土竜の唄　香港狂騒曲

監督：三池崇史
ｷｬｽﾄ：生田斗真／瑛太／本田翼
配給：東宝
公開：2016年12月
時間：128分

警察学校を史上最低の成績で卒業した玲二が，清く正しく美しい社会を目指すため，犯罪組織に潜入してターゲットを挙げる潜入捜査官・通称“モグラ”に任命されるというトンデモ展開からストーリーが始まった前作『潜入捜査官REIJI』の続編。原作は累計発行部数680万部を突破した高橋のぼるのコミック。前作に引き続き，全世界から注目を集める鬼才・三池崇史監督×超人気天才脚本家・宮藤官九郎×幅広いキャラを演じる主演・生田斗真が全力アウトローな世界を見せてくれる痛快エンタテインメント・ムービー。

交番勤務から潜入捜査官“モグラ”となったダメ巡査・菊川玲二（生田斗真）。日本一凶悪な犯罪組織・数寄矢会に潜り込み，“クレイジーパピヨン”こと日浦匡也（堤真一）と兄弟の契りを交わした彼は，何度も死にかけながらも，警察官の身分を明かさず無事に生き抜き，合間にちゃっかり想いを寄せる純奈（仲里依紗）を相手に童貞も卒業。最終ターゲットの数寄矢会会長・轟周宝（岩城滉一）を挙げられないまま，日浦組若頭に就任してしまった玲二は，極道の世界により深く潜り込んでしまっていた。

一方，警視庁では組織犯罪対策部のエースに抜擢されたエリート警官・兜真矢（瑛太）が，警察とヤクザの癒着撲滅に乗り出していた。そんなことはつゆ知らず，轟周宝から大仕事を言い渡される玲二。それは，極悪非道のチャイニーズマフィア・仙骨竜の撲滅。そして，轟周宝とその愛娘にして奇跡の処女・轟迦蓮（本田翼）のボディーガードをすることだった。最終ターゲットを守るというまさかの任務を与えられた玲二に，警察内部や海外から，かつてない危機が次々と襲いかかる。しかし，さらに巨大で凶悪な陰謀が水面下で動き出していることを，玲二はまだ知らなかった…。

1995年以降，年に２～３本以上のペースで様々な世界を映像化してくれる三池監督。今年も，４月公開の『無限の住人』，８月公開の『ジョジョの奇妙な冒険　ダイヤモンドは砕けない　第一章』(東宝／ワーナー)と精力的。そんなパワフルな監督に呑まれ，ブッ飛んだキャラに全力で憑依する俳優たち。脚本の巧みさとも相まって，近年の邦画中で最高に楽しませてくれるシリーズと言ってよいのではないだろうか。香港を最終戦場として玲二が挑む，前作以上に絶対インポッシブルなミッション。スリル，興奮，アクション，お色気，バイオレンスに，愛と男気と正義と爆笑をトッピングした，ルールなし，予測不能の超ハイテンションムービーだ。

共演は他に上地雄輔，古田新太，菜々緒など。中でも迦蓮（本田翼）と胡蜂（菜々緒）のキャラが刺激と魅力に溢れていて，公式ヒロイン（？）の純奈（仲里依紗）を完全に食ってしまうが，それも面白味。ひょっとすると次作への布石となるのかもしれない。