土竜の唄　潜入捜査官REIJI

監督：三池崇史
ｷｬｽﾄ：生田斗真／仲里依紗／山田孝之
配給：東宝
公開：2014年2月
時間：130分

奇想天外な脚本と，何でも撮っちゃう監督と，まさかのジャニーズ主演作。三池監督×クドカン×生田斗真のパッケージが作り上げた，ブッ飛び感満載なのに妙味で，最後まで目の離せなくなる作品。12月23日から公開の続編『土竜の唄　香港狂騒曲』を前に，復習しておくことにした。

谷袋警察署の交番に勤務するダメ巡査・菊川玲二（生田斗真）。正義感だけは人一倍の彼だったが，始末書の山がたたって，ついに署長（吹越満）からクビを宣告されてしまう。が，それは表向きで，実は潜入捜査官・通称“モグラ”となり，関東一円を地盤とする武闘派暴力団組織・数寄矢会に潜入し，合成麻薬MDMAの密売ルートを暴き，４代目会長・轟周宝（岩城滉一）を挙げるという，あまりにも危険な任務の始まりだった。

覚悟を決め，闇カジノ“虎ジャガー”に潜り込み，数寄矢会傘下・阿湖義組の若頭“クレイジーパピヨン”こと日浦匡也（堤真一）に気に入られる玲二。しかし，渦巻く数寄矢会内部での権力闘争や，関東進出を狙う日本最大の暴力団組織・蜂乃巣会との抗争も勃発し，玲二は次から次へとピンチに陥る…。

ホラー，ヤクザもの，アクション，時代劇，SFと，ありとあらゆるジャンルを踏破し続けている三池崇史監督だが，この〈エロ・笑い・暴力〉は特にお得意の分野。宮藤官九郎の脚本でパワーアップしたハチャメチャ娯楽作は，予告編やCMでも流れた冒頭の，全裸で車のボンネットに縛りつけられた生田斗真が街を疾走する唖然とするシーンで見る者のハートを鷲掴みにする。

養成係の赤桐一美（遠藤憲一），署長，麻薬取締官の福澄独歩（皆川猿時）のトリオは「土竜の唄」を突然コーラスしだすし，日浦，月原（山田孝之），猫沢（岡村隆史），黒河（上地雄輔）らの異色ヤクザも強烈なインパクトを放つ。阿湖義組組長（大杉漣）や築間（伊吹吾朗）は貫禄を見せつけるし，若木純奈（仲里依紗）はお色気担当。それぞれが三池組としてキッチリと存在を示し，ストーリーを盛り上げてゆく。

エンドロールまで終わらない物語と続編への伏線も，らしさ全開で見事。共演は他に矢島健一，斉木しげる，渡辺哲，的場浩司，南明奈，小宮孝泰，寺島進など，とにかく多彩。