マッドマックス/怒りのデス・ロード | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Mad Max: Fury Road
監督:ジョージ・ミラー
キャスト:トム・ハーディ/シャーリーズ・セロン/ニコラス・ホルト
配給:ワーナー・ブラザース
公開:2015年6月
時間:120分




前作『サンダードーム』公開の3年後には第4弾のアイデアを思いついたというジョージ・ミラー監督。しかし,国際情勢や世界経済も絡み,製作開始が何度も延期される。その間に,当初は出演予定だったメル・ギブソンは興味を失い,新たに“マックス”の名を継ぐ者として選ばれたのが,まだ『ヴェノム』になる前のトム・ハーディ。先代と少し雰囲気は違うけれど,見ているうちにちゃんと“マックス”として馴染んでくるから不思議だ。前作『サンダードーム』から,ちょうど30年後の公開となった。

核兵器による大量殺戮戦争の後,地球環境は汚染され,石油も水も尽きかけ荒廃した世界。生き残った者たちは,物資と資源を武力で奪い合っていた。過去に救えなかった命のトラウマを抱え,幻覚と幻聴に苛まれながら,本能だけでウェイストランド(荒野)をV8インターセプターで流浪する元警官マックス(トム・ハーディ/吹替:AKIRA)。ある日,襲撃に遭い捕縛された彼は,“シタデル”という砦に連行される。そこはイモータン・ジョー(ヒュー・キース・バーン/吹替:竹内力)率いるカルト的戦闘軍団が潤沢な地下水(アクア・コーラ)と農作物栽培を牛耳ることで成り立っている独裁社会だった。

ジョーの武装集団で,放射線障害の影響により短命な“ウォーボーイズ”の1人ニュークス(ニコラス・ホルト)の“輸血袋(輸血ドナー)”として拘束されたマックス。そんな中,ジョーの右腕の女戦士フュリオサ大隊長(シャーリーズ・セロン)が反旗を翻し,ジョーに囚われていた5人の妻“ワイブス”を救い,彼女たちを引き連れて逃亡を企てる。裏切りに怒り狂うジョーは,大量の車両と武器を従え,容赦ない追跡を開始する。いまだ囚われの身のマックスもまた,この狂気の追跡劇に否応なく巻き込まれていくのだったが…。

公開時70歳のジョージ・ミラー監督。しかしこの作品には老齢さも,過去作品の焼き直しによる“お祭り”感も,センチメンタルな懐古主義も匂わない。前3作の血流を脈々と息づかせ,その上で“誰も見たことのない”世界観を「どうだ!」とばかりに見る者の瞳と脳に焼きつける。車のハンドルを崇拝する白塗りの“ウォーボーイズ”,映画の大半を占めるカーチェイスに伴走する巨大スピーカーを積んだ“ドーフ・ワゴン”,そこでドーフ・ウォーリアーの掻き鳴らすヘヴィでラウドなギターに負けないインパクトを持つキャラたち。自ら丸刈りにしたシャーリーズ・セロンなんて,最初は誰だか判らないほど。

さて,続編2作の構想があるとしていたジョージ・ミラー監督だが,世界累計興収3億7千万ドルという大ヒットを記録し,アカデミー賞6冠となったこの『怒りのデス・ロード』の利益を巡って,製作・配給の米ワーナー・ブラザースと対立が続いているという。待ち望まれる続編の実現には,残念ながらまだ時間がかかりそうだ。


映画クタ評:★★★★


右矢印ジョージ・ミラー作品まとめ

右矢印トム・ハーディ作品まとめ

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右矢印ゾーイ・クラヴィッツ作品まとめ


右矢印アカデミー賞受賞作品まとめ


◆シリーズ一覧◆

マッドマックス』(1979年)

マッドマックス2』(1981年)

マッドマックス/サンダードーム』(1985年)