」って作品にたどり着く。ゴジラの造形は“昭和ゴジラシリーズ”より高層化した新宿のビル群に合わせ,体長を50mから80mへと巨大化。顔つきも鳴き声も凶悪な初代をイメージしたものに変更されている。また,微妙な表情なども出せるように,全長10mのコンピュータ制御によるロボット“サイボット・ゴジラ”も製作されたという。
当時19歳のアイドル女優・沢口靖子の演技と,首都防衛を目的に極秘に開発された“スーパーX”の役立たずっぷりが残念だが,“怪獣映画”というより“ディザスター・スペクタクル”の雰囲気を持つ秀作に仕上がっている。
首相役の小林桂樹や武田鉄矢をはじめ,カメオ出演の森本毅郎,石坂浩二,かまやつひろし,鳥山明 など,超豪華共演陣も楽しめる1本だ。
クタ評:★★★★☆
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