ヴェノム | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Venom
監督:ルーベン・フライシャー
キャスト:トム・ハーディ/ミシェル・ウィリアムズ/リズ・アーメッド
配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開:2018年11月
時間:112分




多忙な時期になってきて,なかなか新作を観に行けないシーズン。でもコレはマストと劇場鑑賞した新作『ヴェノム』を今夜は紹介。マーベル・コミックスでスパイダーマンの宿敵として人気を博すヴィランの“ヴェノム”を主人公に描く痛快アンチ・ヒーロー・アクションだ。

この作品,実は公開までに10年以上の紆余曲折を辿ってきた。最初は2007年にスパイダーマンシリーズからのスピンオフとして企画されたもので『スパイダーマン3』(2007年・ソニー)にもスパイダーマン風なヴェノムが登場する。しかし,サム・ライミ監督がプロジェクトから撤退すると,リブート版の『アメイジング・スパイダーマン』に移行し,ヴェノムの企画も頓挫する。2017年に,2度目のリブートをした『スパイダーマン/ホームカミング』はMCUに取り込まれることになり,ヒーロー不在の形で,ソニーにはヴィランキャラがが残されることになった。

今回,ソニーは映画化権を所有するマーベルのキャラクターを取り込んだ新たなユニバース“ソニーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクター(SUMC/Sony’s Universe of Marvel Characters)”を始動。その第1弾として公開されたのがこの『ヴェノム』。監督には『ゾンビランド』(2010年・コロンビア)『L.A. ギャング ストーリー』(2013年・ワーナー)のルーベン・フライシャーが起用された。

カリフォルニア州サンフランシスコ。正義感溢れるジャーナリストのエディ・ブロック(トム・ハーディ)は,危険な人体実験が行われているという“ライフ財団”のリーダー,カールトン・ドレイク(リズ・アーメッド)に,弁護士で恋人のアン・ウェイング(ミシェル・ウィリアムズ/吹替:中川翔子)のパソコンから得た情報を基に実験のことを問い詰める。しかし,ライフ財団の根回しで会社をクビになり,巻き込まれたアンも職を追われ,仕事と恋人の両方を失ってしまう。

半年ほど就職先を探していたエディは,ライフ財団のドーラ・スカース博士(ジェニー・スレイト)の力を借りてライフ財団に侵入に成功。そこでは“シンビオート”という地球外生命体を人間に寄生させる恐るべき実験が行われていた。被験者となっていた知り合いのマリア(メローラ・ウォルターズ)を助けようとしたエディは彼女に襲われ“シンビオート”に寄生されてしまうのだった。エディの身体を乗っ取った“シンビオート”は,やがて,エディの意志にお構いなく,圧倒的なパワーと残忍さを兼ね備えた怪物“ヴェノム”へと姿を変えるのだったが…。

“1つの肉体に2つの個性が同居する”面白さ。腹が減ると人間を食いたくなるヴェノムの厄介な性格をなだめ,上手く説得しながらピンチを切り抜けるエディとのコンビネーションが,次第にうまく回転していく。それぞれの長所を生かし,欠点を補い合っていく様子は,“極上のバディ・ムービー”を思わせるし,終盤ではヴィランのヴェノムが“イイ奴”に見えてくるから不思議。

体内に響くヴェノムの重低音ボイスも,オリジナルではトム・ハーディが担当している(吹替は中村獅童)。MCUとの統合予定はなく,そのためスパイダーマンもアニメでの登場になったのがマイナスポイント。むしろスパイダーマンに固執せず,単独のシリーズとしてSUMC内で発展させてくれた方が楽しめるかもしれない。


映画クタ評:★★★★


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ヴェノム/レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021年)